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宇宙戦艦ヤマト前史

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宇宙戦艦ヤマト登場前の地球防衛軍の苦闘を描きます。

181. やってきたのはお姫(ひい)様ー(9)

 <読まれている・・・。これでは”駆逐艦”による”一撃離脱攻撃(ヒット・エンド・ラン)”を行っても徒に損害を増す
ばかりだ・・・。>ドガーラはまず空母艦隊から攻撃機”デスバテーター”を数十機発進させ、ヤマトと”ガウ・ルーガル”に
奇襲を掛けさせてみた。

それも”短距離・空間跳躍”を用いた瞬・撃である、普通であればとても対抗する事の出来ない必殺・戦術であった。
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だが”空間跳躍・技術”に長けたシャザード族の”ガウ・ルーガル”ならまだこの防衛力は理解出来なくも無いがヤマトも
自艦の防衛兵器だけで無く、航空隊をも的確に”デスバテーター”出現予想点へ誘導、迎撃させたのには心底驚いた。

「”殲滅戦艦”艦長は本艦”ダウ・ズォーダ”に集合せよ。 今後の戦術を検討する!」”霹靂”のガルダ・ドガーラは従弟の
ゴラン・ダガームとは違い、配下の意見を重視し、一人勝手に作戦を推し進める事を良しとしなかった。

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 <不気味だ。 攻撃機の次はてっきり駆逐艦隊による連続攻撃がある物と思ったが、敵は何を警戒している・・・。>
真田副長は沈黙している敵の意図を図りかねた。

「佐渡先生、沖田艦長は話が出来る位まで回復しましたか?」真田副長は自分の手に余る事態に沖田の助けが
欲しかったのだ。
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しかし、佐渡の返事は”危険は脱したが、面会謝絶”だった。

”ガウ・ルーガル”から通信が入った、しかし、艦橋の大スクリーンに出たのは”姫”だった。

<どうしたことだ?”ガウ・ルーガル”の艦長は”ボ・ルドウ氏のはず、”姫”は”御座”しているだけで指揮権は
無いはずだが・・・?>真田副長は事態が動き始めたのを感じた。

「どうした、島航海長、いや、太陽系・地球・国連宇宙軍所属宇宙戦艦ヤマト型戦艦BBY-01、宇宙戦艦ヤマト航海長、
一等宙尉、島・大介、水臭いぞ!折角、”真の名”を交換致したと言うのに、貴様達が”難儀”しておるのは一目瞭然じゃ!」 ”姫”が島を名指しで非難した。

「フフン、長い”名”なら覚え切れぬと思ったか? 我らはそれが本当に”真の名”なら如何に長くても覚えられるのだ。

彼奴らは軍議をしておる様だが、次に何を仕掛けてくるか判らん、今の内に”空間跳躍してこの場を去れ、そしてそれが
出来ぬのなら理由を申せ!」 ”姫”の形相は険しかった。

「副長! 意見具申!」操舵席から立ち上がって島航海長は真田副長に向かって敬礼した。

「”ガウ・ルーガル”のビーム転送システムを使ってヤマトを出来るだけ遠くに物質転送して貰ったらこの危機を脱出
出来ると考えます!」副長が”意見具申”を促したので島航海長は自分の考えを言った。

「何を馬鹿な事を言ってるの! ビーム転送砲の射程距離位”跳んで”も追手は撒けないわ!」新見情報長が
島航海長の意見に反対した。

しかし、真田は新見情報長を制すると”姫”に呼びかけた。

「そちらの”ビーム転送砲”は最大どれ位のエネルギーを”転送”出来ますか?
これはもちろんそちらにとって重大な”軍事機密”でしょうが、あなたはここにいる男に”真の名”を預けた、これは如何なる
軍事機密に勝る”秘儀”のはず、教えて頂けると信じております。」
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少し困った顔をした”姫”は横を向いた、ヤマト側からは見えなかったがそこにはボ・ルドウが膝まづいていた。

彼は”姫”と目が合うと小さく微笑し、”姫”も大きく素早く何度も頷くとスクリーン上の真田副長に向き直った。

「教えましょう。 ただ、そちらのエネルギー単位が判らないのでガトランティス艦の大きさで示します。」”姫”の答え方の
適格さには真田副長だけで無く、島航海長もその巧な返答に感心した。

真田副長は”転送”出来る最大エネルギー量を聞いた、それに対して”姫”は”転送・可能”な船の大きさで答えると
言うのだ。

これは彼女達、ガトランティスがアインシュタインの特殊相対性理論(E=mc²、”エネルギーと質量は等価と言う事”)を
理解している事を示していた。

<最初の出会いが”最悪”だったから”ガトランティス”はガミラスの言う様に”蛮族”だと思っていたが、”姫”の部族は
”知的”なんだな。 例外なのだろうか・・・。 今、襲撃を掛けて来ている彼等も話せば解るのでは・・・。>島航海長は
つい、儚い望みを抱いてしまった。
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「ありえぬな、ダガームは確かに”乱暴な野蛮人”として嫌われておったが、ガトランティスの”戦士・階級”は総じて
”好戦的”だ。 余程の事が無ければ”和睦”など受け入れぬ。」それを聞いた”姫”は即座に”和睦の可能性”を否定し、
島航海長の考えが”甘い”事を暗に指した。

「いやそれは違う! ”姫様”だって最初は我々を”脅して”協力させ様としました。

でも”ボ・ルドウ艦長”が”星の海を往く者の絆と理”を説くと自らの”非”を認め、”謝罪”されました。

だからこそ我々も貴艦の機関・修理を御手伝いする気になったのです。

彼等だって”話せば解る”はずです。 彼等も ”星の海を往く者” に違いは無いのですから・・・。」島航海長は熱く語った。

「そんな事もあったな。 まぁ、追跡艦隊の事、穏便に済ます様、考えておく。

しかし、今は”ヤマッテ”を”転送”する手立てを考えるのが先決だ。

どうだ、”ヤマッテ”とこちらから提示した”転送出来る最大の艦”のデータ比較のは済んだか?」”姫”は島航海長の指摘に気まり悪そうに話題を変えた。

「どうなんです? 副長・・・」島航海長は真田副長を問いただしたが、艦橋に居た皆も同じ気持ちだった。

「残念だが、ヤマトの全質量の方がデータ艦より僅かだが重いんだ。 困った・・・。」真田副長は考え込んでしまった。

『真田副長! 我々を置いて行って下さい。 航空隊全機を捨てればかなりの”重量軽減”になります!』加藤隊長が
とんでもない提案をした。
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<冗談じゃない!我々は”地球”を甦らせ、そこで生きる為に戦って来たんだ!”特攻紛いの切り捨て”は絶対に許される
べきでは無い!>島航海長は自分の”意見具申”の結果、犠牲者が出るのは許せなかった。

しかし副長は顎を右手で撫でながら不敵に笑った。

「その案、活けるかもしれないな・・・。 榎本掌班長! 百式を一機だけ残して航空機本体、支援機材を全部投棄しろ!」

「真田さん!気でも狂ったんですか!」島航海長は真田副長の非道さが許せなかった。

『良いんです! ”地球”が待っています。航空隊を切り捨てても”ヤマト”は前に進まなくてはなりません!』山本・玲も
残留を希望した。

「駄目だ! 君等を見捨てて”地球”が救われると本当に思っているのか! 副長、航空隊の帰還を命令して下さい!」
島航海長は航空隊の隊員を切り捨てるのは絶対に反対だった。

『航空隊の俺達が乗るべき機体を失ったら、ヤマトの中で何をすれば良いんです! やらされる任務が掃除や
雑用ばかりじゃ堪りません!」沢村・翔航空隊員も残留を希望した。

「馬鹿もん! 機体だけ捨てて泳いで帰って来い! 脱出する時、今までの戦闘を記録してあるデータ・メモリー・
スティックを持ち帰るのを忘れるな! それがお前達の今の任務だ!」沖田艦長だった。

彼は病床にあっても”威厳”があった。

「艦長! もう宜しいのですか?」皆が希望を持って艦長に呼びかけた。

「・・・」しかし、沖田の返事は無く、代わりに佐渡・医師の怒号が皆のインカムに響いた。

「馬鹿もの! 折角、回復が順調だったのに今の”一喝”で艦長はまた昏倒されてしまった。

艦長を殺したくなかったらさっさと命令を聞いてデータ・スティックだけを持ち帰れ!」

『イ、イエッサー!』航空隊の面々は射出座席を作動させて愛機を離れると座席下にあるデータ・スチックを抜き取って腰にあるホルダーに収めるとヤマトめがけて宇宙遊泳をした。

このデータ・スティックに収められたデータは個々の機体だけのものでは無い、同じ型の機体であれば別人の機体のデータもリンクされて記憶されていた。

「明生兄さん、一緒に帰りましょう。」山本・玲はデータ・スティックを胸に抱くと心の内で呟いた。

戦死した兄、山本・明生は玲の愛機、コスモ・ゼロの原型を地球で開発していた、だからその時のデータも全て内に
残っているのだ。

『山本! 早く! ここで遅れを取ったら俺達の愛機は無駄死にになるよん!」篠原・弘樹航空隊・副隊長が山本を
急かした。

艦長室の窓から航空隊の撤退作業が終わった事を確認した佐渡・医師はベッド上の沖田へ無言で”OKサイン”を
送った。

それを見た沖田は安堵する様に溜息を一つ、つき黙って微笑むと天を仰いだ。
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航空隊が”裸での帰艦”をしている間に副長と”姫”は次の段取りを打ち合わせていた。

<航空隊に”機体”を捨てさせたのならヤマト本体に積んだ”ミサイルや魚雷、三式融合弾”なども捨てるべきなのでは
無いのか・・・。>南部・康雄・砲雷長はあまり考えたく無い事を思った。

かつて、彼はヤマト発進直後の”メ2号作戦”時、”航空隊・不要論”をぶち上げ、周りの不況を買ったが、作戦が航空隊
指導で行われると少し考えを改める様になり、艦隊を組めないヤマトにとって航空隊の存在が如何に大きいか、旅を
続ける内に理解し、自分の言動を”恥ずかしい”と思う様になっていた。

「意見具申します!」南部・康雄・砲雷長は折り合いの悪かった父が作った”凶暴な兄弟”達に最後の花道を用意して
やろうとしていた。

                                      182. やってきたのはお姫(ひい)様ー(10)→ この項・続く

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by YAMATOSS992 | 2015-03-14 21:00 | ヤマト2199 挿話 | Comments(4)
Commented by HAL0999 at 2015-03-15 00:55 x
こんばんは

自分の拙ブログの修正をやっと終え「第9話」読ませていただきました。

こちらの展開も読めませんねぇ(笑)

「ガウ・ルーガル」にヤマトを転送させるというのは意外な展開です。

でも、転送させてしまったら、後のストーリーを誰が語るのかな?

ここには、なにか秘策があるように思いますよ。

さて「ガルダ・ドガーラ」さんはどう次の手を打ってくるのか、楽しみです。

島さんの真の名が「太陽系・地球・国連宇宙軍所属宇宙戦艦ヤマト型戦艦BBY-01、宇宙戦艦ヤマト航海長、
一等宙尉、島・大介」たしかに真の名ですよね(笑)

こういうオチがありましたか、というか姫はここで島くんの「真の名」を言ってしまってよかったのですか?

と言う事は「姫の真の名」にもオチがありそうですね。勘ぐり過ぎでしょうか。

次回が最終回ではなかったでしたっけ?

さぁ大団円を期待しております!!!
Commented by YAMATOSS992 at 2015-03-15 08:59
HALさんいらっしゃい

貴ブログ、無事脱稿された様で安心いたしました。

>島さんの”真の名”が・・・。

島が”姫”の考える様な特別の”隠し名”を持っているはずも無いので彼の機転で答えた”真の名”です。

”姫”も長年、ボ・ルドウの鉄拳制裁を黙って受け続けていた訳ではありません。

島の答えた”真の名”が自分に付き合ってくれた結果だと言う事は薄々気付いていました。

だからあの場面で業と島の”真の名”を呼び、自分がその長い名前を間違わずに言えた事でそれが真実の”名”である事を確認したかったのです。

またその時、島の周辺に居た人々が島の”真の名”を聞いても動揺しない事から彼等同士、”真の名”を交換している絆の深い同志だと判断したのです。

>”姫の真の名”にオチ・・・。

有ります、その通りです。

>次回が最終回・・・。

「やって来たのはお”姫”(ひい)さま」は確かに最終回です。

でも2199挿話はまだまだ終わりません。

お楽しみに!


Commented by 古世人 at 2015-03-20 21:46 x
先生、お久しぶりです。HALさんとの会話から察するに、次回のテーマはもう決まっていますか?決まっていたら、ヒントだけでも教えてください。
Commented by YAMATOSS992 at 2015-03-20 22:06
明日21:00の「やって来たのはお姫(ひい)様ー(10)」最終回を読めば大体の予想はつくと思います。

お楽しみに!