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宇宙戦艦ヤマト前史

yamato2199.exblog.jp

宇宙戦艦ヤマト登場前の地球防衛軍の苦闘を描きます。

90. 使命の神託ー(9)

 「古代、私を連れていかなくて良いの?」ユリーシャがまた訳の判らないダダを捏ねた。

「ユリーシャ、遊びに行くわけじゃないんだから、ここで待っていてくれ。」古代は優しく諭した。

しかしユリーシャはしたたかだった。

「フーン、君には『ユキ』が何処にいるか、判るんだ、フーン。」
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「ユリーシャ様にはお判りになるのですか?」収容所惑星レプタポーダでの一件を知らないメルダがたずねた。

「判るわ、もちろん!」ユリーシャは自信たっぷりにメルダへ応えた。

困惑した古代は沖田の方を見やった。

「古代、『森』船務長の”探知者”は必要だな。  『森船務長、救出』 任務に 『同行者』一名を認める。」沖田が
微笑した。
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「ありがとう、『オキタ』、今は皆が自分に出来る事を精一杯やる時!さあ、私にも翼を!」ユリーシャが手を
広げて艦橋内を駆け廻った。

その時、探査係の岬 百合亜が叫んだ。
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「ガミラスとイスカンダルのラグランジェ・ポイントから大質量の物体が落下して来ます。

推定質量六千万トン、落下予想地点はバレラス! ここです!」

「デスラーめ、第二バレラスの一部を切り離したな・・・。」メルダが唇を噛んだ。
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第二バレラスの名の通り、この軌道都市(要塞)が新しき都となるのは一般市民でも知っており、秘密でも何
でも無かった。

しかし、それを都市の一部とはいえ自らの臣民の頭上に見舞うとは <指導者のするべき事では無い!>

<六千万トンもの質量がここに落ちれば「ヤマト」は破壊出来るかもしれないがバレラス、いや、ガミラスその物も
唯では済まない!>とメルダは思った。

「狂っている・・・。」メルダは腹の底から込み上げて来る『怒り』に拳を振るわせた。

「南部!波動砲、発射用意だ。」沖田は迷わず迎撃の司令を発した。

「波動砲でありますか?」南部は信じられないと言った顔をした。

「あの巨大・質量を迎撃出来るのは波動砲だけだ。

あれが落ちれば我々だけではない、無辜の民が沢山死ぬ。

そんな事は『ヤマト』が許さない! 『命を求める旅をして来たヤマト』が許さない!

南部!躊躇うな! 波動砲発射用意だ!」沖田は再度、波動砲発射態勢に入る命令を発した。

古代は慌てて自席に戻ろうとした。

「今は、俺が戦術長だ!」南部は席を空けようとはしなかった。
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しかし南部は独り言の様に古代に告げた。

「彼女を頼む・・・。」

「今は皆が自分の出来る事を全力でやる時! あなたは『ユキ』のところへ行くのよ!」ユリーシャが珍しく
威厳のある言葉を発した。
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「榎本さん、コスモ・ゼロ・アルファ1を『装備B』で大至急用意してください。」古代は通路をユリーシャと共に走り
ながら、榎本掌帆長にタブレット端末を使って連絡を取っていた。

「装備B」とは本来、単座である、コスモ・ゼロを復座にして運用する事だった。

しかし、本来戦闘機としてギリギリまで減量しているコスモ・ゼロにもう一つ座席を押し込んで復座にする余裕は
無かった。

当然、代わりに外さなければならない機体構成部分があった。

それはミサイルや機銃、機関砲を操る「火器管制装置」である。
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「丸腰で戦場に出る事になるが、それでもいいか?ユリーシャ・・・。」古代は念を押すように言った。

「大丈夫・・・。 何とかなるわ。それに殺し合いはいや!丁度いい。」ユリーシャは相変わらず楽観的だった。

二人がコスモ・ゼロが駐機してある第一格納庫に着くと床には取り外した火器管制装置の入ったジェリカン型
ボックスが四つ、浮かんでいた。

復座用の座席は取り付け済みだった。

古代が驚いたのはゼロが対空ミサイルで武装していた事だ、火器管制装置が使えない今、ミサイルを積んでも
意味が無いと古代は思った。

「へへ~ん、ミサイルは最新のショット&フォーゲット型です。

『手で投げて』も敵機を墜せますぜ。

機銃や機関砲もミサイル発射装置と同じく、火器管制装置を通さず、操縦桿の引き金に直結してありますから
発射は出来ます。 あとは戦術長の腕しだいって事です。」榎本は艦橋での遣り取りを知らないはずだったが、
古代が「装備B」を要求した時点で何が必要なのか、即座に判断した様だった。

古代はユリーシャを後部座席に括りつけると、操縦棹を握り、機体をカタパルトに乗せるといつもの発進の
合言葉を言った。

「コスモ・ゼロ アルファ1、クリアード、テイク・オフ!」一瞬、Gが掛りコスモ・ゼロアルファ1は宙に飛び出した。
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                                       91. 使命の神託ー(10) → この項、続く

**********************************************
(語句説明)

火器管制装置・・・戦闘機の機載の探知器(今はレーダー)で敵機を捕え、銃なら最適射撃時点を知らせ、
           (これをロック・オンした、又はピパー・オン・ターゲットと言う。)

           ミサイルなら、敵機の近傍までミサイルをセミ・アクティヴ・ホーミング(誘導)する機器、
           現代戦には欠かせない機器である。

           昔は終末誘導も行っていたが、現在のミサイルは目標近傍まで誘導されれば後は、自分で
           目標を捕らえ、追尾(ホーミング)する物が大半である。

           もちろん、熱線感知型のミサイルの様に最初からミサイルが相手をロック・オンして追尾する
           ものも存在する。( AIM-9サイドワインダー等)

           (ミサイルの場合のロック・オンはミサイルの感知器が目標を認識し、何時でも発射出来る
           態勢になった事を言う。)

ショット&フォーゲット型ミサイル・・・敵機に向けて「発射(打ったら)したら」そのミサイルとその敵機の事を
「忘れて」別の目標を追う事の出来るシステム。 現在はそのほとんどが赤外線感知型のミサイルではあるが、
コスモ・ゼロが搭載したミサイルは広角TV映像感知を併用しており、フレアなどのダミーに誤魔化され難い。

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by YAMATOSS992 | 2013-09-18 21:00 | ヤマト2199 挿話 | Comments(14)
Commented by セイ at 2013-09-26 14:48 x
はじめまして!
いつも楽しみに読ませていただいております、セイと申します

いやあ、よく観察していらっしゃいますね。
ゼロの複座化に火力管制システムに絡めるアイデアは、1話の機銃不発がヒントですよね?

ほんとすばらしい!
これからも期待しています
頑張って下さい
Commented by セイ at 2013-09-26 14:52 x
と、写真の解説に書いてありましたね、失礼いたしました
Commented by yamatoSS992 at 2013-09-26 16:18 x
ご訪問有難う御座います。

本当の事を言いますと公式設定資料集[EARTH]にコスモ・ゼロの復座席は
普段は収納式になっていると言う噴飯物の設定が行われていたので
命掛けで乗る戦闘機に予備座席などと言う贅沢は許せない!と思い、
F104Jのジェリカン型電子装置の事を思い出し、それを火器管制装置だと
言う事にして物語りを構築しました。

正に私の狙いを正確に読み取って頂き感謝の念に耐えません。

本当に有難う御座いました。
Commented by セイ at 2013-09-26 17:43 x
早速のご返信、ありがとうございます

でも、現実的に考えると、あの場面、ゼロではなく100式で出撃すべきですよね?3座対応だし・・・

ゼロを選んでしまうあたりが脳筋の古代進(2199では脳筋ぶりは多少薄れてはいるようですが)の本領なのかもしれませんが・・・

でも、古代さん、帰りはどこに雪を載せて来るつもりだったのでしょうか?
やっぱり、キムタクヤマトのガミラス脱出みたいな感じでしょうかね^^;
Commented by yamatoss992 at 2013-09-26 18:55 x
確かにこの場面では100式を選択するのがベストだと考えられますが、
戦場に出る事を考えると運動性能の点を考えれば加藤隊長でも100式
で出る度胸は無いと思います。

帰りの事は多分考えていなかったのでしょう。(笑)
実写版ヤマトのガミラス脱出方式は操縦席では使えません。
(操縦桿がF16式のサイド・スティックなら別ですが・・・。)
後席にユリーシャと雪を頭と脚を入れ替えて無理やり詰め込めば可能かと
思いますが、それではギャグにしかならないので、実際に映写された様に
損壊したゼロをバーニャのみで操縦、雪を回収した後、ヤマトにゼロ毎回収
して貰ったのは正解だったと思います。
Commented by gloryofgarmillas at 2013-09-27 22:08
>「今は皆が自分の出来る事を全力でやる時! あなたは『ユキ』のところへ行くのよ!」ユリーシャが珍しく威厳のある言葉を発した。
威厳というより「語気の強い」とかにした方が合っているような

F-104(三菱エンピツ(笑))ってそんな風になってたんですね、ギミック(?)とかアニメっぽいとか思ってしまった

>ショット&フォーゲット型ミサイル
所謂「撃ちっぱなしミサイル」と思っていいんでしょうか

HN、glory of garmillas…ガミラスの栄光?どこかで聞いたような(白々しい)
Commented by yamatoSS992 at 2013-09-28 06:02 x
さて、「大ガミラスの栄光」さん、少しは自分の行動に反省する所が
あった様ですね。

しかし、真摯にその反省が伝わってこないのは残念です。

自分のURLを公開したくらいではあなたの”罪”は消えません。

しかもとりあえず謝罪の”ポーズ”だけすれば後はいつもの通りの
遣り取りが出来るなんてズーズーしいにも程があります。

前のコメントで”皮肉”を言ったのは私なりの”警告”でした。

その”警告”の意味は判らずとも、一応、”警告”されたという事象は
理解した様なので既に用意してある”核弾頭”付きミサイルの発射は一端、フェーズ1に戻したいと思います。

なに、たかが”核爆弾”です。 ”遊星爆弾”の様な壊滅兵器ではないので
ご安心を・・・。

あなたの今後の動向は逐観察させていただきます。

そして、”必要”と判断したら情け容赦なく”核爆弾”を投射しますので
そのおつもりで・・・。 今後の動向には充分配慮して行動する事を
お薦めします。
Commented by gloryofgarmillas at 2013-09-28 09:35
私は謝罪のポーズや謝罪をしているつもりはありませんでした。「前のコメント」で感じた事は
「現在、英語の発音でも、日本語では”R”と”L”の発音の違いが表現出来ないと
言われているのに、他星の言語の発音、表記の違いが判るとは大したものです。

過去にあった戦艦の中に”ジュリオ・チェザーレ”と呼ばれた艦がありましたが、これはある歴史上の有名人の名なのですが、誰だか判りますか?」
の文章に何の意味があるのか、という事だけです。私には何が悪かったのかがわかりません。
愚かにも「ジュリオ・チェザーレ=ユリウス・カエサルに私と同じような過ちがあったのか」と考えたり「現在、英語の発音でも、日本語では”R”と”L”の発音の違いが表現出来ないと言われているのに、他星の言語の発音、表記の違いが判るとは大したものです。」に隠された意味でもあるのか、と考えたりしていました。
私は世間で胸を張って言える様な身分ではありませんので、社会常識がわからない事もあるかもしれません。どうか、「何がどう悪かったのか」教えていただけませんでしょうか
Commented by gloryofgarmillas at 2013-09-28 10:01
あなたを傷つけるつもりは無かったし
私のブログのコメントにあったように
あなたのご機嫌取りのためではなく、あなたのブログが好きだからこのサイトに自分のブログを作りました
色々書かれていたのには驚きました
あなたを傷つけてしまった事申し訳ありませんでした
Commented by yamatoss992 at 2013-09-28 14:38 x
私は自分が「傷つけられた」から怒ったのではありません。

あなたは自分が”教条主義”に凝り固まっている事に気づいていますか?

「製作サイドの言う事は神の言う言葉の様に正しい。そしてそれを代弁する自分も正しい。」と想っているはずです。

そしてその”凶器”を人に向ける事を何とも思わない。

それが私のブログであなたが示した”態度”です。

コメント欄だけでは対処出来ないので本文で返事をする・・・。

これがどれだけの意味を持つか、あなたは考えましたしたか?

今、私は連載を行っています。 それを”中断”してあなたのコメントに
応えたのですよ?

しかし、反論はともかくとして、”礼”の一つも返さず、新たなコメントが
来たと思ったら単なる”アラ捜しでした。

(続く)
Commented by yamatoss992 at 2013-09-28 14:39 x
”皮肉”の一つも言いたくなります。

私が書いた”R”と”L”の違いの問題、戦艦「ジュリオ・チェザーレ」が誰
だか判るか?と聞いた問題、
(ユリウス・カエサルだと言うことはウイキで直ぐに判ります。 私が聞いたのは
その奥にあるものです。)こうした事全てに対しあなたは勉強不足です。

あなたは私の小説の中で”ユリーシャ”が言ったセリフに対し”威厳のある言葉”ではなく”語気の強い”にした方がよいのでは・・・、余計なお世話です。

もしかして、あなたは今後の”ユリーシャ”の運命を知らないのですか?

私はその運命を踏まえた上の”威厳のある言葉”なのです。

目先の出来事に拘らずじっくりと物事を見て判断して下さい。

ちなみに私は1954年生まれ、来年は還暦です。

私のした事を”大人げない”ととる事も出来るでしょう。

しかし、私はSF界、架空世界を楽しむ人達が安心して物が言える世界を
望んでいます。  

「教条主義」に陥りそうになった時、一歩立ち止まって考えて下さい。

お願いします。
Commented by gloryofgarmillas at 2013-09-28 15:26

ユリーシャの事は、見落としていました。
あなたの考えを理解せずに余計な事を言ってしまい、申し訳ありません。
振り返ってみると、確かに私は所謂「設定厨」とも言うべき考えで先生の考察を尊重する事を忘れ、踏み躙っていました。
これからは先生の言葉を胸に留めて視野を広く深く持って行動したいと思います。
自分では気付けなかった事をご指摘下さった事に感謝します。
今までの非礼について、申し訳ありませんでした
Commented by yamatoss992 at 2013-09-29 09:36 x
 丁寧なご返事ありがとうございました。

ただ、一つ言い忘れた事があります。

”何故、私が「教条主義」を嫌う・・・か”です。

「設定者の主張」は大抵文章で示され、その「設定」に対し「設定者」が
思っていたけれど表面に出さなかった「裏設定」が必ずあるものですが、
それは「表設定に出ていない」が故に「教条主義者」からは「否定」されて
しまう事が多々あります。

「設定者自身の考え」なのにも係らず、です。

同じ様に設定者でない「他人」がその設定に不足している「何か」を付けたしたとします。

それによって世界が大きく広がるにも関わらず、


「教条主義者」達は「設定に書かれていない事」を理由に否定します。

これって中世に教会が全てを支配していた暗黒時代を想わせませんか?

私はこうした”暗黒時代”は決して来てほしくありません。

以前、私がまだ二十代だったころはこうした”教条主義者”に逆らう事は
タブーでした。

しかし、老い先短くなって来た今、黙っていてはいけない!と考える様になってきました。

(続く)
Commented by yamatoss992 at 2013-09-29 09:37 x
「大ガミラスの栄光」さん、お願いします。

「同志」になって下さい。

積極的にあちこちのブログに出かけていって「指導」する必要はありません。

ただ、「教条主義者」達が横暴によって周囲を苦しめているのを知った時、
「それは違う!」と声を大にして呼びかけて下さい。
私にも声をかけていただければ直ぐに駆けつけます。

宜しくお願い申しあげます。