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宇宙戦艦ヤマト前史

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宇宙戦艦ヤマト登場前の地球防衛軍の苦闘を描きます。

53.次元潜航艦との死闘ー(3)

 「やむをえん!! 『戦術F』を使う!」フラーケンは切り札を出す事にした。

「えっ、あれをやるんですかい、大将・・・。」生粋の戦争屋、ゴル・ハイニ大尉も唾を飲み込んだ。
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「戦術F」、これは様々な戦術をもって戦われる航宙戦においても次元潜航艦だけが出来る高度な戦術だった。

地球防衛軍が兵器の威力がガミラスに劣っているのを補うため、ガミラス艦がワープ出来るのを利用してその
ワープに反物性ミサイルを巻き込ませて撃破するという戦術を多用していたが、それに思想的には似ていた。

しかし、「戦術F」は次元断層に潜んだ次元潜航艦が発射した亜空間魚雷が通常空間に戻る点を極力、敵艦に
近寄せ、迎撃出来る余地を与えない事を目的とする戦術だった。

しかし、もし、亜空間魚雷の通常空間出現点が敵艦の内部だったらどうなるか?

当然、物質重複が起こり、全てが光子になって飛び散る事になる。

地球防衛軍が利用したワープ時の物資重複はそれが狙いだったが、「戦術F」ではいくら次元断層の中に
いるとはいえ、至近距離で次元境界面をも貫く物質重複爆発が起こるのである。  

多分、次元潜航艦も爆発に巻き込まれ爆沈するか、生き残れても永久に浮上能力を失って次元断層の底に
沈む運命にあるのは明らかだった。

<それでもやる!! ヴァルス、お前の敵は俺の敵にも相応しいぞ!!>フラーケンは併走する「ヤマト」の姿に
闘志を燃やした。

「操舵手、速度を少し抑えろ!! 絶対『ヤマト』の前には出てはならん!」フラーケンは指示した。

フラーケンは「波動砲」を恐れていた。

もちろん、彼は「波動砲」の名を知っていたわけではない、しかし、グリーゼ851で太陽フレアさえなぎ払った
というあの兵器は次元境界面を貫く威力を持つものと判断したのだ。

これはフラーケンの親友、「EX-178」のヴァルス・ラング艦長が次元断層で見せたのと同じ判断だった。

二人は一緒に死線を潜り続け、戦友を越えて戦兄弟(いくさきょうだい)と呼べるものになっていた。

奇しくも「波動砲」に対する評価も一緒だった。

「キャプテン、なんで馬鹿正直に真横から接近するんです。 

ここは宇宙空間なんですから、『ヤマト』の武装のない、下面から攻撃した方がいいんじゃないですかい?

たぶん、奴等も下面からの攻撃はないものと油断してますぜ。」 ハイニ副長が進言した。

「ハイニ、『ヤマト』の下面に砲塔が突出していないからと言って無武装と考えるのは早計だ。

それに『プラート』での戦いの記録は断片的ではあったが送られて来ている。

その時、『ヤマト』は氷結したプラートの海に強行着水し、無事着水に成功している。

何らかの理由で『ヤマト』の底部の装甲は非常に厚く造ってあるのは明らかだ。

たぶん、本艦の魚雷程度では虫に刺された位にも感じないだろう。」フラーケンは続けた。

「かといって、『ヤマト』を上面から攻撃するのは論外だ。

『ヤマト』が針の山の様に備えている対空火器が右舷・左舷同時に使える様になってしまう。

だから、一撃して大破口を作る事に成功した、左舷から接近するのさ。」フラーケンは潜望鏡を覗きつつ、
ハイニに説明した。
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フラーケンが覗く次元潜望鏡に「ヤマト」の舷側が大きく写っていた。

一番最初に命中弾を与えた時の破口が大きく口を開けていた。

<あそこにもう一度、魚雷を喰らわせれば俺達の勝ちだ。>フラーケンはほくそ笑んだ。

「一番、二番発射管、魚雷発射!!」次元潜望鏡の視界が「ヤマト」の映像で埋め尽くされるまで接近した
UX-01は必殺の亜空間魚雷を放った。

そして、亜空間魚雷は「ヤマト」の艦体に吸い込まれていった。

だが、爆発は起こらず、しばらくすると「ヤマト」の反対舷から通常の宇宙魚雷にもどったUX-01の亜空間魚雷が
宇宙の彼方に向かって飛び去ってゆくのが見えた。

<しまった!! 接近し過ぎたんだ。 魚雷が『ヤマト』を通り抜けてしまった!!>フラーケンは自分の技に対する
過信を悔やんだ。

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古代戦術長のコスモ・ゼロ・アルファ1をを駆って今回の対潜哨戒の任に当たっていた北野哲也宙士長は
「ヤマト」左舷約200mに次元潜航艦の潜望鏡を発見した。
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北野宙士長はすぐさまその位置データを「ヤマト」に送った。

「島! 今だ! 左舷ロケット・アンカー発射! 次元潜航艦のプローブを絡めとれ!」真田副長の命令がとぶ。

「了解! ロケット・アンカー諸元入力良いか! 入力済み次第発射せよ!」島航海長がロケット・アンカーの
操作室に指示をだした。

元々戦闘用でないロケット・アンカーだったが、小惑星へ投錨する場合などを考え、方位制御の能力は
与えてあったのだ。

UX-01の次元羨望鏡は見事に絡み取られてしまい、内部の機構も破壊されて何も見えなくなってしまった。
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フラーケンはプローブは砲撃を受けて破壊された物と思い、一度、戦場を離れて出直そうと思った。

「反転180度、一度戦場を離れる!」フラーケンは操舵手に命令した。

しかし、操舵手は狼狽して悲鳴を上げた。

「艦長!! 本艦は操舵不能です。 何かが絡み付いて本艦の躁艦を妨げています。」

「何! 危険だが浮上して固定式潜望鏡で外界を見てみる必要があるな。 ハイニ、第二潜望鏡深度まで
浮上だ!!」フラーケンは嫌な予感を感じていた。

「次元タンッ・ブロー、第二潜望鏡深度まで浮上!」ハイニ副長の命令が艦内に響いた。
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固定式の潜望鏡が使える深度に達するとフラーケンは潜望鏡を上げ、周囲を観測した。

そして、そこに血も凍る様な光景を見て思わず呟いた。

「『ヤマト』め! ここまでやるか・・・。」



                          53・次元潜航艦との死闘ー(3)→54.勇者の砦ー(1) へ続く
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by yamatoss992 | 2013-05-24 21:00 | ヤマト2199 挿話 | Comments(0)