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宇宙戦艦ヤマト前史

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宇宙戦艦ヤマト登場前の地球防衛軍の苦闘を描きます。

125.かの名はアヲスイショウⅡ(ア・ルー) (12) 

 大ガミラス帝星の元・総統府、今は統合庁舎の元・総統専用執務室でヒス首相は次々と入って来る 『皇室・ヨット』
襲撃・事件の報告に 『女皇・ユリーシャ・ガミロニア』の安否が気が気では無かった。
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レドフ・ヒスは内務省の小役人から出世してデスラー政権時代は副総統にまで上り詰めた。

『総統府の茶坊主』、『お飾りの副総統』 などと陰口を叩かれながらもまともな 『政治手腕』の無いデスラーを支え、
政権を維持して来たのは実質上、彼だった。
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だから、辣腕だが、カリスマ性が皆無の指導者にはイスカンダル王室からガミラスに向けて、皇女を差し向けるから
『皇室』 を開いたらどうか?との申し出は渡りに舟だったのだ。

そして、驚いた事にやって来たイスカンダル・第三皇女・ユリーシャ・イスカンダルは 『立憲君主制』・ 『君臨すれども
統治せず』を宣言した。

これは自分は大ガミラス帝星の表の顔として外交や内政の矢面に立つが、実質上の支配はガミラス臣民が憲法を決め、
それに従って政治は行うべし、との宣託だった。

『皇室』をどう操ろうか、画策していたレドフ・ヒスはこの宣言を聞いて自らの小ささを思い知った、 そして、本気で
『皇室』 と 『ガミラス・政府』の二人三脚の実行に奔走し始めた。

デスラー政権下でもデスラー自身は政治、特に内政には無関心で 『君臨すれども統治せず』の状態になってはいたが、
非公式なものだったので内政面はヒスが一人でしょい込む形となり、当然、細部まで目が行き届かなくなり、その事が、
秘密警察とも言える 『親衛隊』 の跳梁跋扈を許す事になってしまい、惑星オルタリアの惨劇を代表とする惨禍の原因と
なった。

また、先のテロン艦 『ヤマト』 との戦いではデスラーは事もあろうに 『ヤマト』 を帝都バレラスに誘い込み、バレラス毎、
『ヤマト』 を破壊しようと企んだ。
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そのあまりの身勝手さにレドフ・ヒスはとうとうデスラーを見限り、政権を掌握、ガミラス帝星をまとめ上げ様としたが、彼の
『人望』 の無さが帝星内部に混乱を呼んだ。
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だが、今度は彼の後ろには 『ガミラス・皇室』 が付いてる・・・、そう考えるだけで自分は何と言われ様と彼は全てを掛けて
政務に邁進する覚悟が出来ていた。

その彼の心の拠り所、『ガミラス皇室・女性皇帝・ユリーシャ・ガミロニア』が宇宙の彼方で正体不明の襲撃者の攻撃を
次々と受けているのだ、心配にならない訳がなかった。

ガデル・タラン中将が入室を求めて来た、本来ならタラン将軍はヒス首相の直属の部下では無かったが、ディッツ提督と
並ぶ 『親・皇室・派』 であり、ヒスの相談役の一人でもあった。

「大変です。 イスラン星系において 『皇室・ヨット』 がまた襲撃を受けました。」それはヒスが一番、聞きたくない報告
だった。

「しかし、『猟犬』 UX-01のフラーケン中佐と ドメル・船長の連携作戦でこれを退けました。

そして、今度は襲撃者がはっきりしました。 ダール・ヒステンバーガー・大将です。 ユリーシャ様は隠して措かれるつもり
だった様ですが、私の潜ませておいた密偵が知らせて来ました。」タランはやはり思った通りだった、と言う顔で報告した。

「して、差し向けられた戦力は、やはり、ガイデロール級戦艦・戦隊か?」ヒス首相は投入された敵戦力を聞いた。

「それが・・・。」タランは口ごもった、自分でもこの戦果は信じられなかったからだ。

「どうした、あの ユリーシャ様の事だ、多少の事ではもう驚かんぞ・・・。」ヒスは机の上で掌を組み、微笑した。

「捕獲したのは 『ハイゼラード級』・戦艦・戦隊・二個、四隻、『ゼルグート級・超弩級戦艦』一隻、ヒステンバーガー大将の
旗艦『バル・ガル』です。」タランは半信半疑で答えた。
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「何だと! 『皇室・ヨット』は確かに 『ハイゼラード級』・戦艦をベースにした艦だが、主砲や魚雷発射管の大半を下した
『丸腰』 の艦だ、それが 『ハイゼラード級』・戦艦はともかく、『ゼルグート級・超弩級戦艦』まで退けたと言うのか、護衛の
フラーケンの働きか!」ヒスは 『猟犬』 の餌食になった多数の命を思った。

「それが良く判らないのですが、『戦死者』は敵・味方とも皆無だそうです・・・。」タランも信じられないと言った顔で首を
横に振りつつ報告した。

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『皇室・ヨット』による『共栄圏』 内を 『行幸・視察』し終わったガミラス女皇、ユリーシャ・ガミロニアは『行幸の成果』を
報告する園遊会を催した。

それは質実剛健を旨とし、一杯のグラスしか出さないガミラス風では無く、もてなしの料理もふんだんに用意された
イスカンダル風(実は地球風)だった。

賓客一同はその珍味や美酒に酔いしれていた。

しかしながら、招かれた一部の『旧・貴族』達は生きた心地がしなかった。

三度に渡って行われた 『皇室・ヨット』 襲撃事件については何も報告されず、現場で逮捕されたヒステンバーガー・大将
以外、誰も拘束される事も無かったが返ってそれが不気味だった。

そのヒステンバーガー・大将もどこに拘束されているやら、全くの行方不明だった。

辺りが騒めいて、演壇の右端の方に立っていた者から順に姿勢を低くしたので後ろから見るとまるで波が打つ様に
見えた。

彼等は入場して来たイスカンダルの女王、スターシャ・イスカンダルに対して胸の前で手をクロスさせ、膝を着く最敬礼を
していたのだ。
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「ガミラス『貴族』の皆さん。 私はイスカンダルの女王、スターシャ・イスカンダルです。 今、私がここにいるのは・・・。」
演壇に登ったスターシャはアベルト・デスラーとの捻じれた因縁、それに依ってもたらされた、数々の惨禍と悲劇について
語り、そして詫びた。
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「人口の殆ど居ない、イスカンダルはともかく、ガミラス帝星は吸収した諸惑星を含め臣民は膨大な数に登ります。

 
妹・ユリーシャがとりあえず救援して来た惑星オルタリアなど、まだまだ継続的な支援がなければ滅んでしまいます。

ですから、私は皆さまにお願いしたい、『貴族制度』はデスラー・総統によって廃されました、が、今一度、『貴族制度』を
復活させ、『ガミラス・皇室』 を支えて戴けないでしょうか! ユリーシャ・一人ではこの難局は乗り切れないのです。

どうか、皆様のお力をお貸しください!」 ガミラスの誰もが崇拝する神の如き イスカンダルの女王、スターシャ・
イスカンダルが 『貴族』とはいえ、一般・ガミラス臣民に頭を下げたのだ、これは彼等『貴族』 にとっても衝撃的な出来事
だった。

「勿体無い、我等など、どれ程の力をお貸し出来るでしょう、しかし、ここに居る者、全員、『全力でお仕えする事』 を誓い
まする!」マルド・ヴォッテル・大将が応えた。

「有難う、マルド・ヴォッテル・大将、貴方はデスラー政権時には官房長を務めていたわね、皇室を支えるのに相応しい
『力と経験』 を持っているわ。  ユリーシャをお願いします。」再度、ヴォッテル・大将、個人に頭を下げるスターシャ、
崇拝する女王が自分の事を旧来の職務についてまで記憶してくれていたのだ、彼が感激しないはずは無かった。
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そして他の賓客達にもその感激は津波の様に伝わって行った。

「『高貴なるイスカンダル(ルード・イスカンダ)』、『高貴なる女皇(ルード・ガミロニア)』」の歓声で会場は沸き返った。

「今度はユリーシャ本人が皆様にお話しがあるそうです。 それでは皆さん失礼します。 後はユリーシャ、初仕事
頑張ってね。」歓声が一段落するとスターシャはユリーシャに場を譲る合図をした。



                                  126.かの名はアヲスイショウⅡ(ア・ルー)(13)→ この項、続く
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by YAMATOSS992 | 2014-02-21 21:00 | ヤマト2199 挿話 | Comments(2)
Commented by モー太郎 at 2014-02-22 21:20 x
YAMATOSS992さん
「かの名はアヲスイショウⅡ(ア・ルー) 」完結ありがとうございました。
最後まで 楽しまさせて頂きました。
ヒス元副総統、オリジナルヤマトでは、無下にデスラーに射殺されたからこそ、
新ヤマトでは、生まれ変わったキャラのひとつで有りながら、
新ガミラスワールドではキーパーソンの人物なんだと、
今回改めて思いました。

また新作、創作があることを期待しております。
(笑)
Commented by YAMATOSS992 at 2014-02-22 21:54
モー太郎さん、御愛読有難う御座いました。
実はこの「かの名はアヲスイショウⅡ(ア・ルー) 」を書こうと思ったのは
ユリーシャの運命を書きたかったのが主ですが、実はバレラス戦でヒスが
群衆に押し潰されたヒルデ、2級臣民(名誉臣民ではありますが、)を
躊躇いつつも救出する姿にこれからのガミラスを率いる指導者の姿を
見た思いがしたのも事実です。
ユリーシャとヒスの二人三脚で本当の共栄圏を作り上げて行く姿、
いつか描いてみたいと思います。