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宇宙戦艦ヤマト前史

yamato2199.exblog.jp

宇宙戦艦ヤマト登場前の地球防衛軍の苦闘を描きます。

37. 漢(おとこ)の艦(ふね) (3)

 そんな日々を送るメルダの元に一通の辞令と命令書が届いた。

それは銀河方面軍第707航空団への転属命令とそこへゆくために航空機運用能力のあるメルトリア級巡洋戦艦
「EX-178」への仮配属命令だった。

下調べをしたメルダは「EX-178」が二等ガミラス人だけで運用されている二線級の船である事を知って
愕然とした。

<これから2~3週間はあの汚くて不潔な空間で過ごさなくてはならないのか!>だが、命令とあれば仕方が
無い、メルダは諦めて愛機を「EX-178」へ向けた。

「EX-178」の着艦口は艦尾上甲板にあった。

メルダの愛機は誘導ビームに乗って簡単に着艦出来た。 

しかし、驚いた事にちゃんと誘導員がいて駐機場所まで誘導してくれたのである。

着艦後の誘導なんて訓練の時に受けて以来の事で、直前まで配備されていた空母ですら着艦後の駐機場所は
決められた所まで自分で移動しなければならなかったが、メルダは実戦部隊ではそれが当たり前だと思って
いた。

キャノピーを開けてコクピットから出たメルダは無重力の駐機場で愛機が不要に動かない様に固定しようと
機体の下に回りこんだがその時はすでに整備員によって固定作業は済んでいた。

恐る恐る固定索を握って揺すってみたが、緩すぎもせず、きつ過ぎもしない理想的な張力で愛機は固定されて
いた。

「大丈夫ですよ。 後は我々にお任せ下さい。ディッツ少尉。」後から声を掛けられたメルダは振り返った。

そこには二等ガミラス、ザルツ兵の軍服を着た男が立っていた。

「おまえは?」 メルダは聞き返した。

「オルグ、オルグ・シュバッハ軍曹です。 お忘れですか?」宇宙服の狭い開口部から見えた顔は確かに見覚えのあるものだった。

「オルグ! 懐かしい! お前も乗艦しているのか?」

「はい、この艦に配属されて2年になります。」

オルグ・シュバッハはメルダが士官学校時代に彼女の練習機の整備担当責任者だった男だ。

二等ガミラス人だったが、その整備の腕は半端ではなく、また士官候補生にも厳しいのでも有名だった。
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     (メルダも新任の少尉の頃は通常塗装の機体で飛んでいた。)


メルダが前の空母で自分で愛機の整備・点検を細かく出来たのもオルグが厳しくしこんでくれたからだった。

「最前線では整備兵も不足しています。 パイロットも自分の機体くらいは整備する知識と技能を持って下さい。」とオルグは教えた。

最初こそ<二等ガミラス人のくせに!>と反発したメルダだったが、訓練をくりかえすうち、そんな壁はどこかへ行ってしまった。

「きさまになら安心してまかせられるな。 艦長に乗艦の挨拶をしてくる。」メルダはわずかな荷物を背負うと
駐機場を後に与圧区画に入っていった。

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メルダがエアロックをくぐると数人の人間がかたまっていた。  何か、揉めている様だった。

一人は乗組員、他は親衛隊の服を着た男とその連れと思しき2人の女性、女性達は二等ガミラス人だったが
青い肩当をつけていた。

これは名誉臣民といって一等ガミラス人と同等の権利をもつ証だった。

「主計長! だから、こいつらは俺の私物だ。持ち込んで何が悪い!」親衛隊員はこの艦の主計長に噛み付いていた。

「この艦は軍艦です。 戦闘に関係ない女性の乗艦は認めかねます。」主計長は困りきっていた。

メルダはツカツカと歩み寄り親衛隊員に敬礼した。

「ザー・ベルク、総統万歳! 自分はメルダ・ディッツ少尉、航空隊員です。任地に向かうためこの艦に乗艦しました。

大尉殿もどこかに向かわれるのでしょうが、随行者の方を物呼ばわりはないでしょう。 しかも彼女達は
名誉臣民、一等ガミラス人として扱われる権利を持っています。」

「何っ! 少尉風情が生意気な! この事はギムレー長官に報告するぞ!」親衛隊大尉は凄んだ。

「報告されるのは君のほうだ。 パレン・ネルゲ大尉。」低いが辺りを圧する声がした。

「き、貴様は・・・。」パレン・ネルゲと呼ばれた親衛隊大尉はその声のした方を見た。
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そこには中肉中背、ちょっと観には何の変哲もない中年男が立っていた。

だがそこには百戦練磨の戦士だけが持つ異様な迫力があった。

「私はヴァルス・ラング中佐、この艦の艦長だ。」男は静かに名乗った。 

「そしてそこに居られるのは航宙艦隊総司令ディッツ提督のご令嬢だ。」

「ザー・ベルク! 総統ばんざい!」ネルゲ大尉はメルダに最敬礼した。

「あのっ、大尉。敬礼する順番が違うのでは?」メルダのたしなめに非礼に気付いたネルゲ大尉は乗艦の申告をした。

「し、失礼、ザー・ベルク、総統ばんざい、自分はパレン・ネルゲ親衛隊大尉、バラン基地駐在を命じられた。」
しかし、大尉の顔は二等ガミラス人に頭を下げる屈辱に歪んでいた。

「ネルゲ大尉。 君の不満は判る。 

しかし、ここは栄光あるガミラス軍の軍艦だ。 

軍では階級が全ての判断基準になる。

君は親衛隊といえども大尉、私は二等ガミラス人といえども中佐で艦長だ。
 
悔しいだろうが命令は聞いて欲しい。 

それとそちらの女性二人だが、ネルゲ大尉の随行員という事で乗艦を認める。 

但し、今、言った様に本艦は軍艦だ。 何時撃沈され、その命を失うかもしれん。 

それを承知して貰えるのなら、だが。」

二人の女性は顔を見合わせたが、頷いた。

「それでは主計長、皆を部屋に案内してくれたまえ。」艦長が命令した。

                                             漢(おとこ)の艦(ふね)-(4) へ続く
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by YAMATOSS992 | 2012-12-29 21:00 | ヤマト2199 挿話 | Comments(0)