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宇宙戦艦ヤマト前史

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宇宙戦艦ヤマト登場前の地球防衛軍の苦闘を描きます。

195. ”大義”の”甲冑(よろい)” ー(13)

 艦長! 戦況はどうじゃ? この超巨大戦艦 "ガトランチス" は無敵であろう、ガミラス艦隊など幾ら数が居っても
相手にはなるまい?」サーベラー丞相は得意げだった。

「はぁ、確かに本艦は無敵なのですが、敵艦隊は一度、戦場を離れ、改めて空間跳躍で後に続く普通艦艇や輸送船団を
攻撃して来ます。その損害は拡大する一方です!」艦長はサーベラーの顔色を窺がいながら応えた。

「くそっ、ガミラスめ、悪賢い奴!」サーベラーは大帝の旗艦 "ガトランチス" を楯として用いて配下の艦艇や輸送船団の
"殲滅回廊" 通過を支援しようと考えていたのだ。

しかし、超巨大戦艦だけ "回廊" を抜けさせ、後に続く艦艇や輸送船団が "回廊" 内で動きが取れく為って居る内に
一撃離脱攻撃を掛けて来るガミラス艦隊に "楯" の意味は無くなってしまったのである。

しかも旗艦がその大量に持つ火力を後方のガミラス艦隊に向けて発砲する事は出来なかった。
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何故なら超巨大戦艦の後方火力だけでも集中射撃を行えばガミラス艦より、動きの鈍い輸送船団などひとたまりも無く
宇宙の藻屑となってしまうのは明らかだった。

<超巨大戦艦の "火力" さえあれば "回廊" 通過など朝飯前だと言ったのは誰じゃ!>サーベラーは幕僚達の読みの浅さが腹立たしかった。

幸いな事にガミラス艦隊の規模はあまり大きく無く、戦局は膠着状態になったが、どちらの艦隊の引くに引けなく
なっていた。

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「何だか妙な気分ですね。 迎え撃つべき敵艦と艦隊を組んで航行する事になろうとは思っても見ませんでした。」
ルルダ・メッキラ艦長が呟く様に言った。

「確かにあの巡洋艦隊は敵だ、しかし、あの赤い駆逐艦は我等を次元断層の咢から救い上げてくれた恩人の艦隊の
所属艦だ。 その男の "盟友" の艦隊となれば話は別だ。」メルダは "迅雷" のガルダ・ドガーラの言葉を信じてテレサ・
テレザートの救出作戦に参加したのだ。

<テレサ・テレザートの率いる一派はガミラスのみならず宇宙にあまねく存在する文明と平和共存する事を
目指していると聞く、この作戦はユリーシャ様の望むこの紛争の平和的解決に繋がる重要なものだ。 "呉越同舟" と
言う所か・・・。>メルダはヤマトに正式に乗艦していた時に教わった地球の古いことわざを思い出した。

「ナーカス殿、メルダ殿、私はこの艦で "大帝" の旗艦に接近を試みる、その間、旗艦の注意を引付けて置いて
貰いたい。宜しいか?」ドガーラからナーカスとメルダに作戦計画が伝えられた。

「しかし、テレザート様が、捕縛されていたら脱出は不可能なのでは無いか?」ナーカスはテレサの実力を目の当たりに
した事が無く、その分、救出に懐疑的になっていた。

「ナーカス殿、テレサ・テレザート殿は尋常では無い胆の据わったお方、心配するには及ばない。 
それより貴公の方こそ自分の部族を裏切ってしまう事を悔やまないのか?」メルダはナーカスの本心を確かめたかった。

「何の! この作戦は "古への星の海往く船乗りの約定" に基づき為される物、それも旧友、
"霹靂" のガルダ・ドガーラから要請された物でもある! だから、ここで、この "約定" を無視すれば
ガトランティスだけでは無く "星の海を往く船乗り" 全部の笑い者になってしまうわい!」ナーカスの目は
一途に前を見て居た。
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「味方は後、何隻残っているか!」デーリアン少将が悲痛な叫びを上げた。

「後、一艦隊、十隻です! 残りは全て撃破されました。」専任参謀が報告する、<撤退の時機を逸したか・・・。>
デーリアンは己の不明を恥じた。

「通信を傍受! 味方の増援です! 間に合いました!」通信士が喜びの声を上げた。

「何! 何処の部隊だ! こんなに早く回せる部隊は無いはずだが・・・?」デーリアンは誰何する様、通信士に命じた。

「ガミラス皇室付き遊撃艦隊、司令官はメルダ・ディッツ大佐です! 映像をそちらに廻します!」通信士は受信映像を
艦橋メイン・スクリーンに映し出した。

「援軍感謝する! ディッツ大佐、これより貴官は私の配下に入って貰う、まず・・・。」そこまで言ったデーリアン少将は
メルダがまったを掛けているのに気付き眉を寄せた。

「デーリアン少将閣下、確かに貴官は私より上位であるが、艦隊そのものの "格" は本艦隊の方が上になる、
申し訳けないが指揮権はこちらにあると理解して頂きたい。」メルダはデーリアンの怒りに油を注ぐ様な事を平然と言って
のけた。

「皇室直属の艦隊だからか! 今まで我々前線部隊が血を流して祖国を防衛している時、後方で安寧としていた
お前らの言う事を今更聞けと言うのか!」デーリアンには "皇室直属" と かつての "親衛隊" が同じ様なものにだと
感じられていた。

「では我が艦隊の力、お見せしましょう! "ゲシュタム・アタック" 開始!」メルダが自信たっぷりに宣言した。

ボロボロになったデーリアン艦隊の直近にデストリア級重巡九隻からなる艦隊が現れ、超巨大戦艦に一撃を掛けるとすぐさま再度ゲシュタム・ジャンプをして消えた。

その艦隊行動はまるで奇跡を見るようだったが、デーリアン達が驚いたのはメルダの指揮・戦艦が放った第二撃だった。

メルダの旗艦、"メラ・ドーラⅡ(ア・ルー)" の第一砲塔から発射された330mm陽電子ビーム三条は互いに捩り合わさって
一条のビームになると超巨大戦艦の上方で二回屈曲してその機関部に突き刺さって行った。

< これは "光の花園" ! 皇室・巡航戦艦にだけ装備された秘密兵器・・・、それを使う事が許されているとは余程、
ガミラス皇室の信頼が厚い人物の証明か!。>デーリアンはメルダの姓が "ディッツ" である事を思い出していた。

「失礼しました。 "光の花園" を託されているお方の命はガミラス皇室の命、喜んで従います。」デーリアンは格下である
メルダの指揮下に入る事を快諾した。

「指揮権の委譲、感謝する。 第一の命令は敵巨大戦艦の足止めだ、第二の命令は後方に展開している
ガトランティス軍、一般艦艇は放置せよ!」メルダの命令はデーリアン達には余りにも以外だった。

そして彼等の驚きを倍加させる出来事が起こった。

「近傍空間に重力振多数観測! ガトランティスの艦隊です!」空間跳躍にしろ、ゲシュタム・ジャンプ(ワープも)にしろ
空間を無理矢理捻じ曲げて長距離を跳び、光速を突破する技術だ、そこには空間を揺さぶる重力振はつきものだった。

「何! 戦術士官、重力振ポイントに主砲照準合わせ、敵が態勢を整える前に殲滅す・・・、」そこまで言った所でメルダが横槍を入れて来た。

「命令したはずだ! 我等の目標は超巨大戦艦のみ! 他の艦艇への攻撃は禁じる!」メルダは怒りで鬼の様になった
形相で再度、命令を徹底した。
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「ゲシュタム・アウトして来た艦隊は巡洋艦隊です。既に攻撃態勢を取りつつあります。 しかし、・・・。」観測士が困惑した
表情で言葉を濁した。

「しかし、何だ! 報告は簡潔にしろ!」デーリアンは珍しく言葉を荒げた。

「敵艦隊の目標は我々ではありません。」戦術士官が状況を分析して見せた。

「何?」デーリアンは艦橋のメイン・スクリーンに目を凝らした。

新たに戦場に現れた巡洋艦隊は前方に集中出来る砲火を全て超巨大戦艦に向けていた。

更に後部からエネルギー球を打ち出すとそれを使って本来死角になる後部砲塔のビームも前方に向けて屈曲させ、
火力を倍増、今までのガトランティス軍の巡洋艦とは比較にならない火力を見せていた。

「 "呉越同州" さ。」メルダが悪戯っぽく笑った。

「ごえつどうしゅう? 何の事です?」デーリアンは戸惑いを隠さなかった。

"呉越同州" これは中国の故事の一つである。

詳しい説明は省くが要するに『仲の悪い者達同士でも難局に出会えば協力する』と言う事。

これはガミラスとガトランティス双方が両立出来る体制を作り宇宙に平和と安定をもたらすための闘いだった。

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同時刻、超巨大戦艦に潜伏しているテレサは何とかドガーラと連絡を着けようと "輪廻の雷" を操ってあちこちに
空間回廊を開いて見たがどの回廊もその先に開けているのは宇宙空間ばかりで中々ドガーラと合流する事は
叶わなかった。

一ヶ所に長居すると発見される恐れがあるのでテレサは居場所を変えようと、艦内に空間回廊を開いた。

艦内の別の場所に空間回廊が繋がった事を確認するとテレサは "輪廻の雷" が空間を切り取った円の中に身を潜らせようとして思い止まった。
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何か嫌な感覚が走ったのをテレサは感じて居た。

<何が違うのだろう・・・?>テレサは "円" を見つめた、そして普段とは違う事を見つけた。

それは円の縁を作っている "輪廻の雷" の色が普通の "黄色" では無く、少し"赤色" がかった色に輝いていた事で
ある。

テレサは手近な物をその空間に投げ込んでみようと思ったが生憎ここは機械室、やたらな部品を外すとどんなトラブルが
起きるか分からないと考えた彼女は別の物を投げ込んでみる事にした。

普通なら着衣の一部や上着などで済むが彼女が今、着ているのは "ビキニ・アーマー" である、布地の部分など殆ど
無い、しかも胸当てはその裏に生命維持装置が仕込んであって何時真空の宇宙に投げ出されるか、分からない
今の状況では失う訳には行かない装置だった。

仕方なくテレサは "ビキニ・アーマー" の下穿きに着いて居る飾り布を外して丸めると怪しげな空間回廊の入り口の投げ込んだ。

小さな布の塊がゆっくりと弧を描いて向こうの空間に消えた、と、凄まじい光の洪水が溢れ、消えた。

<反物質空間、こちらと全く同じ物体が同じ形で存在しながらその電荷は正反対の空間、立ち入れば私も光に変わって
いただろう・・・気付いて良かった。>テレサはこの空間座標を記憶し、別の場所に回廊を開き直すとまた何処かに消えて
行った。



                                       196. ”大義”の”甲冑(よろい)” ー(14)→この項続く


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by YAMATOSS992 | 2016-02-13 21:00 | ヤマト2199 挿話 | Comments(0)