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宇宙戦艦ヤマト前史

yamato2199.exblog.jp

宇宙戦艦ヤマト登場前の地球防衛軍の苦闘を描きます。

158.イルダ・走る!-(3)

<そんな事より、早くお姉さんを助けないと”親衛隊”に連行されてしまうよ。>”声”が「メルダ・救出」を促した。

<でも、どうすれば…?>イルダは突然の指摘に戸惑った。

<今、君が見ている”親衛隊員”は君ではなく、”メルダ・ディッツ”が見ている光景だ。
だから”親衛隊員”の方に”視点”を変えるとホラ、こうなる。>”謎の声”がそう告げると眼前の”親衛隊員”は掻き消え、
代わりに姉、メルダの悔しげな顔が浮かんだ。
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視界がメルダのものから”親衛隊員”のものに切り替わった事でイルダは”声”が本当の事を言っている事が判った。

<どうすれば、姉貴を助けられるんだ! 教えろ!>イルダは激情を爆発させた。

<おいおい、気を付けろよ、君は”星すら滅ぼす潜在力”をその体内に秘めているんだ。 感情は抑えたまえ!」
”声”がイルダをたしなめた。

<”星を滅ぼす力”? 私はそんなもの、望んではいない!>イルダはそれを聞いて取り乱した。

<今は姉上をどう助けるか、それだけを考えたまえ。 君の力なら確実に助けられる。>”声”はイルダに自制を促した。

<判った。大人しくする、姉貴を助けるにはどうすれば良い?>イルダも何時までも姉に頼り切る子供では
無くなっていた。

<今回は簡単だよ。 ”親衛隊員”の”心”に侵入し、”奴らの認識”を書き換えてしまえば良い。 ”ディッツ姉妹は
地下道の崩落に巻き込まれて死んだ。”とね。>”声”がとんでもない事をいとも簡単に言った。

<そんな、仮に奴らの心に侵入出来たとしても”認識”を書き換えるなんて事をしたらたちまち私の存在はバレてしまうん
じゃないのか?>イルダはそんな大それた事が自分に行えるとはとても思えなかった。

<怖いかい? しょうがないな、じゃ今回は私が”書き換え”を行なおう。>そう告げると”声”の気配が一瞬に消えた。

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メルダ・ディッツは目の前で銃を突き付けていた”親衛隊”の様子が変わったのに驚いた。

銃を降ろした”親衛隊長”がメルダに背を向けると四人の部下に命令を下していた。

「メルダ・ディッツ、イルダ・ディッツの両名は地下道崩落に巻き込まれ死亡した事を確認。 任務終了、帰隊する!」

四人の部下はまだメルダが目の前に居るのに下された帰隊命令に戸惑った。

「隊長!メルダ・ディッツは、そこに・・・。」部下の一人はそこまで言って目付きがどんよりとした物に変わった。

「ディッツ姉妹の死亡を確認。 帰隊命令を了解しました。」彼は隊長の命令を確認した。

残りの三人もそれに追従してメルダの前から姿を消していった。

<一体、ぜんたい、何がどうなったんだ? ”奴ら”に何が起こった?>メルダは地下道出口の壁に体を押し付け様子を
伺った。

出口の際に人の気配は感じられず、”親衛隊”が帰隊して行く足音がどんどん遠ざかって行くのが感じられた。

メルダは地下道から首を出し辺りを伺ったがもはやそこには”親衛隊”はおろか誰の姿も無かった。

彼女はその事を確認すると地下道の出口があった墓地を抜け、足早に立ち去った。

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<どうだい? 簡単なものだろう、人は”何か”を”認識”し、”行動”を”決定”する、幾ら強力な武器を持っていてもそれは
最後の”行動”を”補佐”する”手段”に過ぎない。 最初の”認識”を狂わされては何の意味も持たなくなるのさ。>
再びイルダの心の内にあの”声”が戻って来ていた。

<お前、一体何者だ・・・。>イルダは幼い頃に感じて以来、忘れていた”恐怖”に身を捩った。

<私は昔から君をよく知っているが、君は”私”を知らない・・・。 これは”フェア”じゃないな。 かと言って
まだ私の”正体”は完全には明かせない・・・、どうしたものか・・・・>イルダには”声”が思案しているのが判った。

<今、私の”思考”は完全にそちらに筒抜けなのだろう? ”ギルティ”?>イルダは悪戯っぽく微笑んだ。

<”ギルティ”(有罪)とは、随分と皮肉な”コード・ネーム”を付けてくれたね。 でもそれで君が今の状態に満足してくれる
なら私は別に構わないよ。>”声”いや”ギルティ”が応えた。

<”満足”なんてするはずないじゃない! 「総統・暗殺」なんて”冤罪”よ! きっと”ジレルの魔女”絡みの陰謀に
違いないわ! 父様は逮捕・拘禁されてしまったけれど取り敢えず姉貴はまだ無事だ。 何としてでも守りきる!>
イルダの強い覚悟を知った”ギルティ”は仕方なさそうに”思考的”に溜息をついた。

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空には「イスカンダル」が煌々と輝いていたが地上は夜、闇が支配していた。

メルダは一度は脱出した自分の屋敷に戻って来ていた。

しかし、ディッツ家の屋敷は”親衛隊”によって破壊しつくされていた。

火災は「帝都・消防隊」の手で鎮火させられていたが、焼け残りの建材が未だ燻り続けていた。

だが、幸い、”親衛隊”や”武装警察”の姿は見られなかった。

<爺は逃げおおせられたかな・・・、エフラ、ユミラの二人は無事だったかしら・・・。>消し炭になった建材の山を見つめ
ながらメルダは悲しみにくれた。

<もし、”親衛隊”に拘束されてしまっていたら、ゴメン!今は助けに行けない、でも態勢を立て直したら
必ず迎えに行く!>メルダは長年使えてくれた使用人達に誓った。

そして焼け跡に向かって一礼すると庭の一角にある「池」に向かって歩いて行った。

池の縁に立つとメルダは「認識番号3817529」と呟いた。 と、池の中から水を押しのけて金属の柱が出現した。

金属の柱の水面から30cm位上の壁面にポッカリと楕円形の穴が開き、そこから彼女のいる池の縁までボーディング・
ブリッジが伸びて来た。

彼女は辺りを窺って安全を確認するとそのボーディング・ブリッジを素早く渡って入口の中に消えた。

彼女が金属柱の中に消えるとその入口は再び閉ざされ、金属柱は再び水中にその姿を消した。



                                                  159.イルダ・走る!-(4)→この項続く
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by YAMATOSS992 | 2014-10-18 21:00 | ヤマト2199 挿話 | Comments(4)
Commented by 古世人 at 2014-10-19 21:05 x
確かに、これは一歩間違うとヤマト(2199)世界を破壊しかねませんね。
Commented by YAMATOSS992 at 2014-10-20 09:05
本来なら知らぬ顔の半兵衛を決め込みたかったのですが2199本編で惑星ジレルの運命と末裔のミレーネルの力について語られてしまったのでその辺りの辻妻を合わせる必要が出てきてしまったのです。
また、ディッツ提督が逮捕されたと言うのにメルダは平気で軍施設に制服のまま出入りしています。
さらにはハイゼラード級戦艦をどうやったらたった三人で乗っ取れるのでしょう。 
どうでも良いエピソードなら放っておきますが、2199のストーリーの根幹に近い部分なので今回、補完エピソードを展開させてもらっています。
Commented by 古世人 at 2014-10-21 21:20 x
そう言えば、ドメル達の拘束中にバーガー達の専用艦のメルトリア級はどうなったのでしょうか?
Commented by YAMATOSS992 at 2014-10-22 10:42
普通に考えれば召し上げられて他の艦長に与えられるか、親衛隊の艦として運用されたと考えるのが順当でしょう。
一応、メルトリア級は新型艦という扱いでしたからドックで眠ったままと言う事は考えられないと思います。