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宇宙戦艦ヤマト前史

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宇宙戦艦ヤマト登場前の地球防衛軍の苦闘を描きます。

2. 土星会戦

 「フーム・・・相手の陣形は単縦陣か・・・。こちらと同じ陣形だな!」
米艦隊の総司令官ニミッツ提督は鋭い眼差しで侵略艦隊を見つめた。

彼は土星宙域を会戦宙域として定め、侵略者の艦隊を待っていたのだ。

この宙域には土星の衛星が点在し、観測隊を潜ませるのに好都合だったからだ。

既にレアには米国宙兵隊、ディオーネにはソ連の宙兵隊が潜み、敵艦隊との戦闘の模様を観測する事に
なっていた。

今回の作戦は地球の戦力の半分にも当たる米ソの艦隊戦力の大半を用いる大規模なものだった。

<なんとしてでも侵略者はここで討ち取る。>ニミッツ提督は闘志を燃え上がらせた。

しかし、彼の指揮者としての資質はもし、万が一、自分達が破れる事があっても戦いを出来るだけ長引かせ、
敵に関する情報を少しでも多くとる事も忘れていなかった。

米国艦隊の戦艦も単縦陣で相手と戦う様、設計されていた。

「取り舵一杯、相手を予定通りT字戦法で迎撃するぞ!」ニミッツ提督は命令した。

戦艦「ワシントン」から各艦に命令が伝達され、続くソ連艦隊も向きを変え様としたその時である。

ニミッツ提督は異星人の思考が地球人に似ている点に何か胸騒ぎを感じた。

<宙雷戦隊・・・。>

ニミッツ提督は敵の宙雷戦隊が何処にいるか捜させた。

宙雷戦隊とは駆逐艦を数隻集めて戦隊を組ませ、それを軽巡が率いる駆逐艦隊の1バリエーションである。

駆逐艦は1隻では弱いが何隻か集まって宙雷戦隊を構成すると威力を発揮する。

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今回は遠距離遠征なので同行させなかったが、地球では宇宙軍の実質的主力であった。

やはり、単縦陣両翼と上下に展開していた敵の宙雷戦隊は本体とは別れ、突撃隊形に陣を組み直しながら
米国艦隊を分断しようと突っ込んできた。

ニミッツ提督は巡航戦艦「レキシントン」と「コンステレーション」の二隻に迎撃を命じた。

もともと米国の巡戦は宙雷戦隊掃討用である。
 
砲力は強く、速度はべらぼうに速い、駆逐艦よりも速いのである。

しかし、その反面、装甲は無いに等しい、その威容とは裏腹に危険な戦艦であった。

ニミッツの突撃命令は敵艦隊の単縦陣の両翼には必ず軽巡航艦に率いられた宙雷戦隊が居ると踏んでの
攻撃だった。
 
案の定、軽巡航艦1隻に率いられた駆逐艦5隻で構成された宙雷戦隊が両翼に1個戦隊づつ航行していた。

何事も大きさで圧倒しようとする米国らしい巡戦はその大火力と速度で敵宙雷戦隊を攻撃した。

A-1砲塔(上面1番砲塔)A-2(下面1番砲塔)、B-1(上面2番砲塔)、B-2(下面2番砲塔)の各三連双砲塔と
艦首に着いている前方攻撃用の三連双砲塔からフェーザー・ビームを吐き出してガミラス突撃艦を二隻を
グズグズにしてしまった。

<一応、フェーザー砲は効果あり・・・だな。>ニミッツ提督は一人ごちた。

全ての戦いの様子は艦隊からは勿論、土星の衛星上に展開した米ソ宙兵隊からも地球へ中継されていた。

<さて次は反物性ミサイルだが・・・。>ニミッツ提督は地球艦隊の次の主力兵器の効果を期待した。


米国巡戦隊は敵駆逐艦隊とすれ違いざまに3連双5基のビーム砲と18基の反物性ミサイルを浴びせかけた。

次々と爆沈する敵駆逐艦隊、重防御を誇るガミラス艦も運動性能を優先させざるを得ない突撃艦は比較的
軽防御だったのだ。

しかし、敵駆逐艦隊を追って突出し過ぎた巡戦艦隊は敵主力艦隊の射程内に入ってしまった。

 宙雷戦隊の仇とばかりにガミラス主力からのフェーザー・ビームがレキシントン」に突き刺さり、半壊状態に
なった「レキシントン」は戦列を離脱せざるをえなかった。

 ドイツの巡航戦艦とは異なり装甲は20.8cmと重巡航艦並みで、しかも被っているのはバイタル・パートのみだった。
(上下第一砲塔ターレット・リングから上下第四砲塔ターレット・リングまでと装甲されている部分も少なかった。)

本来ガミラス戦艦隊は米国巡航戦艦の相手としては手に余ったが「コンステレーション」は相手の情報を
取るため、距離を取りつつ、時たま自艦の射程距離まで近づいてビームをガミラス艦隊に浴びせた。

 だが、射程距離ギリギリから発射されたビームはガミラス艦に命中しても何の損害を与える事が
出来なかった。

しかし、米国巡戦にはもう一つ強力な武器を持っていた。

上面9門、下面9門合わせて18門の反物性ミサイルの垂直発射管である。

2隻合わせて36基のミサイルの嵐がガミラス艦隊を包んだ。

確実に1隻のガミラス艦が吹き飛んだ。

だが、遠距離から発射されたミサイルは次々と迎撃されてそれ以上の損害を与える事は出来なかった。

<相手のフェーザーはこちらより強力だ。 もっと距離をつめねば効果は上がらない!>ニミッツ提督は
歯噛みした。

戦艦艦隊本隊がガミラス艦隊をT字で待ち受ける方向に誘導しようと賢明に躁艦する「コンステレーション」はかなり無理をしていた。 

有効射程距離に入ると自艦もガミラス艦隊のビームを浴びて危険になって来た。

 だが、それを補う様にソ連の大型巡航艦「タシュケント」と「ミンスク」が戦場に割って入って来た。

「コンステレーション」に変って全ビーム砲、反物性ミサイルを発射し続けた。

 ミニッツ提督はただちにに離脱する様、二隻に命令を発した。

しかし、ソ連のマカロフ提督は二隻を引かせ様とはしなかった。

一人で戦艦を動かせるとまで言われた叩き上げの勇将マカロフには満身創痍となりながらも決して引かぬ
「コンステレーション」と「レキシントン」を見捨てる事など出来なかったのである。

  また、「ミンスク」と「タシュケント」は最先端にブリッジを持ち、武装や機関のある本体は無人である。

損害を受けても本体を切り離せば脱出は可能だと踏んでいたのである。

 <だがそれでは冥王星まで遠征出来る数少ない艦艇がまた減じてしまう。  戦いはまだまだ続くのだ。>
 
 ガミラス側は地球艦隊に宙雷戦隊を全滅させられてしまったが装甲の強力なガミラス主力艦・重巡は
何事もなかったかの様に、地球艦隊に迫ってきた。

 ガミラス艦隊を本隊の方に誘導しようとして敵の射程内に深く入り過ぎた「ミンスク」と「タシュケント」は次々とビームを浴び、まず「ミンスク」が、次に「タシュケント」も爆発して果てた。 

マカロフ中将はあえて軽巡「カーラ」を旗艦としていた。

「旗艦は損傷を受けて撤退しなければならない時、味方の戦力の減少に繋がるようであってはならない。」を
信条としていたからである。

しかし、今は最後の突撃をかける「コンステレーション」・「レキシントン」を誘導する役割を引き受けた。
「コンステレーション」と「レキシントン」はレーダーも測距義も殆ど失って目測を頼りにネルソン・タッチの
攻撃で敵艦隊の分断を図るつもりだった。

 だが、軽巡「カーラ」は殆ど無償で、しかも旗艦設備が整った新鋭艦である。

これで「コンステレーション」・「レキシントン」にもチャンスが巡ってきた。

攻撃隊形は「カーラ」を中心とした平行陣、これで「カーラ」に対する攻撃は少しは減る。

旗艦の艦長席に座ったシュルツ大佐は地球軍の勇猛さに舌を巻いていた。

 通常これだけの損害を受ければ撤退するか、特攻するかのどちらかである。

だが地球人は冷静に勝機を掴む作戦を選び、実施して来た。

このままではまんまと戦列は分断され、至近距離から敵のビームとミサイルを浴びる事になってしまう。

 シュルツは非凡ではなかったが彼もレッチェンスの弟子である。

すぐさま小ワープで地球艦隊の反対側に地球艦隊と平行する位置に移動した。

「カーラ」のマカロフ提督はニミッツ提督と連絡を取り、目標のなくなった「コンステレーション」と「レキシントン」を後退させた。

冥王星基地で一部始終を見ていたレッチェンスは「ムウ・・・。」と唸った。

まんまと目の前でワープをして見せてやったのである。

 これは大失策だった。が、レッチェンスはシュルツを責める気には成らなかった。

自分が指揮していたとしてもやはり同じ様に命じていたろうと思ったからだ。

米国戦艦隊は重装甲であったがその分、加速、減速力が劣る。

 方向転換力もガミラス艦より劣っていた。攻撃力はほぼ互角だったが、ガミラス艦隊は加減速を繰り返し、
米国艦隊を翻弄した。

「侵略者め!良い気に成りおって! そうだ実力の全てを吐き出させてやる。」 ニミッツ提督は味方に
135°回頭命令を出した。
 
これはガミラス艦隊に対し斜めに後退する雁行である。

 斜めに後退する事により敵の攻撃を受けてもそれを受け流す事が出来るのだ。

後退する量も最少にする事が出来る。

シュルツはこうした後退の仕方に初めて出会った。 

しかし、シュルツは思った。

 <最後尾に陣取る様な腰抜けに提督は務まらない。 また、中ほどに旗艦を置けば前後から攻撃を受けてしまう。

先頭を切って走れば一番損害が少なく、艦隊の士気も上がる。 先頭艦に攻撃集中だ!>

シュルツの旗艦と米国艦隊旗艦「ワシントン」・ソ連軍旗艦「カーラ」は互いに全火力をぶつけあった。

米国の戦艦は地球艦では重装甲である。

 「カーラ」はワシントンが楯となってくれたので、「ワシントン」の影から反物性ミサイルを敵旗艦に向けて連射した。

「ワシントン」のビーム砲は2連双砲塔上面5基、下面5基、前面3連双砲塔1基、の23門、反物性ミサイルミサイルは前面に6門持っていた。

「カーラ」はビーム砲は持っておらず、近接防衛用のパルスレーザーが光速兵器の主体だったが反物性ミサイルは大型が8基、中型が18門と強力であった。但し、1斉射しか出来なかったが・・・。

 シュルツの乗った旗艦に次々と「ワシントン」のビームが突き刺さった。

しかし、エンジン出力が低下していたためにガミラス艦の重装甲は敗れなかった。

「カーラ」の放ったミサイルは2番艦を見事撃沈した。

近距離で見た、その爆発の仕方はレッチェンスやシュルツ、ガンツの見た事も無い物だった。

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 反物性ミサイル、これは反物質と物質の対消滅爆発を利用したミサイルではない。

このミサイルは爆発するのではなく、爆縮するのである。

 ミサイルの信管が起動するとミサイル内部に磁気的に閉じ込められているマイクロ・ブラックホールが
開放され、辺りの装甲板や兵装を吸収して消える特異なミサイルなのだ。

地球軍がこうした特殊な兵器を用いているのはガミラス侵攻以前も地球人同士で宇宙戦を戦っていた経緯が
あったからである。

宇宙船の航行能力が上がり、木星までの旅が短時間で行える様になると各国、各勢力は木星上に
エネルギー・プラントを設けた。

そして、各勢力同士の争いが起こると、この地球ー木星間の交通路は互いの生命線として、必ず交戦の舞台となった。

初めのうちこそレーザー砲や荷電粒子砲、核ミサイルや反物質ミサイルが主力兵器だったが、
これらの爆発型の兵器は多量のデブリを生み、平時の航行の妨げとなった。

そこでデブリを生じにくい、反物性ミサイルや目標を原子レベルで分解するフェーザーが主力兵器となっていった。

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 シュルツは地球艦隊に平行戦を挑んだ。

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しかし又も地球艦隊は雁行し、ガミラス艦隊の力を削いだ。
 
機動力では勝っているはずのガミラス艦隊も斜めに後退する地球艦隊の隊列を崩し切れなかった。

だが、旗艦「ワシントン」も損害に耐え切れず爆沈して果てた。

すぐさまソ連軽巡「カーラ」が旗艦の役割を引き継いだ。

「そうだ!地球攻撃の切り札、遊星爆弾を使おう。」レッチェンスは考えた

「ガンツ、遊星爆弾の用意をしろ!」ニヤリとしたガンツは応えた。

「もう、用意は出来ています。閣下!」「もうか?」いぶかしげにガンツを見るレッチェンス。

「遊星爆弾のセットはどうやっても1時間はかかるはず!一体どうやったのだ。ガンツ応えろ!」

 「遊星爆弾の用意をする工程で一番時間が掛るのは放射能をより多く含む小惑星を捜すか、放射能を
まんべんなくまぶす所です。」

「そうかこの作戦に放射能は無用だ。これは一本とられたな!」さすがはレッチェンスの弟子である。

必要ならその兵器の最大特徴を殺してでも使う事を辞さなかった。

 レッチェンスは次に地球艦隊が雁行するであろう空間に遊星爆弾を投じさせた。

加えて、彼は今はソ連の軽巡を旗艦とする米国艦隊に向かって核ミサイルを放った。

艦隊のすぐ直前で砕け散る遊星爆弾・・・。

 但し、これは米国艦隊を助ける為ではなかった。

宇宙空間でも慣性は働いているので砕かれたとはいえ、まだ大型隕石と同じ破壊力を持つかけらが
数百、数万のつぶてとなって米国艦隊を襲った。

フェーザー砲やレーザー砲でそのかけらを打ち砕く米艦隊。

 その間に距離をつめたガミラス艦隊は至近距離から残りの米戦艦隊とソ連の軽巡「カーラ」に向けて
フェーザーを放ち、やっとの思いで全滅させる事が出来た。

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シュルツ艦隊が帰還した。

 レッチェンスはシュルツとガンツの二人を自室へ呼んだ。

「シュルツ 今日の敵、どう思った?」

「敵とはいえあの奮戦振りは尊敬に値するものでした。

私ではあんな旧式艦であそこまでは戦えません。」シュルツも相手がレッチェンスだから本音が語れるのだ。

 「うむ、もしかすると闘志はガミラスより勝れているかもしれん。ガンツ少佐は?」

「私はこの侵略に反対です。何を好き好んで14万8000光年も離れているこの星の竜を目覚めさせなければならないのですか?」

「シッ誰かに聞かれたらお前は総統に処刑されるぞ。」

「私はただ、この星の連中には星間国家群になって欲しくないのです。」

「確かにな・・・。」

窓に写る自分の影に何かとてつもないものを目覚めさせようとしている事をレッチェンスは感じていた。

                            時に2191年1月10日、対ガミラス戦は始まったばかりだった。
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by YAMATOSS992 | 2012-03-25 21:00 | 本文 | Comments(2)
Commented by なごみ at 2013-12-14 21:57 x
こんばんは!
読み進めて行くうちに、ドキドキしてきて、拳を握りしめながら拝読しました。
飛んで来る数多のつぶてを打ち砕いているうちに、間合いを詰められてしまった最期に、「ああ…」と声を漏らしてしまいました。
緊迫感に満ちた土星会戦でした。
戦艦の種類や特徴に素人ながらわくわくしました。かっこいいです!
Commented by YAMATOSS992 at 2013-12-23 10:13 x
ご訪問有難う御座います。 

作品を書き始めたばかりの部分でお誉め頂くと恥ずかしい限りです。
今は体調不良で筆が止まっていますが、必ず再開しますので宜しく
お願いします。