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宇宙戦艦ヤマト前史

yamato2199.exblog.jp

宇宙戦艦ヤマト登場前の地球防衛軍の苦闘を描きます。

165.イルダ・走る!-(10)

  「還って来たのだな、ようやく・・・。」ガル・ディッツ提督はスクリーンに写った穴だらけの星を見詰めた。

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ガミラスは古い星なので自然浸食が進み外郭と内殻に二分されており宇宙から見ると穴があちこちに空いた醜い姿を
晒していた。

<兄弟星のイスカンダルはあんなにも美しく輝いているのに・・・。>ガミラスは軍事産業に邁進した結果、公害による
環境汚染が地表の自然浸食を加速していた。

「それでもあれが私達の”故卿”です。」凛とした声がディッツの耳を打った。
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「貴女は私の心が読めるのか!」ディッツは自分の心がドメル夫人に見透かされたのに驚いた。

しかし夫人は小首をかしげ、チャーミングな微笑みを浮かべただけだった。

「友軍艦艇接近!タラン長官です。」情報士官が短く報告した。

二隻の戦艦が接舷すると間もなく一人の高級将校がブリッジに転がり込んで来た。

「ご帰還を心待ちにして居りました! 提督!」入って来たのはガデル・タラン参謀次長だった。

「兄上は?」ディッツは短い言葉で親友、ヴェルデ・タランの消息を尋ねた。

しかしガデル・タランは俯いて悲しげに首を左右に振るだけだった。

「そうか・・・。」それだけでディッツは全てを悟って目を閉じて親友の”死”を悼んだ。

ドメル夫人も目を見開き、顔を手で覆って哀しみを顕わにした。
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「デスラー亡き今、人臣これからのを一つとし祖国を再建するのは容易な事では無い・・・。」ディッツにはこれからの
ガミラスの未来をどうするか、その青写真が描けずにいた。

「はい」ガデル・タランも同じ気持ちだった。

ブリッジへの昇降エレベーターの扉が開き二人の若い女性が入って来た。

ディッツの愛娘、メルダとイスカンダル第四王女ユリーシャ・イスカンダルだった。

ドメル夫人の肩に泊まっていたロクロック鳥が一つ翼を振ると敬礼するメルダを他所にユリーシャの腕に舞い降りた。

それを見たドメル夫人が言った。

「でも希望はあります。」 今、ユリーシャの腕に舞い降りたロクロック鳥はドメル家に長く飼われていたので
ドメル夫婦には慣れていたが他人には決して懐くことなく手を出せばその特異な横に開く嘴で反撃するのだったが、
何故かユリーシャには自分から懐いて入った。

その出来事からドメル夫人はデスラーの唱えた”大統合”とは違う”本当の大統合”の可能性を見たのだ。

「希望? それは・・・。」ディッツはそこまで言って目の前に居るのが”高貴なるイスカンダル”の王女だと言う事を思い出し膝を着いて最敬礼をした。

「ルード・イスカンダ」ディッツの言葉にガデル・タランもドメル夫人も、その他艦橋に居た全員が最敬礼をした。
ユリーシャの隣に立っていたメルダは何故、皆が自分に向かって最敬礼するのか判らず戸惑ったが、直ぐに
皆が最敬礼しているには自分では無く、ユリーシャだと気付き罰の悪そうな顔をしつつ、自分も膝を折った。

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<あれから随分経つけど、お前と私が一体化する気配は無いな? お前が一体化を阻んでいてくれるのか?>
イルダと”ギルティ”はまだ溶け合っては居なかった。

<おかしいね。 ガミラス人やザルツ人、オルタリア人であっても君の様に”能力”を発現した場合、その力が強ければ
強い程、彼や彼女はジレル人”総体”に取り込まれるはずなのだが、君の場合”能力”が強大過ぎて ”総体”と力が
拮抗していて”心の相溶”に時間が掛かるのかもしれない。>彼はもう少し待つつもりのようだった。

<”総体”に取り込まれれば私の”個性”は失われてしまうに違いない、私は”自分”のままで居たいのだ!>彼女も
”心の自由”を失いたく無い事を主張した。

<そう言ってもな・・・。 これは過去のジレル人が計画した事だし、私がどうこう出来る問題では無いんだよ。>
彼も弱り切っていた。

<過去のジレル人の計画? どう言う事だ説明しろ! ”ギルティ”!>イルダは過去から支配されるのが大嫌いだった。

"ギルティ”は再びジレルの歴史について語った。

エーリク大公に勝ったジレル陣営であったが大勝したとはいえ実は大きな問題を抱えていた。

それはジレル人が如何に心理操作や記憶改竄能力に長けていたとしても所詮は疲労する人間だと言う事だった。

エーリク大公との決戦を挑んだのも短時間で勝敗を付け、戦闘が長引いて心理操作が出来なくなるのを避けるためで
あった。

その決戦直後からジレル人は自分たちの惑星を封鎖しているガミラス艦隊を逆に心理操作して防衛艦隊として使って
いたがそれには膨大な人数の心理操作員を三交代制で任務に当らせなければならなかった。

これはいかに強力な精神文明を持つジレルにとっても非常に大きな負担だった。

常時継続的にその心理操作能力を交代制とはいえ働かせ続けなければならないのである、この負担に耐え切れず
発狂するものさえ出て来る始末であった。

そこでジレル人達は”個性”を捨て全ての人民の心を一つに纏め上げる”総体”という名の新しい生命体に自分たちを作り替える事にした。

ジレル人達は”多個体一精神生命体”になったのである。

しかし、”総体”化自体は成功したものの一つ問題があった。

あまりにも多くの幼少個体を連れ去られたため、種族自体の老化は最初の予想よりも早く、数百年後には種族を維持するのに必要な絶対個数を割ってしまう事が予想された。

このままでは今までの犠牲や努力が全て無駄になってしまう・・・、そう考えた”総体”は新しい次の一手を打つ事にした。

<それは何を計画したんだ?”ジレル”>イルダは最早、親しみを込めて”ギルティ”と呼ぶのを止めていた。

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<補記>

いや~っ 参りました、”宇宙戦艦ヤマト2199「星巡る方舟」”もろに今、私が連載中の”イルダ・走る!”とカブッて
しまいました。(12/3のバンダイチャンネル先行上映会を見ました。)

私の作品と内容的には違いますがヤマトとガミラス,ジレル人精神文明との対峙を扱った作品になっています。
(作品の出来は”上の中”ですが、そんな分析を吹き飛ばす”熱い漢”の物語です。 
私も再度映画館に足を運ぶ予定です。)

 実は私の方も作品的にはもう完成しているのですが、あまりに一度に発表してしまうと読む方も辛くなるので一応、
今までの発表ペースは速める程度で一挙発表はしません。

日程調整をして年内には終わる様にしますので皆様よろしくお願い申し上げます。

UP予定日
166.イルダ・走る!-(11)                  12/6
167.イルダ・走る!-(12)                  12/10
168.イルダ・走る!-(13)                  12/14
169.イルダ・走る!-(14) (最終話)           12/18
170.ヤマト2199世界における”精神文明”の有り様についてー(1) 12/22
171.ヤマト2199世界における”精神文明”の有り様についてー(2) 12/26
172.ヤマト2199世界における”精神文明”の有り様についてー(3) 12/30

                                                166.イルダ・走る!-(11)→この項続く
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by YAMATOSS992 | 2014-12-04 21:00 | ヤマト2199 挿話 | Comments(2)
Commented by 古世人 at 2014-12-05 22:09 x
ヤマト(地球)、ガミラス、ガトランティス。3勢力の譲れぬ思いの交錯。果たして、ストーリーがどうなっていくのか?本当に楽しみですね。この後、もしかして、ガトランティスメカニックの(追加)考察とか予定していますか?
追伸
予告編の動画の「真の結末がここに」とは一体?ポスターでダガームの後ろに写っている巨大な白い物体はもしかして・・・。先生の見解を教えてください。
Commented by YAMATOSS992 at 2014-12-06 05:03
古世人さん、いらしゃい、実は本文の(追記)でも記した様に12/3の先行上映会(バンダイ・チャンネル)を見てしまったのですよ。
古世人さんの疑問に応えると全部ネタバレになってしまうので今は答えられません。
また、ガトランティスについての考察ですがまだ材料が少なすぎて論理的分析が出来ない状態にあります。
次回作(作らないと明言してはいますが・・・。)の設定が発表になれば少しは分析可能になるかと思いますのでそれまではご容赦の程、宜しくお願い申し上げます。