ブログトップ

宇宙戦艦ヤマト前史

yamato2199.exblog.jp

宇宙戦艦ヤマト登場前の地球防衛軍の苦闘を描きます。

11.木星会戦(疾風編)

2012,7,2、図版とその説明を追加 
2012,7,4,図版説明の改訂

 「目標捕捉!数量4! 距離2万宇宙キロ!」早期警戒艦「たかお」の艦橋に緊張が走った。

「敵味方識別(IFF)はポジティブ。 識別コードによればドイツ艦隊第2特務戦隊です。」探査主任はホッとした顔で報告した。

「土星圏へ行っていた、第2特務戦隊だとすると数が合わないが・・・。」副長が疑問を口にした。

「識別信号によると帰って来たのは『ニンフェ』、『アリアドネ』、『ウンディーネ』、『ブレーメン』・・・。全て軽巡
です。」

<重巡の「デアフリンガー」と「リュッツオー」はやられたのか・・・。>「たかお」の艦長、広瀬大佐は心を
曇らせた。

その時、再度、探査主任は目標探知を告げた。

「再度目標捕捉! 数量は34! 敵味方識別(IFF)はネガティブ! ガミラス艦隊です!」

「通信士! 艦隊司令部へ打電! 203宙域にガミラス艦隊出現! 本艦は敵艦隊との距離を取りつつ、
その動向を調査!詳報を続けて送る旨を連絡しろ!」艦長は「たかお」の最後を覚悟していた。

「たかお」は元々、高速を出せる重兵装の巡航艦として設計されていた。
e0266858_20393577.jpg

e0266858_18115066.jpg

e0266858_18124590.jpg

e0266858_18154231.jpg

しかし、内惑星戦争時の花形艦も今は旧式化して船体の老朽化も目立ってきていたので8インチ荷電粒子砲、
連双5砲塔の武装を8インチフェーザー、連双3砲塔に減らし、代わりに大型だった初期のコスモ・レーダー
装置を積んで早期警戒艦に生まれ変わっていた。
e0266858_1814498.jpg

e0266858_18211974.jpg

当然、重巡だった頃は積んでいたミサイル装備も今は下ろしており、持っていない。

重巡だった頃より軽量化していたので速度だけは現役時より速かったが、敵であるガミラス艦はワープが
出来る・・・。

狙われたら逃げようがないのが実態だった。

探査主任が訝しげが顔をした。

「どうした! 斉藤!」副長が探査主任の顔を見た。

「それが・・・。ガミラス艦隊の隊列が大きく乱れています。 これでは彼等は艦隊戦が出来ません。」

「何!状況を大スクリーンに写せ!」

スクリーンには驚くべき光景が写っていた。

先程、撤退して来たドイツ艦隊の軽巡4隻が横陣に広がってガミラス艦隊の進路を遮りつつ、対艦ミサイルを
連射して次々とガミラス艦に損傷を与えていた。

「こちら日本艦隊、早期警戒艦『たかお』、ドイツ第2特務戦隊!何をしている! 早く撤退しろ!」広瀬艦長は
呼びかけた。

「こちら『ブレーメン』艦長、マトニ中佐、そちらこそ、早く脱出して貴艦は自分の任務に専念して下さい。」

「無茶だ! 相手は戦艦クラスだぞ!」その叫びが終わらない内に9条のフェーザー・ビームが1隻の軽巡を
捕らえた。

その軽巡「ニンフェ」はたちまちズタズタになって大破、爆発した。

「早く退避しろ!」広瀬艦長は思わず怒鳴っていた。

しかし、ドイツ軽巡部隊は撤退するどころか、更に距離を詰めていった。

ガミラス戦艦隊は総旗艦と思しき一隻の艦を守る様に横腹を晒して立ちはだかった。

ドイツの軽巡は通商破壊用に造られ、反物性ミサイルの垂直発射管(VLS)を90セルも持っていた。

長期に渡る通商破壊活動時にも補給を受ける事無く活動するための装備だ。

今、戦っている第2特務戦隊は今回、任務について直ぐにガミラス艦隊と遭遇したため、その兵装がまだ全く
消耗していなかったのだ。

第2特務戦隊の残りの軽巡、3隻は残りの反物性ミサイルを全弾をこちらに横腹を見せているガミラス戦艦に
叩きこんだ。

ガミラス艦も駆逐艦の援護を受けてミサイルを防衛したが約270発のミサイルを全て防御する事は不可能
だった。

総旗艦の前で横腹を見せたガミラス戦艦や駆逐艦は重力崩壊を起こしてこの宇宙から消えていった。

**********************************************

<地球艦隊も粘るな・・・。>レッチェンスは舌を巻いていた。

土星空域で奮戦した2隻の装甲艦、幸いこちらの駆逐型デストロイヤーで戦闘不能になった艦はなかったが、
結構傷を負わされた艦は多かった、時間稼ぎをされたのも結構痛かった。

<そして今度は軽巡艦隊の勇戦だ、装甲艦より弱兵力と思ったのが油断だった。

駆逐型デストロイヤー2隻と駆逐艦5隻を失う羽目になるとは・・・。

木星圏には多分、地球艦隊の戦艦群がいる・・・、それも多分、精鋭中の精鋭だ。

艦隊の編成を考え直さねば・・・。>彼は副長に躁艦指揮を任せ、艦隊の再編成作業にかかった。

最初、レッチェンスは艦隊の前衛に2隻の重巡ををおいて威力偵察し、駆逐型デストロイヤーで構成された
主力艦隊は単縦陣、その上下左右に駆逐艦で構成された宙雷戦隊で球形陣を組んで侵攻するつもりだった。

<しかし、本当にそれで問題ないのか?>レッチェンスは自信が無かった。 

まず、為さねばならないのは地球艦隊の情勢を偵察する事だ。

レッチェンスは手持ちの巡航艦に艦隊を組ませ、最大限の威力偵察をする事にした。

これはかつて地球上で大艦巨砲主義が全盛だったころ、大海軍国が持っていた巡洋戦艦部隊が担っていた
任務だった。

高速で敵艦隊に近づき、攻撃を加えて挑発、相手の出方を見極める重要な任務だ。

ガミラス艦隊の高速巡航型クルーザーのうち、重巡に相当するのは駆逐型デストロイヤーより大口径の
3連双フェーザー砲塔を2基持っているタイプであるが、今までの約3年に渡る木星圏通商破壊戦で消耗して
おり、元々12隻あった重巡は6隻に減ってしまっていた。

全艦をこれに当てるのは少し大胆すぎる気もしたが、効果を挙げられなければ元も子もない、レッチェンスは
少し考えてから巡航艦戦に秀でたヒッペルト中佐を呼び出した。

「ヒッペルト中佐、君を巡航艦戦隊の戦隊司令に任命する。 君の艦を含む6隻の重巡で艦隊を組み、木星圏の
威力偵察を行ってくれ。」

「了解しました。 しかし、司令、6隻しかない重巡を全て投入するのはあまりにも危険ではないかと
思いますが・・・。」

ヒッペルトは会議室に他の将校がいなかったので大胆にもレッチェンスに反論した。

「だから君を任命したのだ。 勇猛さだけなら他に適任者が沢山いる。 君は押す勇気と引く勇気を合わせ
持っている。」

ヒッペルトはその言葉に微笑し、サッと敬礼して旗艦を出ていった。

**********************************************

木星圏の欧州連合の資源・エネルギー・プラントを防衛している欧州連合の早期警戒艦は日本艦隊の
「高雄」級と同じく、少し旧式になった英国重巡を改装した「ケント」、「ドーセットシャー」の2隻がプラントから
離れた遥か20万キロの位置を遊弋してガミラスの動向を探っていた。

「ケント」の艦橋に敵艦探知の報告が入った。

「403宙域にガミラス艦隊が出現しました。 6隻います! 距離5万! アッ 1隻が消失!ワープしたものと
思われます!」

その言葉が終わるか、終わらない内に「ケント」の右舷、直近にガミラス重巡が現れた。

あまりにも唐突な出現に「ケント」があっけに採られている内にガミラス重巡は手馴れた様子で攻撃して来た。

ほとんど何も出来ないうちに「ケント」は爆沈した。

それを確認したかの様に残りのガミラス艦5隻がワープして来た。

「何とか門は抉じ開けましたね。」副長がヒッペルトに声をかけた。

「ああ、でも威力偵察はこれからが本番だ。 航宙士、現在の座標を記録せよ。」

ヒッペルトの艦隊はこれから敵である地球軍の懐深く入って行くのだ。

撤退しなければならなくなる場合もあるだろう、その時、ワープの座標計算を一々やり直している暇はない、
安全だった前の座標を記録しておいて非常時にはその座標にワープすれば危険が少なく脱出出来る、
これは彼が木星圏で通商破壊作戦に従事していた時に編み出した戦術であった。

しかし、この戦法も決して無敵ではない、特にワープする前の出発点を知られていると罠を張られる場合があり、
現に何隻かは地球軍の罠にはまり、失われていた。

だから、ヒッペルトは自艦の位置を探知し、ワープ航跡をトレースしているであろう、早期警戒艦は重点的に
潰してゆく方針だった。

「戦術上の常識から言えばもう1隻いるはずだが・・・。 戦術士! どうだ、探知出来ないか!」

「はぁ、いる様子はありません。 もしかしたら、探知電波の発信を控えて受信(パッシブ)に徹しているのかも
しれませんが・・・。」

確かにその通りだった。

早期警戒艦「ケント」は僚艦「ドーセットシャー」と40万キロの間隔を置いていたが、データ・リンクは
成立させていた。

したがって、「ケント」が撃破された時、直ぐに「ドーセットシャー」はその事を知って電波管制をしいた。

そして外部からの傍受の恐れがほとんど無い、レーザー通信で艦隊本部に状況を報告していた。

ガミラス艦はワープする必要上、光年単位で空間を走査出来る能力を持っていたが、それは自艦が航行する
必要上、ワープ予定空間の走査が出来るだけで、40万キロ離れて息を殺している「ドーセットシャー」を発見
出来る可能性は薄かった。

ヒッペルトは10箇所の宙域をランダムに設定させ、コスモ・レーダーで走査させたが何も発見できず、
それ以上の探査は無駄と判断して、木星圏への強行偵察のためワープに入っていった。

**********************************************

 「ガミラス重巡艦隊6隻、11時の方角より 本艦隊に向かって接近してきます!」欧州艦隊司令部に報告が
入った。

「威力偵察か・・・。 ガミラスめ、大道を歩んできおったな。」シェーア大将はスクリーンに写る光点を
見詰めながら言った。

ここは同規模、同性能の艦隊を繰り出して迎撃、威力偵察を妨害したい所である。

しかし、地球軍にはガミラス重巡と同性能を出せる艦艇はほとんど存在しなかった。

平和な時代が続いたため武装は強力でも航行能力に秀でた艦は建艦されなかったのだ。

「今、第1特務戦隊はどうしているか?」シェーアはフローラー・ライニック大佐を呼び出した。

「我が第1特務戦隊は再度、土星圏への出撃のため補給作業中です。 作業は最終段階で今、燃料、推進剤の
補給中です。」

フローラーはシェーアに報告した。

「ガミラスの重巡6隻が艦隊を組んで威力偵察にきている。 すまんがこれを迎撃してくれ。 ただし、
無理はするなよ!」

シェーアは、またライニック姉妹に負担をかけるのは心が痛んだが背に腹は変えられない、実績のある部隊を
繰り出さなくてはならないのだ。

欧州プラントの一角から2隻の重巡、4隻の軽巡が発進、ガミラス艦隊に向かっていった。

<今度は重巡6隻を相手にしろとは、シェーアのオヤジめ、どんどん要求がエスカレートしやがる!>
フレイヤが心を弾ませた。

<我々の作戦目的は敵の威力偵察の妨害よ! 撃滅までは要求されていないわ。>フローラーが釘を刺した。

<へん!結果的に相手が滅ぶのは勝手だろ!>フレイヤは大胆な作戦を提示した。

それはかつて、フローラー自身が用いた戦法だった。

第1特務戦隊は早期警戒艦「ドーセットシャー」に連絡をとり、ガミラス艦隊が最後にワープに入った地点の
座標を確かめ、配下の軽巡部隊に10発づつの反物性ミサイルをそこに向けて発射させた。

そして、フローラーは自艦隊をガミラス艦隊に向けて直進、迎撃に向かった。

**********************************************

ガミラス重巡艦隊を率いるヒッペルト中佐はスクリーンに写った、迎撃に向かってくる地球軍艦艇を見て驚いた。

ガミラスの土星圏交通路を荒らし回った装甲艦2隻、軽巡4隻の艦隊だったからだ。

ヒッペルト自身は木星ー地球航路の通商破壊活動に従事していたので1度も剣を合わせた事はなかったが、
冥王星基地で聞いたその勇猛ぶりと狡賢さは跳びぬけていた。

地球軍の通商破壊活動はガミラスのそれとは規模が大きく違っていたので実質上の損害は大きくなかったが、
敵に凄腕がいるというだけで味方の士気は大きく影響されるものだ。

だから反対にこの敵を倒せれば、味方の士気は天を突く、ヒッペルトは心の中で舌舐めずりをした。

2つの艦隊の距離は1万キロを切った。

ガミラス艦隊は砲塔を廻し、第1特務戦隊に照準を合わせ様とした。

「敵艦が妙な動きを見せています! 重巡が2隻ともこちらに腹を見せました。 故障でしょうか?」

戦術士官がヒッペルトに報告した。

「よく判らんが油断するな! 射程距離に入ったら射撃を開始しろ!」ヒッペルトの指示が飛ぶ。

「シャルンホルスト」と「グナイゼナウ」と戦って帰還出来たガミラス艦はまだ居なかった。

戦いの終わった戦場で回収された僅かな情報のみが第1特務戦隊に関する情報の全てだったのだ。

当然、ヒッペルトには2隻が腹を見せる態勢をとった事が攻撃態勢だとは知るよしもなかった。

「ガミラス艦隊との距離、8000、一斉回頭! 敵艦隊の頭を抑える!」フローラーの命令が飛ぶ、

ガミラス艦隊と第1特務戦隊は反航戦の形だったが、フローラーは一斉回頭してガミラス艦隊の左舷を
圧迫するイの字型の隊形を強引に作った。

ガミラス艦隊はすぐさま、フェーザー砲の嵐を撃ちかけてきた。

しかし、並の戦艦以上の装甲をガミラス艦隊に向けている2隻は平然とそのビームをはね返し、更に距離を
詰めてきた。

そして、1艦、3連双2段、2群に分かれた11インチレーザー砲、2隻、全24門をガミラス艦隊に浴びせかけた。

ゴーン、ゴーン、ヒッペルト艦の艦橋に続けざまに命中するレーザー・ビームの衝撃が伝わった。

残念ながら、土星圏での戦闘時の軽巡と違って、装甲の厚い重巡は傷を負わせるまでには到らなかったが、
近距離でビームを浴びせられるのは気持ちの良いものではなかった。

更に2番艦は艦橋の窓に降ろしていた装甲シャッターを溶かされ、内部の光が漏れて来た。

<クソッ! たった2隻にここまで翻弄されるとは!>ヒッペルトは歯噛みした。

しかし、次の瞬間、彼は自分が重大な事を忘れていた事を思い出した。

<この敵艦隊には軽巡が4隻いたはず・・・。 奴等はどこへ行ったのだ?>

彼の疑問は直ぐに氷解した。

「シャルンホルスト」と「グナイゼナウ」が作った鉄壁の陰に彼等は隠れていた。

そして、「シャルンホルスト」から送られた敵の位置データを元に反物性ミサイルの雨を浴びせかけた。
e0266858_1211990.jpg

e0266858_1031523.jpg

ヒッペルトは状況判断に勝れた男だったので直ぐにその場から退避し、ミサイルの洗礼は受けずに済んだが、
5番艦は艦橋部分にミサイルの直撃を受け、戦闘不能になってしまった。

6番艦の艦長はガミラスの鉄の軍律に従って5番艦にフェーザー・ビームを浴びせ、始末した。

「艦長! 地球艦隊主力がこちらに向かってきています!」情報士官が叫んだ。

「なに!」ヒッペルトは2隻の装甲艦に翻弄され続けていた事を知った。

彼の艦隊は第1特務戦隊と交戦する内に知らず々と欧州連合艦隊主力の方へ誘導されていたのだ。

本来、ヒッペルトの艦隊の任務は威力偵察であった、だから、このまま敵主力と剣を交える事も考えた。

しかし、今のヒッペルト艦隊の態勢は完全に受身であった、このまま戦闘を続行しても良い結果は得られないと
彼は判断した。

戦闘の主導権を握ってこその威力偵察だと彼は思ったのである。

「全艦、小ワープで退避! 一度態勢を立て直す。」ヒッペルトは全艦隊を木星圏に侵入する時、集結した
宙域まで撤退する命令を発した。

ガミラス重巡艦隊は一度、威力偵察をやめ、出発点に戻って態勢を立て直す事にしたのである。

しかし、その宙域には第1特務戦隊が予め敷設しておいた反物性ミサイルが10基、獲物を求めて待ち伏せて
いた。



木星圏の支配権を巡る戦いはまだ始まったばかりだった。 

                                                    ヤマト発進まで1481日
[PR]
by YAMATOSS992 | 2012-04-24 21:00 | 本文 | Comments(0)