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宇宙戦艦ヤマト前史

yamato2199.exblog.jp

宇宙戦艦ヤマト登場前の地球防衛軍の苦闘を描きます。

157.イルダ・走る!-(2)

  ドドーンッ、又しても爆発の音が頭上で響いた。

「この派手な遣り方は”武装警察”じゃないわね。」メルダが壁に手を付きつつ言った。

「じゃあ、今、ウチに暴れこんで来てるのは”親衛隊 ”って事か? 姉貴・・・。」イルダは自分達を拘束しに来たのが
親衛隊だと聞かされ、父の安否に非常に大きな不安を抱いた。

彼女達は父の直近の部下から、理由は不明だが、父が”親衛隊 ”に逮捕、拘束された旨の連絡を受けていた。

そして彼女達はその様な場合に備えて大昔からあった地下道に身を潜め、屋敷を脱出しようとしていた。

<だが、脱出に成功したとしても”武装警察 ”ならともかく、相手が”親衛隊 ”では父の縁故を頼ったりすればその家の
人達にも迷惑が係る・・・。>メルダは脱出後の身の振り方を心配していた。

イルダは自分達が死地にあるにも関わらず他人を慮るそんな姉の優しさが嬉しかった。

二人は暗い地下道を小型ライトの光を頼りに走った、と、道は東西二本に分かれていた。

この地下道は子供のころからここを遊び場にしていた姉妹にとっては庭の様なものだった。

二人は頷くとメルダは東の通路を、イルダは西の通路をと別れて脱出を図った。

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二人が同行すれば二人とも捕まる危険が増える、分かれて行動すれば生存率が増すとの姉、メルダの判断だった。

イルダは感情的には姉と離れたくは無かったが、ディッツ家が生き延びる為にはどうしても必要な事として割り切って
姉の決定に従った。

イルダは走った、この通路は子供の頃、の遊び場で勝手は良く知っていた、しかし、幾許も進まない内に通路は崩落して
塞がっていた。

この非常脱出用通路の出口は二つしかなかった。

<この通路が塞がっている以上、姉貴の向かった出口を使うしかない!>イルダは踵を返すと元来た道を逆に走り
だそうとした。

しかし、何か違和感を感じて足を止めた、普段、嗅ぎなれていた通路の空気に微かだが異臭が紛れていた、
<この臭い、火薬か!>士官候補生であるとはいえ、軍人のイルダは直ぐにその臭いの正体をかぎ分けた。

この通路は自然崩落などではなく、通風孔から落とされた手榴弾で爆破されたのだ。

<通路を爆破した犯人は今、屋敷に侵入して来ている”親衛隊 ”以外に有り得ない! 姉貴の向かった出口にも
手が回っているはずだ!>イルダはメルダに警告をする為に全速で通路を戻った。

<間に合ってくれ! 姉貴! あまり急ぐと危ないぞ!>イルダは姉が”親衛隊 ”の待ち構えているであろう”出口 ”に
向かって急いだ。

すると大きな眩暈がイルダを襲い、彼女はその場に膝をついてしゃがみ込まざるを得なかった。

<クソ! こんな時に・・・。>イルダは最近、この種の眩暈に度々襲われていた。

これが重大な疾病や障害である恐れもあったが、原因を調べようと医者に掛ると軍に通報されて戦闘機から
降りなければならなくなるのが嫌でほったらかしにしていたのだ。

今までは数分で眩暈は取れ、平常に復帰したのだが今回は様子が違った。

辺りは靄が掛った様に視界は悪かったが彼女の目の前には銃を構えた五名の”親衛隊員 ”がいるのが確認出来た。

イルダは思わず後ろに跳び退い、腰の辺りの銃を探った。

しかし、緊急脱出であったため、護身用の拳銃すら持ち出せなかったのに気付き下唇を噛んだ。

イルダの目の前にいる”親衛隊・隊長 ”が口を開いた、「メルダ・ディッツ少尉、デスラー総統・暗殺・関与の容疑で
逮捕する! 抵抗すれば撃つ!」

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イルダは”親衛隊・隊長 ”の発した言葉の意味を理解しかねた。

<私を姉貴と間違えている・・・のか? ”親衛隊 ”ともあろうものが? それにデスラー総統・暗殺? 父が総統を
何故・狙うんだ? あの政治嫌いのコチコチの軍人が・・・。>イルダは事態のあまりにも急な展開に付いて行けず目前の
”親衛隊 ”の列を強行突破しようとした。

しかし、直ぐ目の前にいる ”親衛隊 ”との距離はイルダが走っても走っても詰まらなかった。

<どう言う事だ? この ”親衛隊 ”は幻か? 私は狂ったのか?>イルダは全身の血が引いて行くのを感じた。

<大丈夫だよ。君は ”正常”さ、君は ”覚醒 ”したんだ、嬉しいよ。>イルダの心の中に無遠慮に全く別の存在が
居座っていた。

<誰だ! 私の心の中で何をしている!>イルダは今まで感じた事の無い恐怖に顔を引き攣らせた。



                                               158.イルダ・走る!-(3)→この項続く


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by YAMATOSS992 | 2014-10-11 21:00 | ヤマト2199 挿話 | Comments(4)
Commented by モー太郎 at 2014-10-13 00:33 x
YAMATOSS992さん 新エピソード楽しく拝見しております。

さて星巡る方舟に、あのフォムト・バーガー少佐が再登場し、
ヤマトと再戦という情報が出ましたね!!
公開が待ち遠しいですね。
Commented by YAMATOSS992 at 2014-10-13 07:46
バーガー再登場はポスターでも発表されていますね。
でも再戦するのかどうかは不明です。 
前のポスターでヤマトと戦闘空母が艦隊?を組んでいる描写もありますし、今の所敵味方がはっきりしているのはガトランティスだけです。
Commented by モー太郎 at 2014-10-13 09:49 x
YAMATOSS992さん おはようございます。

バーガーの件
https://akiba-souken.com/article/21631/
のネット情報では復讐を とプチ公開情報が。
Commented by YAMATOSS992 at 2014-10-13 13:13
物語の定石ではこの様な展開の場合、最終的には味方になるか、または決別するかで死闘の果、バーガーが死亡する事は考え難いと思います。