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宇宙戦艦ヤマト前史

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宇宙戦艦ヤマト登場前の地球防衛軍の苦闘を描きます。

194. ”大義”の”甲冑(よろい)” ー(12)

 「敵艦、更に駆逐艦・撃破1、しかし "殲滅回廊" を抜けてくる敵艦隊の数は増える一方です! 支え切れません!」
戦術士官が悲鳴を上げた。

<これは "殲滅回廊" の意味を無くす作戦か! ” 回廊を抜けて来た直後の敵艦隊は数も少なく、撃破しやすい” 事を
前提にこの作戦計画は組まれている、我々が処理し切れない数の艦隊が投入されればおのずと撤退するか、
"殲滅回廊" の閉鎖を余儀なくされる!>デーリアン少将は苦しい選択を迫られていた。

最後の一艦まで戦って散るのは兵(強者)の美学だが、自分はここで散ってしまい、後は後続の部隊にお任せと言うのは
将として余りにも無責任だと彼は感じていた。

では一度、"殲滅回廊" を閉じて侵入を根本的に防ぐのが一番こちらの物的損害が少なくて済む様に思える、
しかし今まで艦隊単位でイオン嵐を乗り越えて来た事の無かったガトランティス軍が小艦隊とはいえ "殲滅回廊" 以外の
場所を突破して来たのも事実だった。

もし、任意の位置でイオン嵐を突破されたら、ガミラスの小マゼラン雲守備艦隊の兵力ではとても全域をカバーする事は
不可能だった。

デーリアン少将は一度、撤退し後続部隊の到着を待って態勢を立て直し、再び攻勢に出る事にした。

「通信士、大本営との通信回線を開け!」デーリアンは急ぎ作戦計画の変更を伝え様としたが、その時、思いもよらない事態が忍びよっていた。

「司令、回廊を物凄く大きな物体が通過して来ます! 今までのガトランティス艦の五倍以上はあります!」探知主任が
驚愕の声を上げた。
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「五倍以上? ガトランティス艦艇の母艦か何かか?」デーリアンも艦橋スクリーン一杯に迫るその巨艦が大帝の
旗艦だとは思いも依ら無かった。

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そのころ、イオン嵐を縦断、ガミラスの警備艦隊を殲滅、偵察に来た宙雷戦隊も葬って意気を上げていた、
ヨダム・ナーカスの陽動艦隊は強力なガミラス艦隊に出会い、損害こそ少なかったものの、こちらの戦果は無く、
とある惑星を楯に最後の布陣を敷いていた。

<一体どうなっているんだ? 奴等には実体が無いのか? そんな馬鹿な!>ナーカスの心の内は千々に乱れていた。

ナーカス艦隊がはっきりその存在を掴んでいるのはガミラス戦艦一隻だけだった。
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しかし、その戦艦に艦隊全部の輪動砲("自在雷" を含め)を集中して発砲してもその戦艦はナーカスの攻撃を尽く弾き、
悠遊と接近してくるのだった。

そしてある程度接近したその戦艦は第1砲塔を巡らし、ナーカスの旗艦では無く、鶴翼の布陣の右端の巡洋艦に狙いを定めた。

三条の陽電子ビームが走り、的にされた巡洋艦は一瞬で行動不能になった。

「敵艦から通信が入っています! 繋ぎますか?」通信士がナーカスに問いかけた。

「 ”馬鹿め!” と伝えろ!」ナーカスは怒りのままに命令した。

<どうせ降伏勧告だ、我々は破れる訳にはいかない!>ナーカスの部族が全てここに来ている訳では無い、大帝の
主力艦隊に大部分は残っているのだ、それは人質も同然だった。

彼等の為にもナーカス艦隊は "回廊の出口" を押さえている艦隊を何が何でも引付ける必要があるのだ。

敵戦艦はナーカス艦隊の正面、指呼の間に来て止まった。

<くそ!一隻づつ始末するつもりか! このままでは奴の餌食だ!>ナーカスはすぐさま艦隊の散開を命じた。

だが、ここに来てガミラスはナーカスの思いも依らない対応をして来た。

散開した個々の巡洋艦にガミラスはデストリア級重巡による一撃離脱(ヒット・エンド・ラン)攻撃を仕掛けて来たのだ。
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しかも一瞬、宙に現れ、四基の全砲塔から陽電子ビームを吐きかけるとすぐさま別の宙域に消えるのでナーカス艦隊は
反撃の暇さえ無かった。

だがナーカスにとって幸いだったのはガミラスもここまで徹底した一撃離脱戦法は不慣れだったと見え、命中率が
悪かった事だ。

「傍にある惑星を背にして背水の陣を敷く! 全艦移動せよ!」ナーカスは一撃離脱攻撃を背面から受ける事だけは
避けたかった。

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「ガトランティス艦隊は近傍・惑星の反対側に布陣しました。」観測士が広域・偵察魚雷からの情報を報告した。

「よし、そのまま、ガト艦隊の動向を観測し続けろ! ”反射遊星砲”で攻撃する、艦長、攻撃用意!」メルダは
メラ・ドーラⅡ(ア・ルー)の艦長、ルルダ・メッキラ中佐に指示を出した。
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「はっ、了解、火器管制、反射遊星を射出、反射プログラムを組んでガト艦隊の旗艦をまず戦闘不能にする! 良いか、
戦闘不能だぞ、爆沈させるな!」メッキラ中佐は妙に繊細な命令を下した。

今までガミラスとガトランティスの関係は喰うか、喰われるかの関係だった、だからメルダ司令の示した方針は
驚くべき物だった。

<司令はガトランティスと交渉する気か? そんな事、デスラーを従わせるに等しい。 出来る訳が無い!>それが
一般の乗組員の感想だった。

しかしメルダはこれがユリーシャの示唆だと明かす訳には行かなかった。

彼女は平和の象徴・・・、荒事には一切、関わってはいけないのだ。

<全て私の責任でこの作戦は遂行しなくてはならない!>メルダの見つめるスクリーンには "反射遊星" 、こと
"反射板・誘導弾" が六基、惑星の周囲に反射衛星ネット・ワークを作る為に惑星の衛星軌道上に消えて行くのが
映っていた。
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発射された "反射遊星" は二基一組で惑星の反対側に布陣しているナーカス艦隊を逃がさない様、三方向から惑星を取り囲む様に設置された。

「反射・プログラム完了! 目標、敵旗艦、何時でも攻撃出来ます!」火器管制主任が報告した。

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いきなり大きな衝撃を受けたナーカス艦隊の旗艦の艦橋内には怒号が渦巻いていた。

「ビーム飛来方向に艦影無し!どこから攻撃されたか判りません!」戦術士官が平常心を失いかけているのが
ナーカスには苛立たしかった。

しかし、こんな事で内輪もめしている場合では無かった、幸い今のビームは旗艦の艦尾を擦過しただけで直撃では
無かった事から敵もこちらの位置を今だ正確には掴んでおらず、今のうちに再び艦隊を散開させて一度態勢を
立て直す必要性をナーカスは感じていた。

「通信が入って来ました! あ、識別は ”友軍” です!」通信士が嬉々として報告した。

<現在の状況を変える事が出来れば良いが・・・。>とナーカスも僅かな希望を持って通信をスクリーンに映し出させた。

そこにはナーカスも見知った顔が映し出されたが、その言葉は意外だった。

「ヨダム・ナーカス、"刃雷" の戦士よ! ”古への星の海往く船乗りの約定”に依りて援助を求む!」スクリーンに
映し出されたのはナーカスの旧友、"霹靂" のガルダ・ドガーラだった。

< ”霹靂” のガルダ・ドガーラ! お前にはこの状況が見えんのか!>ナーカスはドガーラの援助要請に困惑したが
古き友人に対し、一応の礼は尽くそうと思った。

「 ”霹靂” のガルダ・ドガーラよ、よく来た。 しかし、我々は戦闘中だ、悪いが救援要請は受けられぬ!」ナーカスは
一瞥もくれずにドガーラの要請を断った。

「我はもはや ”霹靂” の戦士にあらず、テレサ・テレザート様にお仕えする "迅雷" のガルダ・ドガーラだ。 
再度頼む、”古への星の海往く船乗りの約定”に依りて助けを乞う、テレサ・テレザート様を大帝の旗艦から
お救いしなければならないのだ!」ドガーラの要請は具体性を帯びて来た。

「如何言う事だ? 詳しく聞かせろ!」ナーカスは大帝を手玉に取ったテレサ・テレザートの噂は聞いており小気味良く思っていた。

「 ”古への星の海往く船乗りの約定”に依る援助要請なら私にも聞く権利があるな? "迅雷" のガルダ・ドガーラ殿。」
ドガーラの駆逐艦の通信モニターに映し出されていたのはガミラスのメルダ・ディッツ大佐、その人だった。



                                       195. ”大義”の”甲冑(よろい)” ー(13) → この項続く




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by YAMATOSS992 | 2016-02-06 21:00 | ヤマト2199 挿話 | Comments(0)