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宇宙戦艦ヤマト前史

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宇宙戦艦ヤマト登場前の地球防衛軍の苦闘を描きます。

89. 使命の神託ー(8)

いつしか、戦場は「バレラス」の郊外から中心部付近に移っていた。
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「ヤマト」を迎撃すべく超音速で追って来た親衛隊・艦隊も「ヤマト」に速度を合わせて減速したのでもはや
地表に衝撃波による被害は出ていなかった。

しかし、高層建築が立ち並ぶ中心部は砲撃戦をするには障害物が多過ぎて「ヤマト」も敵艦もお互い、
仲々、有効打を与えられなかった。

今、相手にしている敵艦はデストリア級重巡洋艦だったが、この艦の主砲は先のメルトリア級とは違い、
口径は同じ330mmだったが、砲身のない唯の陽電子ビーム砲だったので「ヤマト」の波動防壁を貫通出来
なかったのだ。

しかし、この重巡の艦長はかなり、勇猛な男だった様で、自艦に付いている前後、下面の四基の砲塔が全部
使える様に、そして障害物に邪魔されない様に「ヤマト」の前面に廻り込み、立ちはだかった。
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日本海軍のお家芸、「丁字戦法」である、沖田は宇宙の果てで自分達の得意技を使う敵に敬意を持った。

しかし、次の瞬間、「島、構うな!全速で敵艦を衝角しろ!波動防壁は更に前部集中!」と命じていた。

「丁字戦法」は本来、衝角戦に対抗して編み出された物である、しかし、沖田は波動防壁の前部局部集中に
よって敵艦の砲戦での優位を覆す事に成功したのだ。
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「ヤマト」の巨体に衝角された敵艦は「くの字」に折れて爆砕した。

「前方、二十キロに巨大建造物!」太田が報告した。
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「『デスラー・総統府』! 間違いありません!」スクリーンに写った映像を見たメルダが太鼓判を押した。

「よし!このまま、『デスラー・総統府』に突っ込む! 全員衝撃に備えよ!」沖田は驚愕的な命令を発した。
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<なんて漢だ! 父も猛将と讃えられた男だが、ここまでは獰猛でないぞ!>メルダには沖田がガミラス一の
猛獣、クラッケ(地球のライオンに相当、ペットの”クラル”が大型になった獣を想像すれば良い。)の様に
感じられた。

しかし、その「猛獣」、「ヤマト」に「ガミラス」の情報を与えたのは メルダの父、ディッツ提督だった。

<『勇者は勇者を知る。』と言うが、父にはこうなる事が判っていたのかもしれない・・・。>本物の勇者と言う者が
いかに想像を絶する者であるのか、思い知った様な気がした。 

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 『デスラー・総統府』の外壁を突き破った猛烈な衝撃に辛うじて耐えたメルダはもう次の行動に移ろうと
するテロン人達に驚きを隠せなかった。

通常の衝突だったら「ヤマト」の乗員は全部、即死していただろう、しかし、沖田が前部に最大集中させた波動
防壁が緩衝機能を果たし立っていたメルダすらバランスを崩して膝を床についた位で済んだ。

「古代、全乗組員で『デスラー・総統府』を制圧する。 突入班を編成しろ! 『デスラー総統』を捕らえる!」
沖田は、またもメルダの想像も出来なかった命令を発した。

< あの『デスラー総統』を捕らえる? それも全員で総統府へ突入だと? こいつ等、正気か? >メルダは
一度始まった戦争を早く収めるためには敵の頭を潰す事が必要だと理性では理解出来たが今までのデスラー
総統に支配されていた自分達が今直ぐ、デスラー総統に勝てるとはとても思えなかった。
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古代が立ち上がって自分のブルパップ型自動小銃を点検していた。

<こいつ等、本気でやらかす気なんだ・・・。>メルダは自分が戦闘機乗りで何度も死線を潜り抜けて来たにも
係わらず、やはり肉弾戦は怖かった。

「『総統府』の上部から宇宙に向かって飛立ってゆく物体があります。」岬 探知・観測士が報告した。
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「感じる・・・。あれには『ユキ』が乗っているの。」ユリーシャが空を指差しながら言った。
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「古代、突入は中止だ。『デスラー総統』は今の船で脱出したと見るべきだ。 無駄に血を流す事はない。」
沖田は『総統府』への突入を取り止めた。

「でも本当に『デスラー総統』は脱出したのでしょうか? あれは囮かもしれません?」南部は突入に拘った。

「『森君』、いや『ユリーシャ』だけを乗せて放り出したとは考え難い、あれに『森君・ユリーシャ』が乗っているなら
『デスラー総統』も必ず、一緒だ。」古代は的確な判断を示した。
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それを聞いた沖田は万を待して言った。

「古代、お前の『戦術長』としての任を解く、『森船務長』を救出して来い!」
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「はっ、古代戦術長、戦術長を辞し・・・。」古代はあまりに唐突な命令に戸惑った。

「どうした、行って来い! この任務はお前でなければ勤まらん! 後は任せろ!」南部砲雷長が戸惑う古代の
背中を押した。

そして古代が突入準備のために空けていた戦術長席は既に彼によって占領されていた。

                                        90. 使命の神託ー(9) → この項、続く
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by YAMATOSS992 | 2013-09-16 21:00 | ヤマト2199 挿話 | Comments(0)