ブログトップ

宇宙戦艦ヤマト前史

yamato2199.exblog.jp

宇宙戦艦ヤマト登場前の地球防衛軍の苦闘を描きます。

172.ヤマト2199世界に於ける”精神文明”の有り様についてー(3)

私は今まで様々なメディア上で、SF、SFチックな作品を貪って来た。

その内の超能力者が主人公の作品は主人公が如何に迫害を逃れ、または迫害して来た人々を救うか、と言う
物語だった。(前回取り上げた諸作品、他)

しかし、1979年、機動戦士ガンダムでニュータイプを知り、「多個体一精神生物」の可能性に気付いた。

ただ、この時は単に心の繋がりが深くなればなる程、雪だるま式に人の心は一つに纏まって行くのでは?と言う程度の
理解でしか無かった、人の心が結び付いて行く過程の考察が足りなかったのだ。
e0266858_07584230.jpg
しかし、2004年に発表された「とある魔術の禁書目録」がその不足していた、「多個体一精神生物」成立・過程のヒントを
与えてくれた。

この世界には「学園都市」と呼ばれる”超能力開発機関”がある。
e0266858_10513109.png
そこに住む人々の約八割は学生でカリキュラムと呼ばれる能力開発が行われていた。

そして能力に応じてレベル査定も行われていた。

無能力者(レベル0) 測定不能や効果の薄い力
低能力者(レベル1) 日常では役に立たない力
異能力者(レベル2) レベル1とほとんど変わらない力
強能力者(レベル3) 日常生活で便利と感じられる力
大能力者(レベル4) 軍隊で価値を得られる程の力
超能力者(レベル5) 単独で軍隊と戦える程の力

特に超能力者(レベル5)は学園都市にも七人しか居ない貴重な存在だった。

しかし、超能力を研究する科学者達が悲しい”性”として常に上を目指そうとするのは必然だ。

そして、大超能力者(レベル6)を目指した研究が行われていた。
e0266858_07572254.jpg
その結果、レベル5第一位(一方通行・・・ってなんて名だ!)のみがレベル6に辿り着ける存在だと判るが、その方法が
問題だった。

レベル5第三位(御坂美琴、電気使い・エレクトロ・マスター)の軍用クローン二万体と戦闘をし、勝利すれば一方通行は
レベル6にシフト出来ると言うとんでもない物だった。

 この戦闘は常に一対一で行われ、彼はクローンとはいえ、二万人の人を殺さなければならなかった。

二万体もの軍用クローンが何故存在したか?というと元々はレベル5第三位の量産が目的だったからだ。

しかし、この量産計画で出来たクローンが異能力者(レベル2)とほとんど変わらない力しか無い亊が判り、
軍用クローンの計画は頓挫した。

だがこの計画はレベル6シフト計画に応用出来る事が判り、クローンの量産は続けられた。
e0266858_11025731.jpg
しかし、何故、この戦闘は常に一対一で二万回も行われるのだろう。

二万体を一遍に相手にした方が効率良さそうに思えるのだが、ここでNetワークの考え方が登場する。

二万体の軍用クローン達は異能力者(レベル2)止まりの能力とは言え、電磁気を扱う力を持っていた。

彼女達、ミサカ・Netワークは二万人の脳が結合した状態であり、例へ一方通行との戦闘で一体が死んでも
その”意思”や”記憶”はNet・ワーク内に保存され、ミサカ・Netワークが消滅しない限りその”総体”は生き続けるのだ。

つまり一方通行はどんどん強くなって行く敵を相手にする亊になるのだが10031号が死亡した時点でこの研究は
ある理由で中断されてしまう。

しかし、約一万体の生存クローンと約一万体の死亡クローンの記憶から成るミサカ・Netワークが作り出す”総体”は
確実に残ってしまった。
e0266858_12254012.jpg
生存クローン達は”御坂妹(シスターズ)と呼ばれ外国や国内、学園都市内に分散して生活しておりその生活振りは
一般人と何も変わらない。
e0266858_11243043.jpg
ここに鎌池和馬(作者)の独自性が発揮されている。

つまり、彼女達は個性を残しつつ、一旦、亊有れば”総体”としてスーパー・コンピューター顔負けの演算能力を
発揮するので一番、”集合精神体”としては理想の姿だと言える。
e0266858_15033320.jpg
**************************************************

「とある魔術の禁書目録」のスピン・オフ作品である「とある科学の超電磁砲」では

御坂美琴(御坂妹のオリジナル)を主人公とした超能力・マンガだが、この作品には別の形の精神体Netワークが
登場する。

それが幻想御手(レベル・アッパー)である。

これはある研究者が学園都市、最大最速最容量のスーパー・コンピューター”ツリー・ダイヤグラム”の使用許可が
二十四回も拒絶された事に絶望し、代替えと成るNetワーク・コンピューターを作り出そうと画策した事により生まれた。
e0266858_12273105.jpg
その方法は能力の低い学生達にその能力を引き上げるソフトを使わせ、自然と出来上がるNetワークを使って本来自分が必要とした演算を行うと言う強硬な物だった。

普通のコンピューターNetを使って世間にばら撒まかれたソフト、レベル・アッパーの感染者はおよそ一万人、その全てが自分の脳を他人に乗っ取られて昏倒してしまう。

ミザカNetワークとレベル・アッパーNetワークの大きな違いはNetワークを構成する者が自分の立ち位置をきちんと認識しているかどうかによると思われる。

ミザカNetワークは予め予備実験を行った上で構築された物であり、”持続”が重要な要素だった、しかし、レベル・
アッパーNetワークを構成する成員は自分の能力レベルが上がる事のみに専念し、どうして自分の能力が上がるのか、
その理由を考えもしなかった。
e0266858_12284123.jpg
その結果、自分の脳を他人に持続的に使い続けられ、脳が疲労して昏倒するに至ったのだ。

更にこのNetの構築者に多重能力者(デュアルスキル、原理的には不可能とされる)であるかの様な複数の能力を使わせる。

しかし、本人に言わせると多彩能力者(マルチスキル)だと言う、即ちNet構築者である彼女はNet上から必要な能力を別々に取り出して主人公と闘ったのだ。

しかし、結局、彼女も主人公の頭を使った戦い方に敗れ、電撃を直接受けて昏倒した。

しかし、Net構築者であり管理者が倒れた事で既に昏倒して眠っている他の学生達の”無意識”がNetで結び付き、
”幻想猛獣”を生み出してしまう。

学生達が普段は抑えている欲望が結合、解放されてしまったのだ。
e0266858_12302240.jpg

この怪物の厄介な所はNetに依存しているため、強力な力を発揮するだけでなく、幾ら傷を負っても直ぐに再生してしまう
事だった。

最終的には正気を取り戻したNet・構築者がレベル・アッパーをデリートするワクチン・ソフトを提供、怪物の再生機能を
奪う事に成功する。

後は主人公の”力技”で”幻想猛獣”は始末されるが、この時、昏倒して睡眠に落ちていた学生の一人は
”物凄く優しい一撃を受けた”と感じ、以後の人生感を”ポジティブ”な物に変えて行く。

自分の可能性、今は低いレベルだが、努力次第では”あの力”(レベルアッパー使用時の力) いや、それ以上の”力”が
手に入る事に気付いた学生は多かった。

**************************************************

どうだろうか、超能力は個人が所有していても強力だがこれがNetワークを組むとどれだけ強力になるか、お分かり
頂けだろうか?

そして従来の作品では少数派だった超能力者の場合と違い、種族全部が超能力者だった場合には必然的に
”超能力のNetワーク”が生まれどんな大艦隊も手を出せない存在になる事を御理解頂けだろうか?

だからヤマト2199では超能力者はジレル人の最後の二人の内、ミレーネル・リンケだけにしてヤマトを制圧、
多大な情報を得る事に成功するも、主人公とヒロインの活躍の前にその精神体は滅ばざるを得なかったのだ。 

超能力問題に決着を付けるために・・・。

だが、私はそもそも何故、超能力に長けていた”ジレル人”が周囲の迫害に在って滅んだのか、納得が行かなかった。
(ジレル人に征服の野心があったならガミラスは反対に滅ぼされていたと考えられる。)

それにいくら収容所惑星から救出してくれたとは言え、ミーゼラ・セレステラが何故、あそこまでデスラーを慕うのかも
理解出来ない。

彼は母星を滅ぼす事に力を貸し、自分達を牢獄に幽閉したエーリク大公の甥である、とても同情だけで解放したと本気で
考えていたとしたら”お人良し”の極みで、成人して宣伝・情報相になってからの辣腕ぶりからは考えられない行動で
ある。

また、能力に乏しいセレステラと違い、たった一人でヤマトを制圧した程の能力を持つミレーネル・リンケ特務官は
それほどデスラーに恩義を感じていない描写が漫画版ではされており、デスラーに”心理操作”を仕掛けてもおかしく
無かった。

しかし、この矛盾も超能力Netワークの存在を前提にすれば解決する。

確かにミレーネルの能力は強大だが、しかし、彼女も所詮、疲労する人に過ぎない、四六時中、デスラーの精神に
”干渉”し続ける事は出来ない。

精々、悪戯程度の干渉をする事しか出来なかっただろう、政治に長けたセレステラと組めば、重要な政治的局面で
彼の”精神”に干渉し、”失政”を犯させる事も可能だったが、セレステラがデスラーに心酔している以上、ここまで大きな
干渉は不可能だった。

また、何万光年の彼方にいるヤマトに心理攻撃を掛けるには惑星バランの遺跡にあった「ゴースト・リンク」装置と
次元潜航艦がヤマトの予定航路上にばら撒いた”媒介物質”が必要だった。

しかし、この遺跡にあった装置、誰が見つけ、誰が整備したのであろうか?

こんな訳の分からない装置を使おう、しかも自分ではなくただ一人残った仲間に使わせようと考えるならセレステラの
冷酷さの表現になるが、ミレーネルが殉職した時、彼女は孤独に涙する、人とは”母星”を問わず矛盾した生き物だと
言う表現だったのだろうか?

また、次元潜航艦がヤマトの予定航路上にばら撒いた”媒介物質”だが数万光年の距離に一体どうやって均一にばら撒いたのであろうか?

ないしはヤマト周辺だけに撒いたのかもしれないが、この”媒介物質”、どうやって調達したのであろうか?

遺跡にあったのであろうか? だとしたらどうやって用途を”判定”したのであろうか?

それにバラン到着前のセレステラのセリフ、「アケーリアスの遺跡で”アレ”を使います。 良くてね。 ミレーネル」、
具体的な名前では無く”アレ”と言う暗喩を使って意思疎通を図っている事から考えてこの装置を使うのは初めてでは
無いと考えられる。

一体、何処の誰を相手にこんな訳の分からない装置を使って貴重な仲間の命を掛けさせたのか。

ガミラスの版図拡大に力を添えたのであろうか?

超能力者の存在は物語の面白さに確かに花を添えるものではあるが、説得力となるとボロボロである。

ヤマト世界はやはり物質文明の極み、”大艦巨砲主義”が幅を利かせる物語で無くてはならないと、思っていたが先日、
封切られた「星巡る方舟」は仲々の佳作であった。

ガトランティスとガミラスが物質文明同士で凌ぎを削り、それに謎の精神文明が関わって来て、ヤマトも紛争に
巻き込まれて行くと言う展開は非常に面白く興味深い物だった。

ただ、この作品、人に依って評価が大きく分かれる物になると予想される。

筆者はもちろん、大きく評価する、それも映画版ヤマトの内では最高の出来と考える。

**************************************************

この物質文明と精神文明の共存(?)を果たすと言う離れ業を見せてくれたのが約五十年以上前に書かれた
スペース・オペラ「レンズマン・シリーズ」( E・E・スミス著 )である。

内容についてはここではこれ以上は触れないがヤマトだけでなく、SFやSFチックな作品を語る上で抑えておいて損の
無い傑作である。(映画アニメ「SF新世紀・レンズマン」とTVアニメ「GALACTIC PATROL レンズマン」の双方は別物と
考えた方が良い。 何故なら原作の持つ大きなスケールが全く描けて居なかった。)


                         172.ヤマト2199世界に於ける”精神文明”の有り様についてー(3)→この項了


[PR]
by YAMATOSS992 | 2014-12-30 21:00 | 考察 | Comments(8)
Commented by 古世人 at 2015-01-02 08:15 x
明けましておめでとうございます。お久しぶりです。年末星巡る方舟を見てきました。確かに、ヤマト映画シリーズ最高ですね。ただ、疑問に思う点もあります。何故ケルバデス級が2隻も警務隊に配備されているのでしょうか?
Commented by YAMATOSS992 at 2015-01-02 12:06
こちらこそ早々の御年始のお言葉有難う御座います。

さて疑問のガミラス艦隊に二隻の戦闘空母を配備している件ですが現実の艦隊運用(特に日本海軍)の面
から考えるとさほど無理のある編成ではありません。
ワシントン条約締結時、列強は日本の戦艦「長門」の保有を認めても「陸奥」の保有を断固拒否し、
日本は「陸奥」の保有を認めさせる為に列強に新戦艦の保有を認めさせた位、単艦より同型艦二隻以上の
艦で組む「戦隊」の能力を重視していました。
「星巡る方舟」ではその威力は十分に表現されていませんでしたが、私には戦闘空母が二隻いる意味は
十分にあると考えています。
Commented by 古世人 at 2015-01-02 18:30 x
早速のご返事ありがとうございます。
確かにそうですね。
それと、危機損ねましたが、次のテーマは何か考えていますか?
Commented by YAMATOSS992 at 2015-01-02 19:06
実は次回作の構想は殆ど纏まっています。

「星巡る方舟」熱が覚める今月中旬には開始したいと思っています。
Commented by 古世人 at 2015-01-03 08:16 x
では、そのテーマとは?
Commented by YAMATOSS992 at 2015-01-03 11:04
それは始まってからのお楽しみ・・・ですが、ヒントだけは出しておきます。
(皆様の思惑を大きく外した)「さらば宇宙戦艦ヤマト」です。
Commented by sengoku at 2015-01-17 17:34 x
EEスミスとは懐かしいですね。
スミスの場合は、精神と物質は対等なんですよね。
レンズマンでも、スカイラークでも、思考波スクリーンや
6次光線力帯域の様に、物質文明の機器で、精神力の干渉を防ぐことが可能だから共存出来るのだと考えます。
多個体一精神生物と地球人の接触としては、普通に思いつくのは、ウルトラマンティガ41話やウルトラマンダイナ最終3部作の様なはなしではないでしょうか。

Commented by YAMATOSS992 at 2015-01-17 20:06
残念ながら日本では本当の意味でのSF作品は特撮・アニメ両方を合わせても五指に足りません。
面白ければSFである必要など無いのかもしれませんが・・・。
私自身は極力SFに拘って行きたいと思っています。