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宇宙戦艦ヤマト前史

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宇宙戦艦ヤマト登場前の地球防衛軍の苦闘を描きます。

180. やってきたのはお姫(ひい)様ー(8)

 ヤマトと御召艦・ガウ・ルーガルはガトランティス本体から来たと思われる艦隊に追われていた。

<随分大規模な艦隊だな。この前出逢った転移ビーム砲艦が五隻もいる! ”姫様”はどうあってもガトランティスに
とって葬るべき存在の様だな。>真田副長はあんな化け物を一度に五隻も相手にする事など考えたくもなかった。
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「ウーム、ドム・ラルーサ(青)、ガイーダ・ロン(緑)、シャザム・フムセン(灰)、ストゥーパ・パイレン(緑灰)、後は大帝直属
艦隊のダウ・ズォーダ(標準色)・・・、主だった火炎直撃砲装備艦を全てかき集めて来よったか!」ボ・ルドウの顔は
引きつっていた。

しかし、当事者である”姫”は全く動じず、後ろから迫る艦隊をスクリーン上で眺めながら不敵に微笑み、「”烈華の陣”、
目標は追手の”火炎直撃砲艦全ての転送機腕!」と命じた。

「”姫”如何に”火炎直撃砲”と言えどまだ距離があり過ぎます。これでは命中しても”戦艦の主砲”程度の破壊力しか
期待出来ません!」ボ・ルドウは”姫”の命令に危険を感じたのだ。

「誰も”撃沈”しようなどとは思っておらん。 戦闘不能に追い込めば充分、無駄な殺生は避けたいからな。」”姫”は
そう言うと”火炎直撃砲”の操作レバーに右手を掛け、コンソールの上のダイヤルを細かく操作した。

なんとガウ・ルーガルの砲手は”姫”その人だった、そしてその操作ぶりからはかなりの熟練度が見て取れた。

一方、ヤマトでは”転移(ワープ)”での退避が出来ないので、ヤマト防衛の為、航空隊を展開させていた。
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また、兵装全てを使用可能にすると同時にあらゆるセンサー・探知機を働かせ敵の動向に目を光らせていた。

「”ガウ・ルーガル”を中心に空間転送波が五ヶ所に向かって広がって行きます!」新見情報長が理解不能と言った顔で報告した。

<五ヶ所? 敵の転送ビーム砲装備艦の数と同じだ・・・。ってまさか!>島航海長は”ボ・ルドウ”艦長の作戦が余りに
大胆な事に胆を潰した。

彼も流石に”ガウ・ルーガル”の砲手が”姫”その人だと言う事は知らなかったのだ。

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<小娘め、この大艦隊を見て竦み上がっておる事だろう。>追跡艦隊司令、霹靂のガルダ・ドガーラはヤマト・ガミラスと
一戦交えた雷鳴のゴラン・ダガームの従弟だった。

「”ガウ・ルーガル”と同行している謎の艦はどうやらテロン艦”ヤマッテ”のようです。」情報士官が報告した。

「何!”ヤマッテ”だと!我が同胞の仇、まずそちらから始末してくれようぞ。さすれば”レティファン姫”も素直に言う事を
聞く事だろう。」ドガーラが各艦の”火炎直撃砲”の照準を”ヤマト”に切り替えようとした時である、通信士が
”ガウ・ルーガル”からの通信を受信した旨、報告した。

「お主と会うのは初めてじゃな? 名はなんと申す?」通信に出た”レティファン姫”は尋ねた。

「ははぁ、我が名は霹靂のガルダ・ドガーラ、ゴルエン族の客分で御座いまする。」ドガーラは相手が一応、王族なので
へりくだって見せた。

「それはお主の”真の名”か? わらわはお前の”真の名”を尋ねておるのじゃ。」”姫”は大胆な事を聞いた。

「・・・」ドガーラはシファル・サーベラーに尋ねられても答えられない”姫”の問答の答えに窮した。
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「どうした? 答える勇気が無いのか? 良くそれで戦士を名乗れる物だな。」”姫”の言葉はドガーラの怒りに
火を付けた。

しかし、彼が怒りを爆発させるまでもなく”ズシンッ”と言う音と共に”ダウ・ズォーダ”の艦橋は大きく揺れた。

「何事か!」”貴人”との通信中であるのも忘れ、ドガーラは大声で状況報告を求めた。

「右舷真横より艦首に被弾! ”火炎直撃砲”の転送システムは両舷とも大破!使用不能です!」”ダウ・ズォーダ”の
艦長が報告した。
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<何! 右舷だと? ”ヤマッテ”も”ガウ・ルガール”も左舷前方だ、一体誰が攻撃して来たと言うのだ?>ドガーラは
混乱していた。

「どうじゃ、お主の”真の名”しゃべる気になったか?」からかう様な”姫”の声がドガーラを現実に引き戻した。

「こちらにはまだ四隻の”火炎直撃砲艦”が御座いますぞ、”姫”こそ降伏なされよ!」ドガーラは虚勢を張った。

「ほう、そちらに”火炎直撃砲艦”はもう無いはずだが・・・。」”姫”の謎めいた微笑に被さる様に他の”火炎直撃砲艦”も
使用不能である旨、報告が入った。

「霹靂の勇者よ、悪い事は言わぬ。 人死にの出ない内に撤退せよ! 兵を無駄死にさせる者は将として
”失格”じゃ!」”姫”は最後通牒を突きつけると通信を絶った。

「本国より通信! サーベラー丞相閣下であります!」通信士は怯えていた。

この艦隊は”火炎直撃砲”の使用に長けたセジャード族の”姫”を追跡する」ためガトランティス中の”火炎直撃砲艦”を
掻き集めて編成されたものだ。

それが敗北したなぞと言う報告など出来る訳が無かったからだ。

「よし、繋げ!」しかし、ドガーラは敢えて通信接続を通信士に命じた。

<取るべき責任は取るしかあるまい。”完敗”したのは事実だ・・・。>ドガーラは放漫ではあったが卑怯者では無かった。

炎が燃え上がる様な3D映像がドガーラの前に出現したと思うとガトランティスの丞相、シファル・サーベラーの姿が
現れた。

「霹靂のガルダ・ドガーラよ。 逃げたレティファン・クエセジャード姫の捕獲の首尾はどうなって居る? 報告せよ!」
丞相はドガーラを詰問した。

「はっ、申し訳け御座いませぬ。”火炎直撃砲”の技術を使いこなす”ガウ・ルーガル”に我が艦隊は翻弄され、
撃沈された艦こそ出ていませんが主力の”火炎直撃砲艦”は五隻とも”火炎直撃砲”を使用不能にされ、圧倒的に不利な
状況に追い込まれております。」ドガーラは正直に現状を報告したが<もはやこれで・・・。>とばかりに自決用の
短剣の柄にその右手は掛けられていた。

「フム、従弟のダガームとは違い、戦士としての誇りは残して居るようだな。
それでは今一度の機会を与える。 配下の艦艇を上手く使うが良い。」それだけ言うとサーベラー丞相は火炎と共に
ドガーラの前から消えた。
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「命拾いしましたね。司令。」”ダウ・ズォーダ”の艦長が労いの言葉を掛けた。

<しかし、何故、我々の艦は攻撃を受けたのだ? こちらの”火炎直撃砲”の射程はまだ”ガウ・ルーガル”に届いて
居なかった、と言う事は”ガウ・ルーガル”の”火炎直撃砲”だって我々を攻撃出来る距離にまで近づいては居なかった
はず、やはり伏兵がいたのか・・・>ドガーラはダガームより知恵は回ったが、所詮は戦闘バカだった、
彼は無傷の空母群に艦載の偵察型デスバーテーターをビームの来た方向に向かって何機か、発進、探査を実施
させた。
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「ウーン、この前出逢ったガトランティスのビーム転移(ワープ)艦とは、その主兵装の使用レベルが格段に違う、
敵に回したらデスラーなんぞ子供、ドメル将軍でも互角に戦うのは難しいかもしれん。」”ガウ・ルーガル”の戦闘の詳細を
検討していた新見情報長が纏めたデータを見た真田副長は感心した。

「どう言う事です? 判り易く説明して下さい。」血の気の多い南部戦術長代理が尋ねた。

南部は今後の戦闘に生かすべく、瞬きする間も無く、追手の主力艦五隻を無力化した方法を知りたがった。

「それは”七色星団会戦”を思い出したら良い・・・。」真田副長は説明を始めた。

確かにガミラスのドメル将軍は”物質移送機”を使って宙母・艦載機をヤマトの周辺、思いもよらぬ場所に送り込んで攻撃
して来た。

艦載機が複数の別の場所に送り込めるなら一本の巨大なビームを別の場所に分けて送り込めても不思議は無い。

ただ、”エネルギー保存則”があるから分けたビームの一本々のエネルギーは下がってしまうが、元々の
”火炎直撃砲”のエネルギーは非常に大きいので五本程度に分割した位では充分な破壊力をまだ維持しているのだ。
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「でも、あのビーム転移砲をも大きく上回る射程を”ガウ・ルーガル”は実現しています、それはどう説明するのですか?」
今度は北野砲手が質問した。

「勉強熱心な君の事だ、落ち着いて考えてみたまえ、ヒントは”光速兵器の限界”だ。」真田副長は簡単に答えを与えて
くれなかった。

 強力で迅速、”撫で斬り効果”も期待出来る光速兵器であるが、その本質上、避けられない欠点を持つ、それは砲口を離れたビームは目標までの距離が増えれば増える程、その破壊力が減って行く事だ。
(距離の二乗に比例して破壊力が減るのは避けられないのだ。)
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反対に魚雷やミサイルは速度は遅いが推進剤の続く限りどこで爆発しても威力は同じである。

”火炎直撃砲”(地球人はこの名を知らなかったが・・・。)は破壊ビームを転送機で任意の場所に送り込む事で
通常の”光速兵器”の射程外から攻撃出来るのが長所だと思われて来た。

しかし、実は”火炎直撃砲”は単なる射程距離短縮砲では無く、真に多彩な用法がある兵器なのだ。

自艦から全く異なる方向から敵艦を狙う事も可能、一本の極太破壊ビームを複数の目標に対して別けて照射する事も可能だった。

<なる程、あの艦、”ガウ・ルーガル”には外から見える武装が殆ど無いのはこういう理由があったんだな。>真田副長は
前に遭遇したガトランティスの”ビーム転移砲艦”が凶悪に見える程、強武装だった事を思い出し、一見すると殆ど
”非武装”にしか見えない”ガウ・ルーガル”の強大な力を目の当たりにする事で”人の力”の大きさを改めて痛感した。


                                       181. やってきたのはお姫(ひい)様ー(9)→ この項・続く

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by YAMATOSS992 | 2015-03-07 21:00 | ヤマト2199 挿話 | Comments(4)
Commented by HAL0999 at 2015-03-08 15:31 x
こんにちは
第8話、たのしく読ませていただきました。
今回は図説がものすごいですね。敵艦隊は全部切り抜いているのでしょうか?色もちゃんと変えているあたりに拘りを感じます。オリジナルなネーミングが面白いですね。

レティファン姫自らが「砲手」というのは意外ではあるのですが、元々そういう素養があるのかセンスなのか、後々意味を持ってくるのでしょうか?

火炎直撃砲の説明はわたしにはちょっと分かりにくかったのですが、火線を5つに分けて転移させ、5カ所の敵を別々攻撃するというのは面白いと思いました。

一方で火力の減衰に関しては避けようがないと書いてありましたが、たとえ減衰したとしても轟沈させる必要がなければ威力としては充分だということでしょうか?

しかし火炎直撃砲を5つ(それ以上も可能なのかな?)に分けて転移させる戦法はレティファン姫の技術のなせる技なのでしょう。

次回も楽しみにしていますね!!
Commented by YAMATOSS992 at 2015-03-08 19:43
 HALさんいらっしゃい。

この物語もいよいよ佳境に入りました。(全10話です。)

答えても差し支えない事だけお答えします。

>レティファン姫自らが「砲手」というのは意外ではあるのですが、元々そういう素養があるのかセンスなのか、後々意味を持ってくるのでしょうか?

持ちます!そしてこの事は後々重要な意味を持ちます。

>一方で火力の減衰に関しては避けようがないと書いてありましたが、たとえ減衰したとしても轟沈させる必要がなければ威力としては充分だということでしょうか?

そうです。本文の図をクリックして貰えれば拡大、説明が読めます。

>レティファン姫の技術のなせる技・・・。

”姫”はセジャード族の王女です。
そして正統ガトランティス王家を名乗る通り、かつてはガトランティス全体を”空間跳躍”の技術で束ねていた実績を持ちます。

当然、”姫”はその技術を叩き込まれています。

だから物語では同時攻撃は五隻でしたが、設定上は操作盤上の照準器は十基あります。(つまり十隻同時攻撃可能です。)
Commented by HAL0999 at 2015-03-09 09:30 x
あと残すところ2話ですね!!
レティファン姫の活躍が楽しみです。火炎直撃砲10隻同時攻撃とは、これはすごい絵図になりそうですね。
こういった攻撃法は火炎直撃砲を搭載しているガトランティス艦ならどれでも可能なのでしょうか?
はたまたレティファン姫の乗っている「ガウ・ルーガル」が特殊なのでしょうか…

島くんの活躍もまた、期待ですね!!。

次回を楽しみにしております。

Commented by YAMATOSS992 at 2015-03-09 10:57
>こういった攻撃法は火炎直撃砲を搭載しているガトランティス艦ならどれでも可能なのでしょうか?

理論的には可能です。
しかし、火炎直撃砲艦は全て”姫”の部族が”大帝”の”依頼”で建造した物なのでそうした使用方法は教えていません。
(当然、照準器も一つです。)

だからこの話の様に”姫”と”ガウ・ルーガル”は他の艦に対し圧倒的優位に立てたのです。