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宇宙戦艦ヤマト前史

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宇宙戦艦ヤマト登場前の地球防衛軍の苦闘を描きます。

139.夢幻の 宇宙戦艦・・・『扶桑』 (フソウ) ー (4)

 「なんですって! 国連宇宙海軍の首席参謀に指名された・・・!」 菅野一尉が連れていた女性士官は呆れて言った。

「そんな目で見ないでくれ! これは沖田のジジイの企みだ!」秋山は先程のシェーア提督との会見を報告した。

「新見君、彼は特別なんだ、何しろ『史上最年少の提督』だ、我々とは違う・・・。」菅野は寂しげに言った。

「お前らしくないぞ、やっかみか・・・。」秋山は何か裏切られた様な気がした。

「やっかみ・・・か、まぁ、『無い!』と言ったら嘘になる、しかし、秋山、やはり、お前は俺達『ボンクラーズ』のエースだよ! 
おめでとう!」 菅野は改めて握手を求めた。

『ボンクラーズ』とは士官学校のヤンチャな連中を総称して言う、秋山の代では『古代・守』、『菅野・一郎』、『御蔵・以蔵』
そして『秋山・真彦』だった。

秋山はその『ボンクラーズ』の呼び名に自分も入っているのかと思うと少し戸惑いを覚えたが、差し出された菅野の手を
思い切り握り返した。

しかし、菅野の力の方が強く思わず悲鳴を挙げた。

「痛ってな。 まるで『ガミラスのビーム』を喰らったみたいだぞ。」 秋山は先程、シェーア提督から教えられた『敵』の名を
口にした。

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「『ガミラス』って、まさか今、襲来して来て居る”エーリアン”の名称が判ったのか?」 菅野は驚きを隠せなかった。

「それって第一級の機密事項じゃないのですか?」 新見と呼ばれた女性士官が恐る恐る聞いた。

「いや、今頃、人類の支配圏全てでこの『敵』の名は全人類の力を結集する目的の為に発表されているはずだ、機密でも
何でも無い!」秋山は言い切った。

「ところで、こちらの方はまだ正式に紹介されていないんだが・・・。」秋山は菅野と新見の顔を見比べた。

「私は名乗る程の者では・・・。」新見が手を下半身の辺りで指を組み、もじもじした。

「『胸と尻のデカイ女』は『頭が悪い!』ってお前の持論だったよな?」菅野は秋山を肘で小突いた。

「それは違う! 『頭が悪い!』なんて失礼な事を言った覚えはない!」いきなり昔の自惚れを持ち出された秋山は
慌てた。

「じゃあ、何ておしゃったのですか?」新見女史が悪戯っぽく聞いた。

「『虚ろだ』と言ったのです。」秋山は決まり悪そうに応えた。

「それは『同じ事』ですわ。 私だって好きで巨乳、ボテ尻になった訳ではありません。」新見はプイッと横を向いて見せ、
業と機嫌を損ねた振りをした。

「あ~ぁ、防衛軍一の『才媛』を怒らしちまった! 知らないっと。」菅野も秋山を見離した。

「『才媛・・・。』 ちょっと来てくれ!」 秋山は新見の手を握ると強引に引っ張って繁華街の中に消えて行った。

新見もあまりにも秋山が強引なので何の抵抗も出来ず、引き摺られて行った。

後には何が起こったのか、訳も判らず呆然とした菅野一尉が残されていた。

「悪い! ちょっと彼女を借りる! 後で奢るからかんべんな!」 遠くから秋山の声が聞こえた。

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「有難う、3792号室だな。」秋山はカード・キーをフロントで受け取ると新見女史を引き立てる様に部屋へ向かった。

二人がエレベーターに消えるとフロント係の若い男が言った。

「こんな真昼間から『制服』のままで『逢引き』とは防衛軍も余裕ですね。」

「反対じゃよ。『恥も外聞もなく』打合せをしなければならない位、『ガミラス』(だったかな?)は強敵なのじゃろう。」 
老マネージャーは先程流れた緊急ニュースを思い出していた。

二人が部屋に着くと新見女史は乱暴に部屋に放り込まれた。

目の前には豪華なダブル・ベッドがあった。

それを見て流石に新見女史も秋山の思惑を図りかねて言った。

「あんたの相手なんてまっぴらよ! 私を安く見ないで!」普段使わない乱暴な言葉使いを精一杯して凄んで見せた。 

「新見・薫 三等宙尉、あの真田志郎の後輩に当たる『才媛』か・・・、博士号をいくつも持っていると聞く、だから今の俺は
君の『才』の部分に用がある、『媛』の部分には要がない、だから『操』の心配はしないでいい。」 秋山は手にしていた
タブレットを素早く操作しながら新見女史の顔を見もせずにその啖呵に答えた。

「それが無神経だって言うの! 確かに私は『年増』よ、でも確かに『女』でもあるの!」 新見は恋人(と思っている?)の  
古代・に放っておかれている寂しさも手伝って怒りを爆発させた。

そんな彼女の『怒り』を無視して秋山は彼女の顔前に先程まで操作していたタブレットを差し出して言った。

「これを見てくれ、君の意見を聞きたい。」

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最初は不貞腐れていた彼女だったが、そのタブレットの画面を見ると顔つきが変わった。

「秋山三等宙将、これは『ガミラス』でしたっけ、敵の『ビーム兵器』・・・。  しかし、ずいぶんエネルギー密度の低いビームですね。 こんな兵器に我々は大損害を出したのですか?」 新見女史は眼鏡のツルに手を遣り、タブレットの画面を
凝視した。

「そうだ。 天王星軌道上でのファースト・コンタクト、土星圏での米ソ連合艦隊による迎撃、悔しいが、全て退けられた。」秋山は拳を握りしめ、無念の想いを表した。

「だとすると、エネルギー密度が低いのにそのビームに高破壊力を持たせる為には我々が使用しているレーザーや
荷電粒子砲とは異なった『理論』が必要になって来ます。」 新見女史は自信ありげだった。

「なんだその『理論』とやらは?」 秋山がじれったそうに新見の両肩を掴んだ。

「『反物質』です。 たぶんこの『ビーム』はその中でも取扱いの易しい『陽電子ビーム』だと思われます。」 新見は
仮説を述べた。

「『反物質』? 『陽電子ビーム』・・・?」 秋山は何かまだ腑に落ちない様だった。


                                  140.夢幻の 宇宙戦艦・・・『扶桑』 (フソウ) ー (5)→ この項続く


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by YAMATOSS992 | 2014-06-16 21:00 | ヤマト2199 挿話 | Comments(0)