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宇宙戦艦ヤマト前史

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宇宙戦艦ヤマト登場前の地球防衛軍の苦闘を描きます。

184. ”大義”の”甲冑(よろい)” ー(2)

 ドガーラは大振りの”剣”を構え、ジリジリと横に動いて”テレサ”を誘った。

”テレサ”は手にした輝く輪、”輪廻の雷(イカズチ)”を正面の構えると左手で輝く輪を引き絞った。

するとそこにはドガーラの”大剣”に比べれば短いがそれでも並の剣と同じ位の長さの輝く”長剣”が現れた。

”輪廻の雷(刀剣・形態)”である。

<クッ、またしても”妖しの技”を・・・。>ドガーラはそれでも臆する事無く、”テレサ”に切りかかった。

<この”剣”、例え受けれたとしても振り切ってやる!>ドガーラは裂帛の勢いで”テレサ”に斬り付けた。

”テレサ”がそれを受ける、ドガーラが勝利を確信してニタリと笑った、が、しかし、”テレサ”はドガーラの剣を正面から
受け止めず、自分の剣を僅かに横に動かし、斬り付けるドガーラの剣の側面に打ち当て、その軌道を横にずらすと、
”テレサ”は自身の間合いに大胆にも踏み込み、その剣の切っ先をドガーラの顔の前に突き付けた。
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<ええい! まだ妖しの技を使いよるか!>ドガーラは心の内で舌打ちした。

「何か、己の敗北が納得出来ぬようじゃの、それでは納得いくまで掛かってまいれ。」”テレサ”はそう言うと剣を引き、
距離を取ってドガーラが構え直すのを待った。

しかし、再びドガーラは一撃後、またしても”テレサ”に刃を突付けられていた。

仕切り直す事、五度、負け続けるドガーラを見てられないと思ったのか、ついに回りを取り囲んでいた兵士の内から声が
上がった。

「ドガーラ殿、”テレサ・テレザード”様がお使いになっている技は”妖し”のものなどではありません! 
グタバ宙域に古くから伝わる伝説の剣技”アイン・デュライ”です!」その声の主はドガーラの副官、サヴァ・ビアだった。

「”アイン・デュライ”・・・だと?」 ドガーラは眼前に剣を構える”テレサ”が居るのも忘れて部下のサヴァ・ビアに
問いかけた。

”アイン・デュライ”それは地球語に直せば ”一番目の剣技”、”最高の剣技”とでも訳せば良いのだろうか?

それは相手の攻撃を受け流すと同時に自分の間合いまで一瞬で踏み込み相手を斬る攻防一体となった究極の剣技で
あった。

「”テレサ・テレザート”様は”アイン・デュライ”まで使いこなされるか・・・。

ならば、この”霹靂”のガルダ・ドガーラ、破れても”恥”は無い・・・!」ドガーラは大剣を捨てその場にひれ伏した。

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「ドガーラ殿、何故、我等はお連れ願えないのですか! 我等はこのまま本国に帰還しても”失敗者”として”シファル・
サーベラー”丞相に罰せられるだけです!

どうか、”惨めな罪人では無く、”栄光ある革命者”の役割をお与え下さい。」”霹靂”のガルダ・ドガーラが指揮していた
”レティファン姫・捕獲艦隊に五隻いる殲滅戦艦・艦長達は強く同行を願った。

「皆の気持ち良く判っておる。 しかし、”テレサ・テレザート”様が歩もうとされているのは”棘薔薇の道”、貴様達が生きて帰れるか、保証は出来ぬ。  ここはガトランティス本国に還らず、”我等と大帝”の闘いがどうなるか、様子を見ていては
くれぬか・・・。」ドガーラの説得は歯切れが悪かった。

「 ”テレサ”様とドガーラ殿は”大帝”に挑まれると言うのですか! ”勝算”は在るのですか!」艦長の一人が素っ頓狂な
声を上げた。

「 ”勝算”など全く無い!」何時の間にか普段の貴賓服に着替えた”テレサ”が通信に割り込んで来た。

「それでも良ければ我に続け!」”テレサ・テレザート”の言葉は簡潔だった。

「 ”勝算の無い争い”をするなど愚か者のする事、”テレサ”様は”アイン・デュライ”を体得されていると聞き及びましたが、どうやらそれは”誤り”の様で御座いますな。」殲滅戦艦の艦長達は次々と通信を絶ってしまった。

確かに”アイン・デュライ”は強い、しかし単に強いから無敗の剣なのでは無く、その極意は勝てる相手としか戦わない事
であり、勝てないと判ったら躊躇いも無く逃げる事も辞さない兵法である事が一般にも知られていたからだ。

”アイン・デュライ”を習得した者が”勝算の無い戦”をするはずが無い、即ち”テレサ”は”アイン・デュライ”を体現出来て
居ないと艦長達は判断、”テレサ”を見限ったのだ。

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「”テレサ”さま、本当に良かったので御座いますか?あの殲滅戦艦群は”火炎直撃砲”こそ使用不能になっていますが、五連装大口径徹甲砲を始めとして大部分の火力はまだ残して居ります。

このまま、こちらを攻撃してきたら侮れん戦力ですぞ!」ドガーラはまだ”テレサ”に”真の名”を預けて居なかった。

「ドガーラ殿、そなたの”真の名、私と共に”歩む”に相応しい物に選び直してはくれぬか。」”テレサ”には殲滅戦艦隊の
動向よりも重要な事があった。

「今の”真の名”は儂が”成人”した時に自分で決めた”名”で御座りまする。 簡単には変える訳には参りません。」
ドガーラは”テレサ”の申し出をきっぱりと断った。

「ドガーラ殿、そちは”真の名”を既に誰かと”交わして”おるのか?」”テレサ”はドガーラを鋭く見つめた。

「いやいや、滅相も無い、儂はこの歳まで独り身、そしてバル・バル族・滅亡以来、本当に心を許せる友にも出会わず、
今に到って御座る。 ”真の名”の交換なぞ思いも依らぬ事で御座った。」 ドガーラはうら若き女性に”真の名”を求めら
れた事の意味を考え、その事に戸惑いを感じた。

ガトランティスでは”異性同士”が”真の名を交換”するのは、”生涯の伴侶”を選ぶ時が大多数であったからだ。

「わらわは最早、”真の名の交換の儀”は既に一度行っておる、余計な心配はせずとも良い!」 ”テレサ”はドガーラの
肩を叩いて笑った。

<確かに儂より若い”将”は数多おる・・・か。>ダガーラは自分の歳を考えた。

「安心せい! わらわが一番初めに”真の名”を交換した者はテロンのヤマッテに乗っておる。 最早、数万光年の彼方を
テロンに向かって必死に航行しておるわ。 そして、”名”を交わしたは互いの”信義”を証かすためじゃ。
そこに”情”の入る隙は無いわ!」 ”テレサ”はそう言い切ったが、本心は島・大介に心を残していた。

「あのテロンのヤマッテとこの”ガウ・ルーガル”の見事な連携・作戦行動はそんな所に秘密があったので御座るか!」

ドガーラは”異星人”すら簡単に懐中に取り込める”テレサ”の能力に畏怖を抱いた。

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<ええい! 遅い! ドガーラめ、何をもたついて居るのだ! 相手はたかが”小娘”一人だぞ!>事情を知らないサーベラーは心の内で毒づいていた。

シファル・サーベラーは”霹靂”のガルダ・ドガーラからの吉報を今や遅しと待っていたからだ。

セジャード族の”姫”を大帝の”側室”に迎えると言う事は他・族の”姫”の輿入れとは同じ”政略・結婚”でも全く意味が違うものであった。

何故ならセジャード族は本来、ガトランティスを束ねていた。 (だから彼等は”正統王家”を名乗っている。)

本来なら”武闘派”の大帝・勢力が台頭して来た時に、本来なら滅ぼされる可能性が高い部族であった。

しかし、彼等、セジャード族は航宙民族、ガトランティスの中心技術である”空間跳躍”の技に勝れており、大帝と言えどもそれを簡単には”奪う”事は出来なかった。

ガトランティスの軍艦はそれぞれの部族が元々あった軍艦を手本として建造していたが、機械と言う物は不思議な
もので”造る”事より、”維持”する事の方が難しく、その殆ど全てがセジャード族の”メンテナンス”を必要としていた。

このため、”殲滅・戦艦”と呼ばれる”火炎直撃砲艦”も発想は”大帝”のビーム砲の”射程距離”延伸方法だったが、
それを実現出来る技術力を持って居たのはセジャード族だけであったのである。

そして実際に二隻、建造されたメダルーサ級”殲滅型重戦艦”の内、メガルーダは対ガミラス戦で圧倒的な威力を示し
大帝を満足させた。
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最終的にはメガルーダはヤマッテと闘って沈んだがこれは艦の性能不足では無く、指揮官であるグタバ方面大都督
”雷鳴”のゴラン・ダガームに”戦略・戦術・眼”が無かった、つまり”運用”の問題とされたのだった。

当然、メダルーサ級”殲滅型重戦艦”はガトランティスの次期・主力艦艇となる事になったのだが、今までの艦艇とは
比較に成らない位、打撃力が高いので大帝としては裏切りを考えると保有を許す部族を絞り、更にそれのメンテナンスや
運用の技術を持っているセジャード族との距離を詰めたいと考えての”政略・結婚”だったのだが肝心の”姫”が輿入れの
途中で出奔してしまったので大帝(シファル・サーベラー)の思惑は大きく外れてしまった。

<全くあの”姫”は何を考えておるのか・・・? セジャード族の為にも大帝と姻戚関係を結ぶのは損になる事では
無いはずなのだが・・・? 若い娘の考える事は判らない・・・。>サーベラーは”姫は若いから愚か”と自分で考えて
おきながら自分は”若くても賢い”と信じている事に苦笑した。

デスク上のインター・コムが鳴った。

「何だ?」呼び出し音の音種から部下からの物である事を知ったサーベラーは簡潔に聞いた。

「それが・・・”テレサ・テレザート・・・”様からの通信です。」部下の報告は歯切れが悪かった。

「”テレサ・テレザート”だと? そんな御仁は預かり知らぬが?」サーベラーも訝った。

「はぁ、何でも古い”知り合い”だと申して居りましたが、やはり閣下の御知り合いでは無いのですね。 

直ぐに通信を切ります。」部下は自分の判断に間違い無かったと安心した。

「待て、この通信、誰に渡した回線か?」サーベラーは好奇心に駆られて言った。
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「”霹靂”のガルダ・ドガーラに預けた回線です。 しかし、相手はドガーラを名乗っておりません。」部下はサーベラーにとって興味深い事を言った。

「”霹靂”の戦士は敗れたのか? だとすればこの”謎の相手”の正体も想像が付く。

構わん、回線を開け!」サーベラーは部下に回線接続を要求した。

「しかし、こいつは閣下の”知人”を騙るなど、碌でも無い輩に違いありません。 相手になさってはいけません!」
部下は重ねて上司の気紛れを止めようとした。

「良い! 回線は幾重にも防御されて居る、通信だけでは何も出来ぬ。」サーベラーは自信たっぷりだった。

<それよりも既存の回線を使い、私の”旧知”を装うとは随分、大胆な奴だ、面白い・・・、それに私が私の”過去”を
知る者をそのままにして置くと思ってか!>サーベラーは不敵に微笑んで通信が繋がるのを待った。


                                         185. ”大義”の”甲冑(よろい)” ー(3) → この項・続く

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by YAMATOSS992 | 2015-04-04 21:00 | ヤマト2199 挿話 | Comments(2)
Commented by HAL0999 at 2015-04-06 02:09 x
折角なので、こちらにコメントを移動しておきますね。

やはり、その章にコメントしておきべきだと思うので、前出のコメントは削除させて頂きます。

大義” の ”甲冑 第2話拝読いたしました。

アイン・デュライとは「柔道」のような剣術なのですね。

しかし「勝てる相手としか戦わない事」というのは意外ですねぇ。

そこにはなにか重要な意味がありそうです。

ドガーラの「真の名」が明かされないのは、これも伏線になっていそう…。

メダルーサ級”殲滅型重戦艦”にメンテナンスが必要というのも面白いですね。

これってある意味弱点ですよね。

そんな兵器開発技術やメンテナンスに長けたセジャード族が自らのガウ・ルーガルのエンジンを修理出来なかったのはなぜだろう。

修理に要する材料がなかったのでしょうか。

さて「シファル・サーベラー」の登場ですね、わたしはこのキャラクターが好きなので、どういう展開になるのかを楽しみにしています!!!


拙作「白き妖精の記憶 第9節」を本日4月5日18:00に設定いたしております。

今回はセレステラ偏愛者でなくても楽しめるであろう戦闘シーンのみの構成です。

お時間のある時にでも見てやってください。

宜しお願い致します。
Commented by YAMATOSS992 at 2015-04-06 07:28
コメントの移動、御手数を掛けて申し訳けありません。

>アイン・デュライは「柔道」の様な技でしょうか?

元ネタは塚原卜伝の「一の太刀」です。
その極意は「勝てなくても決して負けない事」である事を参考にしています。

>修理に要する材料がなかったのでしょうか。

その通りです。

コスモ・ナイト90の備蓄がガトランティスは少なく壊れた部品の使える部分を丹念に再利用しているのでガウ・ルーガルのエンジンのエネルギー伝道系統に無理が祟って修理不能になっていたのです。