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宇宙戦艦ヤマト前史

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宇宙戦艦ヤマト登場前の地球防衛軍の苦闘を描きます。

182. やってきたのはお姫(ひい)様ー(10)(最終話)

 「ヤマト発進! 目標、”ガウ・ルーガル”が展開している”転移フィールド内”、前進・強速!」真田副長が命令した。

「前進・強速、目標、”転移フィールド内”、ヤマト発進します!」島航海長が力強く復唱した。

「レーダーに”感”! ガトランティス・駆逐艦、巡洋艦多数、”転移(ワープ・アウト)”、攻撃隊形で接近します。」
岬・百合亜・探査士が上づった声で報告した。
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「南部砲雷長! ”炎の洞作戦”始動! 遠慮するな、こっちは弾数を出来るだけ減らしたいんだ。」普段の真田副長なら絶対に出さないであろう”魚雷・ミサイル大盤振る舞いの命令だった。

しかし、南部・砲雷長もプロ、無駄弾を撃つつもりはさらさら無かった。

「艦首魚雷発射管六門一斉射、時限信管を発射後二十秒にセット!続いて両舷 短SAM、短魚雷も連射、目標は
艦首魚雷・炸裂点、下部VLSも指示は同じだ。」南部・砲雷長はヤマトに残った炸裂系の武器を全て使い切ってヤマトの
周りに”弾幕”を張り続け、”ガウ・ルーガルが張る”転移フィールド”内にヤマトが飛び込むまで敵の攻撃を全て吸収する
つもりだった。

「三式融合弾を第一、第二主砲塔群、第一副砲塔に装填しろ! 強襲してくる敵・駆逐艦はこれで排除する!」
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本来、ヤマトの主・副砲は”陽電子衝撃砲(ショック・カノン)”だ、そしてこちらの方が三式融合弾より射程は長いし、
圧倒的に速い、だが、破壊力となると三式融合弾の方が格段に大きい、だから今回の様な弾幕を形成するのには
光速兵器より大質量兵器の方が向いているのだ。

”火竜”と化して加速するヤマトにドガーラ艦隊から差し向けられて来た駆逐艦、巡洋艦は輪動砲からビームを
浴びせかけたが、ヤマトが纏っている”爆炎”で屈折させられ命中する事は無かった。
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また勇気ある艦長が指揮する駆逐艦が何隻か接近して”量子魚雷”による攻撃を試みたが、やはりヤマトの装甲に
辿り着く前に爆炎に吸収されてしまった。

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 ”ガウ・ルーガル”の艦橋はヤマトが見せる壮烈な眺めに皆、息を呑んで見入っていた。

<なんと、見事な、そして潔い戦い方だ・・・。>ボ・ルドウは長命で名だたるガトランティス人だったが、それでもここまで
激しい戦い方をする者に出会ったのは始めてだった。

「爺、中継艦の配備は出来ている? 航路の安全の確認だけだから、中継艦同士の間隔は思い切り離して頂戴!」
”姫”がボ・ルドウに命じているのはヤマトの”空間跳躍”終了場所に危険がないかどうか、確認する作業だった。

ヤマトが無事、”空間跳躍”出来ても終了点に小石の一つでもあれば、”物質重複”を起こして大爆発、ヤマトは無数の”光子”に変換されてしまう。

それを避けるため、”姫”はヤマトの”空間跳躍”終了予定宙域に父・王に無理を言って借り出した宙雷戦隊一ヶの内から
旗艦の巡洋艦を一隻貼り付けて安全の確認と確保を命じていた。
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配下の駆逐艦四隻は情報中継艦として”ガウ・ルーガル”までの間にほぼ等間隔で並び、情報の伝達を確実なものに
していた。

「準備が整いました。”姫”、”空間跳躍”、何時でも可能です!」
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”姫”の見据えるスクリーンにいきなりヤマトの巨体が割り込んで来た、ヤマトは”ガウ・ルーガル”を右後ろ斜めから
かすめる様に接近し”ガウ・ルーガル”前方に形成されている”転移(ワープ)・フィールド”に飛び込むのだ。

ヤマトの艦首が”火炎直撃砲”の射撃・指揮装置に依って検知される、その時、”姫”は”火炎直撃砲・発射レバー”を
横に倒しつつ、思い切り引いた。
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すると”火炎直撃砲”の砲口に形成されていたエネルギー球はいきなり消失し、ヤマトだけが”空間跳躍”して遥か宇宙の
彼方に消えていった。

その時である、”ガウ・ルーガル”の艦橋は大きな衝撃に揺れた。

「何事ぞ!」”姫”は凛としていたが落ち着いた声で状況報告を求めた。

「敵艦に接舷されました。上下左右から完全に押さえ込まれています! あっ後ろも取られました。」甲板士官の悲痛な
叫びが事態の深刻さを現していた。

なんと”霹靂”のガルダ・ドガーラは配下の駆逐艦、巡洋艦に”ヤマッテ”を攻撃させて”ガウ・ルーガル”の気をそらし、
その間に主力の”殲滅戦艦”五隻を”ガウ・ルーガル”に接近させて押さえ込み、白兵戦を挑むつもりなのだ。

「面白い! 誰か、”具足”を持ていっ!」”姫”は侵入者達を正面から迎え撃つつもりらしかった。

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<クソッ、舵が流される! ドメル艦隊のパイロット達はこんな”衝撃”に耐えてヤマトに攻撃を仕掛けて来たのか!>
島航海長は敵だったとはいえ、ガミラス・パイロット達の錬度に感心した。

「ガトランティス艦から通信が入っています。」市川・純 通信士が報告した。

「よし、繋げ!」真田副長が通信接続を命じた。

「無事に”大空間跳躍”に成功した様じゃな、何はともあれ無事で何よりじゃ。島・大介。」”姫”は現ヤマト最高責任者の
真田・副長を差し置いて島・航海長に直接、声を掛けた。

島・航海長は困った顔で真田・副長の方を見ると真田・副長は苦笑いしながら、島・航海長に無言で応答を促した。

「”姫”、有難う御座いました。 これでヤマトは”地球・救済”の旅を続けられます。

しかも、一万光年もの大距離を跳ばして頂いて、今までのタイム・ロスを大きく取り戻す事が出来ました。」島・航海長は
喜びの声で応えた。

「しかし、その・・・。 その御姿は・・・。」島・航海長は”姫”の姿を見て戸惑った。

”姫”は地球流に言えば”ビキニ・アーマー”を身に着けていたのだ。
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身体の最小限度の面積を覆う”ビキニ・アーマー”は非力な”姫”に俊敏な”機動力”を与えてくれるのだが・・・
島・航海長は目のやり場に困った。

「これか! これは”鎧”だ、これから”追手”の送り込んで来た兵士と”白兵戦”をするのじゃ。わらわの『使命の神託』、
成るか、成らぬか、その第一歩じゃ。 

健闘を祈っていてくれ、島・大介、そして宇宙戦艦ヤマト、そなた等はマゼラン雲(グタバ方面宙域)でもはや”伝説”に
なっておるぞ。 

おっ、敵兵が侵入して来た様だ、それではまた、何時の日か、まみえようぞ!」”姫”は一方的に話すと一方的に通信を
絶ってしまった。

「駄目だ! 君は”殺し合い”をする人では無い! 君の”使命”は”ガトランティスの矯正”だろ!だったら戦っては
ダメだ!」血を吐く様に島・航海長は叫んだ。

「テレサ~ッ」島・航海長は思わず、絶対秘密にすべき”レティファン姫” の ”真の名” を呼んでしまった。

そう、”レティファン姫” の ”真の名” は ” テレサ・テレザート”。

ガトランティス語で”テレサ”は「愛・満る者」、”テレザート”は「統治者」を示していた。

すなわち、”テレサ・テレザート”で「愛もて統べる者」の意味となる。

”これからガトランティスの運命を大きく変えて行く者”の名前だった。

ヤマトの航路の安全を確保してくれたガトランティス巡洋艦の艦橋では艦長が地球式の”敬礼”をしつつ、銀河系に
向かって帰還して行くヤマトを見つめつつ言った。
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「テレサ(愛・満る者)・・・か。あいつらしく無い名前だな。」そう呟いたのは”レティファン姫”の 父・王、
グエゼ・クエシャザード その人・・・。

彼は”娘”の”真の名”をまさか”テロンのヤマッテ”から聞こうとは思ってもみなかった。

複雑な想いを抱きつつ、彼は万感の想いを込めてこう告げた。

「さらば、宇宙戦艦ヤマト!」 


                                       182. やってきたのはお姫(ひい)様ー(10)→ この項・了

                                       183. ”大義”の”甲冑(よろい)” ー(1) → この項・続く

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by YAMATOSS992 | 2015-03-21 21:00 | ヤマト2199 挿話 | Comments(2)
Commented by HAL0999 at 2015-03-21 21:50 x
「やってきたのはお姫(ひい)様」脱稿お疲れさまです。

楽しく読ませていただきました!!

こう来ましたか、まさかの「テレサ・テレザート」

やはり島くんの恋の相手は「テレサ」じゃなくっちゃ!!

しかし「ビキニ・アーマー」には驚かされました。

比較的固めに思える「YAMATOSS992」さんから出てくる設定とは思えなかったからです。

でも、次回作「大義”の”甲冑(よろい)」というタイトルから考えて、どうもこの鎧に意味があるのでしょう。

次回作も楽しみにしております。
Commented by YAMATOSS992 at 2015-03-22 05:29
HALさんいらしゃいませ。

貴ブログのコメント欄更新されないので何かあったのか、と心配して居りました。

「Thinking of you」を読み込まれていたのですね。

安心しました。

さて私の拙作「やって来たのはお姫(ひい)様」も無事脱稿出来ました。

>まさかのテレサ・テレザート
そうです、島くんとテレサの間の邪魔になる古代くんには申し訳ありませんが冷凍睡眠装置入りで退場願ったのです。

また、「さらヤマ」にしろ「ヤマト2」にしろ、あれだけの大事を見ず知らずの他人から告げられて一方的に信じてしまうヤマト側に少し無理を感じていた事もあります。

>ビキニ・アーマーには驚かされました。

この鎧は私が他の作品で若い時から使っているものです。

本格的な鎧は描くのが大変ですし、何よりテレサが着用して立ち回りが出来る重量に抑える必要があったのでこの様な出で立ちに成りました。

「さらヤマ」のテレサは御存じの通りスッポンポンです。

それに比べれば”ビキニ・アーマー”なぞ可愛い物です。