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宇宙戦艦ヤマト前史

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宇宙戦艦ヤマト登場前の地球防衛軍の苦闘を描きます。

178. やってきたのはお姫(ひい)様 ー(6)

  真田副長がガトランティス艦へ派遣した修理班と連絡を取った所、修理が完了した旨の連絡が来た。

しかし、どうしても主機関の再起動が出来ないとの報告であった。

この事をボ・ルドウ侍従長、いやガトランティス戦艦”ガウ・ルーガル”艦長に伝えると再起動にはパス・ワードが必要な
場合があると言う事が判り、”姫”とボ・ルドウは自艦に引き返す事になったのだが、”姫”は『まだ、修理が終わった
訳では無い! ”証人”はまだ必要じゃ!』と自己の役割に拘った。

「判りました。”姫”の御覚悟しかと受け止めました。 私も貴艦の修理に立会いましょう。」押し問答をしていても時間の
無駄だと考えた真田副長はもう一機残されていた百式空間偵察機を使ってガトランティス艦に向かった。
(操縦は航空隊員が受け持ったが・・・。)

もちろん、ボ・ルドウも”姫”と共にヤマトに来艦した 時に使った”連絡艇”を使って戦艦”ガウ・ルーガルに戻って行った。
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真田副長とボ・ルドウ侍従長が出て行くとヤマト左舷展望室には”レティファン姫”と島航海長だけが残されていた。

島航海長はガトランティス艦を目指してヤマトから発艦してゆく二筋の光の帯を展望室の窓から見つめながら言った。

「私は卑怯者です。 何時だって”航海”の事だけを考え、ヤマトの安全な場所で舵を執って来た。・・・」島航海長は
突然、レティファン姫の思いもよらぬ事を言って来た。

怪訝な顔で沈黙する”姫”を余所に島は言葉を続けた。

「本来なら、貴女のお相手をするのは本艦・戦術長の役目です。 私の親友、古代・進の・・・。」島・大介はバラン星・
亜空間ゲートの銀河系・方面・亜空間回廊内で起こった戦闘により親友・古代の恋人が瀕死の重傷を負い、
冷凍睡眠カプセルで命を繋いでいる事を語った。

「良かったではないか? そちの親友の”恋人”とやらは死なずにすんだのであろう?」"姫”が怪訝な顔をした。
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「良くない! 瀕死の重傷を負ったんだぞ! 彼女は今も”生死の境”を彷徨っている・・・。」島航海長は悔しげに
拳を握った。

 古代・進は”恋人、森・雪”が何時、死んでもおかしくない中、戦術長の任務を続けた。
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そして、睡眠から目覚めると真っ先にする事は”彼女の生死”を確かめる事だった。

多分、睡眠中も眠りは浅く、悪夢にうなされる日々が続いた事であろう。

しかし、そんな無理は長く続けられるはずも無く、”森・雪”の負傷から三ヶ月たった所で古代戦術長はとうとう床から起き上がれなくなり、佐渡医師の判断で冷凍睡眠処置を受け、今は眠っている状態なのだ。

「そこまで想って貰える”恋人”とやらは”幸せ者”じゃな・・・。 わらわなど自分の運命から逃げてばかりじゃ・・・。」
”姫”は多くを語らなかったがその言葉に彼女が庶民には判らぬ苦労をして来た事を島・航海長は感じた。

「じゃが、そなた達の旅とその使命の話を聞いて決めた! 私の使命はガトランティスを父上から聞いていた本来の姿に
戻す事じゃ!」<ガトランティスの本来の姿? それはどう言うことだ?>島・航海長は”姫”の唐突な言葉に戸惑った。

ガトランティスは凶暴な戦闘民族である、群れを成して大艦隊で星系を襲い、その持てる資源や人材を根こそぎ奪って
行く存在としてガミラスからさえも恐れられていた。

しかし、レティファン姫が所属していたセジャード族が主導権を握っていた時代には母星を持たず、宇宙船を住処とし、
星の海を漂泊している点では今と変わらなかったが現在のガトランティスと大きく決定的に違う部分があった。

それはガトランティスの生計の立て方であった。

現在のガトランティスの生計は”略奪”に依って成り立っている。

しかし、過去は”星間・貿易”が生きる手段であった。

ある星系で仕入れた珍しい金品を他星系で物々交換して生きるのに必要な物資を手に入れると共に相手にも有用な
技術や文化・芸術といった形に成らない物も提供していたのである。

この為、アンドロメダ星雲ではガトランティスは各星系国家に歓迎され、寄港した際には大いに歓待されると言う今では
考えられない待遇を受けていたのだった。

だが、ガトランティスが豊穣な財産を保有している事が知れ渡るとそれを”武力”で奪い取ろうとする輩が生まれてくるのも
必然だった。 (”宙賊”の出現である。)
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そうなれば必然的にガトランティスの方も軍艦で輸送船団を護送する様になってくる、ガトランティス艦隊の艦船が
両舷同時戦闘を前提に設計され、また輪動砲を主に採用しているのもあらゆる方向から来る敵に即座に対応するため
である。
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また、艦隊には必ず空母を伴っているのも常時、広範囲な索敵警戒、及び初期迎撃をするのが目的」であった。
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だが、悲しいかな、波動防壁(ゲシュタム・フィールド)の様な純粋な防衛システムを持たなかったガトランティスは
攻撃力を強化する事で自らを防衛するしか無かった。

本来、侵略者の使う武器は見た目は高威力で恐ろし気だが実際の威力は少ないか、脅しだけで実戦には投入しない
場合が多い。

それは何故か? 侵略者はあまり高威力の兵器を使うと奪うべき戦利品までも失ってしまうので波動砲の様な
大量破壊兵器は使えないのだ。

反対に防御側は侵略者を兵士も船も纏めて排除してもなんら問題が無いので幾らでも高威力の大量破壊兵器が使えると言う皮肉な事になってしまっている。

だが、この理がガトランティスにとってはその運命を大きく作用する結果となった。

ガトランティスは自己防衛の為に武装したのであるからその武装は防御用の大量破壊兵器が中心であったが
アンドロメダ星雲の各星系国家は大量破壊兵器で武装したガトランティスに警戒感を抱き、ガトランティスは排除される
対象となってしまった。

そして補給をする必要上、止む無くではあったが、ガトランティスは各星域で略奪行為を働く様になってしまったのだ。

こうなれば後は坂道を転がり落ちる如く”略奪・国家”に成り下がるしか無かったガトランティスであった。

”レティファン姫”はそれを正し、ガトランティスを真面な”星間貿易国家”に戻す様、導くと言っているのだ。

「姫様、恐れ多き事ですがそれは無理です。 ”姫”、御一人が幾ら頑張っても体制までは変えられない。」生真面目な
島航海長は”姫”の無謀なはかりごとを諌めた。

「何を申す! そなた達だってあのガミラスに滅亡の瀬戸際まで追い詰められながらもイスカンダルといったか?その地で救済の手段を手にし、帰還の途にあるのではないか?」

確かにヤマトの航海は奇跡の連続だった、そして、その”不可能”を”可能”にして来たのは常にヤマト乗組員全体の人の
力だった事を島航海長は思い出していた。

「”生まれた星は違っても想う所が同じならきっと心は通じる!” わらわは”爺”にそう教えられて育った・・・。」”姫”は
どこか遠くを見つめる様な目になった。

「そうじゃ、そなた達の旅はまだ終わってはおらん、私の”企て”も始まったばかりじゃ、互いの成功を約してお互い、
”真の名”を交換いたそう。 どうじゃ、異論はあるまい!」”姫”は再び島を当惑させる様な事を言い出した。

<”真の名”? 何の事だ?>文化人類学の知識など無い島航海長は当惑するばかりだった。 

                                       179. やってきたのはお姫(ひい)様 ー(7)→ この項・続く

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by YAMATOSS992 | 2015-02-21 21:00 | ヤマト2199 挿話 | Comments(10)
Commented by HAL0999 at 2015-02-22 00:02 x
YAMATOSS992さん
こんばんはHALです。毎回たのしく読ませて頂いています。
ガトランティス艦の特徴だった回転砲塔(輪動砲塔というのですか?)については「さらば」公開時に度肝を抜かれた記憶があります。
駆逐艦がヤマトを両舷から連射攻撃するシーンは圧巻でした。
またこれがガトランティス艦のデザインの記号性にもなっていて、 当時よくこういうものを思いつくなぁと感服したものです。
当時考えたのは、あの輪動砲塔というのは連続的に敵に被害を与えるのが目的で、エネルギーチャージが短時間である事を考えると、それほど強力ではなかったのかなと、でなければヤマトはあの駆逐艦隊に沈められていたでしょうねぇ。
一撃離脱(ヒット&ラン)ではなく多撃離脱(こんな言葉はないでしょうけれど)に適した武装なのでしょう。

ガトランティス艦のもう一つの特徴に「レイヤー構造」があると思うのです。
ヤマトのような一つのかたまりではなく、2つ以上のかたまりを積層したような構造。ある意味レイヤー的な構造です。
おそらく被弾時の被害を分散する目的があると思うのですが、どうなんでしょう。

で、「星巡る…」からは「科学奴隷」という言葉も出てきました。本来のガトランティスの科学力はそれほどではなかった事になっていますね、そうだとすれば拿捕した艦などもほぼそのまま使いそうな気がしていて「メガルーダ」などは、そのデザインがあまりにも標準的なガトランティス艦の特徴であるこのレイヤー構造ではないので、おそらく拿捕した艦を改造したかな、などと妄想しています。

それに「火焔直撃砲」をヤマトの波動砲のように内包した構造になっていない件に関して、(「メダルーサ」は内包していましたが)たぶん後でとってつけた武装であるか、もしくは、完全にコントロールできておらず、暴走する可能性があるので、緊急時に切り離す必要があったのかな(どちらかというとこちらの設定の方が好みです)と思いました。

まぁ絵的な演出が目的である事は明解なのですが、なんか背景設定がほしくて、そんな事を考えています。

このあたり YAMATOSS992さんはどのように思うでしょうか…

すみません、続きます。
Commented by HAL0999 at 2015-02-22 00:05 x
「おひいさま」ですが、先が読めませんねぇ、面白くなりそうなんですが。
古代が雪を思いやる心労から「冷凍睡眠処置」というのは、なんかすごい事になっているんですね。それを、あの使命感の強い古代が受け入れたのにも驚きなのですが、沖田艦長は病気の進行で職務遂行が難しい状況、更に戦術長が不在という状況のヤマトはあぶなっかしくて見てられませんね…

コメントに長文をおお許しください。

続編を楽しみしています。
Commented by YAMATOSS992 at 2015-02-22 06:42
HALさんいらっしゃい。
人物設定以外の事も気に掛けて居られる様で安心しました。
さて”輪動砲塔”はさらヤマで新しい表現をスタジオぬえが模索した結果生まれた物で”ガトランティスの記号”として生み出された事を看過されたのは見事です。
但し用法の方は少し違っていると思います。
駆逐艦の場合、小さな艦体に多数の砲塔を設けています。
これは一つ一つの砲塔の威力は減る事を意味します。
さらヤマの時は、「迫力はあるものの説得力には欠けるなぁ」と思いつつ手に汗握った覚えがあります。
では本当の用法は何か、敵の小兵力の制圧だと考えています。
攻撃力はあるが防御力に乏しい艦載機や宙雷艇、惹いては略奪対象の貨物船の抵抗排除などです。
また、それは船体の構造が二つの艦をくっ付けた様になっているのも”ガトランティスの記号”です。(超大型戦艦以外全てこのスタイルが当てはまります。)
ですが、この構造、ガミラスにもヤマトにも通用しませんでした。(演出側が使い切れなかった?)

新設定の”科学奴隷”ですが、これは”ナンセンス”なもので星巡る方舟の設定中一番「何考えてるんだ、設定者!」と言いたくなる愚かな設定です。
もしガミラスの瞬間物質移送機の実験班が機械毎捕虜になったとしてガミラス人が簡単にその装置の全てを教えると思いますか? 拷問されて仕方なく最小限度の作動方法を教えたとしてもガトランティスに科学的素養がなければ実用の域にまで持ってゆく事は不可能です。
ヤマトはその旅路で度々ガミラスの機械をいとも容易く扱ってみせますが、その時、常に先頭に立っているのが真田技師長である事を忘れてはなりません。
Commented by YAMATOSS992 at 2015-02-22 07:18
その辺りの矛盾を付いて私はガトランティスが今は”星間移動略奪民族”として忌み嫌われ、恐れられていますが、以前は平和な”星間・貿易民族”だった事にしました。
これならば異星の見知らぬ文化・やテクノロジーを簡単に自らの物とする能力に長けていても不思議はありません。
(モデルは古代フェニキア民族です。)
拿捕した船をそのまま使う場合でもこの理論は当てはまります。
特に空間跳躍に関する技術など下地が無ければ全く使える訳がありません。
”科学・奴隷”と言う”知性”を貶める言葉に私は嫌悪感を覚えます。
どうも制作側は”蛮族”と言う言葉の上っ面しか理解しなかった様ですね、全く残念な事です。
(蛮族の代表、モンゴル人の作った帝国にはペルシャ人の丞相が居た事あります。
つまり外から入って来るものでも有益な物は決して排除せず、却って優遇して帝国の繁栄を支えたのです。)
Commented by YAMATOSS992 at 2015-02-22 07:54
古代戦術長は”冷凍睡眠処置”を受け入れた訳でありません。
心痛を抱えて任務をこなしていましたが、とうとうその心痛に耐え切れず”人事不省”に陥って”倒れた”のです。
そこで佐渡医師の診断、真田副長が進言、沖田艦長判断の下、古代戦術長は”意識不明のまま、冷凍睡眠処置”を受ける事になったのです。
Commented by YAMATOSS992 at 2015-02-22 08:05
沖田艦長の病状悪化は星巡る方舟でも語られましたが、真田副長が充分その不在をカバーしています。

古代戦術長の不在が不安の御様子ですが”未来への選択”で見せた”冷静で的確、大胆な行動”はその穴を埋めるのに十分な物と考えます。
実は島航海長の活躍が少ないのでそれを補う話を書いて見たかったのもありますし、ヤマトを語る上でどうしても忘れてはならない人物を登場させるのに必要だったリリーフ・登板なのです。
Commented by にしなさとる at 2015-09-25 20:16 x
初めまして。
ガトランティスが、かつてはまともな貿易国家だった、というのは驚きです。
しかし、交易によって蓄えた富を守るため、武装せざるを得なくなった。
武力を蓄えた結果、他国から恐れられ、警戒され、忌避される羽目になった。
富というものは、物を売ってくれる相手がいなければ、意味を成さない。
食うに困って、盗賊に成り下がるしか無かったと……。

故郷を失って、生きるために貿易をやり、貿易で得た物を守るために強くなり、強くなり過ぎて嫌われ、嫌われた結果ならず者に成り下がるしか無かったとは、何とも皮肉な話です。

待てよ? そう言えば、ガトランティスが母星を失った経緯については、一度も語られたことか有りません。どういう理由でそうなったのか、知りたいところです。
もしかしたら、当のガトランティス人自身、忘れているのかもしれませんが。
Commented by YAMATOSS992 at 2015-09-26 14:21
にしなさとるさんいらっしゃいませ。
ガトランティスの成り立ちに目を向けて頂いた事、嬉しく思います。

>ガトランティスが母星を失った経緯・・・
これは宇宙をフロンティアとする全ての種族に関係する事です。
一度宇宙に大きな足場を築いてしまえば態々重力井戸の底たる母星の地表を根拠地とする種族はいません。
つまり母星を”失う”のではなく”捨てた”のです。
但しこれには例外があります。
地球やガミラスの様に宇宙時代の比較的初期に”慣性制御”技術を入手出来た種族は重力による制約が少ないので母星を捨てる事は無いと私は考えます。
Commented by にしなさとる at 2015-09-26 18:01 x
なるほど、「彼らは、もう母星を必要としなかった」ということですね。
しかし、だとすると、ガトランティスが、「星間貿易国家」や、「盗賊国家」になってしまうのは、ちょっと矛盾が有るんです。
そもそも、そこまで来れば、もう、『貿易』や、『略奪』など、必要としない可能性が高い。
食料は、ヤマトの「O・M・C・S」のような仕組みで生産できるだろうし、資源は、無人の、生き物のいない星からでも手に入るのですから。
Commented by YAMATOSS992 at 2015-09-26 18:47
ガトランティスが求めるものが単に物質やエネルギーだとすればおしゃる通りです。

しかし、現在地球上で行われている交易はそうした素材に加工を加え付加価値を高めた物を取引しています。
この”そこでしか手に入らない物”が交易や略奪の対象となるのです。
もちろん、ガトランティスは無人惑星からも資源を調達出来るでしょうが、他の種族が調達した物を横取りする方が精製や精錬の手間が省けると考える思想の元に行動していると思っております。
>ヤマトの「O・M・C・S」のような仕組み・・・
これはヤマトに限らず長躯宇宙を旅する者には必須の装備です。
ただ、これは生態系の模倣に過ぎず、資源の再利用と言う面まで拡大解釈して良いかどうかについては私は疑問を持っております。