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宇宙戦艦ヤマト前史

yamato2199.exblog.jp

宇宙戦艦ヤマト登場前の地球防衛軍の苦闘を描きます。

94. 使命の神託ー(13)

 古代一尉 と ユリーシャ・イスカンダルを乗せた コスモ・ゼロ 「アルファ・1」 は一直線にガミラスの空を駆け
昇って行った。
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しかし、操縦桿を握る古代は ”装備B” での出撃は初めてだったので普段の コスモ・ゼロ とは大きく変わった
操縦感覚に戸惑いを覚えていた。 (地球での ”戦闘” はとても ”搭乗” と呼べるレベルではなかった。)

<クソッ、操縦桿が重い・・・。 このお姫様一体、何キロ、体重があるんだ?>古代は新たに取り付けた予備
座席の重さとユリーシャの体重の合計が取り外した火器管制装置より重いのではないかと疑っていた。
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実際は軽くなった位だったが、戦闘機の様な繊細な機体の場合、軽くなる事で質量中心がズレる事も考慮
しなくてはならない。  (空力中心は変わらない、かえってこれが厄介な問題を生む。)

勿論、コスモ・ゼロ は ”フライ・バイ・ワイヤー” であり、些細な重量変動による質量中心のズレなど機体が
勝手に吸収してしまい、パイロットには大きな変化は感じられないはずだった。

だが、実際は外した電子機器の内に質量補正をするプログラムの入った ”LSI” が入っていたのだ。

これは主に機関砲弾や機関銃弾、ミサイル、といった消耗品の使用に伴って質量補正をするものだったが、
これを外されてしまった為、機載コンピューターはいきなり通常重量が変化したと判断してその変化について
行けなくなり、補正を操縦者にフィード・バックして来たのだ。

<やれやれ、これでは幾ら、”ショット&フォーゲット” の新型ミサイルを積んでくれても、こっちが撃たれたら
避けきれるか、怪しいもんですよ。 榎本さん・・・。>古代は不案を感じつつも、対空監視は怠らなかった。

「後部一時ノ方向カラ敵!機数 6!」 コスモ・ゼロの機載コンピューター ”シド” が全天警報システムの警報を
鳴らした。

<来やがったか!> 、「ユリーシャ!少し揺さぶるぞ! 舌を噛むなよ!」古代は一応、警告した。

「大丈夫!ガンバッテ!」何時もの様に人事の様なのんびりとした返事が返って来た。

古代はコスモ・ゼロを敵機群の方に向けようと、操縦桿を思い切り引いた、天地が視界の中で踊った。

幾ら、 ”ショット&フォーゲットのミサイル” とはいえ、せめて方向だけは決めてやらなければならない・・・。

そうしないとミサイル先端に付いているホーミング用のセンサーが作動しないからだ。
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しかし、”装備B” のコスモ・ゼロは何時もの機敏な操縦性は何処へやら、ノッタリとしか旋回しなかった。

迎撃に上がってきた敵戦闘機は幸いな事に鈍重な迎撃戦闘機 ”DDG110 ゼードラーⅡ” だった。
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この機体は局地防衛用に強武装ではあるが重量も重く、高機動戦には弱かった。

おかげで古代は動きの鈍いコスモ・ゼロの機首を何とか敵編隊に向ける事に成功した。

満を持してミサイルの引き金を引こうとした、その時、一番、接近していた ”ゼードラーⅡ” がいきなり爆発した。
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後から飛んできたミサイルの色が ”赤” かった様に見えた古代は思わず後を振り返った。

そこに居たのは "真紅" に塗られた ”DWG262 ツヴァルケ”、メルダ・ディッツ少尉の愛機だった。

                                        95. 使命の神託ー(14) → この項、続く

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(用語解説)

飛行機の質量中心・・・重力のある所では ”重心” だと思えば良い。 但し、無重力の場所でも慣性は働くので
              ”質量” が、無くなる訳ではない。 ”重心” と同じ場所で同じ様に働く。

飛行機の空力中心・・・大気のある所を飛ぶ航空機は ”揚力” を翼や胴体から発生させて機体を中に浮かす、
              この力は大半が主翼によって生み出されるが尾翼や胴体、胴体と翼を繋ぐ ”フィレット”
              からも生じる、その合計がその機体の ”揚力” となる。

              従ってその各部で発生している ”揚力” の合わさる所が ”空力中心” である。

              ”質量中心” と ”空力中心” が大きくズレている機体は大気中では飛べない。

フライ・バイ・ワイヤ・・・飛行機はその発明以来、最近まで人力で操舵されて来た。 

              しかし、1970年代に人は操縦桿を操作するが、そこで電気信号になり、操作量や強さが
              コンピューター処理されて方向舵や昇降舵、エルロンと言った操縦用の舵を動かす技術
              が開発された。

              要するに操縦者は自分の向かいたい方向へ操縦桿を動かすだけで良くなったので
              ある。
    
              これが飛行機の設計に革命を生んだ。

              今まで人力で操縦していた時代は飛行機の安定性と運動性は相反する要素でその
              バランスが設計者の腕の見せ所だった。

              しかし、フライ・バイ・ワイヤの技術を使うとワザと不安定な機体を設計し、通常飛行の
              時はコンピューターが勝手に操舵を微調整してあたかも安定して飛んでいるかの様に
              見えるが、一度、戦闘に入るとその制御を外し、今までの戦闘機では考えられない様な
              高機動を可能にした。

              これは自然界の鳥類に垂直尾翼が無い理由と同じである。

              鳥は飛行中、常に翼や尾羽の角度や羽ばたき加減を調整しているので垂直尾翼など
              必要ないのである。

        
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by YAMATOSS992 | 2013-09-26 21:00 | ヤマト2199 挿話 | Comments(0)