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宇宙戦艦ヤマト前史

yamato2199.exblog.jp

宇宙戦艦ヤマト登場前の地球防衛軍の苦闘を描きます。

166.イルダ・走る!-(11)

 対するエーリク大公は完全にジレル人に翻弄された事に怒りと共にそれを上回る恐怖を感じていた。

そして禁断の兵器、ゲシュ=ダールバム(波動砲)を使ってジレルの惑星系外からジレル人を殲滅する事を考えていた。

デスラー総統がガミラス初の波動砲、デスラー砲を作ったのは事実だが、実はガミラスは亜空間ゲート・システムを作った
種族、アケーリアスからゲート・システムの管理・運営を引き継いだ時、強力な敵が現れて亜空間ゲート・システムが
悪用されそうになった時にだけ使う様、イスカンダル製のゲシュ=ダールバム(波動砲)搭載艦を譲り受けていた。
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但し、この兵器は強力過ぎるのでイスカンダル王家、ガミラス王家、アケーリアスの末裔、この三者がそれぞれ一隻づつ
保有し、三者の合意の上で三隻が同じ目標を狙わなければ使えない様、設計されていた。

更にこの作戦が実行出来るのは一度だけで一度能力を解放したゲシュ=ダールバム(波動砲)は自壊作動を起こし二度と使用出来なくなる様にも設計されていた。

これはかつて大マゼラン雲に恐怖政治を敷いたイスカンダル王家からの強い希望であった。

強力なゲシュ=ダールバム(波動砲)三基による徹底的な殲滅戦、これがエーリク大公の考えた復讐戦だった。

しかしこの作戦には大きな問題が二つあった。

一つはアケーリアス文明が完全に滅亡してしまい、その保有艦が行方不明になっていた事だ。
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これは幸い亜空間ゲート・システムの中枢、バラン星のアケーリアス遺跡の奥から発見出来た。

二つ目はイスカンダル王家にゲシュ=ダールバム(波動砲)使用の許可を取り付ける事だった。

実際にゲシュ=ダールバム(波動砲)使用してその恐ろしさを実感しているイスカンダル王家がその使用を
簡単に認めるとは思えなかった。

だが、当時のイスカンダル王、イスク・サン・アリアは精神文明と物質文明の共存は大きな災厄を産むと判断、

ゲシュ=ダールバム(波動砲)使用やむ無しとの判断を下した。

これはエーリクの提出した報告書を重視したと言うより物質文明は精神文明に絶対敵わない、良い様に支配される
だけだと言う恐れがあったからだ。
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別に誰が支配者でも臣民が安定して生活し、幸せならそれで良いはずのだがイスカンダルの王とは言え、王族は
権力に固守するものだったらしい。

とはいえエーリク大公の計画は思惑通りに順調に進んだ。
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この結果、惑星ジレルは歴史の彼方に消えジレル人も収容所惑星レプタポーダに収監されていた二人の幼児を残して
完全に全滅した。

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<ちょっとまてジレル人の心理操作能力は数万光年の距離を隔てても有効だぞ。

ジレル星系の最外殻なんて目と鼻の先の距離じゃないか?

いくらエーリク大公が強力な兵器を用意出来ても簡単に操れるはずだろ!

何でそんな虐殺を許したんだ! 私にはもう、お前が理解出来ない!>イルダは混乱していた。

<人は”敵”がいるから戦う、だからジレルが居なくなれば戦争は収まる。 しかもガミラスの方にゲシュ=ダールバム
(波動砲)で完全にジレルを星事、滅ぼさせれば彼らは自分達の勝利を疑わない。>”総体”は恐ろしい事を言った。

<そんなジレルの一般民衆はどうなる! いくら”総体”となって全ての住民の心が一つに溶け合っていたとしてもやはり
肉体は必要だろうに! これではあの”狂気の独裁者、デスラー総統”のやった事と何も変わらない!>イルダは
”怒り”、その思いのたけを”精神衝撃波”として”総体”に全力でぶつけた。

<やめろ! ガミラスを滅ぼす気か! 落ち着いて話しの続きを聞いてくれ!>”総体”は必死で懇願した。

<前に「私は「君は星さえ滅ぼす力がある」と言った。 それが今、君が見せた”精神衝撃波”攻撃だ。>イルダは黙って
聞いていた。

<通常の”心理操作”は”記憶”とか”認識”とか心の一部に働きかけて”心理操作”を行うものだ。 
だが、しかし、そんな目標を定めず、感情を爆発させ、その爆発を特定の目標に向けて浴びせかけたら相手はどうなると
思う?>彼は厳しい声でイルダに迫った。

イルダは黙ったままだった。

<今の”精神衝撃波”は私の”殺害”を意図的に狙ったものでは無かったから私も耐えられたがこれがもし私の殺害を明確にして発せられたものだったらガミラスどころかザルツもオルタリアもその他多くの植民惑星は死に絶えていた事だろう。>”総体”の言葉は衝撃的だった。

そしてイルダは今、はっきりと理解した、何故、自分が”ジレルの力”に目覚めた時、”総体”が自分を訓練して
くれたのか、その理由に気が付いたのだ。

<あれは訓練であると同時に”破壊の力”に育たない様、指導・監視する意味が含まれていたのだ。

何故なら今のジレル人はガミラスとその植民地の住人の心の片隅に隠れている存在なのだから・・・。

ガミラス人一個人としてはジレル人”総体”の一部であると言う意識は全く持っていない、普通の人に過ぎない。

しかし、それではそのガミラス人が死ねば”総体”の一部も死ぬ事になるのではないか?

エーリク大公の時代にジレル人”総体”は人口不足による弱体化に悩んでいなかったか?

それがどうして今はその問題はなくなったのだ?  もし、問題が解決出来なければ”総体”と言えども今頃は消滅して
いたはずなのだが・・・?>イルダの疑問は深まるばかりだった。

                                                167.イルダ・走る!-(12)→この項続く
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by YAMATOSS992 | 2014-12-06 21:00 | ヤマト2199 挿話 | Comments(0)