135.「宇宙戦艦ヤマト2199」 世界における戦闘艦のデザインと用法について
90度あったとしても、一方向に使える砲塔は四基では無く、三基である。
常識的に考えれば60度位が限度でその場合は一度に使える砲塔は二基が限度でこれは装備している砲力の半分で
しかない。
加減速全てを手持ちの推進剤で行わねばならない戦闘宇宙艦ではこんな無駄な重量配分は許されない。
(ヤマト・ワールドでは推進剤の問題に積極的に触れてはならないのだが・・・。)
地球艦やガミラス艦の様に艦の上下に砲塔を配置するか、拙著、「ヤマト前史」本編に登場する欧州連合駆逐宇宙艦
Z級の様に三列配置にするのが合理的である。
これなら、艦の軸線を中心に艦をロール回転させれば常に最大火力を集中させる態勢を簡単に執れる。
これならば艦をロール旋回させる事でどの方向にも全火力を注げるからである。
この場合、砲塔はジンバル方式の支持架を持つ必要がある。
こうした思想に従ってガトランティス艦を評価・分析すると艦橋のある上面を敵に向け、ククルカン級駆逐艦なら駆逐艦に
しては超大口径のビーム砲を二条を敵に見舞えるし、ラスコー級巡洋艦ならやはり超大口径のビーム砲を最低でも六条
発射出来る事になる。
(ラスコー級とククルカン級の砲はどちらも超大口径だが、ラスコー級の方が回転砲塔に開いた砲口の口径が大きい?)
しかし、敵に晒す投影面積も最大となり、随分と大胆と言うか、危険な構造ではある。
これと正反対の思想で作られているのがガミラス艦である。
メルトリア級の最大攻撃力は前部に搭載された330mm陽電子ビーム・カノン砲塔である。
これは三連装でしかもミシガン背負い式に設置されている。
そして、地球艦もそうだが、ガミラス艦もどちらかと言えば細長い形態をしている。
これは前面投影面積が少ない事を意味している。
前面投影面積が少なければ敵の攻撃を被弾する率も少なくなる、そしてそこに最大火力を集中する様になっている
のだ。
(バーガー少佐の第七駆逐戦隊が小マゼラン雲に侵入したガトランティス艦隊に襲い掛かった時の隊形がまさにこれであった。)
そして側面装備の280mm陽電子ビーム・カノン砲の存在も理解に苦しむ装備である。
(前方指向している砲はまだしも後方を指向している砲は使い道が判らない?)
この辺り、制作サイドの設定・考察の甘さが露呈している様に感じてならない。
まとめてみると、
地球艦:側面戦闘を重視するも出来るだけ全周方向に火力を注げる様、配慮している。
ガミラス艦:全周方向への火力の集中は一応、考慮しているものの、主戦闘方向は前面である。
ガトランティス艦:主戦闘方向は艦の首尾線軸に対して直角、しかも上方である。
多数付いている副砲は主砲の軸線とほぼ直角であり、主砲射撃時にその死角を守る目的がある?
と、まぁ、知識と妄想の限りを尽くしてヤマト2199に登場する各勢力の艦艇を考察してみたが、如何だったであろうか?
この考察は妄想を多分に含んでおり、絶対の物だとは私は考えていない。
例えばガトランティス艦の主戦闘方向は上方だとしたが、正確には上方宙域である。
また、上記・画像ではククルカン級、ラスコー級、はてはナスカ級まで右斜め上の敵にビーム攻撃を仕掛けている。
やはりガトランティス艦の回転砲塔の仰角は約0度~約90度と非常に広いものである事を窺わせる。
しかし、アニメの後設定とは難しいものである。
この項、了