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宇宙戦艦ヤマト前史

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宇宙戦艦ヤマト登場前の地球防衛軍の苦闘を描きます。

153.夢幻の 宇宙戦艦・・・『扶桑』 (フソウ) ー (18)

 「さて、そろそろこちらも迎撃準備を始めようか? 土方、用意は良いか。」沖田は欧州艦隊の生き残りと
純粋な人員輸送船を護衛、一路、地球に向かいつつ陣形を整え始めた。

中央に人員輸送船団を置き、その外周を欧州艦隊の生き残り(というか、ヒッパーが艦隊決戦に向かない艦として敢えて
外した通商破壊艦群)が固め、更にその内側を艦隊型駆逐艦で抑え、その輪形陣の最先端、右翼に戦艦「コンゴウ」、
左翼に「ハルナ」、そして最後尾は「キリシマ」が守っていた。

 <何だか、普通の船団護送の陣形とは逆の様な気がするな、お姉はどう思う?>これまで、ガミラスのエネルギー
輸送船団を襲っていた重巡航艦(通商破壊艦)『グナイゼナウ』の艦長、フレイア・ライニック中佐は同型艦、
『シャルンホルスト』の艦長、”双子の姉”であるフローラー・ライニック大佐に”念話”で話掛けた。

一卵性双生児の彼女らは”心”が一つに繋がっており、その戦術・連携は他の追従を許さなかった。

また、”念話”は二人の間だけで成立する物であり、インカムを通す必要などないので、私語(?)もし放題だ。

<あなたって本当に馬鹿ね。 敵は空間転移(ワープ)が出来るのよ。後ろから馬鹿正直に追ってくる訳ないじゃない。>
射撃能力に秀でた姉のフローラーは”昏き狙撃手”と呼ばれるほど射撃照準に勝れていた。

そして、彼女はその能力を買われ、今回の待避船団の護衛艦全ての射撃・指揮・管制を任され、最後尾の「キリシマ」の
直ぐ前に陣取り、全天・全周に目を光らせていた。
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対するにフレイアは”虚空の舞姫”の二つ名を持つ操艦の達人だった、だからその任務は輪形陣の先頭に位置して襲来
した敵艦隊を攪乱、襲撃の妨害をして時間を稼ぐ事だった。

これは陽電子ビーム砲を持つ敵艦に接近するという危険な任務だったが、彼女は今までも何度となく敵の弾幕を
かわして接近、「反物質弾頭」ミサイルを叩きこんで戦果を挙げてきた、それはまるで光速で走るビームの行筋が
見えているようだと評されていた。

最後尾の『キリシマ』に陣取った沖田はフローラーが配下の軽巡部隊、艦隊型駆逐艦部隊を整然と整えて防御陣形を
完成させてゆくのを見て満足しつつ、思った。

<若い”力”はやはり洋の東西を問わぬ様だ。 さて、こちらも敵艦隊の迎撃作戦の細部を打ち合わせするとするか。>

沖田は”土方”と”菅野”、”古代”を含む日本艦隊諸艦長と迎撃・戦闘の詳細を再度確認した。

”迎撃”これは常に”受け身”の作戦である事を運命づけられている、何時、戦闘が始まるか、それは”攻撃”側に
主導権がある・・・と思われがちであるが、攻撃して来る敵を兵器の射程外で発見し、逆に攻撃を仕掛けて戦闘の
主導権を奪い取る事は充分可能である。

第二次世界大戦時の”バトル・オブ・ブリテン”などこの先制攻撃型迎撃戦の代表である。
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英国は接近するドイツ空軍機をドーバー海峡沿岸に設置したレーダー・サイトで遠距離から察知、スピット・ファイアや
ハリケーンと言った迎撃機を早期に空中待機させて迎え撃ち、そしてドイツの英国上陸を目指した『アシカ作戦』を
断念させる事に成功した。

また、同じく第二次世界大戦中、米海軍は日本の特攻機対策として二つの効果的な作戦を取った。

1. レーダー・ピケット艦による哨戒

  艦隊の周囲に大型のレーダーを装備した駆逐艦やフリゲートを配置し、一早く特攻機の接近を探知した。
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2.戦闘空中哨戒(CAP)
  戦闘機の編隊を艦隊上空に交代で待機させ、ピケット艦からの情報をもとに直ぐに特攻機の迎撃を行うと言う極めて
  効率の良い戦術であった。
  (しかし、これは金満国家、米国だから採用出来た戦術でもあった。)
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しかし、この”警戒線を引く”と言う考え方は非常に応用の効く効果的な戦術であった。

太平洋戦争末期、日本本土は硫黄島から発進する超重爆撃機B29の脅威に晒され続けていた。
(B29の発進基地はサイパン島でした。sengokuさん、ご指摘ありがとう御座いました。)
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しかも迎撃に当たる日本戦闘機の上昇限度である高度一万mを余裕で侵入して来たのである。

日本機の方も上昇限度であるから昇れはするものの、その高度に達するには何十分も掛り、昇った時にはB29の投弾は
終わり地上は火の海、悔しいから送り狼になろうとしてもとても追いつかない、日本はそんな情けない状況に追い込まれ
たのである。
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しかし,日本機は上昇出来ない訳ではない、充分に前もってB29の侵攻を知っておけば迎撃機を空中に待機させておいてたった一度の正面攻撃ではあるが迎撃は不可能ではない事に気が付いた人がいたのである。

しかし、常時、戦闘機を交代で空中待機させておく戦闘空中哨戒(CAP)は貧乏な我が国には実施不可能だったが、
もう一つ解決の方法があった。

それは直接の戦力には成らないが日本近海の海を知り尽くした漁師達が乗った漁船で日本近海の洋上の彼方に
哨戒線を引くと言うものであった。
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冗談の様な戦術だが海を知り尽くした彼等は何十日もの間、海上で粘り続け、B29接近の情報を本土に送り続けた。

この漁船からの通報を元に本土防空戦闘機隊は素早く離陸出来、B29を待ち伏せ攻撃した。

彼等、名も無き勇者達がいたからこそ本土防空隊のエース達も活躍出来たのだ。

この戦術が有効な事に気付いた米軍は潜水艦による漁船攻撃と言う非人道的な行為も厭わなかったし、哨戒船攻撃
専門のB24哨戒機や75mm砲を装備したB25襲撃機を戦線に送り込んで殆ど非武装に等しい漁船を冷酷に沈めまくった。

この様に守るべき物の回りに警戒線を引き、そこからの情報をリアル・タイムで知る事が出来れば大変、有利になるので
ある。

但し、ガミラスとの戦闘では敵が空間転移(ワープ)の技術を持っている以上、どの空間から襲ってくるか、検討も
付かず、こちらは受け身に成らざるを得ないと考えられた。

しかも今回、日本・欧州残存艦隊が護送するのは民間船、リ・アクティブ・アーマーはおろか、索敵用の長距離レーダーを
装備いている船など、皆無であった。

だから、沖田と土方は三隻の『金剛』型戦艦と『グナイゼナウ』をピケット艦として使い、ピケット艦から得た情報を使って
どこをどう攻撃するのか、判断、司令を下す中央・指揮・戦略艦として『シャルンホルスト』を指名、独自の戦闘情報網を
敷いた。
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攻撃の主体は独・第一特務戦隊・軽巡『エムデン』級四隻、日・艦隊型駆逐艦『陽炎』型十隻の”反物質弾頭ミサイル”である。

この他、元々、通商破壊艦であった『シャルンホルスト』級も”反物質弾頭ミサイル”を搭載していた。

『金剛』型戦艦の内、最も艦齢の古い『コンゴウ』、『ハルナ』は”反物質弾頭ミサイル”運用のアビオニクスを搭載して
おらず、”反物質弾頭ミサイル”は使用不能だった。

『改・金剛』級の『キリシマ』は元々運用可能だったが、ファースト・コンタクトで中破した際、アビオニクスの有った区画に
大損傷を受け、その後、修理もされないまま、陽電子砲射撃訓練に駆り出されたのでこれまた戦力外に成っていた。

<全く、主力戦艦をピケット艦に使うのに何の躊躇いも無いとは、流石、土星宙域でガミラス艦隊を半年も
足止めした艦長だ。>土方は船団右翼を固めた『コンゴウ』の艦橋で更に前方の空間を航行する『グナイゼナウ』の姿に
感無量だった。

だが、スクリーンに写るその姿に何か違和感を感じた。

『グナイゼナウ』は直進方向に艦首を向けてはおらず、横方向に推進していた。

民間船を多数連れているので速度は比較的遅く、軍艦である『グナイゼナウ』は姿勢制御スラスターでもその速度は
維持出来た。

しかし、土方が疑問に思ったのは『グナイゼナウ』の姿勢であった。

本来、通商破壊艦として建造された『シャルンホルスト』級はレーダーの様なアクティヴな探知装置は最小限度しか
持たず、変わりに光学式(パッシヴな)の探知システムは日本艦隊のどの艦も持っていない程、充実したものだった。

<確か、『シャルンホルスト』級の主探知装置は艦橋の直下、主装甲板を挟んだ下にある装甲球に覆われた
カールツァイス製大望遠鏡だと聞く、しかし、今『グナイゼナウ』はその通商破壊艦としての生命とも言える
その大望遠鏡をこちらに向けている、あれでは接近するガミラス艦隊を発見出来ない・・・何を考えてる!>土方は
スクリーンを操作して後方を固めた『シャルンホルスト』を映し出した。

「むう・・・。」土方はそこに映っていた『シャルンホルスト』の姿に一声唸って自分の考えが浅かった事を恥じた。

土方の考えでは後方に位置した『シャルンホルスト』は『グナイゼナウ』と反対に艦底を後方に向け、後方宙域に監視の
目を向けているはずだった。

しかし、現実には『グナイゼナウ』と同じ様に大望遠鏡は船団内部方向に向けられていた。
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この配置では船団外部の探査は出来ない様に思える、しかし、船団の位置より低めの位置に『グナイゼナウ』、高めの
位置に『シャルンホルスト』が位置していると前方監視は『シャルンホルスト』、後方監視は『グナイゼナウ』と一見、
矛盾した配置だが、前方にいる『グナイゼナウ』が前方監視を、後方にいる『シャルンホルスト』が後方を監視する
常識的な配置にすると周囲の監視は出来るかも知れないが船団内部の監視は出来ない。

しかし、前方監視は後方に位置する『シャルンホルスト』が、後方監視は前方に位置する『グナイゼナウ』が行う態勢に
すると船団内部まで監視の目が行き届く、確かに敵は空間転移(ワープ)を実用化しているガミラスだ、突如として船団の
直近に現れる可能性も考えられる、そこまで考慮した監視態勢である事に気付いたから土方は唸ったのだ。
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<『背中を預ける仲』とは言うがここまで大胆な預け方を俺は知らない、余程、相方の技量と心を信じていなければ
執れない『預け方』だ。>土方は二人が姉妹である事を知らなかった、そして当然、彼女達の心が”念話”で一つに
繋がっている事も、だが、もし真実を聞いたとしても堅実な彼はそんな”超常現象”は信じ無かったに違いなかった。

<さすが、通商破壊戦に長けたドイツ(宇宙)海軍、船団護衛に回ってもその戦術は高度なものだ。>土方はかつての
日本海軍が日清、日露の両大戦時は通商保護を重視した作戦計画を執ったのに対し、太平洋戦争では支配圏を
拡大しすぎて補給線を守り切れず、また米国の潜水艦隊の存在を軽視し、補給線を荒らし廻られても何の対策も
執れず、最終的には”敗戦”に繋がった事を思い出し苦笑した。




                                 154.夢幻の 宇宙戦艦・・・『扶桑』 (フソウ) ー (19)→ この項続く

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by YAMATOSS992 | 2014-08-22 21:00 | ヤマト2199 挿話 | Comments(3)
Commented by sengoku at 2014-08-23 00:33 x
更新お疲れ様です。
B29ですが、硫黄島からは出撃してませんよ。
米軍が硫黄島を攻略した目的は、B29の緊急着陸場所と、護衛戦闘機の出撃基地を造る為です。
同じことを、日本もソロモン海で行っています。
ラバウルからガダルカナルへ出撃するには、護衛の零戦の航続距離が足りないため、途中のブインに前進基地を設けました。
Commented by sengoku at 2014-08-23 00:35 x
書き忘れましたが、B29の出撃基地はサイパン島です。
Commented by YAMATOSS992 at 2014-08-23 07:20
確かにB29の発進基地はサイパン島でしたね。
ご指摘感謝します。
どうも硫黄島が取られるとB29の攻撃を受けやすくなると心配する場面が映画か、ドキュメンタリーの中にあり、それが頭にあってつい、硫黄島=B29発進基地のイメージになって脳内補完されていたようです。