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宇宙戦艦ヤマト前史

yamato2199.exblog.jp

宇宙戦艦ヤマト登場前の地球防衛軍の苦闘を描きます。

108.星、越えし先の君(3)

 「どうも完全に探知されたみたいね。 ゲルド。」古代守達を乗せたガミラスの俘虜輸送艦PZ-06の艦長、
サターニャ・ラストフ中尉は副長のガミロイドに言った。

例の ” 三つ目 ” のガミロイドである。

「ガトランティスの偵察駆逐艦隊の様ですね。 勢力は五隻、圧倒的です。  艦長、どうします。」
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「近くに友軍はいないのは確認済み・・・とっ。 しかたない、出来るだけ遠くまでゲシュタム・ジャンプするわ。」

「大遠距離をゲシュタム・ジャンプすると時空震も大きくなって追跡されやすくなりますが・・・。」ゲルドは反論
した。

「サレザー星系内までジャンプしてしまえば、追ってきた奴等が今度はこっちの獲物になるわ。」サターニャが
ニタリと嗤った。

「最大ジャンプを後二回ですか・・・。 一度ジャンプすると、次のジャンプまで少し間を空けなければならない、
難しい賭けですね。」

「この艦は武装していないのか、俘虜輸送艦だといっても少し位の武装は持っているだろう?」古代守と石津一尉が往診に連れてこられていた。

さすがに最初の提案は過激過ぎて回数を分けた治療に切り替えられたのだ。

「あんた達は ” 輸送物資 ”。  戦闘の心配はしないで良いわ。」サターニャは左手の肘まである手袋を脱ぎながら言った。

治療法を穏やかなものにしたといっても皮膚から筋肉に達する傷をつけてペニシリンを処方する事には変わりないので、痛々しい傷がその腕の表面には走っていた。

<この子は一生、この傷と付き合って行く事になるんだな・・・。>憎い一等ガミラス人といえど自分より一回り下の年齢にしか思えない少女の肌にいかに治療の為とはいえ、大きく、醜い ” 傷 ” を付けた事は守の心にも
” 傷 ” を残した。

”治療”が終わり、包帯を巻き直すとサターニャは直ぐにグローブを嵌めた。

ガミロイドは直ぐに守達を”牢”に戻そうと銃で守を小突いたが、それをサターニャが止めた。

「さっき面白い事を言っていたわね。”プラートの雷神”。」

「俺達は”荷物”じゃなかったのか?」守は皮肉を言った。

「”荷物”だって『自分が生きる努力』はして良いのよ。」サターニャはヘロっと言った。

「あんたにゃかなわんな。」守は山根も呼び作戦を練る事にした。

「ヤマト」が次元断層で「EX-178」と共同戦線を張る以前、初のガミラスー地球共同作戦だった。

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「ガミロン巡航艦、転移しました。最大転移です。」探知士の報告を受けたガトランティス駆逐艦隊の司令は
直ぐに追跡転移を命じた。 

ガミロン艦の最大転移距離は既に把握済みだった。 

<逃がしはしない! 散々ガミロンに叩かれた恨み、忘れはしない!>司令は自信を持って俘虜輸送艦
PZ-06を追い詰めた。

しかし、転移が明けた通常空間の前方にいるはずのPZ-06の姿は無かった。

だが、次の瞬間、V字艦隊を組んでいたガトランティス駆逐艦隊最後尾の位置を占めていた一隻が爆発した。

「何!」司令は後方空間を走査させた。

果たせるかな猛烈な加速をしながら接近を図るガミラス艦があった。

しかもかの艦は大口径の陽電子ビーム砲を薙ぐ様に払って最後尾艦を撃沈したのだ。

古代守達を乗せた俘虜輸送艦PZ-06である。
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普通なら追跡されているならそれをまこうとするだろう。

しかし、古代守達が加わったPZ-06の戦法は違った。

<失速転移を利用しやがったか!>ガトランティスの司令は歯噛みした。

失速転移、これは普通は ” 事故 ” に分類される、設定した転移(ゲシュタム・ジャンプ)に必要なエネルギーは
転移(ゲシュタム・ジャンプ)終了直前まで供給し続けなければならない。

しかし、大遠距離の転移(ゲシュタム・ジャンプ)を設定しながらその距離に見合わないエネルギー供給しかないとエネルギー供給に見合った距離でジャンプが終わってしまうのである。 

そう、まるで ” 失速 ” したかの様に突然転移(ゲシュタム・ジャンプ)が終わってしまうのだ。

” 失速 ”時には相当大きいショックが伴い、かつ、機関も痛むので普通は敢えてやろうと思う者はいない。

さらにガトランティスの駆逐艦は後方を攻撃出来る兵装が無いのだ。

もちろん地球艦やガミラス艦は前方発射管から発射した魚雷でも後方を攻撃出来るがガトランティスの空間魚雷発射管制システムではこの能力が省略されているのだ。

「全艦左回頭!」司令は攻撃力が最大限に発揮出来る上面を敵に向けた左回頭を命じた。
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だが、ガトランティス駆逐艦隊が攻撃態勢に移る前にPZ-06は艦隊の位置を通りこしていた。

しかもすれ違い座間に近距離から小口径の陽電子ビーム砲を近くの敵艦に喰らわせ撃破した。

さらにガトランティス駆逐艦隊の隊列をネルソン・タッチで分断するとそのまま隊列の裏側に出た。

光速兵器で重武装しているガトランティス駆逐艦といえども下面の武装は最低限のものしか無かった。

まばらに浴びせられる光速兵器のビームを尻目にPZ-06は次の最大ゲシュタム・ジャンプに移っていった。


                                       109.星、越えし先の君(4)→この項、つづく
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by YAMATOSS992 | 2013-10-29 21:00 | ヤマト2199 挿話 | Comments(0)