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宇宙戦艦ヤマト前史

yamato2199.exblog.jp

宇宙戦艦ヤマト登場前の地球防衛軍の苦闘を描きます。

4.通商破壊作戦計画

 レッチェンスはファラガットの報告を聞いていた。

ファラガットは大粒の涙を零していた。

理由を訊ねると彼は涙声で応えた。

「私は私の軍が最強でその中でも私は自分が最強だと奢っていました。 だから、いきなり、肉弾戦を仕掛けました。

銃撃から入ると他にいるかもしれない敵の観測隊に気付かれると思ったからです。」

「君も充分大胆じゃないか!」レッチェンスは若者らしい果敢な行動にあきれた。

「ですが、相手は更に1枚上手でした。 軍用ナイフで両者は戦っていたのですが、相手は直に
それを捨てました。」 レッチェンスの眉毛がつりあがった。

「そして、素手で我々と戦ったのです。」

「なんだと!素手の軍に君は負けたのか!」レッチェンスは驚いた。

「はい・・・。彼らはナイフを構えて突進する我々を苦も無く、投げ飛ばし、地面に叩きつけました。

今までに経験した事の無い戦い方でした。

敵の揚陸艦の発進準備が出来るまでの短時間でしたが、まるで教官に格闘戦のコツを教わっている様な
感じでした。」

本当は親に教わっている様な感じだったのだが、まさか司令官にそう言うわけにはいかない。

だから、敵の揚陸艦が味方の重巡に撃破された時、言い様のない、寂しさが心を吹き抜けたのだ。

 宙兵隊の猛者からただの青年に戻ったファラガットの肩をポン!と叩くとレッチェンスは言った。

「良い経験をしたな。ファラガット大尉。 下がってよし!」

「はっ」敬礼すると指令室を出て行った。

結局、観測隊は2隊しか発見されなかった。

しかし、これでガミラスに関する情報がかなり、地球側に流れたのは確実だった。

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 レッチェンスはシュルツとガンツを自室に呼ぶと今後の作戦計画を立案する事にした。 

「次は5番星だな。あそこには地球の大プラント群が集中している。潰さなければ厄介な事になる。」

シュルツが発言を求めた。

「レッチェンス様、あそこには地球軍もひしめいています。 全軍を持って事に当たる必要があります。
 
しかし、今のエネルギー状況では全軍の派遣は無理かと思います。
 
かといって6番星のプラントが出来るのを待っていては敵に時間を与えすぎます。」と言って黙ってしまった。

 「でどうするのだ君は! こんな事もわしに頼るのか?大佐!」 レッチェンスの怒号が飛んだ。

「あの~っ 発言しても宜しいでしょうか?」 ガンツ少佐が恐る恐る言った。

 「よしっ言ってみろ。」不機嫌な声をあらわにレッチェンス大将は発言を促した。

ガンツは発言の機会を与えられて喜び勇んで自分の計画を話した。

 「要するに我々の準備が整うまで地球軍を引き付けておけば良いのです。

そして、相手の経済や生産を極力妨害する必要があります。

遊星爆弾による戦略攻撃が出来ればよいのですが、それは6番星のエネルギー・プラントが
本格稼動するまで行えません。

私は通商破壊艦を何隻か放って木星~地球間でエネルギー輸送艦を仕留めさせれば良いと考えます。」
ガンツは言葉を続けた。

「地球の護衛艦より速ければ良いのですから突撃艦で充分でしょう。」

「うむ、なかなか良い案だ。 しかし、あまり敵を舐めてはいかん。 シュルツ、今、重巡は何隻残っている?」

「12隻であります。閣下、半分づつ任務に当たるとすれば6隻が通商破壊戦に使えます。」

「12隻か・・・。少ないな。もう12隻の派遣を本国に要請しろ!」と命じた。

宇宙空間は広い、その中で別の船に出会う確率は皆無に等しいのだ。

今回の場合、5番惑星の周辺空間を戦闘空域と定めたから24隻で済むのだ。

半分の12隻が任務に当たり、そして、残りの12隻は基地で補給や修理を受ける事になる。

それから、有人艦のもう一つの要素、乗組員の訓練も必要となる。

有人艦は戦闘局面において臨機応変の対応が出来る反面、宇宙空間での勤務が長くなると乗組員の
健康管理が重要になって来る。

筋力の低下や、骨のカルシュウムが溶け出して強度が弱ると言う問題がある、

だから、長期に渡る作戦では兵力は必要な量の2倍は持ち、訓練をたゆまず行って健康を管理する必要がある。

地球でも「骨や筋肉は使ってやらないと、直ぐサボる・・・。」と言って宇宙兵の訓練は片時も休まず
続けられていた。

「もう一つ良いでしょうか?」ガンツ少佐は遠慮がちに言った。

<まだ、あるのか!>とレッチェンスは思ったが口には出さず、発言を促した。

「先刻の会戦で失った宙雷戦隊や艦の補充は閣下におまかせするとして、食料の補充要求を!
特に生鮮野菜の補充が必要です。
 
これだけ、善戦したのですから彼らに上手いものを食わせてやりたいのです。」レチェンスは大声で笑った。
 
 「このメタボめ、本当は自分が食いたいのであろうが!」

「はあ、解りましたか。御察しの通りです。ですが、私がそう思う以上に兵士達はもっと、そう思っているはずです。 

食料の補給をお願いします!」

ガンツは日頃からの言動から上官追従形の士官と思われがちだが、部下の事を第1に考える男だった。

「今回、打ち合わせた第6番惑星のプラント建設計画とプラント完成まで時間を稼ぐ通商破壊戦は
長期に渡る物になるだろう。」

「一度、生鮮野菜の補給を受け、それを食い尽くす前に農園を作る・・・。 どうだガンツ、この案では。」

「有難う御座います。宇宙兵達も喜びます。 単に、訓練に日々を送るより、自分の鍛錬が自分の楽しみに
なる・・・。  その方がずっと嬉しいはずです。」

「確かに?な!」レッチェンスは笑った。

だが、シュルツは黙って二人のやりとりを聞いていたが、こらから始まる地球ー木星間で行われる
通商破壊戦に思いをはせていた。

12隻の重巡を2隻一組にして艦隊を組み、6艦隊が戦場に散らばる事になる。

 この方が本来の軍艦の使用法に近いものだが、相手も船団を組み護衛艦を随伴させてくるだろう。

地味だが根気と体力のいる長い戦いになる。  補給艦も送らねばならない・・・。
 
黒いガスが渦巻く窓の外を見詰め続けるシュルツ大佐であった。

時に2191年、太陽系を防衛する地球にとっては当然だが、侵略するガミラスにとっても長く苦しい通商破壊戦が始まろうとしていた。
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by YAMATOSS992 | 2012-03-27 21:00 | 本文 | Comments(0)