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宇宙戦艦ヤマト前史

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宇宙戦艦ヤマト登場前の地球防衛軍の苦闘を描きます。

146.夢幻の 宇宙戦艦・・・『扶桑』 (フソウ) ー (11)

 ヒマリア衛星群の軌道を離れた日本艦隊、国連宇宙海軍特別遊撃隊の五隻は二群に分かれた。

「敵艦隊はアナンケ衛星群を突破し、高速でこちらに接近しつつあります。」 『フソウ』 のC.I.Cに敵艦隊の動向が
報告される。

「敵艦隊の構成は判るか?」秋山は情報士官に問うた。

「大型艦は十隻、どれも地球戦艦を大きく凌ぐ超弩級戦艦です。 その他、護衛艦と思しき中型艦が二十隻余付き従って
います。」情報士官が状況報告を続けた。

この大型艦がガミラスではデストリア級と言う航宙重巡洋艦である事はまだ地球側は知らなかった。

また、ガミラス艦隊の回りを固めている中型艦はガミラスでは小型艦の部類になるクリピテラ級航宙駆逐艦で艦隊決戦の
主力だったがこれも地球側は単なる護衛艦だとの認識しかして居なかった。

「よし、敵艦隊が三十万kmまで接近したら、本艦『フソウ』を中心にして、『ヒエイ』、『チョウカイ』、『ミョウコウ』の各艦は
鶴翼陣を形成して敵艦隊に突撃を掛ける! 陽電子砲・管制・指揮艦『ヨシノ』は現在位置に留まり敵艦の位置情報を
本艦隊に送り続けろ!」秋山が訓練通りの司令を発した。
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本来、「金剛」型戦艦だった『ヨシノ』であったが、艦隊が陽電子砲を効率的にそして正しく管制・指揮出来る様に敢えて
陽電子ビーム砲の搭載は見送り、更に第一、第三の高圧増幅光線砲塔も降ろして大型の合成開口レーダーに積み替えていた。

そして、秋山の指示通りの突撃隊形が整った時、早期警戒艦も務める『ヨシノ』から緊急通信で報告が入った。

ガミラス艦隊はまだ彼我の「陽電子ビーム砲」の射程外だと言うのに多数の空間魚雷を発射、多数の空間魚雷が
接近してくるのが観測されたとの事だった。

「魚雷なら高圧増幅光線砲が効くかもしれん! 全艦主砲で前方から接近する敵魚雷を迎撃しろ!」 秋山は魚雷の
迎撃命令を発した。

流石に幾らガミラス製とはいえ、魚雷まで対ビームの処理はして居なかったが、クリピテラ級航宙駆逐艦は
前方魚雷発射管四門、VLS型魚雷発射管八門と一隻で一度に十二本の魚雷を発射出来るのだ。

ただ前方魚雷発射管四門は次発装填が出来るが、VLSの八門は次発装填出来ないので今回はVLSは発射して
来なかったがそれでも二十隻余のクリピテラ級が発射した魚雷の数はそれでも八十余射線となり、その全てが鶴翼陣で
突撃する日本艦隊を襲った。

それに対し、日本艦隊の各艦は『陽電子衝撃砲』を装備しているとはいえ、固定装備のその砲は対魚雷迎撃には不向き
であった。

しかし、『コンゴウ』級だった時代からの主砲、高圧増幅光線砲は三連装砲塔四基に分けて搭載されており、前方に
指向出来る第一~第三砲塔をビームを発射しながら素早く砲塔を大きく振ってビームを薙いで接近する魚雷を殆ど
迎撃してみせた。
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しかし、それでも二十数本の魚雷がビームの扇を潜り抜け、日本艦隊を襲った。

被害を受けたのは鶴翼陣の左端に位置していた『チョウカイ』である。

被弾したのは新たに設置したバルジ、左舷の部分だった、着弾と同時に爆炎が上がり『チョウカイ』は煙を曳きながらも
突撃は続行していた。

秋山を含め、誰しもが『チョウカイ』の爆沈を覚悟した。

しかし、『チョウカイ』は被弾の名残の煙をたなびかせてはいたものの、それ以上の損害は無かった様だった。

「敵の空間魚雷、弾頭は陽電子爆弾だった様だ。 でなければ、対陽電子ビーム砲用に追加装備したリアクティヴ・
アーマーが有効に働くはずは無い!」秋山はすぐさまこの驚異的な現象を分析してみせた。

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リアクティヴ・アーマー、それは1970年~90年代に各国の戦車に装備された装甲板の常識を180度覆す画期的な
防御システムだった。

原初から軍艦や戦車の装甲は鉄で出来ており、その厚みと装甲に傾斜を付ける事で敵弾を弾き返す事を旨としていた。
(帆船時代の戦列艦は分厚い木製の舷側板を持っており、それが装甲板の役目も果たしていたのが、これは装甲とは
言えない。)

しかし、海戦では戦艦が航空機の威力の前に無力化し、装甲を持つ意味があるのは陸戦で使われる戦車だけになって
しまった。

だが、戦車の徹甲弾も当初こそ、運動エネルギーを直接、装甲貫徹力に結び付ける徹甲弾(AP)が主流だったが、
当然これにはより大きな口径の砲と長い砲身が必要とされ、戦車はどんどん大きく重くなっていった。

しかし、第二次大戦中、モンロー(ノイマン)効果という特殊な爆発形態が再認識され、化学エネルギー(爆発方向の
コントロールをする)弾が使用出来るようになり、歩兵が運搬出来るバズーカやパンツァーファースト等が戦車相手に
善戦する場面が見られた。
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そして、このモンロー(ノイマン)効果は装甲板に対して適切な距離で炸薬が爆発した時のみ、戦車装甲を貫徹出来る
高温ジェット噴流を発生させる事が出来るのでかえって弾速は遅い必要があり、旧式化した小口径対戦車砲や中口径
短砲身砲にも使えるので当時劣性だった独軍や対戦車・火器が不足していた連合軍双方に普及した。

だが、この成形炸薬弾は戦車の車体に薄い鉄板のスカートやシェルツンで簡単に防ぐ事が出来たため、独戦車など
シェルツンで囲まれた不格好なシルエットが標準装備になった位であった。

しかし、攻勢に出ていた連合軍は機動性を確保する必要から無駄な重量増加によって機動性が落ちるのを嫌い、
こうした戦車・補助装甲の装備は採用され無かった。

そして、この補助装甲の一番の問題点は、装甲板自体が薄いので運動エネルギー弾に対しては効果がほとんど
無い事であった。

また、大鑑巨砲が命の戦艦と違って戦車は多目的に使われる兵器であり、対戦車兵器に特化する事は避けなければ
成らなかった。

第二次大戦が終わると巨砲・重装甲の戦車は機動性が悪過ぎ野戦には向かない事が問題となり、東西両陣営とも
砲は大き目の物を搭載するが装甲はある程度の薄さで我慢し、機動力や射撃指揮装置を充実させた「標準型戦車」
(MBT)を大量に配備した。

 世界大戦は終わったものの、世界的に見れば各地で紛争は続いており、特に中東はイスラエルとアラブ諸国の
紛争が深刻だった。

イスラエルはユダヤ人ネット・ワークの厖大な資金源を持ち、大量の兵器を高価で輸入出来たが、アラブ諸国は
オイル・マネーの恩恵をまだふんだんには受けて居らず、成形炸薬弾を用いた対戦車兵器を多数導入する事で
イスラエル戦車に対する対策とした。

イスラエルにしてみれば高価な戦車が安価な対戦車兵器の餌食になってしまうのではたまったものでは無い。

この為、新しい戦車・防御システムの研究を始めた。

その結果、中空装甲、複合装甲、爆発反応装甲等が実用化された。

しかし、中空装甲は古くからあった物の改良で、複合装甲は中空装甲の空隙部にセラミック等の固い異物を挟み込み、
徹甲弾、成形炸薬弾双方に効果があるとされたが幾ら内容が変わっても装甲板と言う受け身のシステムである事に
変わりは無かった。
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だが、爆発反応装甲は今までの装甲とは全く違った考え方で作られたものだった。

対戦車兵器に革命を起した成形炸薬弾はその名の通り、炸薬が成形された状態を保ち、爆発した時、爆発力を
前方に向かってメタル・ジェット噴流として集中する事で敵戦車の装甲を溶かして穴を空け、車内に高温のジェット噴流を
吹き込んで乗員を殺傷する兵器だった。

では成形炸薬弾が戦車の装甲に命中した途端、装甲表面が爆発すればどうなるか?

成形炸薬弾の成形が崩れるか、爆発しても破壊力を持つ高温メタル・ジェット噴流は装甲板表面の爆発によって
吹き散らかせれてしまい装甲板を貫徹する事は出来なくなる。

命中したのが徹甲弾だった場合は成形炸薬弾の時程の効果が無いが、それでも同じ厚みのただの装甲板よりは強い
耐弾性を示した。

ただ、爆発反応装甲が作動すると戦車と行動を共にする味方歩兵も殺傷してしまう、機銃弾で撃たれた位でも爆発して
しまう等の問題もあったのだが・・・。

とにかく、今までの装甲板の概念を覆す装甲、『爆発反応装甲』が実用化したのであった。

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地球陣営、特に日本宇宙海軍はガミラス艦の主兵装が陽電子ビーム砲だと思い込んでいた。

だから反物質である陽電子を防げる装甲は無いと判断した。

だからといって何も防御手段を講じなければ土星会戦で全滅した米ソ連合艦隊の二の舞になる事は確実だった。

しかし、軍技術部の老士官が爆発反応装甲の事を思い出した。

艦の両舷に大き目のバルジを取り付けその内側に水を満たしておくのである。

陽電子ビームがこのバルジに命中するとその外皮はとても装甲とは呼べない程、薄い金属板なので簡単に
陽電子ビームは貫通するがバルジの内側には水が満たされており、急激な減圧でその水は気化する。

当然、通常物質である気化した水(水蒸気)は陽電子ビームと対消滅反応を起こす。

そして、その水蒸気は貫通口から外の真空宇宙に広がりつつ、雲状に艦体に纏わり着き、陽電子ビームを戦艦本体に
辿り着かせない、そんな考え方だった。

勿論、バルジの内側は細かく細分化された上で水が満たされており、複数の被弾があってもバルジ内の水を一編に
失う事の無い様、工夫されていた。

試作品の陽電子ビーム砲で試作装甲を射撃してみると、確かに効果がある事が確かめられ、演習に明け暮れていた
「コンゴウ」、「ハルナ」、「キリシマ」以外の「モ号」作戦・改装を受けた「金剛」級、「改・金剛」級には全て
バルジが装着された。
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この新型装甲はリ・アクティヴ・アーマー(反応装甲)と呼ばれていた。

”爆発”反応装甲(エクスプロージョン・リ・アクティヴ・アーマーと呼ばれないのは陽電子と言う反物質とバルジ最外皮金属の対消滅反応を防御作用の切っ掛けとしており、積極的な爆発を起こす必要が無いからだった。

<少なくとも、リ・アクティヴ・アーマーは実戦でも役立つ事が判った訳だ。
さて次は地球製の陽電子・衝撃砲がガミラス戦艦に通じるか、敵艦の運動に付いていけるかどうかが問題だな・・・。>

だが、秋山はまだ先程「チョウカイ」に被弾したガミラス空間魚雷の弾頭が陽電子爆弾だと信じていたが、
本当は反陽子弾頭であった。

陽電子の重量の1千倍の重さを持つ反陽子を使った爆弾である、その破壊力は陽電子ビームの比では無かった。

先程、ガミラス魚雷を被雷した「チョウカイ」の損害が軽微だったのはその魚雷の反陽子弾頭が動作不良を
起こしていたからだった。

もし正常に働いていたら「チョウカイ」は”轟沈”では無く、”消滅”、両隣の艦も最低でも大破していたのは確実だった。

ガミラスの兵力の真の大きさに気付かないまま、国連宇宙海軍・特別遊撃隊は陽電子砲交戦領域に分け入って行った。



                                 147.夢幻の 宇宙戦艦・・・『扶桑』 (フソウ) ー (12)→ この項続く


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by YAMATOSS992 | 2014-07-30 21:00 | ヤマト2199 挿話 | Comments(4)
Commented by sengoku at 2014-08-01 21:42 x
>陽電子の重量の1千倍の重さを持つ反陽子を使った爆弾である、その破壊力は陽電子ビームの比では無かった。

ここはおかしくないですか?
反陽子と陽電子の数が同じならば、そうなりますが、電子の直径は陽子よりずっと小さいので、おなじ大きさの空間ならば、陽電子の方が数多く詰め込めると思いますが?
Commented by YAMATOSS992 at 2014-08-01 22:38 x
sengokuさんいらっしゃい。
さて、ご指摘の件ですが確かに陽電子と反陽子の数が同じでないとこの理論は成り立ちませんね。

ただ、私はガミラスのビームの色からガミラスの陽電子ビームの密度は非常に低いと考えています。
反陽子弾頭の方は2199の物語に登場しなかった私の勝手な設定ですが、陽電子ビームと異なり、弾頭の中に磁場で反陽子を詰め込めるだけ詰め込んだエネルギー密度の高い兵器として考えました。
Commented by sengoku at 2014-08-02 00:02 x
了解しました。

ここからは私見ですが、2199におけるヤマト搭載の実体弾(三式弾やミサイル)は、ガミラスのものより強力そうですよね。そこで、三式弾等を反陽子弾頭として、ガミラスのミサイルは、高圧陽電子弾頭とでもした方が整合性が取れませんか?
Commented by YAMATOSS992 at 2014-08-02 06:09
ええ、その点も私はヤマト前史本編の方で地球側が使っているのは反物性ミサイル
(マイクロ・ブラックホールを使った爆縮する兵器)、ガミラス側は反物質弾頭として差を付けました。
これは古い資料にある反物性ミサイルという設定の意味を私なりに解析してみた結果生み出したものです。
でも2199世界では」あなたのおっしゃる通りヤマト側を反陽子弾頭、ガミラス側を圧縮陽電子弾頭にした方が
整合性が取れるかもしれません。 検討してみます。