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宇宙戦艦ヤマト前史

yamato2199.exblog.jp

宇宙戦艦ヤマト登場前の地球防衛軍の苦闘を描きます。

42. 孤高の「赤騎士」 (1)

 はじめに

 この物語は宇宙戦艦「ヤマト」2199をベースに私なりの解釈を加えたものです。

公式設定と異なっていたり、以前に私が書いた物語と食い違いを生じている部分もあります。

それを承知で楽しんでいただければ幸いです。 (YAMATOSS992)

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 「ヤマト」の中では帰るべき母艦を失ったメルダの処遇について艦内の意見は真っ二つに分かれていた。

「ガミラス憎し!」の感情は双方とも共通していたが、「EX-178」と「メルダ=ディッツ少尉」については
次元断層を協力して突破した「仲間」であり、特に「EX-178」のラング艦長はディッツ少尉が帰艦して約束が完結されるまで「ヤマト」との戦闘を行おうとしなかったばかりか、突然出現した「ゲール艦隊」から退去を命ぜられるも退去せず、「ヤマト」を守る楯となって散っていった。
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このラング艦長が示した「漢らしい漢」の振る舞い感動したメルダ養護派はラング艦長の使者として「ヤマト」に
来た彼女を「赤騎士」と呼んで讃えていた。

「加藤隊長、山本から聞いたんですが、メルダは『青』は『赤』より高貴な色だって言っていたんだそうですね。
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何で自分の機体の色を『青』にしなかったんですかね。」篠原が眼下のツヴァルケを見詰めながら言った。

彼等は真田副長の命令でガミラスの戦闘機の実物を検分するために第三格納庫に来ていたのだ。

「篠原、お前、自分の機体を肌色に塗って飛びたいか?」加藤三郎は篠原の方を向いて悪戯っぽく笑った。

「薄ピンク色のファルコンですって~っ。 そんな、勘弁して下さいよ。」篠原は慌てて頭を左右に振った。
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「だろ? メルダ=ディッツ少尉はガミラス人だ。 そしてガミラス人の肌は青い、お前と同じで肌色の塗装は
嫌だと考えるのが普通だろう。」 加藤は眼下に翼を休めているガミラス戦闘機、ツヴァルケの姿を睥睨した。

本当は「高貴な青」は「国家の色」として「デスラー総統」と「親衛隊」が独占していただけなのだが、加藤達に
それを知る術はなかった。
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眼下に横たわるメルダ=ディッツ少尉の空間格闘戦闘機、DWZ262ツヴァルケ、その赤い塗装は加藤の
目にも眩しかった。
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しかし、それは加藤の心に何か、引っ掛かりを生んだ。

彼が今まで戦ってきたガミラス機の標準的な塗色は「農緑色」だった。
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しかし、この機体の塗装は「真紅」! 加藤はメルダが超一級のエースである事に気が付いて唾を飲み込んだ。

「さ~て、副長の命令通り、この機体を調査しますか。」篠原が加藤を押しのけてツヴァルケのコクピットに
潜り込もうとした。

加藤は思わず篠原の顔をしたたかに殴っていた。

「何をするんです! 隊長、気でも狂ったんですか!」殴られた頬に手をやりながら篠原がたずねた。

「お前、死にたいのか? そして『ヤマト』に損害を与えたいのか?」加藤は慣性制御の無い第三格納庫の壁に
張り付いた篠原を見つめて言った。

「たった一人で敵地に赴き、さらに自分の機体を離れねばならなくなった時、篠原、お前なら何をする・・・。」

さすがに篠原もベテランだった。 「自爆装置・・・。 敵兵が不用意に操縦系統に触れたらこの機は自爆するって
事ですか?」

加藤は黙って頷いた。

「それに、もし、ここで自爆されたら波動エンジンにまで被害が及びかねない・・・。」加藤はメルダが何故、
停戦の使者に選ばれたか、良く判った様な気がした。

「篠原、コクピットの外観からだけでも読み取れるだけの情報を読み取るんだ。 ただし、レバーやボタン、
計器には絶対触れるなよ !! 」

これ以上の情報収集は真田副長か、新見情報長に立ち会ってもらって安全を確認しつつ行うのが正しいと
判断した加藤と篠原は大きな魚の死骸に群がる小魚の様にツヴァルケのコクピットを覗き込んで取れるだけの
情報を取っていた。

しかし、そのツヴァルケの裏側では第三格納庫要員の岩田新平と遠山清がガミラス機のエンジン点検口の蓋を
開けて内部を調べていた。
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「ガミラス機も地球の機も基本的構造はかわらないんだな。」遠山清はのんびりした口調で言った。

「『赤騎士』・・・かーっ 格好よかったな。 たった一人で敵地にやってきて、しかも丸腰だったにもかかわらず、
その堂々とした態度に警備に来ていた保安部の連中、完全に気押されてビビッてやがったぜ。」岩田新平は
「赤騎士」こと、メルダ・ディッツ少尉のファンになってしまっている様だった。
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「ネジの螺旋の切り方が地球のものとは少し違うようなんだな。 これ以上、地球の工具で弄り回すと部品を
壊しかねないんだな。 とりあえず調査はここまでなんだな。」遠山はメンテナンス・ハッチを閉めてハンドルを
ロックした。

その様子に気が付いた篠原は「どうやら、触っても大丈夫なようですよ。 加藤隊長!」と言ってコクピットの
操縦桿と思しきハンドルに触ろうとした。

しかし、加藤はその手を掴み、触る事を許さなかった。

「大丈夫ですって、隊長・・・。」篠原は抗議したが加藤は既に格納庫の出口に向かって歩いていた。

<俺は『誠』の旗の基に生きると決めた男だ。 相手が名誉を重んじる戦士だと判った以上、その愛機に
手は出せない !!

遠山達はメルダの愛機に触れたが、好奇心によって危害を加える事を良しとはしなかった。
 
彼等も自分の仕事に誇りを持った立派な整備士だ。>加藤はいつのまにか、自分もメルダ養護派になったのを
感じ、自嘲した。



                                             43.孤高の「赤騎士」ー(2) へ続く
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by yamatoss992 | 2013-05-11 22:00 | ヤマト2199 挿話 | Comments(0)