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宇宙戦艦ヤマト前史

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宇宙戦艦ヤマト登場前の地球防衛軍の苦闘を描きます。

141.夢幻の 宇宙戦艦・・・『扶桑』 (フソウ) ー (6)

  木星の日本プラントは本来、宇宙船建造用のドックを持って居なかった。

しかし、『ガミラス』とのワースト・コンタクトを切り抜けて来た戦艦「キリシマ」は中破しており、本来なら地球まで戻って
修理・改修する必要があったのだが、迫り来る『ガミラス』の脅威に対抗する為、木星のエネルギー・プラントでそれを
行う事になり急造のドックが造られたのである。

また、日本艦隊初の宇宙戦艦である『金剛型』は本来、四隻の計画(『コンゴウ』、『ハルナ』、『ヨシノ』、『ミョウコウ』)
だったが、エーリアンとの接触の可能性が大きくなって来た西暦2180年代半ば、長期計画で『改金剛』級、四隻が追加
発注された。

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しかし、平和な時代が続いたため、『改金剛』級の建造は遅々として進まず、ファースト・コンタクトに間に合ったのは艦番
No.555『キリシマ』だけであった。

艦番No.556『ヒエイ』、No.557『チョウカイ』は建造工事半ばで木星プラントに廻航され、やはり急造ドックで完成工事が
突貫で続行されていた。

そして艦番No.558は図面とキール・チューブ(艦の中央を貫く総合インフラ・シャフト)しか存在せず、『名称』も決まって
いなかった。

「このままじゃ、いくら突貫工事で建造しても『ヒエイ』、『チョウカイ』は両艦とも『ガミラス』に撃沈される為に建造している
みたいですね。」秋山の副官が溜息を洩らした。

「南部重工業、今までの実績から『陽電子・ビーム砲』の製造はやれると踏んだのだが・・・、やはり艦首には大口径高圧
増幅光線砲を積むしかないのか・・・。」

秋山は艦首部分の工事を業と止めている『ヒエイ』、『チョウカイ』の両艦を見詰めながら新見女史の予言を思い出して
歯噛みした。

『陽電子・ビーム』は『反物質』である、通常の『荷電粒子・砲』の『荷電粒子、(金属イオンや陽子)』と異なった『加速方法』
や『方向・制御方法』が必要なのだ。

「ヘイ! アキヤマ!」仮設ドックの彼方から宇宙服姿の男が秋山のインカムに呼びかけて来た。

秋山達は仮説ドックの気密区画に居たので宇宙服は着用していたが、前面のフードは開けていた。

しかし、耳元にはヘッド・セットが取り付けてあり、外の真空・空間にいる人間とも話せるのだ。

「お待ちかねの物、持って来てやったぜ!」声を掛けて来た男は秋山の直ぐ前の気密区画の強化テクタイト製の窓に
ヘルメットをくっ付けながら遥か彼方を指差した。

その指差す彼方には巨大な構造物が列を成してこちらに向かっていた。

「ゲルハルト・・・? ゲルハルトか!」秋山は歓喜の声を上げた。

外の男は右手の親指を立て、オッケー・サインで応えた。

「こちらの方は? 」副官が訝しげに訊ねた。

「ゲルハルト・フォン・ベア少佐、欧州連合ドイツ艦隊の技術将校だ。」秋山はあっさりと越権行為を認めた。

いくら協力して『ガミラス』に抗戦しているとはいえ、今までの諸々の歴史的経緯上、欧州連合とアジア同盟の間には
簡単には崩せない『壁』があったのだ。

それなのに秋山が欧州連合の士官をアジア連合の機密があちおちに転がっている戦艦・建造ドックに入る事を簡単に
許すとは信じられない事だった。

「こっちが『機密』を漏らすのでは無い、あちらから『最新技術』を戴くのさ。」秋山はベア技術将校の指さした彼方を再び
指び示した。

「あれはもしかして『陽電子・ビーム砲』!  欧州連合にも開発を依頼していたのですか?」副官は呆れた様に秋山の
顔を見詰めた。

「おれは国連宇宙海軍の主席参謀だからな、国境を越えて資材や技術を調達出来るんだ。」秋山は得意げだった。

それに今、建造中の戦艦は世界中を捜しても『ヒエイ』、『チョウカイ』、『艦番No.588号』しかなかった。

もちろん、各国とも新造戦艦の建造に着手はしているが『木星圏・防衛戦(モ号作戦)』には間に合いそうもない。

だからシェーア提督は即戦力となるであろうアジア連合の新造戦艦群に優先して試製の『陽電子・ビーム砲』を廻して
くれたのだ。

「しかし、大型の火器ですね。これでは砲塔での搭載はとても不可能です。」副官は『陽電子・ビーム砲』の威力に期待
しながらもその実用性に危惧を抱いた。

 

「まさか、艦首に一門だけ搭載なんてやっつけ仕事は御免ですよ。 秋山総参謀。」副官は自分の危惧を語った。

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<これではまるっきり、『三景艦』の再現になってしまう・・・。>副官の危惧は深刻だった。

「確かに『ヒエイ』、『チョウカイ』は工事が進んでいるのであの大きさの『陽電子・ビーム砲』では一門積むのがやっとだ。」
秋山は副官の危惧を認めるかの様に言った。

「しかし、艦番No.588号は違う、まだキール・チューブしか出来ていないから大幅な設計変更が可能だ。」秋山は目を
輝かせた。

「そう言えば艦番588号は『艦名』がまだ決まっていませんでしたね。」副官が訊ねた。

「真に異文明と戦える最初の戦艦だ。 名前は『あれ』しかないだろう!」秋山は”伝説的”なある『艦名』を告げた。


                                  142.夢幻の 宇宙戦艦・・・『扶桑』 (フソウ) ー (7)→ この項続く


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by YAMATOSS992 | 2014-06-24 21:00 | ヤマト2199 挿話 | Comments(7)
Commented by 古世人 at 2014-07-05 13:02 x
最新作、楽しませております。ところで、「扶桑」に、何かこだわりでも?
Commented by yamatoss992 at 2014-07-05 16:35 x
 「扶桑」の名に対する拘りは確かにあります。
物語の進行に連れてそれは明らかに成りますのでお楽しみに!
Commented by 古世人 at 2014-07-07 12:49 x
早く続きを読みたいです。
Commented by YAMATOSS992 at 2014-07-07 17:35
 ちょっとした雑事で執筆が滞っておりっます。
程なく再開出来る予定なのでそれまでご辛抱下さい。
Commented by sengoku at 2014-07-07 20:26 x
確かに、日本が初めて持った「近代戦艦」ですからね。
Commented by YAMATOSS992 at 2014-07-08 07:17
鋭い「読み」です。 
Commented by 古世人 at 2014-07-08 08:19 x
なるほど、そうでしたか。