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宇宙戦艦ヤマト前史

yamato2199.exblog.jp

宇宙戦艦ヤマト登場前の地球防衛軍の苦闘を描きます。

95. 使命の神託ー(14)

 発射されて ”ゼードラーⅡ” に向かうミサイルの色を見てメルダ・ディッツ少尉は呆れた。
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<おい、おい、 あいつら、ミサイルまで赤く塗ったのか! 恐れいったな。>確かにメルダは自分の機体を
赤く塗ってくれる様に頼んだ・・・パーソナル・カラーだったからだ。

ガミラスの色 ”青” は親衛隊に独占されていたので選びたくても選べなかった、その反動もあって ”囮” の色、
”赤” をメルダはパーソナル・カラー に選んでいた。

<まさか、機関銃弾や機関砲弾まで ”赤く” 塗ってないだろうな・・・。>メルダはちょっぴり不安になった。

<”弾”は精密部品なんだ、塗料なんぞ付いていようものなら、たちまち、筒内爆発を起こしてしまう・・・。> 

だが、放棄されていたゲート衛星にあった中古の機体を完璧に蘇らせたテロン人がそんな当たり前のミスを
犯すはずがないと思い直し、次の目標を追おうとしたその時、古代から通信が入った。

「メルダ! 来てくれたのか!」古代の声は弾んでいた。

「勘違いするな! ユリーシャ様をお守りしただけだ!」メルダは古代の言葉を突っぱねた。
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しかし、次の瞬間、メルダのツヴァルケは ”ゼードラーⅡ” ではない、別の機体に襲われた。

”DMB87 スヌーカ” 大気圏内用、急降下爆撃機だった。

通常なら鈍重な急降下爆撃機など迎撃戦に出て来るはずもなかったが、多分、腕の良いパイロット達が
”祖国の危機” にとりあえず近くにあった機体を持ち出して昇って来たものと思われた。
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固定脚の旧式機である”DMB87 スヌーカ” 大気圏内用、急降下爆撃機は繰り返し急上昇、急降下出来る様、
大出力のエンジンを装備していたので爆装しないで出撃して来た今、 ”ゼードラーⅡ” に勝る運動性を見せた。

しかも、敢えて旧式機でもかまわず出撃してくるだけあって ”スヌーカ” のパイロットの腕は並では無かった。

メルダはパイロット・スーツを着る時、ズボンに足が入らず、耐G装備を外した事を悔やんだ。

今は一応、ズボンの外から外した耐G装備を貼り付けてあったが、それでは本来の機能が充分に発揮されない
のは明らかだった。

急旋回をして+Gが掛ると脳から血液が下がり、意識が遠のく、”ブラック・アウト” と呼ばれる現象である。

<いかん! このままでは喰われる! しかも ”スヌーカ” にだぞ!嫌だ!絶対に嫌だ!>メルダは自分を
叱咤激励した。

しかも、この ”スヌーカ” 隊、ガミラスのパイロットとしては珍しく、編隊戦術の心得がある様だった。

メルダも「ヤマト」での捕虜生活中、ひょんな事から、テロンの航空戦術を学ぶ機会があったので今、後に迫って
いる ”スヌーカ” 隊が ”ロッテ戦法” を使っているのに気が付いた。

二機・編隊の ”リーダー” が攻撃に専念し、”ウイング・マン” がその後と周囲の警戒に専念する。

最も初歩的な編隊戦術だが、それだけに効果的な戦術だった。

<まさか、”サッチ・ウイーブ ” まで習得していないだろうな・・・。>メルダは背中に冷たい物が流れるのを
感じた。 

メルダのツヴァルケを追い込んだ ”スヌーカ”隊、”リーダー” 機 が突然、爆発した。

次に ”ウイング・マン ” も爆発して散った。

コスモ・ゼロ アルファ2 山本機と コスモ・ファルコン隊・隊長、加藤機が側面から 『見越し射撃』 で仕留めた
のだ。
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「山本! 加藤!」メルダは思わず出そうになった、感謝の言葉を呑み込んだ。

「古代とユリーシャ様の乗ったコスモ・ゼロは更に高みを目指す! 敵機はここは私達が食い止める!」
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「飛べよ!ゼロ! もっと高く!」ユリーシャがメルダの声に応えた。
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ユリーシャとメルダの決意は 山本 玲 と 加藤 三郎 にも直ぐに伝わった。

コスモ・ファルコン・加藤、コスモ・ゼロ・アルファ2・山本、ツヴァルケ・メルダの三機は 加藤機 を先頭に編隊を
組み直すと戦場に飛び込んで行った。

                                        96. 使命の神託ー(15) → この項、続く

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(用語解説)

筒内爆発・・・銃身内に異物が挟まり、銃弾や砲弾が詰まってしまい、銃身が爆発してしまう現象。
        環境の悪い ”最前線” では度々起こる恐ろしい事故。


耐G装備・・・急旋回や宙返り等で+G がパイロットに掛ると血液が脳から下に下がり ”ブラック・アウト” して
        しまう。  
        それを防ぐため、+G が掛った時、足を締め付けて血液が下半身に集まらない様にする装備。
        通常はパイロット・スーツの内側に作りつけてあり、取り外しは出来ない。 (ハズ?)


サッチ・ウイーブ戦法・・・第二次大戦中、米海軍が編み出した「対”零戦”対策」、撃墜率が70%も上がった。
               詳しくは記事No.46 弧高の「赤騎士」-(5)、No.48 弧高の「赤騎士」-(7)参照。


見越し射撃・・・目の前を横切る敵機の速度と方向を的確に読み、敵機の横から攻撃する方法。

         大抵の日本アニメでは空中戦は後を取り合うものと相場が決まっているが、第二次世界大戦時、
         日本はこの『後を取る格闘戦』に拘り、空戦性能の良い「軽戦」を重視した。

         しかし、欧米では「見越し射撃」こそ、パイロットが習得すべき重要な技術と考えられたので
         空戦性能より、速度性能や防弾技術が優先された。

         しかし、この「見越し射撃」は「勘」の要素が多く、一般のパイロットには中々習得出来なかった。
         とはいえ、戦場では戦えるパイロットを求めており、「見越し射撃」の出来ない者も戦地へ送らざ
         るを得なかった。

         そこで搭場したのが「一撃離脱戦法」である。
         これなら高速で敵機に忍び寄りバッと一撃を加えて戦場を離脱するので未熟なヒヨコでも充分
         戦果を上げられる効率の良い戦い方であった。

         以外と知られていないが、格闘戦重視だった日本でも撃墜王の中には「一撃離脱戦法」をその
         戦術としていた人が何人か居り、戦時中は格闘戦一点張りではなかった様だ。
         そしてその中のある撃墜王はこう言っている。

         「敵機を見つけたら、即座に攻撃に移ってはならない。 まず、敵を良く見る事だ。 敵の数、
         進路、高度、どんな戦術を使っているか、(これは編隊の組み方を言っているらしい?)
         これらを良く見た上でこちらの攻撃方法を決める。

         そして、相手がこちらに気付く前に攻撃し、一撃で大半を墜す、これが空戦の第一義的要件で
         ある。」 と。
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by YAMATOSS992 | 2013-09-28 21:00 | ヤマト2199 挿話 | Comments(2)
Commented by モー太郎 at 2013-10-01 07:12 x
あそこで何故 ”DMB87 スヌーカ”だったのか?
このお話で 納得がいきました。
番外編の「灼熱のデート・スポット」でのお話も、今回に繋がってリアリティありますね。
Commented by yamatoSS992 at 2013-10-01 09:22 x
 私も”本編”でDMB87”スヌーカ”が現れた時は驚きました。
「いくらなんでもそれはないっだろう!」と製作側のあまりの知識の
無さに呆れ果てました。

しかし、皆の目に触れてしまった今、もう手遅れです。
何とか、説明しなくてはなりません。

そこで「はっ」と気付きました。
「ノルマンディ上陸作戦」決行時、連合軍の上に現れたドイツ機は
たった二機のFw190だった事を・・・。

飛べる機体があれば飛んで戦う、それがパイロットの本能です。
”数”も関係ありません。
メルダとの接触でガミラス人と地球人のメンタリティは同じだと語られました。

だったら、自分の傍にある機体が”DMB87 スヌーカ”だけでも
彼等は”迎撃”してくるでしょう。
そう考えてのスヌーカ登場でした。