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宇宙戦艦ヤマト前史

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宇宙戦艦ヤマト登場前の地球防衛軍の苦闘を描きます。

164.イルダ・走る!-(9)

 メルダ達の乗ったハイゼラード級航宙宇宙戦艦は目的地、第十七収容所惑星レプタポーダのある星域外延部の
大分離れた所にゲシュタム・アウトした。

重要政治犯を多く収監している第十七収容所の警戒が厳重であろうとの判断が”真ガミラス同盟”幹部の間でなされ、
敢えて遠方から惑星レプタポーダの警備状態を観測する事になった。

通常、宇宙戦の情報収得は光学探知などパッシブな物が多用され自艦の被発見率を高める様努力するものなので
この惑星系内に”レーダー電波”や通信電波が飛び交っていなくても既に彼らは敵に発見されている可能性が高かった。

しかし実際は彼らの艦が惑星レプタポーダの衛星軌道に達しても収容所側からは何の誰何もなされずまして迎撃などの
敵対行動は皆無であった。
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「如何に辺境の惑星とはいえこの無警戒振りは何だ? 弛み切っている!」メルダは同じ軍人として恥ずかしかった。

「まあ、おかげで我々の仕事は楽になります。」オルト・ドルメン大尉がニヤリとした。

「先行侵入班を先に潜入させ、我々の手引きをさせる手筈になっています。」ランス・ラーキン中尉がこれからの手筈を
説明した。

「我々先行侵入班はディッツ提督の収監場所を特定する事が主な任務ですが、特定後は収容所内に混乱を引き起こして
ディッツ提督の解放の一助とします。」スキンヘッドで看守の制服を着た男が言った。

危険な任務である、しかし彼等はガミラスの未来を見据えてその命を賭けようとしていた。

「ガーレ・ガミロン!」別れの言葉はそのまま作戦開始の合図だった。

先行潜入班が小型上陸艇で出発すると”ギルティ”の気配も消えているのにイルダは気が付いた。

<奴はいつも姿を見せないのに気配だけは強烈なんだな。  奴は自分は”多個体一精神生物”だと言っていたが奴は
自分が”ジレル人”だとはっきり認めた。 しかしジレル人はもう滅びた民族だし、幾ら彼らが心理操作に長けていたと
しても個人々は独立した精神を持っていたはずだ。 現に最後のジレル人、ミーゼラ・セレステラ宣伝・情報相は個人と
して活動している・・・。>イルダは自分が”ジレルの光”と呼ばれ心理操作に長けて行くのが怖かった。

<今は父上の救出に全力を尽くさねば、気を抜くと全てが台無しになる・・・。>疲労に挫けそうになる自分にイルダは
喝を入れた。

<しかし奴は気になる事を言っていたな・・・「最後のジレル人・ミーゼラ・セレステラは”囮”だと・・・、どう言う意味だ?>
イルダはジレルとガミラスの確執を”ギルティ”から聞いていたがその意味までは判らなかった。

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ガミラスにとっては因縁のあるテロンのヤマッテが丁度、立ち寄って来た事もあり、収容所の混乱は“真ガミラス同盟”の
計画よりも収容所側の囚人管理態勢が影響を受け思ったより作戦計画は順調に進んだ。
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またそれに収容所・幹部の無能さ、管理能力の無さが混乱に拍車を掛け混乱は恐慌に達した。

このため本来は提督だけを脱出させれば作戦目的は達成されたのだが収容所の混乱をこのままにしておいては延々と
囚人同士の殺し合いが続き無駄な血が流れるのは明白だった。

ディッツ提督は事態を放置せず秩序の回復に努め囚人だけで無くガトランティスの捕虜までも救済する路を模索、
捕虜たちには船を与えて帰還を許す事で混乱の収拾に成功した。
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テロンのヤマッテと真ガミラス同盟は共にデスラー政権を敵としていたので両者は会談を持ち共闘の道を探ったが、
ヤマッテはイスカンダルへの旅を急いでおり、真ガミラス同盟は各所に分散されて投獄されている同志の解放を急務と
していた。

このため会談は物別れになったが将来の平和親交条約の締結の布石としてまた、ユリーシャ殿下の護衛の意味も
兼ねて連絡将校としてメルダ・ディッツ少尉が指名されヤマッテに乗艦、イスカンダルへ同行する事となった。

<私、ホントは姉きと一緒にヤマッテに乗りたいんだが、”ギルティ”君はそれを許す気は無いんだろう?>イルダは
ダメ元で彼に聞いてみたが、やはり返事は否定的な物だった。

<君の気持ちは判らんでもない、何しろガミラスを憎むテロン人の集団の内に姉上を一人で行かせるのだから確かに
不安になるのも仕方が無い。>彼はイルダの不安に理解を示した。

<だが君をヤマッテに行かせ、私が真ガミラス同盟の面倒を看るといった手分けをする事は出来ないからだ。>彼は
核心に迫る思考をした。

<どうして手分けが出来ないのだ? 私も”心理操作”に熟達した、手分けして支援した方がガミラス、テロンどちらの
利益にも繋がるはずではないのか?>イルダはまだ自分が”ギルティ”に御守されている事に気が付いていなかった。

それにテロン人は一度は最後のジレル人ミレーネル・リンケの心理操作によって制圧された物のミレーネルの油断に
よる”遊び”の所為で心理操作を脱する者が出てそのため遥か数万光年を離れて飛ばしていたミレーネルの精神体は
波動エネルギーの渦に巻き込まれ消滅、ミレーネル本体も死亡した。
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”ギルティ”はテロン人の心理操作を試みたがガミラス人と同じ様に操作出来た、しかし、彼等がジレル人の内でも強力な
能力を持っていたミレーネルを打ち破ったのは事実だった。

彼はそんな強力で危険なテロン人達と同行するなどまっぴら御免だった。

<次の段階の”ジレル”の秘密を伝える時が来た様だ。 前に私は君が”星さえ滅ぼす力を持つ存在”だと伝えた。>
彼は既に滅んだはずのジレル人が何故何億人もいる?事になるのかその秘密を語ろうとしていた。

<前に最後のジレル人、ミーゼラ・セレステラは”囮”だと言った意味は判ったかい?>彼はイルダに意地悪く聞いた。

<本当はジレル人は滅んでなんか居ないんだろう? 全滅したと報じられたしても「もしかしたら生き残りが居るかも
しれない・・・。」と考える奴が必ず出て来る。>イルダの指摘は的確だった。

<だがセレステラの様に”最後のジレル人”と呼ばれる存在が居れば人々は他の生き残りの可能性を考えない。>
イルダの長い思慮の果ての結論に”ギルティ”は感服した感情を示した。

<ほう、あの短時間の内にそこまで考え尽くすとは、やはり”ジレルの光”の名に相応しい戦士に育ったな。>彼は喜びと
悲しみの入り混じった複雑な感情を返して来た。

しかしイルダは「多個体一精神生物」の概念は仲々理解出来なかった。

しかしそれは仕方の無い事かもしれない戦友と共に軍に所属しガミラス帝星に仕える事が当たり前だった彼女にとって
唯一人でガミラス帝星を守って闘う事など”総統”が行うとしても遣り過ぎだと感じられたからだ。

<そんな”軍”は独善的になり挙句は”暴走”して自滅する可能性が高い。>イルダは”ジレルの技”を身に着けても
普通の人間が”個体”という”檻”に”精神”が”閉じ込められた存在”だと言う彼の説明が理解出来なかったのだ。

<普通の人間は”個体”という”檻”に”精神”が”閉じ込められた存在”だが、今のジレル人はその”精神”が”檻から
解放された状態”にある。 つまりは以心伝心と考えるのが一番近いかな。>彼はイルダに判り易い様に噛み砕いて
説明してやった。

<以心伝心って相手の心が瞬時に判るって事だろ? それじゃ今のお前と私の関係がそうじゃないか? 
でも私とお前は別の個体だ。 これはどう説明するんだ?>イルダはやっと少し理解が進んだ様だった。

<本来なら君ほど心理操作能力が上がって来れば私の精神と君の精神は一つに溶け合ってしまうはずだったん
だけどね。 一体何が邪魔しているんだろうね。>彼はイルダを怯ませる思考を発した。

<それは一体どう言う事だ・・・>>イルダの心に冷たい物が触れて来た。

                                                165.イルダ・走る!-(10)→この項続く
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by YAMATOSS992 | 2014-11-29 21:00 | ヤマト2199 挿話 | Comments(2)
Commented by 古世人 at 2014-11-29 22:36 x
お久しぶりです。何だか入ったらいけない領域に入った感じですね(汗)。シリーズは佳境でしょうか?これからも執筆頑張ってください!
Commented by YAMATOSS992 at 2014-11-30 07:12
本当にお久し振りです。 古世人さん、再来訪有難う御座います。
さて、物語の方は御推察の通り佳境に入るだけでなく、触れてはならない部分にベタベタ触りまくります。
その結果がどうなるか?
お楽しみに!