ブログトップ

宇宙戦艦ヤマト前史

yamato2199.exblog.jp

宇宙戦艦ヤマト登場前の地球防衛軍の苦闘を描きます。

174. やってきたのはお姫(ひい)様 ー(2)

 「痛いなぁ、もう。 少しは加減してよ。 爺・・・。」ムクリと起き上ってフレーム・インして来たのは姫様(?)だった。

「『悪い事』は悪い! 『道を外したら正しき道に戻す!』 これは正統ガトランティス王家の当主であらせられる父君、
グエゼ・クエセジャード様が私に持たせた特権であり果たすべき義務で御座います。 お姫(ひい)様、私目の采配が
お気に召さなければ私目を何時でも解任、処刑されて結構です。」ボ・ルドウ侍従長は最敬礼しつつ自分の正統性を宣言した。

「よう判った! 後の交渉はお前に任せる! わらわは室に帰る!」レティファン・クエセジャード姫は至極御機嫌斜めで自室に引き下がろうとした。

しかしボ・ルドウ侍従長は姫の襟首を掴んで引き戻した。
e0266858_11321589.jpg
「いけません! 交渉前に最高責任者が逃げ出す事はなりません!」どうやら侍従長は姫の教育係も兼ねている
ようだった。

「テロンの皆様。 改めて御挨拶いたします。私の主人は正統ガトランティス王家第二王女レティファン・クエセジャードと
申します。 私は姫付きの侍従長のボ・ルドウ、我々は姫の婚礼のための航宙途中ですが船の機関に不調を生じ、難儀
致しておりました所ですわい。」彼は自分が頭を下げると共に姫の後頭部を押さえて無理やり頭を下げさせた。

「それは我々に救助を求めるという事ですか? お助けしたいのは山々ですが、我々も地球のために先を急ぐ旅です。 
大したお手伝いは出来ません。」真田副長が申し訳無さそうに、しかし、断固として救援要請を断った。

「副長、意見具申します。差し出がましい様ですが相手の機関の様子を診てやる位はしてやっても良いのでは
ないでしょうか?」島航海長が進言した。

島にとってこの状況は今は無き父親、島大吾が残した言葉、”船乗りは決して仲間を見捨てない!”と言った言葉が
当てはまる状況に思えてならなかった。

「これは失礼した貴艦は重大な使命を帯びての旅の途中の御様子、その足を止めさせた事、重々お詫び申し上げる。 
貴艦は早々にこの宙域を離れられよ。 我等に掛かった追っ手が迫って居りまする、何の関係も無い貴艦が戦闘に
巻き込まれでもしたら貴艦に対して申し訳が立ちようもありません。 貴艦の無事な航海をお祈りして居ります。」
それだけを告げるとボ・ルドウは一方的に通信を絶ってしまった。

**************************************************

「ガトランティス艦に”動き”はあるか?」真田副長は探知主任の岬・百合亜に尋ねた。

「ありません。 当該艦は本艦の後方六十光秒を通常航法で追尾してきます。」岬は即答した。

今、ヤマトの艦橋内はくだんのガトランティス艦を救援するか、否かで意見が真っ二つに分かれてしまっていた。

勿論、救援派の先方は島航海長である、彼は亡き父の「星の海を往く船乗りの理」に忠実であろうとしていた。

反対しているのはヤマトの任務達成を急ぐ真田副長だった。

先方が折れてくれ、しかも戦闘の可能性まで匂わされてはここに留まる理由は無かった。

「間も無く”定時ワープ”の時間だ。 航海長、最大ワープの準備に入れ!」副長は断固たる調子で命令を発した。

ヤマトは軍艦である、上官の命令は絶対だった。

『本艦ハ二十:00ニ最大わーぷニ入リマス。各部署・各員ハわーぷに備エテクダサイ。』機械音声の警告放送が艦内に
流れる中、島は抗命しようか、どうしようか葛藤していた。

今は冷凍睡眠槽で眠っている古代戦術長は元気な時には”間違った命令”には決して従おうとはしなかったからだ。

古代の親友である島・大介もまた、”転移命令の拒否”を口に出そうとしたその時、真田のインカムに通信が入った。

「真田君! 艦長の容態が急変した。 再手術の必要があるかどうか、しばらく様子を診たい、今、ワープ、それも最大
ワープなどで艦長の身体に負荷を掛ける事などもってのほかじゃ、直ぐに中止せい!」佐渡酒造医師からの緊急報告
だった。

「了解しました。ワープは中止します。」それだけ言うと真田副長はインカムを切った。

<ワープ航路の算定とワープ先空間の安全確認は今までの通常航行中に既に済んでいる、後はワープ実施の命令を
出すだけなのだが艦長が不調ではワープは見合わすしかない、かと言って他の乗組員にその事を知らせるのは艦の
士気上好ましい事では無い・・・。>真田副長は当惑顔で考え込んだ。

「どうしたのです? 副長・・・。 何かあったのですか?」島航海長がワープ中止と言う言葉に戸惑いながら聞いた。

考え込んでいた真田はその声で我に返った。

<艦長の病状悪化の件、隠し通す事など出来はしない・・・。 ここに居る者は皆百戦錬磨のベテランだ、ここに居る
メンバーだけには真実を打ち明けよう。>真田副長が腹を括って第一艦橋にいる全員に沖田艦長の病状悪化の
報告・容態を説明し、これは第一艦橋内の緘口令である事を告げた。

「何時、次のワープが実行出来るか判らないんですか?」新人の市川・純が怯えた様に尋ねた。
e0266858_15493239.jpg
「大丈夫、艦長は何時だって必ず”死神”を打ち負かして来たじゃないか! それにあの人は必ず約束を守る
漢(おとこ)だ。その漢(おとこ)が”地球をこの目で一目見るまでは絶対死なん!”と言い切ったんだ。絶対大丈夫さ!」
島航海長が副長の話の重大性に沈黙していた皆を励ました。

その様子を見た副長は島の成長振りに喜びを覚えた。

「副長、進言して宜しいでしょうか?」桐生美影が手を挙げた。

「ん!何だね、桐生くん、言ってみたまえ。」副長は機嫌良く発言を許した。

「真に言い難いんですが、先ほどのガトランティス艦、”追手と戦闘する事になる”と言っていました。 この宙域に
長居すると我々もその戦闘に巻き込まれる恐れが大きいのではないかと思います。 艦長の容態は心配ですが
ここは一刻も早くワープして戦闘を回避すべきと考えます。」桐生・美影は皆が内心恐れている心配事を堂々と口にした。

                                         175. やってきたのはお姫(ひい)様 ー(3)→この項続く
[PR]
by YAMATOSS992 | 2015-01-24 21:00 | ヤマト2199 挿話 | Comments(4)
Commented by 古世人 at 2015-01-24 22:07 x
この「追っ手」とやら、かなりヤバそうなものの気配が・・・(冷や汗)
Commented by YAMATOSS992 at 2015-01-25 07:25
もちろん2199挿話もエンターテイメントですから、敵は数多く、強力でなければ面白くありません。
流石に「白色彗星帝国本体」までは出せませんがかなり強力な敵を用意しております。 お楽しみに!
Commented by 古世人 at 2015-01-26 12:49 x
ところで、ガトランティスの量子魚雷って、一体?
Commented by YAMATOSS992 at 2015-01-26 20:03
原子や分子、電子、陽子、中性子、素粒子(種類多々)などを
まとめて取り扱う学問を”量子論”と言います。
ここにはもちろん、陽電子も反陽子も含まれます。
但し、”量子”と言う物は存在しません。
逆に”ハイペロン”等は実在します。

ヤマト世界は ”らしさ” が命です。
固く考えずに素直にその”語感”を楽しみましょう。