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宇宙戦艦ヤマト前史

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宇宙戦艦ヤマト登場前の地球防衛軍の苦闘を描きます。

87. 使命の神託ー(6)

  「おい、急げ、間も無く最後の大ワープだ!」同室の山本 玲がメルダを急かした。

「ちょっとまってくれ、ガミラスのパイロット・スーツは着るのが面倒なんだ。」メルダは言い訳したが、
本当は「ヤマト」の「スイーツ」を食べ過ぎて少し太ったのがスーツがきつくなった原因だった。
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脚がどうしてもスーツに入らない、しかたないのでメルダはスーツのズボンの内側に付いている耐G用の
装備をむしり取った。

この装備は+Gが掛った時、脚を締め付けて血液が脳から下に下がり、失神するのを防ぐ戦闘機乗りに
とっては命に係わる重要な装備だったが、取り合えず、愛機で出撃する予定の無い今は応急処置として
しかたないとメルダは自分に言い訳した。

用意を済ませ、第一艦橋に上がると沖田艦長の訓示が始まった。
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ガミラス軍ではこれから始まる作戦の意図や意味が兵に知らされる事は無い、ただ一方的に命令が
上意下達されるだけである。

だが、メルダも全ての作戦はデスラー総統のため、ひいてはガミラス全体のために行われると信じて疑って
いなかった。

しかし、沖田は重要な局面である今、己の心の内を全乗組員に伝えた。

”地球は直ぐ後にある。 我々の目的地は目前だ。 だが、ここは敵地でもある、しかし、我々は希望の待つ
『イスカンダル』への道を選ぶ!”沖田の決意を秘めた言葉を聞いたメルダは心の底から湧き上がる高揚感に
涙が止まらなかった。

<なんと真っ直ぐな、そして潔い『覚悟』なんだ! これだ! これなんだ! これが兵士を動かす言葉だ!

私はどこまでもこの『漢』に付いて行きたい!>彼女はもうすっかり「ヤマト」の乗組員になっていた。
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 「ヤマト」は一気に加速し、「ワーム・ホール(ゲシュタムの穴)」に飛び込んだ。
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メルダが「ゲシュタム・ジャンプ」中に起こる御馴染みの軽い嘔吐感に耐えながら、辺りを見渡すと
テロン人達は全く平静な顔で任務に付いていた。

メルダは「イスカンダル」の”ユリーシャ姫”の様子が気になって彼女が座っている第一艦橋前面左端の
座席に目をやった。

メルダが自分の事を気遣っている事に気が付いたユリーシャはメルダの方を振り返って小首を傾げ、
こともあろうにVサインを送って来た。

<なんとも緊張感のないお姫さまだ・・・。>メルダは ”沖田”に感じたのとはまた別の「頼れる安心感」を
ユリーシャは持っていると思った。


 往路、最後のワープが明けた、目前に第五惑星「エピドラ」の姿が窓一杯に迫っていた。
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その土星に似た「エピドラ」の姿に真田は太陽系に帰って来た様な錯覚を感じ、まだ旅は続くのだと気持ちを
引き締め直した。
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第一艦橋の前面窓から見える第五惑星「エピドラ」が示すは故郷、サンザー星系、この前、旅立ったのは数週間前だったが、その度立ちはメルダにとって複雑な感情をもたらす物だった。

<だが、誰かがやらねばならない、故郷「ガミラス」の未来のためにはデスラー政権は『悪魔』でしかない!>
彼女はデスラーの親衛隊が為してきた数々の非道を見てきた。
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<これから『ヤマト』が向かうはイスカンダル、だが、あのデスラーが黙って『ヤマト』を見逃すか・・・。>
メルダは嫌な予感に苛まれつつあった。。

「半径50光秒以内に敵影なし!」探知・観測席に着いた岬 百合亜が報告した。

「静かだ・・・。」メルダの左隣で『ヤマト』の舵を握っている島航海長が呟いた。

だがメルダは戦闘機乗りの本能で迫り来る危険を感じていた。

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「第四惑星軌道から高エネルギー反応、こちらに向かって来ます!」岬が緊張した声で報告した。

次の瞬間、「ヤマト」の左舷を高エネルギーの束が擦過していった。
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「左舷対空砲火群損傷! 全滅です!」南部砲雷長が悲鳴を上げた。

「ヤマト」を掠めた光の矢はそのまま第五惑星「エピドラ」を直撃した。
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「イスカンダル」や「ガミラス」の様な地球型惑星ではない、その何百倍もの大きさを持つ巨大ガス惑星
「エピドラ」も波動砲の一撃には耐えられず、崩壊を始めた。

「『エピドラ』が・・・。」<慣れ親しんだ故郷の惑星が壊れて逝く・・・。>メルダは信じられない思いで
その光景を見つめた。

「敵の波動砲だ! 機関全速、『ガミラス』へ向かえ! 波動砲は精密照準し難い兵器だ。 
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敵の懐深く侵入すればまだ活路はある!」沖田艦長は歴戦の勇士だけがなせる高度で素早い判断を下した。

「ヤマト」は沖田の不屈の闘志を表すかの様に一直線に「ガミラス」の地表を目指した。
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                                         88. 使命の神託ー(7) → この項、続く
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by YAMATOSS992 | 2013-09-12 21:00 | ヤマト2199 挿話 | Comments(0)