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宇宙戦艦ヤマト前史

yamato2199.exblog.jp

宇宙戦艦ヤマト登場前の地球防衛軍の苦闘を描きます。

78. 灼熱のデート・スポット (1)

 「こっちだ。」無愛想な店員がフォムト・バーガー大尉を案内した。

ガミラスでは基本的に歓楽街と言うものは公には存在しない。

当然、飲食店も無く、酒保の延長線上、というか、軍の組織の一端としてのみ、存在していた。

だから、サービスなど皆無であり、給仕する者は食事をする人が自分で連れて来るか、自分で厨房から
料理を運んで来る必要があった。

バーガーは大尉であったから普段なら従兵を連れており、その従兵に給仕させるのが普通だったが、
今日は誰一人従兵は同行しておらず、たった一人での来店だった。

いわゆる「お忍び」での来店である。
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従兵を連れていなかったせいもあって店員は下っ端の士官と勘違いして扱いがぞんざいだったのだろう。

だが、いつもは強気のバーガーも今日は少し勝手が違っていた。

店員に案内された奥の部屋には既に一人の女性とその召使いと思しき女性二人がいた。

その女主人(と言ってもまだ少女だったが・・・。)はバーガーの来店を待たずに食事を始めていた。

「フォムト・バーガー大尉ですね。 お腹が空いたので勝手に初めさせてもらいました。」
その少女は皿から目も上げず、バーガーの方を見る事も無く告げた。

「名乗りも無く、食事も勝手に始めるとは随分と偉い御身分ですな。 イルダ・ディッツ少尉候補生!」
短気な事では誰にも負けないフォムト・バーガー大尉は相手が航宙艦隊司令ディッツ提督の末娘と判って
いてもその尊大な態度には我慢が成らなかった。

「私は強い男が好きです。 今まで私が引き合わされた男達の中で私の態度に怒りを露にしたのは
バーガー大尉、あなたが始めてです。」イルダ・ディッツは初めて上目遣いにバーガーを見た。

その答えにバーガーは自分が試されたのを感じ更に怒りを募らせた。

「お嬢さん、これは俺が馬鹿正直なだけだ。 今までにお前さんと「お見合い」させられた中には俺より
ずっと強い男がいたかもしれないぜ!」こんな事で男の力量を測られてはたまらん、とバーガーは思った。

「それにな、選ぶ権利は俺の方にもある。手前みたいな おじゃうさん はこっちでお断りだ。」バーガーは
そのままきびすを返すと店を出て行こうとした。
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「逃げるのですか! このまま私から逃げるのですか!」イルダはバーガーを呼び止めた。

バーガーは馬鹿々しくなって、いきなりイルダを抱きしめると強引に「接吻」をした。

テーブルがひっくり返り、イルダの食していた料理が辺りに飛び散った。

「逃げやしない、何時でも墜せる、そう言っているだけさ。」バーガーは腕の内にいる少女に告げた。

イルダが連れていた二人の女官はボディ・ガードも兼ねていたのであろう、バーガーに襲い掛かって二人を
引き離した。

そして、その内の一人は小ぶりのナイフをかざしてバーガーに切りかかった。

バーガーは済んでの処でそのナイフを避けたが、左頬から顎にかけて傷を負ってしまった。

「待ちなさい!ドーラ!」凛とした声が部屋に響き、ナイフを握っていた女官は位を正すと後に下がった。

「これはイルダが悪い! 失礼しました、フォムト・バーガー大尉、私はメルダ・ディッツ、妹の非礼を
深くお詫び致します。」メルダはバーガーの頬に自分のハンカチを押し当てて溢れ出る血を押さえた。

「全く、『見合い』の席で殺されそうになるとは思いもよらなかったぜ!」バーガーがぼやいた。

「こっちも前触れも無く『接吻』されるとは思わなかったわ! おあいこよ!」イルダが吼えた。

「お互い『戦士』を名乗る身、この上は『決闘』で決着を着けるしかないわね。」

「何を訳の判らない事を言っている! 『何の』決着をつけるんだ?」バーガーは当惑した。

「お前は私の唇を初めて奪った男だ。 何が何でも私の夫になってもらわねばならない・・・。

しかし、航宙司令の命令だとしても力づくで結婚させられたのではお前の方が面白くなかろう。

だから、勝ったら私を娶るも捨て去るのもお前の好きにするがいい。 

だが、私が勝ったら、一生、私に仕えて貰う。 どうだ、この条件では。 バーガー大尉。」イルダは
ワクワクしながら「決闘」の意を伝えた。

メルダはクラクラする頭を抱えて妹の馬鹿げた挑戦に口を挟もうとした。
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しかし、バーガーもその上を行く馬鹿だった。

「面白い! その話、受けよう。 但し、命の遣り取りは御法度だ、ルールは俺に決めさせてもらう。」

<やれやれ、「見合い」の席が「果し合い」の段取りの場になるとは・・・。>

メルダはどっちもどっち、いい勝負だと思った。


                                   79. 灼熱のデート・スポット (2) → この項、続く
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by yamatoss992 | 2013-08-11 21:00 | ヤマト2199 挿話 | Comments(2)
Commented by チハ兄さん at 2013-08-12 14:35 x
おもわぬ展開にやや動揺して居ります。
まあ彼も人の子であり、ドメル幕僚団の中では若手であるならば、そうゆう展開もアリかな。
次回を楽しみにしております。
Commented by yamatoss992 at 2013-08-12 17:34
またもや新しい方のご訪問、有難うございました。

メルダの生意気成分だけを抽出してメルダの妹、イルダというキャラを
設定して物語を始めたところ、このキャラは弾けるは弾けるはとても
並の男では対抗出来ませんでした。

初めはフラーケンかラングを相手と考えていたのですが、とてもじゃないが
オジサン達の手に負える娘ではありませんでした。

そこでチョット不似合いかな、とも思いましたが、バーガー君に
生贄の白羽の矢がたったと言う訳です。

お話は掌編と言う事で四話を予定しています。

お楽しみに! ご訪問有難うございました。