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宇宙戦艦ヤマト前史

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宇宙戦艦ヤマト登場前の地球防衛軍の苦闘を描きます。

100. 使命の神託ー(19)

 「ヤマト」 が出発する朝が来た。

古代とメルダはどちらかとも無く手を差し伸べて握手した。
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「メンタリティは同じだな。」 メルダが悪戯っぽく笑った。

「それは、こっちのセリフだ。」 古代も負けずに微笑を返した。

次にメルダは山本 玲とも握手をしたが、山本はどこか、不安げだった。
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「大丈夫。 あなた達には 『使命』 の 『神託』 があるもの。」 それを見た、ユリーシャが謎めいた事を言った。

「な、なんだって? 『使命』の・・・。」 古代はユリーシャの言葉に戸惑いを見せた。

「『使命』 の 『神託』、イスカンダルやガミラスに古くから伝わる言葉よ・・・。」 ユリーシャは続けた。

「意味は・・・そーねぇ、『何が起こっても、何とか出来ちゃう・・・力』 を 持ってる・・・ってことかしら。」

「ずいぶん、アバウトな 『力』 だな、 でも、有難う、俺も 『波動砲』 が無くなって、少し不安だったんだ。

でも、確かに俺達はいつも何が起こっても皆で力を合わせてなんとかして来た。

『波動砲』 なんか無くたって、帰りの ”旅” も ”何とかなる、いや、何とかして見せる” さ!」古代は胸を張った。
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<やはり、こいつら、”化物”だ。 私があれだけ ”大きな力” を失っても、これだけの自信を示せるだろうか?>
メルダはテロン人の ”脳天気さ” が羨ましかった。

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「ヤマト」 艦内に帰る道すがら、古代はユリーシャの言葉を思い出していた。

<俺達は 『使命の神託』 を持っている・・・か。 『切り抜ける力』 だよな。>

<そういえば、あの時も・・・。>
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<あの時も・・・。>
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<俺達は皆で力を合わせて何とかやって来た・・・。 これからだってきっと旨くゆくさ!>

古代は今までに経験して来た破天荒な出来事を振り返っていた。

<そういえば、『コスモ・リバース・システム』 をわざわざ渡しに来てくれた女王、スターシャさんも沖田艦長や
我々が 『使命』 の『神託』 を 持っているから、安心して 『コスモ・リバース』 を渡せる・・・って言ってたっけ。>

古代は自分達、地球人にはあたりまえの事でも、 『イスカンダル』 や 『ガミラス』 ではきっと特別な事なんだ
ろうと勝手に解釈した。

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ユリーシャとメルダは去ってゆく 「ヤマト」 をいつまでも見送っていた。

 <約束は果たしたわよ。・・・ 『 イトウ 』 。>

ユリーシャは惑星 ”レプタポーダ” で一緒だった、伊東真也 の事を思い出していた。

惑星ビーメラで反乱を起したが、失敗、藪機関士と共に脱走して古代、ユリーシャと共にガミラスの捕虜と
なった男。

異星人嫌いの卑劣な男、しかし、彼も最後にはユリーシャを敵弾から守って散った。
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そして、彼の最後の言葉は ” 『ヤマト』 を 必ず 『イスカンダル』 へ導いてくれ " だった。

自分の命では無く、『ヤマト』 の 『使命の達成』 を願った。

「彼もまた、『使命』 の 『神託』 を持っていたわ。」ユリーシャは独り言の様に言った。
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「ユリーシャ様、『使命の神託』 って言葉は ” ガミラス ” でも使われる言葉なんですか?

私は聞いた事ありませんが・・・。 

それにその意味ってさっき、『古代』 に教えていたみたいに、 あんな『アバウト』 なものなんですか?」 メルダは
三度,耳にした不思議な言葉の意味を再度、ユリーシャに訊ねた。

ユリーシャは少し考え込んだ。

そして言った。

「わかんなーい。 お姉さまにでも聞いて!」

いつもの ”オトボケ姫 ” に戻ったユリーシャは 「桟橋」 から 「クリスタル・パレス」 の方へ走って行った。

<やれやれ、あれで本当に我々 ” ガミロン ” の心の支えになって戴けるのだろうか?>メルダは父から託され
た ” 家宝” を取り出した。

<これを使う日が来なければ良いが・・・。>金色に輝く ” 家宝 ” を見詰めつつ、メルダは思った。

空は良く晴れ、海は主星 、”サンザー” の光を受けて眩しく輝いていた。

メルダは手にした ” 家宝 ” の側面に真新しい金色に輝くスジが入っている事に気付いた。

父から最初に手渡された時、怒りに任せて床に叩き付けた為、分割部分にズレを生じたものだと思われた。

メルダは唾を飲み込んだ、いくら、カッとしたからといって ” 反陽子爆弾 ” を床に叩き付けたのだ。

<よく何も起こらなかったものだ・・・。>

もちろん、” 反陽子爆弾 ”は火薬を使っているわけではないので ” 理論的 ” には叩きつけても爆発しない。

でも、やはり、” 爆発物 ” に ”ショック” を与えたのは考えものだったとメルダは反省した。

その時、メルダの心に何か、引っ掛かるものが生じた。

<何故、父は私の行動を咎めなかったのだ・・・。>床に叩き付けたメルダが ” ヤバイ ” と思ったのだ。

<父だって 『 危ない事 』 を する奴・・・と思わなかったのか?>

メルダはさらにとんでもない事に気が付いた、< 私は ”これ” の起爆方法を聞いていない・・・。>

あの用意周到な ” 狸・親父 ” がそんな簡単な事を忘れるはずがない!
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メルダはその ” 超小型反陽子爆弾 ” を詳細に調べた。

どうやら鎖を付ける金具の部分を押し込むと二つに割れる様になっている様だった。

やってみると ”ペンダント” は貝の様に開いた。

中には四つ折にされたちいさな ” 紙片 ” が入っていたが、メルダは決してそれを開いてはいけないと
思った。

そこに書いてある ” 文字 ” なり ” 文言 ” なりを ” 脳 ” が認識した途端、起爆するシステムかもしれないか
らだ。

今はもう滅びた 「ジレル」 の民が使っていた精神波を利用した通信システムの応用である可能性が高かった。

なにしろ、この ” 家宝 ” 何百年も前から ” ディッツ家 ” に伝わったものらしい、これが造られた頃は ジレルの
技 もまだ現役だった事だろう。

そう思いながら、その紙片をどけて見るとそこのは今はもう使われる事の無い、”2D・フォトグラフィ”(写真)が
収めてあった。

もはや古びて顔も判らなくなった、四人の人間(多分、家族だろう) が 写っていた。

この ” 家宝 ”、 造られてから一度も使われた事がないのは明らかだった。

メルダはゴクリと生唾を飲み込むと先程の、これだけは ”真新しい、小さな紙片” を開いてみた。

何も起こらなかった・・・しかし、メルダの瞳には涙が溢れてきた。

そこには、こう、書かれていた。  

「お前が 『使命の神託』 を得んことを・・・。」と。


                                      101. 使命の神託ー(20) → この項、続く
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by YAMATOSS992 | 2013-10-08 21:00 | ヤマト2199 挿話 | Comments(0)