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宇宙戦艦ヤマト前史

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宇宙戦艦ヤマト登場前の地球防衛軍の苦闘を描きます。

190. ”大義”の”甲冑(よろい)” ー(8)

 「 "大帝陛下" との ”約束の刻限” が迫っておりまする。
遅参いたせば”大帝との会見” 、失敗に終わるやもしれません。」 ”迅雷” のガルダ・ドガーラがテレサ・テレザートに
予定の遅延を苦慮した。

「仕方ないじゃろ! ”古への星の海往く船乗りの約定” は本来、我がガトランティスに源を発する "約定"じゃ!
見捨てる事は出来ん!」テレサには己の行為に恥じる所など無かった。

<テロンのヤマッテはともかく、今度はガミラスの小艦隊、こいつ等は動かし様の無い我がガトランティスの敵!
何故ここまで御身体を危険に晒してまで助けたのか、儂には理解出来ん・・・。> テレサの武勇は本物だ。

それは実際剣を交えた事のあるドガーラ自身が一番良く知っている。

<テレサ・テレザートはガトランティス史上に確実に名を残す勇者に間違いはあるまい、しかし、敵に情けを掛けると
言っても限度がある!>ドガーラは ”ゴルエン族の客分” 時代の好戦性がまだ抜けていないのだ。

しかし、そんな事を気にするテレサ・テレザートでは無かった。

ボ・ルドウ侍従長はテレサがドガーラを側近に選んだ時、昨日の今日まで敵だった男を信用するのは反対だと
強硬に主張していた。

しかし、テレサはドガーラの剣を取り上げる事もせず、側近の一人として取り立てたのだ。

「使命の神託」を得、シェザード族から正式に分家したテレサ・テレザートは家臣もシェザード族時代から一新する必要が
あったからだ。

これからテレサは「使命の神託」を得た者としてガトランティスの数多ある部族の中で特異な行動を取る事になる、
場合によっては ”大帝” はおろか、父王、その人が率いるシェザード族さえ敵に廻さねばならなくなる可能性も
あるのだ。

< まっ、先の事は幾ら心配しても始まるまい・・・。 それよりもまずは ”大帝” との会見を成功させる事じゃな・・・。>
テレサは先の事をくよくよ悩む性格では無かった。

「 "迅雷の戦士" よ。 妾が "大帝の旗艦” に移乗したら直ぐに艦隊を離れよ。」テレサはドガーラの思いもよらぬ事を
言った。
 
「何故で御座りまする! 我に "陛下" をお見捨てする事など出来もうさん!」ドガーラは理不尽なその命令に納得が
いかなかった。

「慌てるな。この命令には続きがあるのじゃ。」テレサは悪戯っぽく微笑むと詳しい作戦計画をドガーラに話した。

「は、はぁ~っ。」作戦内容を聞いたドガーラは一応、平伏したが、その心の内では<そんな事が "人の身" に
出来る事>とは思えなかった。

**************************************************

 <遅い約束の日時を二日も過ぎている! あのじゃじゃ馬め、また逃走したのではあるまいな!>

シファル・サーベラーはテレサ・テレザートの遅参に痺れを切らしていた。

そこへ船着き場からテレサ・テレザートの来訪が告げられた。

「よし、従卒を派遣する。 それとテレザート殿の随行は何名か?」

問いかけられた出迎えの将校は戸惑った声で応えた。

「テレサ・テレザート様、御一人です。 御一人で短艇を操艇して来られました。」

「とにかく "謁見の間" にお通ししろ!」サーベラーはテレサの意図が分からず考え込んだ。

<この "大遅参" と "単身での謁見"、・・・ 何か関係があるのか・・・。だとしたらそれは一体何だ?>サーベラーの心は
猜疑心から千路に乱れていた。

不安な想いを抱きつつ、サーベラーは "大帝" に付き従って "謁見の間" に入った。

"大帝の玉座" は謁見者の居る広間より五段分高い位置にあり、"刺客" の襲撃を行い難くしていた。

そこに "大帝" が座るとテレサが訪問の口上を述べた。

しかし、そこには "遅参" の "詫び" はあっても "理由" は無かった。

「 "大帝" を二日もお待たせしたのは何故か?」サーベラーは怒りを面に出さぬ様気を付けながら尋ねた。

「理由は明かせませぬ。”古への星の海往く船乗りの約定” ゆえ ・・・。」テレサは大胆な事を告げた。

「訳の分からぬ事を言う女じゃ! 二日もの間どこで何をしていたと問うておるのじゃ!」今度は流石にサーベラーも
切れた。

「”古への星の海往く船乗りの約定”か・・・。 久しく聞かぬ言葉だ。 お前がそれを成したと言うのか、
テレサ・テレザートよ。」それまで沈黙を守っていた "大帝" が初めて口を開いた。

「いけませぬ! "大帝" 、こんな成り上がりの女族長に言葉をお掛けに成る等勿体無い! 伝えたい事がおわすなら、
この丞相、"シファル・サーベラー" がお取次ぎいたしまする。」サーベラーは面目を失い慌てて抗議した。

「良いではないか、たまにはお前以外の女と公の場で直接話すのも一興だ。」"大帝" はサーベラーの抗議を無視してテレサに発言を促した。

「ではお言葉のままに・・・。」テレサはガトランティスの軍事上の現状とその行き詰まり、それが及ぼす政治・経済への悪影響について語った。

そして現在の力による略奪を止め、周辺星系国家との交易による共存・共栄を求めた。

「何をたわけた事を! 我等 ”ガトランティス” の ”始祖” は ”古き美しき海” を後に何万年も前から宇宙を一直線に
突き進み、その行く手を阻む者共を打ち払い、同時にそれが持てる資源を接収して生きる糧として来た、
今更、その生き方を変えろとはテレサ・テレザート、何様のつもりじゃ!」 一際高い玉座に座った ”大帝” と
大広間の床に片膝をついたテレサ・テレザートの間を取り持つ ”シファル・サーベラー” がテレサに錫杖代わりの鉄扇を
突付けて声高に糾弾した。
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「何も今すぐに全てを変えられるとは思っておりませぬ。 しかし、ガトランティスのあるべき姿だけは考えておく必要が
あると存じます。 
何せ、我等が ”始祖” は ”古き美しき海” を ”石もて追われた” と聞きます。
今後もそうした ”危難” が我等の行く手を遮らぬ保障は無いのですから。」テレサはサーベラーの剣幕を物ともせず
言った。

「減らず口を叩きおって!」テレサの言葉に憤るサーベラーに大帝は合図を送って呼び寄せた。

そして、大帝はサーベラーを呼び寄せると耳元で囁いた。

「これまでだ。」

それを神妙な面持ちで聞いたサーベラーは改めてテレサの方に向き直り口を開いた。

「テレサ・テレザートよ、お前はガトランティスの行く末など考えなくとも良い。

それは 至上、”ズオーダー大帝” 様がお考えになる事! そちは良き妾となる事のみを心掛ければ良い!」
サーベラーが合図すると隠れていた兵士達が飛び出し、テレサを取り囲んだ。

しかし、テレサは不敵に微笑むと二十名は居る兵士達など目に入っていないかの様にサーベラーに言葉を突付けた。

「サーベラー丞相殿、我は ”テレサ・テレザート” 、最早、シェザード族・第二王女、レティファン・クエシェザードでは無い!
 従って妾籍に入るつもりも無い!」

「この痴れ者を取り押さえよ!」サーベラーはテレサの言葉に怒りを抑えられなかった。

兵士達は大剣を抜き、テレサを取り囲んだが、彼女は慌てる風も無く、ビキニ・アーマーの上に纏っていたマントの左肩に
右手を置き、勢い良く留め金を外すと大きく振った。

するとマントは遠心力で広がり、更に眩い光に変わると兵士達の目を焼いた。

更にその光は凝集するとリング状に成り、テレサの手の中に納まった。

これこそテレサ・テレザートが駆使する最高霊操 ”輪廻の雷” である。

”霹靂” ガルダ・ドガーラ達と闘った時は ”光の鞭” 、”光の刀”の二形態しか見せなかったが今回は任意の部署で
リングを外し、左右に引き伸ばすと”光の長竿” に変形した。

テレサはそれを小脇に抱えて ”大帝” の玉座目がけて走った。

<奴(サーベラー)は大帝・暗殺を恐れ謁見の広間へ銃で武装した兵を配置して居ない、飛道具を持った兵が裏切る事を
警戒しているのか! 情けない奴等!>テレサは自分の左右を横走りに走り、行く手を塞ごうとしている衛兵達の一団の
動きに目を配りながら大帝の玉座目がけて走った。
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兵士等は銃で武装してこそ居なかったが剣技には非常に勝れていた。

凡庸な剣士の集団であれば取り囲んだ敵にバラバラに切りかかり、敵が使い手だった場合は部分的にいなされて囲みを
破られてしまうものだが、テレサを取り囲んだ一団は完全に一体化した戦闘行動をとって来た。

<こいつ等、出来る! 長引くとやっかいだ!>テレサは取り囲む兵を光の長竿の一端を握って振り回し敵兵の囲みに
隙間を作った。

飛び退ってテレサの攻撃をかわした精兵達であったが、次の瞬間、彼らは信じられないものを見た。

テレサは光の長竿を丸めて端同士を繋ぐと ”輪廻の雷” 本来の姿に戻すとその輪の中心に身体を潜らせ中に消えて
行った。

<シェザード族は ”空間・跳躍” の技に勝れると聞いていたが個人レベルでまで跳躍出来るとは思わなかった!>
サーベラーは己の読みが浅かった事に冷や汗をかいた。

<あのまま、”大帝” の懐に飛び込み、刃を振るわれていたらと思うとゾッとするわ!>テレサがいち早く撤退してくれた
のをサーベラーは幸いに思った。

しかし、次の瞬間、サーベラーは大事な事を思い出した。

「きゃつの乗って来た ”短艇” を押さえよ! すぐにじゃ!」サーベラーの命で兵士の一団が船着き場に辿り着くと老兵が
一人、本来旗艦に搭載されている ”短艇” の管理をしていただけだった。

しかし、そこにはテレサの短艇は影も形も無かった。

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その頃、ガルダ・ドガーラは随伴艦の一隻、ククルカン級宇宙駆逐艦の艦橋で焦れていた。

”大帝” の旗艦、巨大戦艦の護衛は多い、一隻位他勢力の船が混じっていても気付かれ難かった。

「会談は必ず決裂する!そうしたら直ぐに全速で此処を脱出する!距離を取り次第、最大空間跳躍でこの宙域を
去るのだ!」テレサの命令は明確だった。

しかし、そのテレサ本人が合流して来ないのだ。

多分、サーベラーはまだ、旗艦艦内でテレサを捜索しているであろう、まさか随伴艦内にテレサが自艦を隠していようとは
思ってもみないはずであった。

とはいえ、ぐずぐずしていれば ”大帝” 側に何れ発見されてしまうのは明白だった。

テレサを回収し次第、最大戦速で離脱、直ぐに空間跳躍に入る、それがベストの選択とドガーラは
判断していたのだが・・・。
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ドガーラは自らの駆逐艦を ”大帝” の座乗艦の途方も無い巨体を掠めるようにしてテレサとの最終的に打ち合わせた
空間座標に再度、持っていった。

だが、指定座標で待つこと1時間、テレサは現れなかった。

何らかの祖語が起こったのだ、こうした場合にはドガーラはテレサを捨てて離脱する様、命じられていた。

しかし、ドガーラにとっていくら ”主人” の ”命” とはいえ ”主人本人” を見捨てて自分だけが助かる事などガトランティス
戦士の誇りが許さなかった。

かと言って闇雲に ”大帝” の旗艦に駆逐艦一隻で突っ込んで行くほどドガーラは無鉄砲では無かった。

刹那の間思案した彼はある座標を航海士に指示し、彼の駆逐艦は ”大帝” の旗艦の脇を離れ、
空間跳躍に入って行った。

                                                                            

                                       191. ”大義”の”甲冑(よろい)” ー(9) → この項・続く

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長らくお待たせしました。 

宇宙戦艦ヤマト前史 "2199挿話" "大義の鎧" 再開させて頂きます。

大スランプに陥ったため、書けなくなってしまいました。

ブログのレポート頁を見るとこれだけ待たされても拙ブログを訪れてくれる人がいる事に感じ入り、書き掛けの190話を大修整して今回、やっと記事をアップ出来ました。

また今回のスランプの原因の一つである上橋菜穂子先生の " 守り人シリーズ " との出会いは沢山の課題を
私に課しましたが、得た物も多く、この出会いは僥倖として考えて往きたいと思って居ります。
(3月からNHKで大河ドラマが予定されています。全22話で " 守り人シリーズ " 3年渡って描くそうです。
 主演:綾瀬はるか )

BSで既にアニメ版は発表されていますが、これは " 守り人シリーズ " の序章、"精霊の守り人" までなのでそれ以降の
様々な大国小国を巻き込んだ騒乱や自然の驚異を大スペクタクルで最後まで描くそうですので
非常に楽しみにしています。
(アニメ版の出来が非常に良かったので実写での出来がどうか、少し気に成る所ではありますが・・・。)




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by YAMATOSS992 | 2016-01-09 21:00 | ヤマト2199 挿話 | Comments(2)
Commented by kazu at 2016-01-23 16:51 x
いつの間にか公開されてる
もう書かないのかと思ってたよ
これからも頑張ってください
Commented by YAMATOSS992 at 2016-01-23 17:45
いや面目もありません。
しかし何とか「白色彗星帝国」(ガトランティスでは無く)とヤマトの対決を実現する布石だけは
何とか敷いておきたいと思っております。