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宇宙戦艦ヤマト前史

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宇宙戦艦ヤマト登場前の地球防衛軍の苦闘を描きます。

183.”大義” の ”甲冑(よろい)” ー (1)

 <クソッ、何処まで行けば艦橋に辿り着くんだ!>白兵戦なら、まだ、”歩”が有ると踏んで”ガウ・ルーガル”に接舷、
兵士を一個・大隊引き連れたドガーラは”ガウ・ルーガル”に乗り込んみ艦橋を目指したまでは良かった。
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しかし、一見、ドガーラの乗艦、”ダウ・ズォーダ”とこの艦、”ガウ・ルーガル”は同じ構造だと彼等は思っていたのだが、
艦内通路を歩む内、元の場所に戻ってしまったり、艦橋では無く、後部・格納庫に出たりと何時まで経っても目標の艦橋
には辿り着け無かった。

そして、何時の間にか、彼に付き従う制圧用の兵士は十数人にまで減ってしまっていた。

敵兵はおろか乗組員の一人にも出会わず、戦闘もしないのに、である、皆、口には出さないものの今の状況に恐怖を
覚えているのは確かだった。

<魔女め!遊びおって! 今度、出逢ったら有無を言わさず一撃を呉れてやろうぞ!>ドガーラは怒りに震えながら
そう誓った。

「エレベーターが有ります!」先行していた斥候から報告があった。

<エレベーターだと? ここは宇宙船の内だ、慣性制御で重力を発生させていたとしても”上下動”する場所は必ず慣性・
制御が切ってあるはず・・・。”エレベーター”なぞ要る訳が無い、これは罠だ!>即座に適確な判断をしたドガーラで
あったが、今来た道を戻っても”ダウ・ズォーダ”に戻れる保証は無かった。

「よし、まず、儂が一人でこの”エレベーター”に乗る。 安全が確認出来た所でサヴァ・ビア、貴様は部下を引き連れて
後を追って来い!」ドガーラは覚悟を決めてそう言った。

「”霹靂”の戦士よ! 貴方様は我が主、キラ・ゴルエン様の客分であらせられまする。  ここで貴方様を見捨てたと
あっては我等、百人隊の面目が立ちませぬ!」サヴァ・ビアと呼ばれた隊長格の男が異議を唱え、同行を強く願った。

「ウム、合い判った、このドガーラ、諸君の忠誠しかと受け止めた、皆の者、”魔女”めに一泡吹かせようぞ!」ドガーラは
兵士を連れてエレベーターに乗り込んだ。

彼等が乗り込むとエレベーターの扉は勝手に閉まり、動き始めたがその方向は彼等の予想を裏切り下方だった。

慣性制御が切られて居れば、彼等は全員、エレベーターの天井に叩き付けられていたはずだが、実際には軽いーGを
感じただけで彼等は高速でエレベーター・シャフトを下って行った。

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「何故で御座りまする! ここで”移動・檻”(艦橋・エレベーター)内の慣性制御を逆転させれば彼奴等は天井に叩き
付けられて人事不省、一網打尽に御座りまする!」ボ・ルドウはドガーラ達と対面すると言う”姫”に抗議した。

「ちょっと”話”をするだけよ、きっと向こうも言いたい事が沢山あるわ。それに私も”鎧姿”を”身内”以外にも見せびらかし
たいし・・・、おっと来るわよ。」エレベーターの到着表示が点灯したのを確認した”姫”が言った。

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エレベーターが止まるとドガーラ達は銃を構え、まだ開かぬエレベーターの扉を見つめた。

きっと扉の前には銃を構えた多数の兵士か、軍用ドローン(ロボット・兵)の群れが待ち構えている事だろう・・・。

それを覚悟でこのエレベーターに乗ったのだ、<何が待ち受けていようと必ず排除してくれる!>ドガーラの決心は
固かった、だが、扉が開いて見るとそこに広がる光景はドガーラ達の度胆を抜いた。

そこには一人の”半裸”の女性が背中を見せて立っていた。
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他にはボ・ルドウ侍従長が、こちらは膝をついていたがドガーラ達と正対していたその他、数名の兵士が居たが皆、ボ・ルドウと同じく床に膝をついて即座に戦闘する意志の無い事を示していた。

しかし、本当に彼等を驚かせたのは待ち受けていた一行が天井に立ち、頭を下にしていた事だった。

「貴様達は何者だ! どうしてこんな”妖し”の様な真似をする!」まさか、目の前に居るのが目的の”レティファン姫”とは
思わないドガーラは口を尖らせて抗議した。

「失礼ね。私よ。 貴方達の目的のセジャード族の”姫”よ。」姫はゆっくりと顔だけ振り向いた。

「おおっ、”レティファン姫”で御座ったか! 何故、その様な”勇ましい御姿”を?」ドガーラは”王族”に対する
”戦士の礼”を忘れる事は無かった。

「決まってるじゃない! 貴方達、”戦士”を迎えるに相応しい”甲冑(よろい)”姿”になっただけよ。

しかし、やっぱりこれでは”話”がし難いわね。 

そのエレベーターの”慣性・制御”を一度、切るから頭と足を入れ替えなさい。」”姫”の発言にボ・ルドウは顔をしかめた。

<今なら不意打ちで慣性制御を上下入れかれれば奴らは全滅だ・・・。”姫”は何を考えて居られる。>ボ・ルドウは慣性・制御を行っている操作員に目くばせした。

操作員がそれに応えて操作レバーを真下まで引き下げようとしたその時である、”姫”は右手に握っていた”輝く輪”を
操作員目がけて振ると”姫”の握っていた部分の後ろで”輪”は千切れ、一本の鞭となって彼の右手に絡まって操作を
不能にした。

「わらわはドガーラ殿と話がしたいと申したはずじゃ、余計な手出しは致すまいぞ!」”姫”は味方に手出し無用を
申し渡した。

「さて、ドガーラ殿、以前、わらわが尋ねたお主の”真の名”教えてはもらえぬかのう。」”姫”は自分の前に膝まづく追手の先兵に再び尋ねた。

<我等が完全に”姫”の掌中に居る事は最早明らかだ。 今までも”姫”は何時でも我等の生命を奪う事が出来た。

それをしなかったのは儂の”真の名”を知たい、その一点に尽きるのか? だったら余計教える訳には行かない。

しかも、敵味方、下級兵士までいるこの状況で応えられる訳が無い!>ドガーラはキッと顔を上げると”姫”に応えた。

「”姫”様は”無理難題”を仰って御座る。 それに人に名を問うなら、まず、”御自分の真の名”を告げられよ。

それが”礼儀”と申す物で御座る!」ドガーラは受け入れられるはずも無い”正論”で返した。
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「おおそれは失礼! 申し訳無い事をした。 わらわ、レティファン・クエシャザードの ”真の名”は ”テレサ(愛・満つる者)、
字名はテレザート(統治者)、テレサ・テレザート(愛もて統べる者)”じゃ。 覚えておくが良い。」と”テレサ”は
何の躊躇いも無く己の”真の名”を敵味方、下級上級兵士の区別無く明らかにしてしまった。

「”姫”さま! ”真の名”を”交換”ならともかく、一方的に明かすなど以ての外、しかも相手は ”敵” ですぞ! 何を考えて
居られます!」ボ・ルドウは余りの事に狼狽え切っていた。

「爺、何を狼狽えておる、これでドガーラ殿が”真の名”を明かしてくれれば”交換の儀”が成立する、
そして”名を交わした者”同士は最早”敵”では無い。 どうじゃ、ドガーラ、教えてはくれぬか・・・?」”テレサ”は
再度ドガーラに”真の名”を渡す様に促した。

「”テレサ・テレザート”様、判り申した。 儂の ”真の名” をお渡し致しまする。 但し部下達の ”名” は御勘弁戴きたい。」ドガーラは自分でも何がどうなったのか、図り切れぬまま ”真の名の交換の儀”を受け入れてしまった。

<セジャード族は古くからの王家の血筋、そして”空間跳躍”の技に優れると聞いた、多分、艦隊戦闘の場だけで無く、
我等がこの艦に侵入した時から今まで戦闘もしないのにこの艦橋になかなか辿り着け無かったのもやはり”空間跳躍”の
技に違いあるまい。 粋がって”白兵戦”など、仕掛けても”船外”に放り出されて一巻の終わりだ!>ドガーラは本当に
ダガームと違って賢かった。

”ガウ・ルーガル”は他のどの勢力の宇宙船と比べても、一見同じ様な通路や区画割りを持っていた。

しかし、実際は他のどの宇宙船とも異なる部分を持っていた。 それは通路は常に隔壁閉鎖された状態で
人は”超短距離・跳躍”で”隔壁”を通り抜ける様になっていた事だ。

それを知らない外部の者は隔壁を開いて普通に通過してしまうため、艦橋での操作で隔壁の所で”超短距離・跳躍”する先を別の隔壁・区画を指定され、全く別の区画・通路に誘導されて迷う羽目に陥るのだ。

侵入者達を無警告で宇宙空間に放り出す事も出来たが、”テレサ”達、セジャード族は慈悲深いのでそんな事は
しなかった。

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「”テレサ・テレザート”様、儂の”真の名”をお渡しする前に一つお願いが御座いまする。」ドガーラは今はムガンダ族の
族長、”キラ・ゴルエン”の客分であったが、元々はかつて大帝に滅ぼされたバル・バル族の族長の近親者であった。

「バル・バル族は武門の誉れ高き一族で御座る。 このまま何もしないで”テレサ”様の軍門に下る事など一族の誇りが
許しません。 どうか、そちらの代表者と”真の名”を賭けた決闘をさせて頂きたい!」戦士階級であるドガーラにとって
闘いもせず敵の軍門に下るなぞ有り得ないと考えるのも無理は無かった。

「おう、そちの申し出、しかと受け止めた。 わらわも自分が”真の名”に相応しい存在か、確かめたいと思っていた
ところじゃ、臆せぬのなら懸かってまいれ!」”テレサ”も自分の”真の名”を賭けてこの”一騎打ち”に臨んだ。

普段ならこうした”姫”の行き過ぎを諌めて来た”ボ・ルドウ”侍従長であったが、この戦いだけは口出しする訳には
行かなかった。

<これは”真の名”を賭けた戦いだ、”姫”の”真の名”は”テレサ(愛・満る者)、だから今までの闘いで死人が出ない様、細心の注意を払って闘って来られた。 しかし、それでは戦士階級の方は敗北したと言う実感が得られない。

だから、最後に手合せをし、相手に虚・実共に敗北したと悟らせるおつもりなのだ。>”ボ・ルドウは”姫”の成長が
嬉しかった。

ガトランティス艦の艦橋は広い、特に中央は宴会なども行う機会があるため大きく空けてある、そこで二人の戦士は
お互い戦士の礼を交わすと一歩、跳び退って間合いを取った。

                                         184. ”大義”の”甲冑(よろい)” ー(2) → この項・続く

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by YAMATOSS992 | 2015-03-28 21:00 | ヤマト2199 挿話 | Comments(2)
Commented by HAL0999 at 2015-03-30 00:15 x
こんばんは

ガウ・ルーガルの艦内設定が面白いですねぇ、つまり「どこでもドア」だらけなわけですね。

さてテレサさんの戦い方が楽しみです!!
Commented by YAMATOSS992 at 2015-03-30 06:11
HALさんいらっしゃい。

>ガウ・ルーガルの艦内設定が面白いですねぇ、つまり「どこでもドア」だらけなわけですね。

指摘されるまで気付きませんでしたが確かにこれって「どこでもドア」とほぼ同じですね。

藤子・F・不二雄氏の想像力は今だ持って越える事の出来ない高い壁です。
(藤子・A・不二雄氏の作品も好きですが・・・。)