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宇宙戦艦ヤマト前史

yamato2199.exblog.jp

宇宙戦艦ヤマト登場前の地球防衛軍の苦闘を描きます。

85. 使命の神託ー(4)

 ランス・ラーキン大尉は別の事で驚いていた。
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彼はガル・ディッツ提督を担ぐ前からオルト・ドルメン大佐と共に反政府活動に従事していた。。

当然、ガミラス帝星では秘密警察や親衛隊に指名手配されていた。

だが、一等ガミラス人である彼はガミラス帝星、及びガミラス支配圏に張りめぐらされたコンピューター
ネットワークにアクセスする事が出来、彼等を追う支配者の手配りを知って裏をかいて逮捕される事を
逃れて来た、つまり、彼は「ハッキング」の専門家、地球流に言えば「ハッカー」だったのだ。

その彼が見て驚いたのは、テロン人達が皆、それぞれ自分専用の端末を持ち歩き、ガミラスの工作機械や
クレーン等の操作盤に自分の端末から延ばしたコードを繋いで自在に操っていた事だった。
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普段、自分が「ハッキング」するのにどれだけ苦労しているか、身に染みて判っているラーキンは真剣な
顔付きではあるが迷いの無い的確な素早い操作で異文明の機械を自分の物の様に操るテロン人を唖然と
見つめた。

それも一人では無い、そこにいたテロン人達は全員がなにがしかのガミラスの機械を操っていた。
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テロンの情報文明の程度はもしかしたらガミラスを上回っているかもしれない・・・とラーキンは思った。

また、中にはコンピューターが絡んでいない、原始的な工作機器もあったが、それすらもテロン人は
自在に操って幾つもの部品を削り出していた。

それらは地球流に言えば旋盤やスライス盤といった、原始的な工作機械でガミラス帝星本星ではもはや
全てスクラップになって消えていった物だった。

ラーキン自身も子供の頃、一度だけ、二等ガミラス人の生活区画で廃棄のため運び出されているのを見、
興味を持った彼はそれが何か、近くに居た大人の二等老ガミラス人に聞いて初めて知ったのだった。

だから、その工作機械の姿は知っていても度の様に使う物なのかは、テロン人が使っているのを見るまで
知らなかった。
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削りだされた部品(?)を手にしたテロン人はそれを外の光に掲げ、標準部品と思しき部品と比べ、眉を
ひそめ、もう一度その部品を機械に取り付けて削った。

微調整らしく、ハンドルを僅かに回すとちょっとだけ削り直して再度標準部品(?)と比べると今度は
満足げな微笑みを浮かべるてその部品を箱にそっと入れ、新しい部材を取り出して機械に取り付け、
部品加工を再開した。

その作業にはタブレット端末はおろか図面すらなかった。

情報操作から手作業まで何でもこなすテロン人・・・、これは絶対、敵に回してはいけない文明だと思った。

だが、協力出来れば強力この上ないパートナーになる事は間違いないと確信したラーキンだった。

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 サイレンが辺りに轟いた。

すわ、敵襲か!とディッツ達は身体を硬くした。

「すみません。この音は警報ではありません。 昼食時間の合図です。」榎本は笑ってサイレン音の意味を説明
した。

「良かったら、皆さんもどうです。 粗末なものですが昼食を御用意させて頂きました。」星名保安部長代理が
一行を食堂として仮設した部屋に案内した。

「ありがとう。星名保安部長。 なに、いくら粗末と言ってもここの収容所で出されていた囚人食よりはマシだろう。
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前所長のボーゼンは私腹を肥やすため食料や資材を大量に横流ししておった様だからな。
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我々、囚人の口に入ったのはホンの少しのナル(ガミラスのパン?)とスープだけじゃった。

さて、皆、テロンの味を馳走になろう。」そう言ってディッツ達、真ガミラス同盟幹部一行はただっ広い作業場に
設けられた粗末なプレハブの部屋に案内された。

「あらっ・・・。」部屋に入るとドメル夫人が思わず声を上げた。

「この部屋は外の作業場と違って随分涼しいんですね。」と夫人は素直な感想を述べた。

「ええ、この部屋は現場の作業員の休憩所を兼ねていますので空調を利かせて作業者の疲労回復に努めて
おります。 

直に作業者達が入って来ますのでこちらへおいで願いします。」星名が一行を別室に誘導した。

一行が部屋に入ってみるとその壁は透明で大きな休憩室の全貌が見てとれた。

メルダは不審に思った、<確か、部屋の外から内は見えなかったはず・・・。 これは一体どうした事だ。>

メルダの不審顔に気付いた榎本が説明した。

「この部屋の壁は全てマジック・ミラーにしてあります。 内から外は見えても外から内は見えません。」

「どうしてこんな措置をしたんですか? 榎本掌帆長。」ドルメン大佐が少し暗めな照明にも気付き質問した。

「恥ずかしながら、『ヤマト』の乗組員の内にはいくらあなた方が反政府活動家と言っても『ガミラスは敵だ!』と
いう考えを捨てられない者が多数おります。

その者達の感情を刺激しないため、また、仮に彼等が破壊活動を行なおうとしても事前に察知しやすくするため
です。

保安部では周囲に監視カメラを多数、設置してはいますが、機械だけではどうしても死角が出来ます。

最後は人の目で危険を察知する事が肝心なのです。」星名保安部長代理は申し訳なさそうに言った。

「では、我々の訪問は迷惑だったのかね?」ディッツ提督は率直に聞いた。

「いえ、いえ、確かに今回の見学には我々も慌てさせられました。

ですが、あなた方が地球人について知りたいのと同じ様に我々もガミラスの方の事を少しでも多く知りたいの
です。

だから接触出来る機会は逃がしたくありません。 お互い様ですよ。 

さあどうぞ、冷めない内にお召し上がりを・・・。」といつの間にか、現れた真田副長が食事を勧め、自分も
食卓についた。

メルダはテロン人の用意周到さに舌を巻いていた。

彼女はこの訪問を行う前の晩、平田主計長から思いがけない連絡を受けたのだ。

前にメルダが「ヤマト」の捕虜になり、”『ヤマト』の食事を食べた時、何か食べられない物があったか、どうか”
と言う質問だった。

”別に何でも食べられた、ガミラスの兵員食よりずっと旨かった位だ。”とメルダは軽く応えておいた。

”助かりました。 ありがとうございます。”とだけ言って平田主計長は連絡を終わった。
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<彼は私に出した食事の内容を全て記録していたのか! それに従ってこの献立を決めたんだ!>

彼女が父や仲間の様子を見るとガミラスの物と違う食器の形状に戸惑いながらも機嫌の良い顔で食事を
楽しんでいる様子だった。



                                         86. 使命の神託ー(5) → この項、続く
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by YAMATOSS992 | 2013-09-08 21:00 | ヤマト2199 挿話 | Comments(0)