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宇宙戦艦ヤマト前史

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宇宙戦艦ヤマト登場前の地球防衛軍の苦闘を描きます。

140.夢幻の 宇宙戦艦・・・『扶桑』 (フソウ) ー (5)

  「いきなり、『反物質』だの『陽電子ビーム』だの随分、『飛躍』した話だな、何故そう思う?」秋山は新見女史に詰め
寄った。

「貴方はさっき私の『才の部分に要がある』って言ったわよね。」新見女史は秋山の胸元に顔を埋めた。

「ああ、確かに言ったが・・・。」秋山は新見の思い掛けない行動に少し戸惑った。

「じゃぁ、これはどうした事かしら?」新見は秋山の両膝の間にタイト・スカートに包まれた右の太腿をこじり入れて言った。

「ウフッ、貴方を感じる・・・身体は正直な物ね。」妖しく微笑んだ新見は幾つもの博士号を持つ技術者では無く、
高級娼婦の様だった。

「俺には時間が無いんだ、今はこんな事をしている場合ではない! 教えてくれ!! 『ガミラスのビーム』の秘密を!」秋山は
新見の両肩を掴んで自分の胸から引き剥がした。

「そう、貴方は私の『女』の部分には要がないのね、でも、私は貴方の『漢』を見てみたい・・・、だったらこうしましょ。」
新見は交換条件を示した。

「私が貴方を『納得』させられたら、貴方は私を『満足』させる・・・、これでどう?」秋山には美味し過ぎる提案だった。

「良いだろう・・・。では貴女の御高説を伺おうか。」秋山はベッドから離れた小机の椅子に腰かけ、足を組んで言った。

「ん、ん、それでは説明します。」一人高級絨毯の上に取り残され、娼婦から大学講師に引き戻された新見女史は自分の
タブレットを操作して画像を映出し、説明を始めた。

「問題は『ガミラス』艦の発するビームの『色』です。 さっき見せて戴いた通り『赤い』ですよね。 
これはこのビームのエネルギー密度が低い、つまり低出力だと言う事を表しています。」新見の掲げるタブレットの
画面には太陽スペクトルの画像が映し出されていた。

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「こんな出力では我々が主用するレーザーでも荷電粒子砲であっても無装甲の貨物船すら貫く事は叶いません。」
新見は秋山の反応を窺った。

「しかし、現実には、我々の兵器は一部の核ミサイル兵器を除いて『ガミラス』に通用していない。 
反対に『ガミラス』のビームはこちらの戦艦の装甲をボール紙の様に貫いてくる、そこが問題なんだ。」秋山は座っている
椅子の肘掛をドンと叩いた。

「いや、まてよ、確かに『反物質・弾頭』を付けた核ミサイルは直撃した時だけだが『ガミラス艦』に損害を与えたと聞く、
やはり『反物質』は有効なのだな!」秋山は子供の様に狂喜した。

「『反物質』って何だか知っています?」新見は先程の反応から秋山が『原子物理学』は素人同然だと踏んでいた。

「ば、馬鹿にするな! 我々の世界の『物質』とは持っている『電荷』が逆の素粒子から出来ている『物質』の事だ。」

「まぁ、当たらずと言えども遠からず・・・ってとこかしらね。 じゃあ、その二つがぶつかり会ったら、どうなります?」
新見は意味有り気に上目ずかいで秋山の顔を見た。

「お互い粉々になる・・・まぁ高速でぶつかれば・・・だが。」『原子物理学』に疎い秋山は言葉を濁さざるを得なかった。

「やっぱり、『反物質』の事、本当のところ、理解してませんね。」新見は両手を広げて呆れて見せた。

「両者が本当にゆっくり接触したとしても『対消滅』反応を起こしてその質量は共にエネルギーに変換され、四散します。」
新見はきっぱりと断言した。

「それがあの『ビーム』がエネルギー密度が極めて低いのに強烈な破壊力を持つ理由か!」秋山はさすが天才と
呼ばれるだけの事はあった。

確かに人類の持つビーム兵器は例え敵に命中してもビーム直径分の『穴』を開けるだけだ、だからビームを『薙いで』
破壊範囲を広げる必要がある。

しかし、『ガミラスのビーム』は『反物質の粒子』を加速したものだから『正常物質』の艦体・装甲に当たるだけで
『対消滅反応』を起こして大爆発を起こして損害を与えるのみならず、爆発で蒸発した金属蒸気にも反応して被害を
拡大する事が出来るのである。

「だけど何故、その『反物質』が『陽電子』だと決めつけるんだい?」これだけの情報でビームの正体まで告げた新見の
発言が気になった秋山だった。

「造るのが簡単だからです。 それこそ低出力ですが医療分野では二十一世紀には既に癌治療などに使われていまし
たわ。」新見はさらりと言ってのけた。

「なんだって! そんな前から使われていたのか? じゃなんで兵器化されなかったんだ!」秋山は呆れた。

<人類の歴史は破壊と殺戮に満ちていたはず、『陽電子』が作れるのなら当然、それを利用した『陽電子・ビーム砲』が
作られていてもいいはずだが・・・?>彼の疑問は深かった。

「二十一世紀にはまだ人類の大半は地球上にいたんですよ。  大気圏内で『陽電子・ビーム』なんか発射したらどうなり
ます? 『ボンクラーズ』でも判るでしょ。」新見は当たり前の様に言った。

人類同士の戦いは今では宇宙空間にまで広がってはいたが、そこで用いている兵器は第二次内惑星戦争で『火星・
独立派』が『地球』に対して行った『遊星爆弾攻撃』を除き、地球・大気圏内で使用されていた兵器の延長線上にあるもの
ばかりだった。

< だから芹沢一等宙将は今度の遭遇戦が『人類同士の和やかな戦争』とは違う!と主張していたのか!

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あの『先制攻撃命令』もその信念に基づく物だったのか!>秋山は芹沢に恩義を感じてはいた。

しかし、例の『先制攻撃命令』は性急過ぎたのでは?と言う疑問も捨て切れずにいたのだが、今の新見女史から受けた
レクチャーでそれが一気に晴れた。

「『陽電子・ビーム砲』が実用化しなかったのにはもう一つ理由が有ります。」新見女史は絶望的な事を伝えた。

「『陽電子』の発生には非常に大出力の『陽電子・発生装置』が必要なのです。 
我々の今の技術レベルでは『ガミラス』の様に砲塔に搭載出来る程、小型な『陽電子・ビーム砲』は作れないでしょう。」

「いや、『医療用』にしろ、『研究用』にしろ、過去、既に発生器を造った実績があるなら必ず大出力の戦闘用のものも
造れる!」秋山は新見の言葉に光明を見出した。

「納得なされました?」新見は再び悪戯っぽく微笑んで椅子に座った秋山の顔の前に顔を近づけた。

何時の間にか彼女の上着の第一ボタンと第二ボタンは外されており、秋山の目にも彼女の胸の谷間は露わだった。

「私のレクチャーを『納得』してもらえたのなら、今度は貴方が私を『満足』させてくれる番でしょ?」新見は妖しく哂った。

「判った。」秋山はそれだけ言うと新見の頭の後ろに手を当てると彼女を自分の方に引き寄せた。

新見はうっとりと目を瞑り、その時を待った。

しかし、次の瞬間、自分の胸の谷間に硬質な物が押し込まれて来た違和感に新見は慌てた。

「な、何をするの! 『約束』は『反古』!」

「そのデータ・スティックには俺が集めた『欧州連合を主体とした各陣営』のデータ、もちろん、土星空域で得られた
『ガミラス』の最新情報も入っている。

技術部第十三課に所属する君には役に立つ情報だろう。」その言葉に新見は怯んだ顔をした。

秋山は新見の所属を知っていて懇談の相手に選んだのだ。

技術部第十三課、これは芹沢宙将が独自の権限で作り上げた私設・秘密情報部の『表の顔』だった。

秋山のあの口振りからすると彼は『裏の顔』も知っていると見て間違いないと新見は思った。

<何とかして凋落しなければ今後の任務に差し支える・・・。>焦った新見は直接行動に出た。

「私を『満足』させるって、『約束』したでしょ。」新見は秋山にしな垂れかかっり誘惑」した。

「ああ確かに、そして俺は『約束』は必ず守る! だがその『約束』、期限は未定だ。」秋山は再び新見の両肩を掴んで
自分から引き剥がしてドアに向かって歩き始めた。

「そんな! じゃぁ何時、相手をしてくれるの?」新見は自分が完全に失敗した事を悟った。

彼女の本当の任務は国連宇宙海軍主席参謀に指名された『秋山・真彦』三等宙将の首に首輪をつける事だったからだ。

これは彼女が直接呼び出されて口頭で受けた芹沢一等宙将の密命だった。

「俺はアンタの後ろで糸を引いているのが誰だかなんて今は興味はない! だがこれだけは言っておく、俺は『芹沢の
オヤジ』を裏切る事は絶対にない! 」後ろを向いたままの姿で秋山は言い切った。

「おっと、それとアンタを『満足させる』のは『俺』だとは一言も言っていないぜ。」秋山は肩越しに振り返りつつ、言った。


「はぁ、それはどう言う事?」新見は完全に秋山に翻弄されていた。

「その『データ・スティック、詳細に調べれば、君の知りたい『個人・情報』も判るって事さ。」秋山はホテルの部屋の扉から
顔だけ突き出してウインクした。

両手で小さなデータ・スティックを掲げ持ちながら床にへたり込んだ新見は小さくつぶやいた。

「・・・古代くん。」



                                  141.夢幻の 宇宙戦艦・・・『扶桑』 (フソウ) ー (6)→ この項続く


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by YAMATOSS992 | 2014-06-20 21:00 | ヤマト2199 挿話 | Comments(5)
Commented by kazu at 2014-06-22 18:10 x
>大気圏内で『陽電子・ビーム』なんか発射したらどうなります?

ヤマトが超大型ミサイル迎撃するのに、大気圏内で撃ってましたけどあれはどうなんだろう?・・
ヤマトのショックカノンも陽電子砲だったと思います


陽電子砲って
「対消滅そのもので目標を破壊」
「対消滅で発生したエネルギーで目標を破壊」 のどちらか解らんorz
Commented by YAMATOSS992 at 2014-06-23 09:52
kazuさんいらっしゃい。
  
  確かに堂々と大気圏内で『陽電子ビーム砲』を3回も『ヤマト』はぶっ放していましたね。
(超大型ミサイルの迎撃、木星浮遊大陸での艦隊戦、ガミラス本星バレラスの総統府突入戦、しかも『ヤマト』だけで無くガミラス艦も発砲しています。

ただ、現実の原子物理学の中にも反物質のビームであってもライデン・フロスト現象によって大気圏内でも照射出来るとする学者もいます。

だから、ダメ元で撃ってみたら短射程なら発砲出来た・・・、ってところじゃないでしょうか?

また、新見女史はこの記事の時点では実用化した『陽電子ビーム砲』を間近で見た事がありません。

彼女は『ガミラスのビーム』の威力が『対消滅』にある事を看破しましたが、その論理に従えば『大気圏内での照射』はあり得ないと考えただけの事です。
Commented by YAMATOSS992 at 2014-06-23 09:55
『陽電子砲』の効果についての疑問ですが、通常物質との『対消滅反応』によるものか、『対消滅反応」を起こした結果、生まれたエネルギーによるものなのか、判らないとの疑問を持たれた様ですが、正確には『対消滅反応』自体が破壊効果を生むはずです。

『対消滅反応」を起こした結果、生まれたエネルギーってなんでしょう?

現実の原子物理学では電子と陽電子が衝突し、『対消滅反応』が起こったとするとその時両粒子が持っていたエネルギーは光子に変換されるとされています。

つまり、『対消滅反応』が起こると強烈な光が発生すると言う事です。

光子の質量は零ですから、破壊効果は殆ど期待出来ません。 ですが周囲にある他の金属原子はいきなり自己の電子を奪われイオン化します。

このイオンは周囲にある物質に対して”活性”ですから”破壊効果”を持ちます。

更にこの金属イオン・ガスに『陽電子・ビーム』照射され続けていると接触した時、”陽電荷”を持つ粒子(イオン)は反発し爆発的に拡散します。

これが、ガミラスのビームを喰らった艦船が敵味方問わずに爆発する所以だと思われます。
Commented by 古世人 at 2014-07-13 19:18 x
ビームの色=密度だったとは!波動砲とデスラー砲も同じですか?
Commented by YAMATOSS992 at 2014-07-13 20:30
デスラー砲=波動砲=次元波動爆縮放射器・・・ですよね。

つまりデスラー砲は通常の光速兵器ではありません。

だからデスラーは次元回廊でデスラー砲が使用可能だと考えたと思います。