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宇宙戦艦ヤマト前史

yamato2199.exblog.jp

宇宙戦艦ヤマト登場前の地球防衛軍の苦闘を描きます。

173.やってきたのはお姫(ひい)様ー(1)

 <この光点(レーダー・ブリップ)気になる・・・。>森雪が倒れた今、探査主任を任された岬百合亜にはそれがヤマトの
いや、地球の敵対勢力が放った戦闘艦である様に思えてならなかった。

ただ、目標との距離はヤマトの後方、六十光秒と遠く、直ぐに危険が迫る事は考えなくても良かった。

しかし、岬百合亜は森雪のサポートとはいえこの席に座って長い時間を経ており、ガミラスでのバレラス突入戦では
見事、探知主任を務め挙げたベテランだった。

<この前のガトランティス特殊兵器装備艦かもしれない・・・。>彼女はその経験からこの光点に警戒心を強め早目に
上官に報告する事にした。

「航海長、艦尾一時の方向に所属不明艦が追尾しています。」

「岬くん! メイン・パネルに出してくれたまえ!」古代戦術長も倒れた今、副長の次席として交代勤務の時、艦橋の
指揮を任されていた島航海長が落ち着いた声で指示を出した。

「第三種戦闘配備! 第三主砲塔、目標の追尾を始めろ!」まだショック・カノンの射程外ではあったが南部砲術長は
目標の自動・射撃・追尾を指示した。

この直の技術班担当は真田副長でも新見情報長でもなく、言語分析担当の桐生美影だったが専門外とは言えヤマトに
対する脅威を見過ごす事は無かった。
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彼女もヤマト周囲の空間に空間の歪みが形成されつつあるのを見逃さなかったのだ。

「航海長、ヤマト周囲に”空間転移の穴”が形成されつつあります! 未知艦がワープ・アウトしてくるのか、投射転移で
艦載機やビームなど攻撃性の物体が送り込まれてくる可能性が大きいです!」桐生美影は警告を発した。

「何! 大島君!桐生君から貰ったデータを精密解析! 転移物体の出現予想方向を至急特定してくれたまえ!」
島航海長は気象解析席に座った大田健二郎の交代要員、大島夏樹に命じた。

「了解しました。 あれっ、おかしい、転移孔と思しき反応は左舷二時方向から観測されます!」大島の声は
戸惑っていた。

<敵性艦は後方のはず、何故前方から攻撃が・・・!>それが艦橋にいた皆の考えだった。

しかし島航海長の判断に迷いは無かった。

「取舵一杯! 測的手第一、二、主砲を右舷に指向、右舷戦闘準備に入れ!」ヤマトの舵を思い切り切りながら
北野宙雷士に指示を出しつつ、言った。

「艦長へ報告! 敵性艦と接触の公算大、艦長の指示を乞う。」その直後である見覚えのある極太ビームがヤマトの
左舷を前方から後方へ擦過した。
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「例のガトランティス艦の武器か! しかし敵艦の反応は後方・・・一体どうやって?」北野宙雷士が思わず呟いた。

「原因究明は後だ。今は眼前の脅威に対処する事に注力せよ。」様態の思わしく無い艦長に代わって真田副長が艦橋に
上がって来た。

「また前方からビームが来ると思いますか?」島が真田に尋ねた。

「いや、そうとは限らん! ドメル将軍との戦いを思い出せ!」副長は慎重だった。

確かにドメル将軍はヤマトの周囲全部に渡って転送エリアを設定し、攻撃機を送り込み、縦横無尽の攻撃を仕掛けて
来た、それに比べればガトランティス艦の攻撃など単調なものだった。

「再び投射転移の反応が増大しています!」桐生が上擦った声で報告した。

「大島君! 敵ビームの発生予想点は? 右舷か?左舷か?」舵を執る島は操舵の寄る辺を求めて大島夏樹に尋ねた。

「それが・・・発生予想点は左舷なのですが、ビームの方向は本艦を指向していないのです。」大島は敵の意図を
図りかねると言った声で報告した。

「敵さん、どうもこちらに用がある様だな。」真田副長が言い終わるか終らないかの内にヤマトの左舷前方千mに出現した
極太のビームはヤマトの進路を遮るかの様に左舷から右舷に走った。

敵の意図が判らずヤマト艦橋には沈黙が満ちた。

<遊んでやがる!>この沈黙に普段は冷静な島航海長が心の底で毒づいたが、それは新人の市川・純・通信士によって破られた。

「敵艦よりコンタクト! 回線を分析官に回します。 翻訳をお願いします。」
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「回線受領しました。 言語照合、ガトランティス、但し前回接触した艦隊が使用していた物とは違う亜種とでも言うべき
言語ですが翻訳は可能です。」 桐生美影は本業の言語学の才を存分に発揮していた。

メイン・パネルに映ったガトランティス人の姿にヤマトの艦橋に居た人々は息を飲んだ。

地球年齢で言えば十六歳程度のロー・ティーンの少女だったからだ。

「テロン人よ。正統ガトランティス王家の名において”停船”を命ずる。逃亡が不可能なのは今までの威嚇攻撃で判った
はず。 速やかに”船”を開け渡・・・。」物騒な要求を述べていたのがまだ年端もいかぬ少女だったのも驚きだったが、
その少女が後からスクリーンの視界に入って来た男に有無を言わさず殴り飛ばされて画面から消えたのには
もっと驚いた。

何が起こっているのか判らないでいるヤマト乗組員はただメイン・スクリーンを見つめるだけだった。

如何にもガトランティスの戦士といった装いに身を包んだ老兵が視界の外に飛ばされた娘にまず呼びかけた。

「姫! 如何に正統ガトランティス王家と言えども”星の海を征く者の理”を疎かにしてはなりませんぞ!」彼は姫様(?)を
一喝するとスクリーン中央に向きなおり、口上を述べた。

「私は正統ガトランティス王家、第二王女レティファン・クエセジャード付侍従長ボ・ルドウ。 テロンの方々、我が主人の
非礼、平にお詫び申し上げる。 我が主人は若輩者故、まだ”星の海を征く者の理”を理解出来ていないのです。」

<宇宙人とだって必ず友達になれるさ。>島はその言葉に亡き父の言葉を改めて思い出していた。

                                          174. やってきたのはお姫(ひい)様 ー(2)この項続く
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by YAMATOSS992 | 2015-01-17 21:00 | ヤマト2199 挿話 | Comments(2)
Commented by 古世人 at 2015-01-17 21:56 x
お待ちしておりました‼
ところで、これって、時間軸では26話に該当しますよね?
古代戦術長が倒れた、とはどういうことでしょうか?
Commented by YAMATOSS992 at 2015-01-18 09:11
お久し振りです。 この話は時間軸上は確かに26(+@)話に相当します。
最終話で古代は抜け殻の様に成りながらも船内を俳諧していました。
しかし、第最終話冒頭で瀕死の重傷を負った恋人の雪にユリーシャの
生命を繋いだカプセルを用いる事が決定し、一縷の望みが生まれたと
言っても古代にしてみれば希望と絶望の狭間での苦悩が続いたはずです。
しかも、物語では語られませんでしたがその苦悩はイスカンダルー地球の中間点、
バラン以降延々と彼を苦しめたのは想像に難くありません。
この問題に対しては今後明らかにしてゆくつもりですのでお楽しみに!