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宇宙戦艦ヤマト前史

yamato2199.exblog.jp

宇宙戦艦ヤマト登場前の地球防衛軍の苦闘を描きます。

93. 使命の神託ー(12)

 「キャプテーン、『ヤマト』をこのまま、見逃していいんですかい?」ゴル・ハイニ副長が 次元潜航艦、
「UX-01」の艦長、フラーケンに言った。
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「そりゃ、シャクの種だった親衛隊を叩く口実が出来たのは嬉しかったですが、俺ら、まかり間違っても総統の
直轄艦ですぜ。」ハイニはいつもの言動からは想像出来ない程、頭が硬かった。

「ハイニ、俺達は『総統』におつかえしている。 そして『総統』とは我等が最も尊敬する『指導者』だ。」
フラーケンはそこで言葉を切った。

「へぇ、 だから、『デスラー総統』の『敵』は俺達の『敵』じゃないんですかい・・・。」ハイニがそこまで言うと
フラーケンはその言葉を遮った。
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「『デスラー』はもう我等の『総統』ではない、まして『指導者』などであってたまるものか!」それは激しい怒りの
言葉だった。

フラーケンもヒス副総統と同じ様に、臣民を犠牲にしてまで自分勝手な戦争をする『デスラー』を見限っていた。

「これからどうします。 『海賊』、いや『宙賊』でもやりますかい?」フラーケンが『ヤマト』を援護した本当の
意味を悟ったゴル・ハイニ副長は普段通りの冗談をかました。

「そうさな、 俺達は『猟犬』だ。 『猟』が終ったら、主人の元に帰らなければならないな・・・。」フラーケンは
ディッツの元へはせ参じるつもりの様だった。

しかし、彼の『猟』はまだまだ終りそうもなかった。

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 メルダは第三格納庫に向かって急いでいた。

こともあろうに『ユリーシャ』様がテロン人の『ユキ』を助けるため、古代一尉と共に出撃すると言い出したのだ。

<あのお転婆は自分がこうと決めたら梃子でも譲らない・・・、私が護衛を務めなければ!>幸い、テロン人達は
フル装備のDWG262「ツヴァルケ」を鹵獲していた。

メルダはその機を譲って貰う事に成功し、パーソナル・カラーの「赤」に塗替えて貰い、自分の愛機に仕立て
上げていた。
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メルダの行く手に数人の男が飛び出して通路を塞いだ。

「邪魔をするな! 私には『ユリーシャ』様を御護りする義務がある!」

「かといって、戦闘機で飛び出された日には『ヤマト』が攻撃される! 行かせる訳にはいかないな!」
その「船務科」の制服を着た男はメルダにスパナで殴りかかって来た。

「何を馬鹿な! そんな事する訳ないだろう!」メルダはスーツから外して持っていた耐G装備でそのスパナを
受けた。

しかし、別の男(航海科)がモップの柄で動きの取れなくなった、メルダの腹を突いた。

咄嗟に身体を捻って突きの力を逃したものの、脇腹にモップの柄による打撃を受け、メッルダ顔をしかめた。

「お前達は・・・、」とメルダが言いかけた時、残りの全員がなにかしかの得物を持ってメルダに襲い掛かって
きた。

「待ちな!」凛とした声が当たりに響いた。

やって来たのは保安部の三人娘、天海聖子一等宙曹、工藤明菜二等宙曹、剛力彩三等宙曹だった。
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「邪魔をする気か! こいつは 『宇宙人』、しかも 『ガミラス』 人だぞ!生かしておけるか!」最初にメルダに殴り
掛って来た男が吼えた。

「あらぁ、『地球』も宇宙に浮かんでいるわ・・・。それじゃぁ、やっぱり、私もあなたもりっぱな『宇宙人』よね?」
天海一曹は右手を前に振った。

工藤二曹と剛力三曹が黙って前に出てメルダと暴漢達の間に割って入った。

「早く行って、今は誰もが自分の出来る事、最善を尽くす時!」天海一曹はメルダを急かした。

「感謝する! それではお互い最善を!」メルダは天海達に礼を言うと第三格納庫の方に消えた。

メルダが通路の奥に消えたのを確認すると天海一曹はゆっくりと暴漢達の方に向き直った。

「さぁて、私達も 『自分の出来る、最善を尽くす事』にするわ。」と意味ありげに言った。

「でもーっ、私達、”能なし” だから、”殺し” しか、出来ないの、それでも来る?」 山刀の様な大振りの
コンバット・ナイフを翳しながら、天海一曹は言った。 

工藤二曹は腰に下げたコスモ・ガンのホルスターのフラップを上げていた、

剛力三曹は空手正拳突きの構えをしてその場でステップを刻んでいた。

そのあからさまな挑発に暴漢達も引くに引けなくなっていた。

「保安部といえどもたかが女だ、騙されるな!」暴漢のリーダー格の男が仲間を励ました。

「いいのォ、本当にやる気?」天海一曹は更に挑発した。

「やめなさい!」大音声が辺りに響いた。

星名保安部長代理がまた傷を押して出てきたのだ。

「保安部長!また、こんな所まで出てきて、傷が悪化しますよ! 早くベッドへ戻って下さい!」天海一曹は
慌ててナイフを仕舞った。

「君達が馬鹿な事をするから僕はオチオチ寝てられないんです。 さっさと帰って謹慎してて下さい。

それと僕は『保安部長・代理』です。 お間違えの無い様に。」

三人が去ると星名保安部長代理は暴漢達に頭を下げた。

「至らない部下を持つと苦労します。 皆さんには肝を冷やされた事でしょう。 お詫びします。」

しかし、暴漢達には星名保安部・准宙尉が本気で謝る気などさらさら無いのは直ぐに判った。

それは前保安部長、『伊東』二等宙尉 譲りの”あいさつ”だった。

それが気に喰わなかったのか、暴漢の一人が飛び出しそうになってリーダーに止められた。

星名は車椅子に座っていたがその車椅子は車輪でなく、歩行型の移動装置を持っていたからだ。

つまり、彼はパワード・スーツの下半身だけを纏った状態で出てきたのである。

今は下半身だけなのでさほどの戦闘力は無かったが、それでも素手で立ち向かえる相手では無かった。

「クソッ、覚えてろ!」お馴染みの捨てゼリフを残すと暴漢達は去って行こうとした。

「ええ、覚えてますとも、船務科の高橋三尉・・・。」星名は唐突にリーダーの名前を呼んだ。

「何故、俺の名前を知っている・・・。」高橋と呼ばれた男は唖然として振り返った。

「後は主計科の山田三曹、航海科の梅田二曹、甲板員の平山さん 皆さんの卑怯な所業は忘れませんとも。」

星名は相変わらずにこやかに言葉を続けた。

「どうして名前が判るのかって? 僕は『イズモ』派の内偵を推めていたんですよ。

全ての乗組員の顔と名前は一致しています。」 暴漢のリーダー、高橋三尉は本当に恐ろしいのはあの三人娘ではなく、今、目の前で歩行型車椅子に乗っている小柄な青年である事に気が付き、震え上がった。

パワード・スーツの用意なんて簡単に出来る訳がない、たぶん、あの三人娘の挑発もこの男の差し金に
違いない。

<クソッ、悪い男に目を付けられてしまった・・・。>、高橋三尉は自分達の行動を後悔したがもう遅かった。


                                        94. 使命の神託ー(13) → この項、続く
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by YAMATOSS992 | 2013-09-24 21:00 | ヤマト2199 挿話 | Comments(0)