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宇宙戦艦ヤマト前史

yamato2199.exblog.jp

宇宙戦艦ヤマト登場前の地球防衛軍の苦闘を描きます。

14.遊星爆弾戦略核攻撃開始!

今日も冥王星前線基地には強風が吹いていた。

厳重に遮断された居住区の中には風や有毒ガスは流れ込んでこなかったが、吹き荒れる大気の音は居住区の
厚い壁を通して聞こえていた。

<まずい、これはまずいぞ・・・。>シュルツ大佐は木星会戦が終わった後、レッチェンス大将が戦死したので
格上げされて冥王星前線基地の司令官に収まっていた。

彼は戦略方針として地球陣営に対する攻撃を艦隊戦から遊星爆弾による戦略核攻撃に切り替えたが、それが
上手くいっていなかったのだ。

木星会戦直後からここ1ヶ月、ほぼ毎日の様に遊星爆弾を地球に向けて放っていたが、命中コースから外れたもの10個、地球側に迎撃されたもの約20個と、地球に命中した遊星爆弾は皆無だったのである。

本来、木星会戦はガミラスにとっては地球側の喉元を締め上げ、エネルギーや資源を枯渇させて抵抗を封じ、
遊星爆弾による惑星改造をスムーズに進めるための戦いであった。

だからこそ、元々少ない戦力であったが、それを惜しみなく投入し、最終的には最高司令官の戦死という高価な
代償まで支払って手に入れた貴重な勝利であった。

<ずいぶん、あっさりと引き上げたのが気にはなっていたが、次の手を読まれていたとはな・・・。>シュルツは
自分がかつて犯したミスにまだ気が付いていなかった。

シュルツは土星会戦のあと、地球艦隊の戦意に怖気づき、ヨルク技術中佐に圧力をかけて地球に対する
遊星爆弾攻撃の実験をさせていた。

シュルツは単に実験だけに納めるつもりだったが、担当者のヨルクは示威攻撃として遊星爆弾攻撃がガミラスの
仕業だと言う事を明かしてしまった。

地球陣営はこの示威攻撃の後、遊星爆弾攻撃に対する対抗策を幾つかこうじていたのだが、シュルツはそれが
自分が過去に犯した性急な行為の結果だとは気付いていなかった。

<少なくともどの様に迎撃しているのか、掴む必要があるな・・・。>シュルツは高速宙母を使って調査
させる事にした。

木星会戦での情報戦で活躍した高速宙母は更に1隻配備されて小さいながら機動部隊を編成出来る様に
なっていたが、シュルツは古いタイプの軍人であり、大艦巨砲主義だったため、宙母は単独運用、それも
偵察行動が主になっていた。

今回もシュルツの運用方針のとおり、高速宙母が1隻、地球側の迎撃方法を偵察するため、冥王星前線基地を
発進していった。

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「早期警戒艦『シドニー』から入電!遊星爆弾6基、地球に向かっています。 ただし、その数はまだ増える
模様!軌道データを送ります。」

「よし、月面上のマス・ドライバーに反物質爆弾を発射させて迎撃しろ!」

地球陣営は木星~土星宙域に早期警戒艦を配備し、遊星爆弾の発射を早期に探知、月面上に3基ある
マス・ドライバーから反物質爆弾を発射、精密誘導によって地球から遥か彼方で爆破処理していた。

地球とガミラスの技術文明の程度はガミラスが勝っていたが、この遠距離探知の技術と宇宙航行体の精密
誘導の分野では地球側が大きく勝っていた。

ガミラスはその知られている歴史で既に他星を侵略していたが、その時から現在に至るまで無人探査機に
よる偵察という概念はなかった。

偵察も攻撃も必ず有人の艦艇で行うのがあたり前だったのだ。

例外は既に発見している目標の監視にカメラを搭載した人工宇宙塵や待ち伏せに使う宇宙要塞くらいだった。

ガミラスは今回の高速宙母による偵察のために10基の遊星爆弾を発射していたが高速宙母の艦長が
驚いた事にその全てが木星軌道に達する前に探知され、撃破、処理されてしまっていた。

地球人はその持てる技術よりも常にその好奇心が勝っており、人間を遠く宇宙空間を旅させる技術がなくても
遠くの星の様子を知りたいという欲求を持っていた。

その結果、地球上にいながら何千、何万光年もはなれた宇宙の様子を知る事が出来る深宇宙探査の技術を
発達させ、21世紀初頭にはすでに無人探査機を使って小惑星帯にある微惑星のサンプルを取って地球に
帰還させる事に成功していた。

ガミラス宙母の艦長はワープで地球軌道内にひっそりと進入すると偵察のために再度、遊星爆弾の発射を
冥王星前線基地に要請した。

再び月面上のマス・ドライバーが反物質爆弾を投射して遊星爆弾を処理した。

しかし、今度はガミラス宙母がその一部始終を観測していた。

そしてマス・ドライバーの設置位置が本拠地近辺であるという油断が地球軍にはあった。

本来、マス・ドライバーはスペース・コロニー建設用の資材を月面からラグランジュ点に向かって
打ち出すための設備で軍用の物ではなかった。

当然、その施設は全くの無防備でガミラスの攻撃を受けたらひとたまりも無い事は明らかだった。

だが、地球陣営はお膝元である月面にガミラスの手が及ぼうとは思っていなかったのだ。

ガミラス宙母は護衛艦も連れず完全に単艦だったが、月面上に3基のマス・ドライバーの存在を感知すると
その艦載機、20機を全力発進させ、その3基を完膚なきまでに破壊しつくした。

地球軍が慌てて迎撃に向かった時にはガミラス宙母はワープして早々に戦場を離れていた。

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地球側迎撃施設の破壊成功の報を受けてガミラス前線基地は遊星爆弾による戦略核攻撃を再開したが、
やはり地球側は上手に立ち回り、遊星爆弾を迎撃、地球の損害は皆無であった。

再び高速宙母による戦略偵察が行われたが今回は艦艇からの反物質弾頭ミサイルによる迎撃であり、目標が
マス・ドライバーの時と異なって固定しておらず、その発見は困難を極めた。

遊星爆弾に突撃艦を同行させてミサイルを迎撃する事も考えたが艦艇は先の木星会戦で大幅に損耗しており、
例え、突撃艦と言えども、この任務に耐えるだけの数を揃えるのは容易ではなかった。

<定点観測基地が必要になるな・・・。>シュルツは木星圏に出城を一つ、設けようと考えた。

しかし、幾ら数があるとはいえ、木星の衛星上に観測基地を設けたのでは地球側に発見される恐れが大で
あった。

「司令、それでしたら、前回の会戦時、うってつけの物を発見しました。」ガンツ中佐が進言した。

彼は別動隊として地球プラントに奇襲を掛けた時、有り得ベからざる物を発見していた。

それは木星の大気圏下層部(木星は大気圏と液層圏の区別がほとんど無かったが・・・。)に浮遊して動き回る
大陸だった。

ガンツは作戦中だったので詳しい調査は出来なかったが利用価値ありと判断、位置を知らせるビーコンを
打ち込ませていた。

会戦が終わった後、再度その大陸を訪れ、利用方法を考えるためであった。

「そんな濁った大気の底にある基地では観測など不可能ではないか?」シュルツは率直な疑問をぶつけた。

「確かに、基地から直接の観測は不可能です。  しかし、多分、この大陸は地球側に知られておりません。

ですから、この基地からパトロール艇を運用すればこちらの存在を知らせずに地球側の戦略偵察が
出来ます。」

「突撃艦と違ってワープなど本格的な航宙機関は必要ありませんからこの基地でも製造する事が出来る
レベルの艦艇、いや舟艇クラスの航続距離も短いもので充分です。」

「ふむ、確かに遊星爆弾攻撃の進捗を進める事も重要だが常時、地球側の動きを監視しておく必要もあるしな。

ガンツ中佐、木星の浮遊大陸とやらに観測基地を設ける方向で作業を進めてくれ。」シュルツ大佐は以外と
冷静であった。

<この戦線はゆっくりでも良い、着実に進展を重ねる必要がある・・・。>シュルツは先の会戦でガミラスに
その人あり、と歌われたレッチェンス大将が戦死した事の重みを味わっていた。

その戦死に彼が責任があった訳ではなかったが、ガミラス大本営は敢えて新しい指揮官を任命せず、
シュルツを基地司令に格上げしてその采配ぶりを見ているのは明らかだった。

<絶対に失敗出来ない・・・。>この思いがやがて大きな失策に繋がってゆくのだが、今はその事に彼は
気付いていなかった。

                                                    ヤマト発進まで1426日
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by YAMATOSS992 | 2012-05-22 21:00 | Comments(0)