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宇宙戦艦ヤマト前史

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宇宙戦艦ヤマト登場前の地球防衛軍の苦闘を描きます。

31.ガミラス艦隊迎撃戦

2012.08.08 図版追加
2012.8.29 図版追加

「申し訳ありません、どうやら『転移砲(ワープ・カノン)』を使い過ぎたようです。 

『シャルンホルスト』も『グナイゼナウ』も過熱で『転移砲(ワープ・カノン』が使えません。 今はガミラス艦隊の
位置情報だけしか送れません。」フローラーはフレイアの『グナイゼナウ』を一端、引かせると土方に報告した。
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ガミラス艦隊に暴れ込む重巡「グナイゼナウ」

ガミラス重巡の一隻は既に転移砲(ワープ・カノン)の攻撃を受け、光子化寸前である。



「判った。 威力偵察ご苦労! 後はまかせたまえ!」土方はガミラス重巡を6隻も撃破しながら奢らない
ライニック姉妹に好感を持った。

「さすが、『欧州連合』のエースですね。 凄い戦果だ。 冥王星会戦が悪夢の様だ・・・。」 『英雄』艦長、
山南はかつての苦しい戦いを思った。

「進歩しているのは、『欧州連合』だけではないぞ、 探知主任、太陽系の内側方面を重点的に走査しろ!」
土方は思わぬ方向を指示した。

「そちらですか?」広瀬艦長がたずねた。

「ああ、ワープ技術があるとして、君だったら素直に外周から侵入するかね?」土方が横目で広瀬を見た。

「なるほど確かに・・・。 ワープが実用化すると戦術も大幅に見直す必要がある・・・と言うことですな。」広瀬は
微笑った。

「そういう事だ。 艦隊の全艦がワープ出来る様になったら、艦隊というものすら意味をなさなくなる。 

ガミラスが今も艦隊を組んで行動しているのは何か、特別の理由があるんだ。」土方はガミラスの内情を
薄々掴んでいたのかもしれない、彼が「カミソリ」と言われている所以であった。

「感あり! ガミラス艦隊が天王星方面から侵入して来ます。」果たせるかな、土方の予想通り、ガミラス艦隊は
太陽系の内側から入って来た。

「敵は宙雷戦隊も同行しているか?」土方は敵の勢力を確認した。

「はい、第1偵察戦隊の報告どおり、2個戦隊が主力の周りを固めています。」探査主任が報告した。

重巡艦隊を失ったガミラスは主力周りに駆逐艦を配して球形陣を組み、宙雷戦隊の旗艦である軽巡が本来、
重巡が勤める最先陣の位置を占めていた。

「先手必勝だ!  こちらの宙雷戦隊を左右から突っ込ませろ!」土方が吼えた。

「了解、第1宙雷戦隊、右舷から突入します。」御蔵少佐が応えた。

第2宙雷戦隊の管野大尉は左舷からの攻撃を申告した。

御蔵少佐も管野大尉も負傷して冥王星会戦には参加出来ず、その戦友の多くがこの宙域で散った無念の
空間だった。

二つの突撃駆逐宇宙艦隊が冥王星の衛星カロンの影から出て、ガミラス艦隊に向かって突撃を開始した。

新造艦が間に合わなかった地球艦隊の駆逐宇宙艦は相変わらず、「ゆきかぜ」型の突撃駆逐宇宙艦だったが、
冥王星会戦の時と違い、今度は燃料も推進剤もたっぷり持っている、当然、反物性ミサイルも規定量を
搭載している。

管野大尉は無意識の内に舌舐めずりをしていた。

御蔵少佐は両手の親指と人差し指でファインダーを作ってガミラス艦隊をその中に納め、ニンマリとしていた。


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ガミラス艦隊も球形陣を解き、駆逐艦は宙雷戦隊として隊形を組みなおして、地球艦の迎撃に向かった。

「地球艦隊を食い止めろ!」ヒルデン大佐は屈辱に顔を歪めていた。

訳の判らない内に重巡6隻を失い、裏をかいたつもりの侵入作戦も見破られてしまった。

『ヤマト』出現以来、神はどこまでもガミラスを見放しているようだった。

「司令、落ち着いてください! まだ、軽巡部隊の奇襲作戦が残っています。」グルト少佐は軽巡部隊に
別行動を取らせていた。

地球艦隊もガミラス艦隊も主力は宙雷戦隊であった。

そして、宙雷戦隊は艦隊護衛の役も果たしていた。

だから、どちらの艦隊も宙雷戦隊を放った以上、護衛をなくして丸裸の状態なのだ。

グルト少佐はそこに勝機を賭け、軽巡には地球艦隊が丸裸になったら、ワープで一撃離脱攻撃
(ヒット・エンド・ラン)をかける様、命じてあった。

このため、ガミラスの宙雷戦隊の任務は地球宙雷戦隊の阻止であった。

「よーし! 地球艦を思い切りひきよせるんだ!」ヒルデンは地球艦隊の前で単縦陣をつくり、丁字戦法を
とった駆逐艦隊に命じた。

ガミラス駆逐艦が地球駆逐艦を食い止めている内にガミラスは主力である駆逐型デストロイヤーの砲撃で
地球宙雷戦隊を殲滅、浮き足立った地球主力艦隊を軽巡部隊が一撃離脱攻撃(ヒット・エンド・ラン)攻撃で
仕留めるというのがグルト少佐の作戦だった。

しかし、彼は地球主力艦隊の主砲が自分達のフェーザーより長射程のショック・カノンだという事を
知らなかった。

まだまだ砲撃戦に入る距離ではないと、たかをくくっていたヒルデン艦隊はいきなり超長距離からの
大口径フェーザー砲の射撃を浴びて驚いた。

しかも、地球宙雷戦隊の前に立ち塞がったガミラス駆逐艦を一隻、また一隻と的確に破壊して見せたのだ。

地球駆逐艦とガミラス駆逐艦の距離は1000mを切っていた。

それを敵味方をきちんと区別して砲撃した地球側はこの任についた時とは比較に成らない位、錬度が
上がっていた。

「旨くいきましたね。」広瀬艦長は土方提督にいった。

「こっちは大分、稽古したからな・・・。 しかし、勝負は終わっていない。 これからだ。」

土方の言葉が終わるか、終わらない内にガミラス軽巡が出現した、そして、フェーザーを一連射、撃ちかけると
直ぐにワープして消えた。

『英雄』は艦首部分に3箇所、被弾し、艦首ミサイルが4門使えなくなった程度だったが、『あたご』は艦橋の上に
載せた巨大なコスモ・レーダー・アンテナに被弾し、一時的ではあるが策敵が出来なくなってしまった。

<やはり、ガミラスは侮れん、 海千山千の司令官がまだまだいる様だ。>土方は怒号渦巻く艦橋で唇を
噛んだ。

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その頃、ガミラス主力艦隊の駆逐型デストロイヤー4隻も地球の宙雷戦隊2個、10隻の猛撃を受けていた。

地球駆逐艦隊はまず艦尾船体上部に設置された8門のVLS(垂直発射管)から反物質ミサイルの雨を
ガミラス艦隊に浴びせた。

10隻分、80基の反物質ミサイルがガミラス艦隊を襲う、反物性ミサイルは脱エネルギー系の武器だが、
反物質ミサイルは予エネルギー系の武器なので爆発時には猛烈な爆光を伴っていた。

しかも、ガミラス主力艦隊は先の第1偵察戦隊との戦闘で外部監視カメラを失い、今は予備のカメラで戦って
いたのだが、その予備カメラも今の爆光で機能を失ってしまった。

「予備カメラに切り替えろ!」ヒルデン大佐が叫んだ。

「駄目です! 探査主任! 光学探知システムから電磁波探知システムに切り替えろ!」グルト少佐が
訂正した。

メイン・スクリーンの画面がレーダー画面に変わったが、そこに写っていたのは数え切れない無数の光点だった。

それが何を意味するのか、理解したヒルデン大佐の顔が恐怖に引きつった。

ガミラス艦隊が探知システムの切り替えでもたついていた隙に地球宙雷戦隊は更に距離を詰め、艦首に
ある3門の大型反物性ミサイル(空間魚雷と仇名される)を3連射したのだ。

1隻3門、3基、10隻で30基、3連射で90基の「空間魚雷」がガミラス艦隊を襲った。

いくらガミラス艦のフェーザー砲が強力でも近距離から発射された90基もの「空間魚雷」は防ぎ様がなかった。

ガミラス艦隊主力、駆逐型デストロイヤー4隻はそれぞれ重力崩壊を起こして重力井戸の底に消えていった。

地球主力艦隊に一撃離脱攻撃(ヒット・エンド・ラン)をかけて来た軽巡部隊は戦場から少し離れた宙域を
地球主力艦隊に第2撃をかけるべく、用意をしていたが、自分達の主力艦隊が先に撃滅されてしまったので
おおいに慌てた。

しかし、彼等に撤退は許されなかった。

絶滅寸前まで追い込んだ星系の反撃で前線基地を奪われ、更にそれを奪還すべく向かった艦隊も
ほぼ全滅したのだ。

このままバラン星に返ってもゲールに処刑されるのがおちだった。

そんな不名誉な死より勇士としての死を選ぶしかない彼等なのだ。

それにワープの出来る彼等はまだワープの出来ない地球の主力艦隊より優位に立っていると言えた。

最後まで戦う決意を軽巡艦隊の司令官が固めた時、僚艦が猛烈な光を放った、

たちまち旗艦のスクリーンはブラック・アウトしてしまった。

予備カメラは使いきっていたので外部探査を電磁波探査に切り替えたが、そこには何も写っていなかった。

もちろん、そこには写っているべき僚艦の姿はなかった。

<先ほどの正体不明の攻撃か・・・。>司令は額に汗を滲ませた。

<いかん!>司令は次は自分の艦の番だという事に気が付き、直ぐにワープして現在の位置から脱出する
事を考えた。

しかし、彼がワープの命令を発する直前に『シャルンホルスト』が放った転移砲(ワープ・カノン)が彼の艦に
命中した。

たちまち、彼の軽巡はワープで送り込まれて来た物質と物質重複を起こして光子となって飛び散った。

ガミラス軽巡の艦長は自分がやられた事も判らないまま、常世の世界に旅立っていった。

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重巡(装甲艦) 「シャルンホルスト」 (大改装後) 国連宇宙軍 欧州艦隊所属
                                       同型艦「グナイゼナウ

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 地球艦隊主力はダメージ・コントロールに必死だった。

<くそっ、今、攻撃されたらひとたまりもないぞ・・・。>土方は油断していなかったつもりであったが、ワープを
使った戦術にまだ慣れていなかった自分が腹立たしかった。

と、その時、『あたご』の艦橋の窓から稲光の様に猛烈な光が2閃、差し込んだ。

「今のは一体・・・。」広瀬艦長は戸惑って土方の顔を見た。

「転移砲(ワープ・カノン)だ。 第1偵察戦隊がやってくれたんだ。」土方は微笑した。

『あたご』のコスモ・レーダーが応急修理が出来て探査が可能になって周囲の空間を探査してみても既に
ガミラス軽巡艦隊の姿はなく、代わりに第1偵察戦隊の姿があった。

「一体、転移砲(ワープ・カノン)ってどんな兵器なんです?」戦術士官が広瀬艦長にたずねた。

「それはワープを利用した兵器さ・・・。」広瀬はさらっと答えたが、土方は広瀬が本当には理解していない事を
感じて微笑した。

転移砲(ワープ・カノン)はワープを利用して敵艦に物質を送り込み、物質重複を起こさせて全てを光子に変えて
飛散させる兵器だった。

しかし、ライニック姉妹と大山技官が開発していた時は目標と弾の質量中心をどうしても一致させる事が
出来ず、実験は失敗続きだった。

だが、今は連続使用による過熱の問題はあるものの、実用の域に達していた。

それは大山技官の逆転の発想によるものだった。

ライニック姉妹はかつてのガミラスとの戦闘でガミラス艦がワープ出来る事を逆手に取ってガミラス艦が
ワープしてくるであろう予想空間に反物性ミサイルを待機させ、ガミラス艦が纏っているワープ・フィールドに
ミサイルが引き寄せられる形で物質重複を起こさせていた。

それはレースでレーサーが自分の前を走るライバルのスリップ・ストリームに入り、自車を引っ張らせるのに
似ていた。

つまり、ワープ終了直前のガミラス艦はまだ量子論的に言って丁度、気体の状態に近いものがあり、
固体のミサイルの質量中心に引っ張られる様にガミラス艦の質量中心が合わさり物質重複が
起きていたのだ。

しかし、転移砲(ワープ・カノン)の場合、的は通常空間にいてその質量中心は完全に固定している、
このため、弾をワープさせて質量中心を一致させようとしても弾かれてしまって的を破壊する事は
出来なかった。

大山は反対にワープさせる弾の方を気化させたらどうなるかと考えたのだ。

だが、単にガスをワープさせるのではガスが拡散し過ぎて物質重複の効果が出ない可能性があった。

そこで、大山は『ヤマト』に積んだもう一つの新兵器、『三式融合弾』に目を付けた。

目標にワープ終了点を照準する事はそれ程難しい事ではない事が冥王星会戦の裏で行われた地球独自の
ワープ実験の結果、判っていた。

大山は敵艦にワープ終了照準をつけておき、『三式融合弾』をワープ・ゲートを通してワープさせるが、
『三式融合弾』はワープ・ゲート突入直後に爆発させて気化した状態にしておく、爆発開始状態のまま敵艦の質量中心にワープさせれば『三式融合弾』の質量中心は敵艦の質量中心に引き寄せられて
物質重複を起こし、全ては光子になって飛び散るという理論だった。

 そして、大山の理論は間違っていなかった。

その証拠に今回のガミラス艦隊の再来襲に絶大な力を発揮し、地球艦隊の勝利に貢献した。

<だが、この兵器は地球防衛軍の主力兵器にはなるまい・・・。>土方は感無量だった。

彼は、かつて、この転移砲(ワープ・カノン)は波動砲の対極にある兵器だと言った。

それはどちらも防御不能の兵器だと思われがちだが、波動砲のビームは通常空間を走る以上、地球級の
惑星を貫いて敵を撃破する事は出来ない。

だが、転移砲(ワープ・カノン)は目標との間にどんな障害があろうとも確実に仕留められるのだ。

そして、波動砲はその砲口から出るビームの拡散度をコントロールする事で一撃で1艦隊を葬る事も可能だが、
それは必要の無い目標まで破壊してしまう大量破壊兵器である事を意味した。

転移砲(ワープ・カノン)は波動砲と異なり、目標を選んで破壊出来る特性を持っていた。

それは大量破壊兵器ではない事を意味していたが、反面、一撃で1艦隊を撃滅する力は無かった。

すなわち、波動砲は防御兵器として使う時、その特性を一番良く発揮出来、反対に
転移砲(ワーープ・カノン)は攻撃兵器、悪く言えば侵略目的の攻撃兵器として使った時、
一番良くその特性を発揮するのだ。

倒したい敵、壊したい目標だけを選んで攻撃出来るからである。

地球はまだ復興していないが『ヤマト』がその任務を果たし、地球が救われても地球はガミラスの様な
侵略国家にだけはなってはいけないと心に誓う土方だった。


                                        ヤマト発進から4ヶ月 人類滅亡まで242日
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by YAMATOSS992 | 2012-07-24 21:00 | 本文、追記 | Comments(0)