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宇宙戦艦ヤマト前史

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宇宙戦艦ヤマト登場前の地球防衛軍の苦闘を描きます。

112.星、越えし先の君(7)

 スターシャは守にとって驚くべき事を告げた。

「ベルク・レクター大佐はこうも言いました。『死亡した”テロン”はイスカンダルの大地に埋葬して遣って欲しい、
”敵地”に埋葬されるより、ここに葬られる方が彼等も安らげるだろう。』・・・と。

失礼しました。『テロン』と言うのは『ガミラス』が、あなた方『地球人』の事を呼ぶ時の呼名です。」
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「確かに 『親衛隊』とはいえ、 高潔な漢(おとこ)ですね。 矜持溢れる処置です。

あなたのおっしゃった事は本当だった、『親衛隊』にも高潔な漢(おとこ)がいる。

気持ちが良い話です。 ラストフ中尉の船を味方だと判っていて攻撃した 『親衛隊』にも 『漢』(おとこ)がいた。
 ハ、ハ、ハッ」 古代 守は高笑いした。

「では、石津一尉と山根三尉の遺体はイスカンダルに埋葬されているのですか? ここに?」守は激しく手を
上下させながら床を指差した。

「正確にはここではなく、郊外にある墓地ですが、確かに埋葬させて頂きました。」スターシャはそばに居た
イスカンドロイドに目で合図を送った。

守のベッドの足元の方向の壁に3D映像が映し出された。

イスカンダルの墓地には異国風の墓標が並び、その数は地平線まで埋め尽くしていた。

それは『地球人』も『イスカンダル人』も区別されていない事も現していた。

ただ、守は『地球人』の墓標だけ墓標正面に四角い枠だけが刻まれており、その内は空白な事を不審に
思った。
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守の疑問はスターシャが解決してくれた。

「お二人の御名前が判らなかったので後で古代さん、あなたが回復されたらあなたの星の『文字』で墓碑銘を
刻もうと考えておりました。」スターシャの言葉に守は驚きを隠せなかった。

「おおっ、それでは書道一級の腕を見せるとしますか! しかし、ここはイスカンダル、墨も筆も無いですよね。」
守は張り切ったが、ここが異星である事に気づき、当惑した。

「文字を書くのに何か道具が必要なのですか? でしたら、これをお使い下さい。」スターシャは一本の棒状の
もの(シルーロ)を渡した。

「どう使うのです?」守は素直に操作方法を聞いた。

「あなたが書きたい文字を脳内に思い浮かべ、そのシルーロの脇にある細長いスイッチを押さえながら文字を
書いてみて下さい。 結果は3Dで前方の空中に示されます。」

守はスターシャに言われた通りにイスカンダルの筆(シルーロ)を使って、まず自分の名前を書いてみた。

空中に現れた文字は『古代 守』、これは今まで自分が書いた内で一番達筆だと自分でも感心した。

「これはどちらの方の御名前ですか?」スターシャが遠慮がちに聞いた。

「これは練習です。  まず、自分の名前を書いてみました。  これはリセットして下さい。

本番を始めます。」守は大きく深呼吸すると副長『石津 英二』(一等宙尉)と航海士『山根 章』(三等宙尉)の
名を大書した。
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「初めて見る文字ですが、”美しい”、流れる様な形をしているんですね・・・。」スターシャは感銘した様だった。
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「最初に書いた『石津 英二(いしづ えいじ)』は背丈が低く、頑強な”遺体”です。

次に書いたのは『山根 章(やまね あきら)』は背丈が高く、痩せている”遺体”の名前です。

これで二人も安らげるでしょう・・・御配慮、感謝します。」守は ”シルーロ”をスターシャの手に返しつつ再び礼を
言った。

「実はあなたに先日の非礼をお詫びした後、『お願い』 をしようと思っていたのは石津と山根、この二人の遺体は
無いと思っていたのでせめて 『墓標』 だけでも建てて貰おうと思っていたのです。」守は思わぬ展開を喜んだ。

「出来ましたわ。」スターシャが唐突に言った。

イスカンドロイドが墓地の3D映像を再び映し出した。
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守は先ほどは□しか表示されていなかった『石津 英二』と『山根 章』の墓に墓碑銘が綺麗に刻まれているのを
見た。

<充分に発達した科学は魔法と区別が付かない。>・・・、かつて親友の真田 志郎が教えてくれた二十世紀の
SF作家の言葉を守は思い出し、確かにその通りだと実感した。



                                       113.星、越えし先の君(8)→この項、つづく
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by YAMATOSS992 | 2014-01-16 21:00 | ヤマト2199 挿話 | Comments(4)
Commented by モー太郎 at 2014-01-18 00:43 x
いつも楽しく読ませて頂いております。

墓碑銘関連エピソードの創作には、正直リアリティ有り過ぎで、
参りました。
本編26話の無理矢理飛ばし感が充足されるようで、イイですねぇ。 
Commented by yamatoss992 at 2014-01-18 10:50
モー太郎さん、いらっしゃいませ。
古代 守達の墓碑銘がちゃんと「日本語」で刻まれていたのは守が
教えたとしか考えられませんでした。

じゃ、誰が「古代 守」の墓碑銘に刻む文字を書いたのか?
私には「守」自身が書いたとしか、思えませんでした。
しかしながら自分の「墓碑銘」を自分で刻むのは勇気のいる事です。
だから練習で書いてみた「文字データ」をスターシャが記録しておいて
守の墓を建てる時に利用したことにしたかったのでこんな場面を創作
してしまいました。

ご気分を悪くされたのでしたら申し訳けありません。

ただ、古代 守 の死は「ヤマト2199」では確定しており、私が書いている
2199挿話「使命の神託」でもイスカンダルで死亡した古代 守 の魂の
結晶が「コスモ・リバース・システム」を握っていました。
が、その支配権を沖田艦長に譲る事で自分の魂の結晶が持つ力を使って
「森 雪」を蘇生させていますので守には死んでもらうしかなかったのです。

しかし、確かに古代 守生存ルートも考える必要があったかもしれません。
ご教授ありがとうございました。
Commented by モー太郎 at 2014-01-18 11:32 x
言葉足らずで、誤解を与える表現で失礼しました。

>ご気分を悪くされたのでしたら申し訳けありません。

全く真逆の意図です。
共感、同意の思いです。
実に自然な創作で、なるほどそうだなと思って読ませて頂いておりました。
古代守が、練習で書いた自分の名が活かされるアイディアに
正直、唸りました。
実に自然で、リアリティのある創作だと感じた次第です。
Commented by yamatoss992 at 2014-01-18 18:18
 私の方こそ”モー太郎さん」のお言葉をきちんと受け取れなかった事を
申し訳けなく思っております。
まだまだ勉強しなくてはなりませんね。

次回は「星超えし先の君」の最終回です。
もう文章は出来ているのですが、画像処理にてこずっており、まだ少し時間が
懸りますがお楽しみにして下さい。

次回作も構想はほとんど出来ています。
まだまだ作品は続けるつもりですので見守ってやって下さい。