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宇宙戦艦ヤマト前史

yamato2199.exblog.jp

宇宙戦艦ヤマト登場前の地球防衛軍の苦闘を描きます。

109.星、越えし先の君(4)

 「渡さない! あの ” デスラー ” には ” プラートの雷神 ” は渡さない!」サターニャ・ラストフ中尉は大きく
損傷してコントロールを失い、ガミラスの地表をめがけて墜落してゆく自艦の僅かに残された操艦範囲で自艦の
進路を ” ガミラス ” から ” イスカンダル ” へ徐々に変更しつつあった。
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「艦長、何故、軍の命令に背くのです。 私は場合によってはあなたを”反逆者” として射殺しなければなりま
せん。」 ” 三つ目のガミロイド ” ゲルド副長が言った。

「あんただって ” スターシャ ” 猊下に助けて貰った口でしょ。」サターニャは艦のコントロールに専念しながら
言った。

<確かに・・・。 あの時、” スターシャ ” 猊下のお助けがなければ私の”生命”は無かった。>

ゲルドは大破しつつ、サレザー系に帰ってきたケルカピア級航宙駆逐艦の艦長だった。

そのまま ” イスカンダル ” に墜落し、瀕死の重傷を負ったが、” スターシャ ” がその ” 魂の記憶 ” を取り出し
てくれた。

ただ、” 魂の器 ” となるべきものが、一緒に回収されたガミロイドしかなかったため、体はガミロイド、心は
”ガミロン ” と言う奇怪な存在となった。

ただ、ゲルドの勇猛果敢な戦いを知るディッツ提督の嘆願で名誉二等臣民と言う地位を与えられ、現在の
任務に付く事になった。

<確かに ” スターシャ ” 猊下なら ” テロン ”も保護してくれるに違いない。>

<艦長の考え通り、”プラートの雷神”の”デスラー総統への謁見”は興味本位なものだろう。

”デスラー総統”が興味を失えば即、”処分”されるのは確実だ。>ゲルドは艦長が一緒に戦ってくれた戦友に
そんな無残な最期を迎えさせたくない気持ちは良く判った。

現に星系内防衛を担当するデスラー親衛隊は誰何する事もせず、サレザー系内にゲシュタム・アウトしたPZ-06
を攻撃、大損害を与えていた。
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確かにガミラス軍規では防衛上の理由で第五惑星エピドラの軌道より内側にゲシュタム・アウトする事は禁じら
れていた。

だが、PZ-06のゲシュタム・アウト地点はギリギリではあったが第五惑星エピドラの軌道より外側であった。

だからこそ、”誰何 ”が必要な場面であったが、デスラー親衛隊にとっては国軍を叩く良い機会と考えたのだ
ろう、有無を言わさぬ攻撃を加えてきたのだ。

<確かにあんな奴等に ” プラートの雷神 ” は渡せない・・・。>ゲルドは意を決すると守達を押し込めている
牢に向かった。

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古代守達三人は慣性制御が働いているにも関わらず左右に激しく掛かるGに異常事態が起きているのを感じて
いた。

<また、戦闘に巻き込まれたのか!>先のガトランティス駆逐艦隊との戦闘はこちらが主導権を握って何とか
切り抜けたが今度はこちらが奇襲を受けたらしかった。

三人は何とか鉄格子に摑まってG変動に耐えていたが、そこに”三つ目”のゲルドがやって来て牢を開き三人を
外に連れ出した。

そして艦底近くにある脱出艇に乗せた。

守は艇内にあるシリンダーに入れられベルトで体を固定される時、ゲルドの動きが今までと違って妙に人間くさく感じられたのを不思議に思った。

ゲルドは守の体を固定したベルトと彼の体の隙間に薄い物体をさしこんだ。

「何だ、これは?」守は思わず問いかけたが、ゲルドはそれには答えず別れの挨拶をした。

「” スターシャ ” 猊下によろしく。」ゲルドはそれだけを告げると守の脱出シリンダーの蓋を閉じた。

守は” 三つ目のガミロイド ” ゲルドが単なるガミロイドではなかった事に初めて気が付いた。

思えばサターニャの治療依頼に来た時に交わした会話は戦闘用ロボットには不似合いな高度な内容のもの
だった。

<そして今、彼は損傷した艦から俺達を脱出させようとしてくれている・・・。>

<彼もまた、苦悩を背負う ”人” なのだ。>と言う事に気付かされた守は ” 戦争 ”の持つ理不尽さが許せな
かった。

「ゲルト! もう持たないわ! テロン達を脱出させて!」艦内放送でサターニャがゲルドに命令した。

しかし、次の瞬間、小爆発が起こり、PZ-06は完全に失速してイスカンダルの大地、青水晶の咲き誇る草原に
叩きつけられ太破した。
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古代守は着地寸前にPZ-06から脱出カプセルで打ち出されたので重傷を負ったが生きていた。

<皆、死ぬな!>薄れ行く意識の中で古代守はユキカゼ・クルーのみならず、一緒に旅をし、苦難を乗り越えた
PZ-06のサターニャ・ラストフ中尉やゲルド副長の安否も思わず気遣っていた。


                                       110.星、越えし先の君(5)→この項、つづく
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by YAMATOSS992 | 2013-11-10 21:00 | ヤマト2199 挿話 | Comments(2)
Commented by チハ兄さん at 2013-11-21 14:40 x
早く続きが読みたいです。
Commented by YAMATOSS992 at 2013-11-23 13:30 x
申し訳けありません。 ちょっと体調をくずしてしまい、前回も書き上げる
のに時間が掛かってしまいましたが今は全く筆が進まない状態です。
でもYAMATO2199の中では外せないエピソードですので絶対書き上げます。