71, 「宇宙戦艦ヤマト2199」 世界における航空宇宙兵力の位置付けと意味(14)
破壊戦の徹底と言った基本的な戦略・戦術を第二次大戦直後には既に完成させていた。
そして、核兵器の余りにも大き過ぎる破壊力におののいた東西両陣営は戦略核兵器の軍縮に踏み切った。
しかし、核の威力が封じられると今度は兵器の命中精度の向上に力が注がれた。
その結果、生まれたのがPGM(精密誘導兵器)である。
これがどれ程の物だったかと言うと、イラク戦争の時、米国戦艦ニュージャージーは巡航ミサイル・トマホークを
使って、自艦は海上に居ながら何百kmも内陸に居る敵の要人を謀殺する事に成功している。
しかも、この時、米国は巡航ミサイルを敵要人の居る建物の窓に叩き込むという神業を見せた。
真に「針の穴に糸を通す精度」を実現したのだ。
そして「ヤマト2199」世界では語られる事は殆どないが、「モーレツ宇宙海賊」で大きく取り上げられた様に
電子戦も重要な戦術として考えねばならない。
ウインドウ(現在はチャフ)から始まったECM(電波妨害)を始めとして電子欺瞞、熱源誤誘導弾(フレア)など、
現在では、敵の探知能力を欺いてこちらの存在を隠し、攻撃を成功に導く戦術が発達している。
また、現在、インターネットが普及したため、敵国の国防中枢のみならず、国民生活を支えるインフラさえ狙った
攻撃が可能となっている。
サイバー・テロである、これは一種の戦略攻撃と言えるものにすら発達して来た。
これが対艦戦に応用されればどうなるか、艦隊内部には必ず、情報ネットワークがあるはずである。
また、各艦艇もそれぞれ、艦内ネットワークを持っていると考えて良い。
「ヤマト2199」でも第9話「時計じかけの虜囚」で「ヤマトの艦内ネットワーク」にガミロイド・オルタの侵入を許した
のは冷や汗ものであった。
オルタの人工頭脳が初期化(?)されていなければ「ヤマト」は大惨事に見舞われた事であろう。
宇宙戦では当然、相手の情報ネットワークに対する侵入・攻撃が当たり前の様に行われる。
しかし、「ヤマト2199」世界で電子戦まで踏み込んで考察すると切りが無くなるので電子戦についての考察は
ここまでとする。
一応、ガミラスと地球の情報戦能力は同等と判断しておく事とする。 (ミレーネルの精神攻撃?は例外。)
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ここまで長々と地球の戦略・戦術の発達について述べて来たのは大星間国家を築いた大ガミラス帝星とまだ
太陽系すら越えて出る事が出来なかった地球、しかしそれでも地球は完全に押されぎみながら八年間に渡って
戦い続けてきた。
これは地球人が、いかに戦略と戦術、つまり戦争に精通していたか、の証である。
「ヤマト2199」世界では対ガミラス戦争の前に、二度も地球人同士での宇宙戦争を経験した事になっている。
「第一次内惑星間戦争」と「第二次内惑星間戦争」である。
この二度の宇宙での大戦を経験していた事が、どれほど対ガミラス戦に役に立ったか、図り知れない。
情報は少ないが、私個人の設定も交えて、次回は、対ガミラス戦前の宇宙戦について考察してみたい。
72, 「宇宙戦艦ヤマト2199」 世界における航空宇宙兵力の位置付けと意味(15) → この項、続く