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宇宙戦艦ヤマト前史

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宇宙戦艦ヤマト登場前の地球防衛軍の苦闘を描きます。

175. やってきたのはお姫(ひい)様 ー(3)

 「だ・か・ら、桐生くん何時起こるか判らない戦闘を恐れて艦長の命を掛ける訳にはいかないんだよ。」真田副長が
噛んで含める様に言った。

「だったら、あのガトランティス艦にこの宙域から退去して貰えれば良いのではないですか?」桐生も負けて居なかった。

「あの艦は機関が故障していてワープ出来な・・・って真田副長、あのガトランティス艦の機関を修理してやって速やかに
退去して貰えば良いのでは無いのですか?」島航海長が再度ガトランティス艦の救援を進言した。

<フム、確かにこのままあのガトランティス艦と同じ宙域に居るのは危険だ。 かと言ってヤマトは今、艦長の容体・悪化でワープ出来る状態に無い。 それならあのガトランティス艦を修理してやってさっさとこの宙域から去って貰えれば
こちらにとっても相手にとっても都合が良い。>真田副長は素早く頭を巡らせた。

「よし、それで行こう。 岬くん、ガトランティス艦はまだ後方にいるか?」副長はレーダー席に着いている岬・百合亜に
尋ねた。

「はい、右舷後方四十光秒にピタリと着けています。」と岬は応えた。

「桐生くん、市川くん、先方を呼び出してくれたまえ。 交渉は私がする。」真田副長が矢継早に命令を発した。

やがてヤマト艦橋のメイン・パネルに先ほどの姫と侍従長の姿が映った。

「我が艦に救援を頂けるとの事だが、如何なる次第ですかな。」ボ・ルドウ侍従長は慎重だった。

姫の方は珍しそうにメイン・パネルに写った異星人の姿に見入っていた。

「貴艦の機関故障、我々で修理可能な物なのかどうか確かめさせて欲しいのです。 そして修理出来るものなら修理
させて頂きたい、但し、その理由は聞かないで下さる事がこの援助の条件です。」真田副長は率直な希望を言った。

あまりにも美味い話を怪しんだのか、ボ・ルドウ侍従長は腕組みをしたまま俯いてしまった。

姫がボ・ルドウ侍従長の様子がおかしいのに気付いて顔を覗き込んだ。

そしてその顔を見ると思わず言った。

「爺・・・。 泣いているの?」

「いや、お恥ずかしい、久しぶりに、本当に久しぶりに”船乗り魂”に触れる事が出来、このボ・ルドウ感激のあまりつい、
涙を見せてしまいましたわい。 ご提案、快諾いたします。」ボ・ルドウ侍従長はヤマトの提案を丸呑みしてくれた。

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ヤマトとガトランティス艦の距離は一光秒以内に詰められていた。

ヤマトから山崎機関士と新見情報長、桐生通訳が先遣隊として当該艦の故障状況調査のため複座から三座に緊急改修
した百式空間偵察機で発進した。

一応、護衛として山本・玲のコスモ・ゼロαー2 が付いてたが百式空間偵察機がガトランティス艦に着艦し、三人が
ガトランティス艦内に入ってしまったら山本には手出しのしようが無いのだ。
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<ガトランティス艦・・・。確かにこの前の艦隊とは違う所属の様だが本当に信用して良いのか・・・。>山本・玲は
大マゼラン雲・外縁で戦ったガトランティス艦隊を思い出して不安を募らせた。

その頃、山本・玲のコスモ・セロ αー2 の前を飛ぶ百式空間偵察機の中は奇妙な事に為っていた。

操縦を山崎機関士、本来の複座席には桐生美影、最後部の緊急用補助座席には新見情報長が座っていた。

本来なら新見情報長が操縦を担当し、複座席には山崎機関士、桐生・美影は緊急用補助座席に詰め込まれるはず
だった。

だが桐生・美影には通訳と言う本作戦のキー・マンとも言うべき役割が振られていた。

ガトランティス艦に到着次第直ぐに任務を果たして貰わなければならない。

そこでタブレット・端末を操作出来る余裕のある本来の複座席をあてがわれた。

しかし、大男の山崎機関士では緊急用補助座席には入れなかった。

そこで新見情報長が割を食って緊急用補助座席を使う羽目になったのだ。
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「先輩、申し訳けありません。帰りは私がそっちに座りますから御勘弁下さい。」桐生が紋切り口調で言った。

「いいのよ。 その代りキッチリ仕事してね。桐生さん!」新見情報長が愛想笑いをしながら応えた。

その遣り取りを聞いていた山崎機関士は言葉こそ平穏なものの、裏で交わされる女の闘いを見た様な気がして
素直に”怖い”と思ったがガトランティス艦が間近に迫っているのに気付き減速して相対速度を零にした。

そしてその艦の後部にV字型をした艦載機発艦軌条と思しき箇所がある事を見つけてゆっくりと接近して行った。

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山崎達は格納庫から艦内に案内され、案内の兵は山崎達の目の前でヘルメットを脱いで見せ、ここが気密区画である事を示した。

それに応えて山崎達もヘルメットを脱いだ。

そこに一人の男が跪いていた。

その男はガトランティスの言葉で何か口上の様なものを述べた。

「地球艦の皆様、本艦を救援して頂けるとの事、感謝の念に堪えません。」素早く桐生・美影が通訳した。

「私の名はヤ・ラルトウ、この艦の副長を任せて貰って居ります。」

<副長? ここは艦長か、あの”姫様”、侍従長が出てくる場面じゃない!>新見情報長は何か馬鹿にされた様な気になって怒りをぶちまけた。

「艦長はどうしたの! 失敬な! ここは艦長が出てくる場面でしょうに!」桐生・美影が新見の怒りをどう通訳したら良い
ものやら、迷っている内にヤ・ラルトウ副長の方から弁明が為された。

「お怒りごもっとも。実は貴艦と接触したボ・ルドウは侍従長であると同時に本艦の艦長なのです。
ですから本来ならボ・ルドウが皆様のお相手をすべきところなのですが、お互い一度は対立した関係です。
本艦の艦長は皆様の安全を保障すると言う意味で”証人”として貴艦に向かって居ります。」桐生の通訳を聞いた新見は
<嵌められたわ! これで好い加減な修理は出来ない!>と覚悟を決めた。
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「桐生くん、早速、トラブル箇所へ案内してくれと伝えてくれたまえ。」山崎機関士はサッサと仕事を片付けてヤマトに戻るつもりだった。

ヤ・ラルトウ副長は一行を機関室に案内した。

「これは・・・。」山崎機関士が息を飲んだ。

「まぁ・・・。 これでは不調になるのも無理無いわ。」新見情報長も呆れていた。

桐生・美影は機関に関しては全くの素人だったがそれでも眼前に置かれたガトランティス艦のエンジンが真面な状態に
無い事は一目で判った。

エネルギー伝道管がエンジンを蜘蛛の巣の様に取り囲んでいたのだ。

「何分、古い機関です。 修理を繰り返している内にこの様な無様な姿に為ってしまったのです。」副長は恥ずかしそうに
説明した。

<艦体は新しいのにエンジンだけが骨董品・・・。これは一体どういう事だ・・・。>山崎機関士は大きな疑問を持ったが、
込み入っている伝道管を整理してやれば機関が息を吹き返すのは明確であり、新見情報長も同意見だった。

「ヤマトに応援を頼もう! それと応援隊に」エネルギー伝道管の予備を十三本ばかり持って来て貰う様に副長に
頼んでくれ。」山崎機関士はヤマトとの交信をヤ・ラルトウ副長に行う様、桐生・美影に通訳を頼んだ。


                                       176. やってきたのはお姫(ひい)様 ー(4)→この項・続く
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by YAMATOSS992 | 2015-01-31 21:00 | ヤマト2199 挿話 | Comments(2)
Commented by sengoku at 2015-02-01 21:09 x
更新お疲れ様です。
ガトランティスの機体は、地球のレーダーには引っ掛からないステルス仕様なのですか?
お互いの艦を行き来するコースならば、不慣れな人間が操縦している百式はともかくとして、ヤマトかコスモゼロのレーダーに引っ掛かると思われますし、レーダーに反応があれば、百式にも警告されると思うのですが。
Commented by YAMATOSS992 at 2015-02-02 06:05
これは説明不足でした。
ボ・ルドウ侍従長達はヤマト側の修理班がガトランティス艦に辿り着いた事を確認の上、発艦したのです。
幾ら、相手を信じると決めても”姫”を守る立場のボ・ルドウとしては最低限度これくらいの用心はするはずです。