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宇宙戦艦ヤマト前史

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宇宙戦艦ヤマト登場前の地球防衛軍の苦闘を描きます。

カテゴリ:未分類( 4 )

それから地球時間で三日がたった。 

ディッツ提督の計らいで収容所惑星「レプタポーダ」にある大型船用ドックとその設備を使う事が許された
「ヤマト」は急ピッチで「七色星団会戦」で受けた損傷を修理していた。
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真ガミラス同盟の方も収容されていた囚人達を本来、犯罪者として収監されていた者を開放しない様、慎重に
事情聴取とガミラス本国にあるデータ・ベースをハッキングして照合を行っていた。
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また、政治犯や他惑星の捕虜にも真ガミラス同盟への参加を説得する等、煩雑な作業が残っていたので
ディッツ提督達もまだ惑星「レプタポーダ」を出発出来ずにいた。
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その作業はドメル夫人やディッツ提督自身まで係わらなければ成らない程、忙しかった。

幸いな事にこの収容所の所員に次々と協力者が現れたので、同志はネズミ算式に増え、ディッツ達、
上級幹部も一息つける様になった。
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 しばらくぶりにディッツ提督は建物の外に目を遣った。

そこにはドック入りしている「ヤマト」の姿があった。

だが、何かが違う、ディッツはもう一度良く目を凝らして「ヤマト」の姿を見つめた。

<そんな、馬鹿な・・・。 こんな短時間であれだけの損傷を修理する事など・・・。>

ディッツの居る建物の窓から見える範囲ではあるが、「ヤマト」の損傷はおおむね修理されていた。
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「ドルメン、オルト・ドルメン大佐はおるか!」ディッツはスクリーンに部下を呼び出した。

「ドルメン大佐、『ヤマト』の修理に何名の人員を貸し出した?」ディッツはドルメン大佐を問い正した。

しかし、ドルメン大佐は「はっ?」と訝しげな顔をした。
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「いや、責めておるのではない、『ヤマト』の修理の進行状況に驚いておるのだ。」ディッツは少し狼狽していたと
自責の念に駆られた。

「はぁ、その件でしたら、『ヤマト』の掌帆長は『資材の使用許可だけくれれば良い、後は自分達でやる。』との事
でしたので人員の貸し出しは行っておりません。

資材は余程、特殊な物以外、自由に使って貰っています。」とドルメンはあっさり、とんでもない事を言った。

<それじゃあ、『ヤマト』は自力で他文明の機械を使いこなし、たった三日でここまで蘇ったと言うのか!
・・・信じられん!>ディッツの胸に見えない楔が打ち込まれた。

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 翌日、「ヤマト」の相原義一・通信士は真ガミラス同盟からの要請を受信した。
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”『ヤマト』の修理状況を見学したい。”旨の連絡だった。

沖田艦長は極力休ませたいと思った相原は丁度、艦橋に顔を出した真田副長に連絡の返事を願った。

真田副長は直ぐに真ガミラス同盟に連絡を取り、”内部の修理状況は軍事機密があるのでお見せ出来ませんが、ドックへの来訪と外部からの見学はご自由に、ここはあなた方の施設です。”と返事をした。


                                         84. 使命の神託ー(3) → この項、続く
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by YAMATOSS992 | 2013-09-04 21:00 | Comments(5)
シュルツは今月の遊星爆弾命中成績表を見て渋い顔をした。

「ガンツ、地球側の遊星爆弾迎撃施設や迎撃基地を殆ど叩いたと言うのに60%の命中率だというのは
どういう訳だ。 命中率が悪すぎるぞ! 現場がたるんどるのではないか?」

「司令、今、遊星爆弾を発射している現場の技術は芸術的なものに育っています。

それこそ、フェーザー砲で隣りの敵艦を撃ちぬく位の精度です。

命中率が悪いのは悔しいですが、地球側の迎撃が的確だからです。

浮遊大陸哨戒基地から発進したパトロール艇が得た情報によると地球側は衛星軌道上に新型駆逐艦を
常駐させ、遊星爆弾の飛来とともに行動、迎撃している様子が観測されています。

ですから、この軌道上の駆逐艦群を叩く必要があると私は思います。」ガンツは再び地球圏の奥深く、
艦隊を送り込む作戦を提示した。

「確かに、この駆逐艦隊は排除する必要があるな。 だが、前の様にこの艦隊は地球本土に基地を
持っているのではないか?

だとしたら、その基地も叩かないと結局、いつまでもイタチゴッコでケリはつかないぞ!」

ガンツはゴクリと唾を飲み込んだ、敵本星に対する攻撃、それもまだ、戦力を大きく残している相手に
対する攻撃だ。

こちらもある程度の損害を覚悟しなくてはならない。

木星会戦並の戦闘規模になる事が予想された。

ガミラス艦隊は再建されてはいたが、シュルツの直接上司のゲールは今度、艦隊を大きく傷つけたら
シュルツやガンツを許さないであろう。

土星会戦、木星会戦、地球ー木星間の通商破壊戦、土星ー冥王星間の交通保護戦、どれも少なからず
艦隊に損害をだしたが指揮していたのは生粋のガミラス人であり、名将の誉れ高い、レッチェンス大将だった
から許された損害だったのだ。

もし、仮にゲールが許してもガミラス大本営は殖民星であり、被征服星であるザルツ出身の兵で固められた
冥王星前線基地そのものを無能者の集まり、サボタージュをする反逆者としてシュルツやガンツのみならず、
1兵卒にいたるまで処分する恐れが高かった。

「何を青い顔をしている。 お前は今はガミラス軍人だが、誇り高いザルツ軍人でもあるのだぞ! 
ガミラス人みたいな顔をするな」 シュルツはガンツをからかった。

「ですが、司令、敵の本拠を突くのですぞ!こちらの損害もただでは済みません!」ガンツは焦っていた。

「果たしてそうかな?」シュルツは机に両肘をついて掌を顔の前で組んだ姿勢のまま言った。

「ガンツ、お前がガミラス本星、大本営に勤めていたとして、もし、いきなり、少数の艦載機による攻撃が
あったらどうする?」 そう言うとシュルツは悪戯っぽく微笑した。

ガンツは質問の意味が解からず当惑したがそれでも精一杯の知恵を絞って答えた。

「防空隊に迎撃を命じますが・・・。」

「それだけか?」 シュルツがたたみ掛けるとガンツは慌てて付け加えた。

「艦載機の母艦を捜させ、それも排除、撃沈します。」

シュルツはウンウンと微笑しながら頷いた。

「では、話を変えて、もし、攻撃されたのがこの冥王星前線基地だったら、どうする?」

「この基地は浮遊大陸哨戒基地から発進したパトロール艇が木星軌道から土星軌道を固めています。

更には、深宇宙方面にも警戒艦を常備配置しているのでその様な奇襲を受ける事はありません。

充分な時間を持って艦隊で迎撃する事が出来ます。」

ガンツは何を当たり前の事を今更聞くのかとシュルツの真意を図りかねた。

「そうだろう、意外と心臓部の警戒は薄いものだよ。  奇襲があってから対応する羽目になる、これは
大ガミラスとて変わらん、

たぶん、今までの戦いぶりからして地球軍も前線にいる部隊は勇猛果敢だが、戦線後部にいる連中は
その場、その場の対応しか出来まい。」

シュルツがそう思ったのは火星の地球軍秘密基地を攻撃した時だった。

自分達が攻撃しているのは地球を狙う遊星爆弾だという、固定観念があり、遊星爆弾で自分達が
攻撃された時、その攻撃の意味が判らず、何も出来ないまま、遊星爆弾の集中爆撃を受けて火星秘密基地は
崩壊したのだ。

「では司令、今回の作戦、もう腹案があるのですね。」ガンツは今までとはうって変わったシュルツの積極的な
対応ぶりに何があったのだろうと訝りながらも喜びを隠し切れなかった。

「うん、それでだな・・・。」シュルツはガンツに作戦計画の腹案を話し始めた。

そして、新作戦の準備として、再び戦略偵察の任をおびて高速宙母が2隻、発進して行った。

**********************************************

 高速宙母は地球に接近するにあたり、ワープを最大限に用いた。

幸いな事に宇宙空間を航行する艦艇と違って天体は規則正しい法則に従って太陽の周りを自転しながら、
公転している。

その未来位置を計算するのは容易だった。

だから、2隻の高速宙母は1隻は北極上空へ、もう1隻は南極上空へワープ・アウトした。

木星会戦の時のガンツ隊の様な大気圏上層ギリギリを狙う、危ないワープではなく、大気圏から充分に離れた
余裕を持ったワープ・アウトだったが、それでも地球の早期警戒網は2隻の宙母を探知出来なかった。

シュルツの言うとおり、地球の目は冥王星方向からくる遊星爆弾に向いており、自らの早期警戒網の
ど真ん中にガミラス艦がワープ・アウトする事態など全く、考慮していないのは明らかであった。

古代守に「ガミラス艦はワープ出来る事を忘れてはならない・・・。」と注意した早期警戒艦「たかお」の艦長、
永倉大佐ですら、ガミラス艦は地球の早期警戒網の外にワープ・アウトしておもむろに警戒網を潜って
潜入すると言う固定概念を持っていた。

その結果、やすやすと地球の両極の上空に専位した2隻のガミラス宙母はその艦載機、42機を放った。

ガミラス高速宙母の艦載機の定数は1隻あたり、攻撃機、20機、偵察機1機であったが、今回はその艦載機の
全てを偵察機にして短時間で地球の地表をくまなく偵察する計画であった。
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しかし、いくら不意を突かれたとはいえ、地表の上空を多数のガミラス機に蹂躙されたままでいるのは
地球防空隊にとって耐え難い事であり、緊密な連携は出来ないものの、各地で防空隊がスクランブルを
かけてガミラス偵察機の迎撃に上がってきた。

だが、その時点でガミラス偵察機の任務は殆ど終わっており、偵察結果も自らの母艦にデータ送信した後で
あった。

ガミラス宙母はデータを回収し終わると、地球防空隊に追いかけ廻される偵察機を見捨てて離脱にかかった。

偵察機の機上ではガミラス・パイロット達が皆、一律に離脱する宙母の方を向いて敬礼していた。

そう、彼等は地球防空隊に追い掛け回されているのではなく、防空隊を宙母に向かわせない様、引き摺りまし
ていたのだ。

離脱する宙母の艦長の目には涙が浮かんでいた、これは全て予定の行動だったのである。

宙母2隻は帰りがけの駄賃として月の周りを1周して最後の偵察データを取るとすぐさま、ワープに入り、
地球圏を脱出していった。

そして、宙母が月軌道に達した頃を見計らって生き残っていたガミラス偵察機は一斉に自爆した。

これは地球人に偵察機が有人機ではなく、無人機であると思わせ、偵察に来たのが宙母で編成された
機動部隊である事を隠蔽するためであった。

ガミラスにとって有人航空兵力の有用性が前2回の戦闘で明らかになったための隠蔽工作であったが、
折角育てた有能なパイロットを犠牲にする今回の様な作戦はさすがにガミラスでも問題視され、偵察機を
無人化する方向で新たなる開発が行われる事となった。

**********************************************

 ガミラス冥王星前線基地は木星会戦の時の様な喧騒を再び迎えていた。

42人の勇士の命と引き換えに得られた地球本土及び月面上の遊星爆弾迎撃設備や駆逐宇宙艦の
発進基地を叩くのだ。

ただし、今回の出撃の主役は駆逐型ミサイル艦であった。

駆逐型デストロイヤーは艦隊戦では大きな力を発揮するが、こと地表の拠点攻撃などにはかえって
駆逐型ミサイル艦の方が向く。

もちろん、駆逐型デストロイヤーも作戦には参加するが、あくまでも主役は駆逐型ミサイル艦であり、
駆逐型デストロイヤーはその支援、といえば聞こえは良いが、とどのつまり護衛をする事になってしまった
のである。

これは普段の艦隊戦の時とは立場が逆転しており、護衛艦を戦艦で護衛する様なものであった。

駆逐型デストロイヤーの艦長達は面白くなかったので士官食堂で酒を飲んでくだを巻いていた。

そこにガンツ中佐が入って来た。

酒をのんでいた連中はガンツの姿を見つけるとその周りを取り囲んで愚痴を言った。

最初は受け流して自分の食事をしていたガンツであったが、一人の艦長が「あんな小船共に何が出来る!」と
言った所で立ち上がり、その男の顔をしたたかに殴った。

たちまち、男は吹っ飛び、机や椅子をなぎ倒して倒れた。

「やりやがったな!」くだを巻いていた男達は一斉にガンツに飛びかかろうとした。

「ついてこい!」ガンツは普段、柔和な、場合によっては頼りなくさえ見える風采の上がらない男であったが、
今、男達の前にスックと立った姿はそんな雰囲気は微塵も無い、叩き上げた軍人の姿だった。

ガンツはそれ以上、何も言わず、歩いてゆくと、エア・ロックの前で簡易宇宙服を身に着け始めた。

艦長達が躊躇しているとお前たちも付けろと無言でうながした。

一行がエア・ロックを出て基地の片隅に行くとそこは墓地だった。

今までの戦闘で戦死した勇士を葬っているところだ、もっとも、戦場は宇宙なので遺体も遺品もなく、
ただ名前だけがそっけない金属板に刻まれているだけだったが・・・。

ガンツはその巨大な金属の墓碑ではなく、その隣りの小さい墓碑の前に止まると姿勢を正し、最敬礼をした。

一人の艦長がその墓碑に書かれている言葉を読んで、「あっ!」と声を上げた。

そこには、42名ものガミラス兵の名前とその所属が高速宙母航空隊である事が記されていた。

それは、帰還を期さない今回の偵察任務に殉じたパイロット達の墓碑であった。

作戦行動の準備で基地中が喧騒の中にある時、この様な墓碑を作っている暇などあろうはずがない・・・。

「そうだ、これは彼等が自分達で残していったものだ。 お前達も艦長を任されている身だろう・・・。
 これに恥じない行動をとれ!」

ガンツは一喝するとそのまま後も見ずに基地の屋内に戻っていった。

ヘルメットは彼の息で曇り気味であり、中は良くみえなかったが、ガンツの頬には確かに涙の跡があった。

**********************************************

 木星空域には撃沈された早期警戒艦「シドニー」に変わって、欧州連合の早期警戒艦「ドーセットシャー」が
任務についていた。

「ガミラスめ、調子に乗りやがって、遊星爆弾の投射数を増やしてきやがった。」情報士官が独り言の様に
いった。

「どうした、ジョー、また遊星爆弾を探知したのか?」 艦長が問いただした。

「ええ、今までの最大投射数を遥かに越えます。 今のところ約20発ですが、次々と新しい遊星爆弾が観測出来ます。

途切れる様子はありません。 これは地球圏にいる突撃型駆逐宇宙艦のみならず、艦隊型でも、さらに
旧式な艦でも総動員して迎撃しないと間に合わないかもしれません。」

「何! それはまずい、直ぐに防衛本部へ警報とデータを送れ!」 艦長がそう命令し、送信が終わるのを
待っていた者がいた。

浮遊大陸哨戒基地からやって来ていたパトロール艇である。

パトロール艇の艇長は「ドーセットシャー」の警報とデータ発信が終わるのを待って早期警戒艦でも
探知出来ない遥か遠方で待機していた地球圏奇襲艦隊に出撃開始の合図を送った。

次の瞬間、「ドーセットシャー」はガミラス艦隊の只中にいた。

早期警戒艦「ドーセットシャー」は元々、重巡航艦であり、連双フェーザー砲塔を4基持っていたが、
早期警戒艦に改装するにあたり砲塔2基を降ろして、探知設備設備を増強していた。

しかし、ワープの出来るガミラス艦は「ドーセットシャー」が探知出来ない遠方からパトロール艇に誘導されて
ワープ・アウトすると同時にフェーザー砲の槍ぶすまを「ドーセットシャー」に浴びせた。

ただでさえ、地球艦はガミラス艦のフェーザー攻撃に弱い、しかも古いタイプの巡航艦はいかに重巡と言えども
戦艦より大幅に防御力が劣る。

たちまち、「ドーセットシャー」の戦闘能力は奪われた。

しかし、丁度、「ドーセットシャー」の第1砲塔の真前に駆逐型ミサイル艦が1隻、差し掛かってしまった。

駆逐型ミサイル艦の装甲は薄い、地球の弱いフェーザー砲でも撃ち向ける位であった。

「ドーセットシャー」の生き残り砲塔員はその幸運に感謝しつつ、最後の力を振り絞って駆逐型ミサイル艦に
1撃を浴びせた。

だが、その時、ミサイル艦を護衛していた、駆逐型デストロイヤーが1隻、2隻の間に割り込んだ。

「ドーセットシャー」と駆逐型デストロイヤーは本当に舷側を擦るほど接近していた。

ここまで接近すると、いくら弱いといってもフェーザー砲である、駆逐型デトロイヤーは装甲を打ち抜かれて
しまった。

ただ、その駆逐型デストロイヤーにとって幸運だったのは打ち抜かれたのが居住区だった事で、開いた穴は
直ぐに隔壁を閉鎖する事でそれ以上のダメージを負う事はなかった。

助かった駆逐型ミサイル艦の艦長は直ぐに自艦を身を挺して救ってくれた、駆逐型デストロイヤーに感謝の
通信を送った。

「なあに、何時もは君等に守ってもらっている身だ。 たまには立場が逆転する事もあるさ。」

駆逐型デストロイヤーの艦長は笑って応えたが、その頬にはガミラス式の絆創膏が貼られていた。

**********************************************

シュルツの予想通り、地球本土の防空はザルであった。

今、地球側の迎撃部隊は全て冥王星方面から飛来する30数個の遊星爆弾に注意を奪われ、月軌道内、
地球絶対防衛圏内へワープ・アウトしたガミラス艦隊に気が付かなかった。

ガミラス艦隊の内、駆逐型ミサイル艦40隻が地球本土に、10隻が月面に攻撃に向かった。

また、駆逐型ミサイル艦を護衛してきた5隻の駆逐型デストロイヤーは遊星爆弾迎撃に向かって待機していた
駆逐宇宙艦隊に背後から襲い掛かり、それを全滅させると地球衛星軌道上にある人工構築物を手当たり
次第に破壊した。

1時間後、地球の表面に露出していた宇宙船基地は一つ残らず破壊されていた。

月面の裏に設けられていた駆逐宇宙艦基地も同様だった。

そして、最後の仕上げは囮として発射された遊星爆弾30数個であった。

この遊星爆弾群は地球の迎撃駆逐宇宙艦隊を誘き出すのが主任務であったが、迎撃されなければ
地球表面地下に設けられた地下ドックの類を爆撃する様、プログラミングされていた、辛うじて残っていた
地下ドックや基地も破壊しつくし、このガミラスの制宙作戦(ファイター・スイープ)はまるで軍事教本に出て来る
課題の様に完璧に行われたのだった。

だが、そんなガミラスも大きな見落としをしていた。

それは月の表側(地球から見て)にあった地下工場施設を見落とし、破壊し損ねた事である。

多分、ガミラスにしてみれば、常に外側を向いている月の裏側(地球から見て)こそ、艦隊基地であり、
地球圏防衛の要だと考えたのだろう、攻撃前の戦略偵察の時、一応、月の表も偵察していたのだが、
艦隊基地がないと解ると、攻撃目標から外してしまったのだ。

また、月の裏側には廃艦駐機場があり、それがいかにも艦隊基地に所属する大駐機場に見えたのかもしれ
ない。

ともあれ、地球は何もかも失うと言う最大の悲劇だけは避ける事が出来たのだった。



                                                     ヤマト発信まで833日
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by YAMATOSS992 | 2012-05-30 21:00 | Comments(0)
今日も冥王星前線基地には強風が吹いていた。

厳重に遮断された居住区の中には風や有毒ガスは流れ込んでこなかったが、吹き荒れる大気の音は居住区の
厚い壁を通して聞こえていた。

<まずい、これはまずいぞ・・・。>シュルツ大佐は木星会戦が終わった後、レッチェンス大将が戦死したので
格上げされて冥王星前線基地の司令官に収まっていた。

彼は戦略方針として地球陣営に対する攻撃を艦隊戦から遊星爆弾による戦略核攻撃に切り替えたが、それが
上手くいっていなかったのだ。

木星会戦直後からここ1ヶ月、ほぼ毎日の様に遊星爆弾を地球に向けて放っていたが、命中コースから外れたもの10個、地球側に迎撃されたもの約20個と、地球に命中した遊星爆弾は皆無だったのである。

本来、木星会戦はガミラスにとっては地球側の喉元を締め上げ、エネルギーや資源を枯渇させて抵抗を封じ、
遊星爆弾による惑星改造をスムーズに進めるための戦いであった。

だからこそ、元々少ない戦力であったが、それを惜しみなく投入し、最終的には最高司令官の戦死という高価な
代償まで支払って手に入れた貴重な勝利であった。

<ずいぶん、あっさりと引き上げたのが気にはなっていたが、次の手を読まれていたとはな・・・。>シュルツは
自分がかつて犯したミスにまだ気が付いていなかった。

シュルツは土星会戦のあと、地球艦隊の戦意に怖気づき、ヨルク技術中佐に圧力をかけて地球に対する
遊星爆弾攻撃の実験をさせていた。

シュルツは単に実験だけに納めるつもりだったが、担当者のヨルクは示威攻撃として遊星爆弾攻撃がガミラスの
仕業だと言う事を明かしてしまった。

地球陣営はこの示威攻撃の後、遊星爆弾攻撃に対する対抗策を幾つかこうじていたのだが、シュルツはそれが
自分が過去に犯した性急な行為の結果だとは気付いていなかった。

<少なくともどの様に迎撃しているのか、掴む必要があるな・・・。>シュルツは高速宙母を使って調査
させる事にした。

木星会戦での情報戦で活躍した高速宙母は更に1隻配備されて小さいながら機動部隊を編成出来る様に
なっていたが、シュルツは古いタイプの軍人であり、大艦巨砲主義だったため、宙母は単独運用、それも
偵察行動が主になっていた。

今回もシュルツの運用方針のとおり、高速宙母が1隻、地球側の迎撃方法を偵察するため、冥王星前線基地を
発進していった。

**********************************************

「早期警戒艦『シドニー』から入電!遊星爆弾6基、地球に向かっています。 ただし、その数はまだ増える
模様!軌道データを送ります。」

「よし、月面上のマス・ドライバーに反物質爆弾を発射させて迎撃しろ!」

地球陣営は木星~土星宙域に早期警戒艦を配備し、遊星爆弾の発射を早期に探知、月面上に3基ある
マス・ドライバーから反物質爆弾を発射、精密誘導によって地球から遥か彼方で爆破処理していた。

地球とガミラスの技術文明の程度はガミラスが勝っていたが、この遠距離探知の技術と宇宙航行体の精密
誘導の分野では地球側が大きく勝っていた。

ガミラスはその知られている歴史で既に他星を侵略していたが、その時から現在に至るまで無人探査機に
よる偵察という概念はなかった。

偵察も攻撃も必ず有人の艦艇で行うのがあたり前だったのだ。

例外は既に発見している目標の監視にカメラを搭載した人工宇宙塵や待ち伏せに使う宇宙要塞くらいだった。

ガミラスは今回の高速宙母による偵察のために10基の遊星爆弾を発射していたが高速宙母の艦長が
驚いた事にその全てが木星軌道に達する前に探知され、撃破、処理されてしまっていた。

地球人はその持てる技術よりも常にその好奇心が勝っており、人間を遠く宇宙空間を旅させる技術がなくても
遠くの星の様子を知りたいという欲求を持っていた。

その結果、地球上にいながら何千、何万光年もはなれた宇宙の様子を知る事が出来る深宇宙探査の技術を
発達させ、21世紀初頭にはすでに無人探査機を使って小惑星帯にある微惑星のサンプルを取って地球に
帰還させる事に成功していた。

ガミラス宙母の艦長はワープで地球軌道内にひっそりと進入すると偵察のために再度、遊星爆弾の発射を
冥王星前線基地に要請した。

再び月面上のマス・ドライバーが反物質爆弾を投射して遊星爆弾を処理した。

しかし、今度はガミラス宙母がその一部始終を観測していた。

そしてマス・ドライバーの設置位置が本拠地近辺であるという油断が地球軍にはあった。

本来、マス・ドライバーはスペース・コロニー建設用の資材を月面からラグランジュ点に向かって
打ち出すための設備で軍用の物ではなかった。

当然、その施設は全くの無防備でガミラスの攻撃を受けたらひとたまりも無い事は明らかだった。

だが、地球陣営はお膝元である月面にガミラスの手が及ぼうとは思っていなかったのだ。

ガミラス宙母は護衛艦も連れず完全に単艦だったが、月面上に3基のマス・ドライバーの存在を感知すると
その艦載機、20機を全力発進させ、その3基を完膚なきまでに破壊しつくした。

地球軍が慌てて迎撃に向かった時にはガミラス宙母はワープして早々に戦場を離れていた。

**********************************************

地球側迎撃施設の破壊成功の報を受けてガミラス前線基地は遊星爆弾による戦略核攻撃を再開したが、
やはり地球側は上手に立ち回り、遊星爆弾を迎撃、地球の損害は皆無であった。

再び高速宙母による戦略偵察が行われたが今回は艦艇からの反物質弾頭ミサイルによる迎撃であり、目標が
マス・ドライバーの時と異なって固定しておらず、その発見は困難を極めた。

遊星爆弾に突撃艦を同行させてミサイルを迎撃する事も考えたが艦艇は先の木星会戦で大幅に損耗しており、
例え、突撃艦と言えども、この任務に耐えるだけの数を揃えるのは容易ではなかった。

<定点観測基地が必要になるな・・・。>シュルツは木星圏に出城を一つ、設けようと考えた。

しかし、幾ら数があるとはいえ、木星の衛星上に観測基地を設けたのでは地球側に発見される恐れが大で
あった。

「司令、それでしたら、前回の会戦時、うってつけの物を発見しました。」ガンツ中佐が進言した。

彼は別動隊として地球プラントに奇襲を掛けた時、有り得ベからざる物を発見していた。

それは木星の大気圏下層部(木星は大気圏と液層圏の区別がほとんど無かったが・・・。)に浮遊して動き回る
大陸だった。

ガンツは作戦中だったので詳しい調査は出来なかったが利用価値ありと判断、位置を知らせるビーコンを
打ち込ませていた。

会戦が終わった後、再度その大陸を訪れ、利用方法を考えるためであった。

「そんな濁った大気の底にある基地では観測など不可能ではないか?」シュルツは率直な疑問をぶつけた。

「確かに、基地から直接の観測は不可能です。  しかし、多分、この大陸は地球側に知られておりません。

ですから、この基地からパトロール艇を運用すればこちらの存在を知らせずに地球側の戦略偵察が
出来ます。」

「突撃艦と違ってワープなど本格的な航宙機関は必要ありませんからこの基地でも製造する事が出来る
レベルの艦艇、いや舟艇クラスの航続距離も短いもので充分です。」

「ふむ、確かに遊星爆弾攻撃の進捗を進める事も重要だが常時、地球側の動きを監視しておく必要もあるしな。

ガンツ中佐、木星の浮遊大陸とやらに観測基地を設ける方向で作業を進めてくれ。」シュルツ大佐は以外と
冷静であった。

<この戦線はゆっくりでも良い、着実に進展を重ねる必要がある・・・。>シュルツは先の会戦でガミラスに
その人あり、と歌われたレッチェンス大将が戦死した事の重みを味わっていた。

その戦死に彼が責任があった訳ではなかったが、ガミラス大本営は敢えて新しい指揮官を任命せず、
シュルツを基地司令に格上げしてその采配ぶりを見ているのは明らかだった。

<絶対に失敗出来ない・・・。>この思いがやがて大きな失策に繋がってゆくのだが、今はその事に彼は
気付いていなかった。

                                                    ヤマト発進まで1426日
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by YAMATOSS992 | 2012-05-22 21:00 | Comments(0)
 小惑星の群れの中に明らかに人工物と思われる数個の陰があった。

後にガミラスと呼ばれる侵略者の先遣隊であった。

太陽系最外周の軌道はかつてあった第10番惑星の残骸がなす小惑星の集団があちこちにあり
絶好の隠れ場所を提供してくれていた。

彼等はガミラス本星の寿命が長くないため、新しい移住先を求め、銀河系にやって来たのだ。

もともとガミラスが存在する大、小マゼラン雲は過去にガミラス殖民政策で移住した殖民星が
独立した勢力があちこちで敵対しており、その同盟軍との争いがもう何百年も続いていた。

このため、ガミラス大本営は移住先の確保のため、大、小マゼラン雲での戦争は継続するが、
新しい可能性としてマゼラン雲の隣りにある巨大星雲である銀河系への移住を考えたのだ。

巨大な星雲である銀河系は仮に知的生命体が存在したとしてもその密度は低く、
特に外縁部は充分冷却された星系が多いのでガミラスが望む岩石型惑星も多い事が期待された。

漆黒の宇宙空間を割って1つの影が小惑星の陰に潜んだ艦隊のそばにやって来た。

後に地球側から高速巡航型クルーザーと呼ばれる重巡だった。

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このタイプはもともと艦隊前衛で偵察に用いるため、探知・探査装備が勝れているのだ。

また、発見された場合、急速離脱するための加速性能にも勝れている。

ワープして脱出すれば速度は関係ない様に思えるが相手の科学力や技術力が判らない場合、やたらと
目前でワープを行って自らの手の内を明かす事は極力控えるのがガミラスの方針だった。

クルーザーは1隻の戦闘艦に横付けすると通路を伸ばし、数名のヒューマノイドが移乗した。

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「それで、その目で見た敵の様子はどうだった? 事実のみを報告せよ。」会議室のテーブル左奥に座った
太陽系派遣軍総司令、レッチェンス提督は会議室に入ってきた2人の部下を鋭い目で見ながら報告を促した。

「ガンツ、提督に詳細にご報告しろ」シュルツ大佐が部下のガンツ少佐に偵察結果の報告を命じた。

ガンツは責任を押し付けられた様な気分でシュルツに非難の目を向けたが、確かに観測員に張り付いて
情報収集をしたのは自分なので姿勢を正すと報告を始めた。

「この太陽系には先遣隊が報告してきた通り、確かに移住可能な岩石惑星が複数存在しております。

もちろん、環境整備は少し必要ですが、大、小マゼラン雲の惑星に移住して戦争状態を継続するよりは
遥かに安全に居住出来ると考えられます。

エネルギー・プラントを設置出来るガス型巨大惑星(木星型惑星)も4つ存在しております。

次にこの星系を偵察した先遣隊が報告してきた原住生命の文明の程度について報告します。

我々が位置するこの太陽系の外縁部には文明の存在を表すものはほとんどありませんでした。 しかし、
第3惑星から第5惑星の間には頻繁な宇宙船による航行が見受けられました。

そして傍受した電波の発信状況からして第3惑星がこの文明の主星だと考えられます。 云々・・・。」

窓のない会議室の船体外側に漂流してきた小ぶりの宇宙塵がぶつかりコトリと音を立てた。

報告を聞き終わったレッチェンスは黙ったままだった。 

会議室に無限とも思われる沈黙が流れた。

「原住生物の文明の程度を知りたいものだな・・・。」レッチェンスは一人言の様に呟いた。

「司令、その事でしたら付け足す報告が御座います。」シュルツが発言を求めた。

眉をしかめつつ、発言を促すレッチェンス提督、ガンツは報告を続けた。

「実は第9番惑星に小規模な前線基地を2つ発見しております。 

ただ、この基地からは大きなエネルギー反応は検出されず、単なる深宇宙観測基地だと判断したので報告が
遅れました。

申し訳有りません。」

「何だと!それでは彼等は恒星間航行能力を持っているかもしれないではないか!」レッチェンスは
2人を怒鳴りつけた。

「ウウム・・・。これはまずいぞ。 全艦隊に無線封鎖と灯火管制を徹底しろ! 

我々の超光速通信を傍受出来るとは思えんが用心に越した事は無い。 それとガンツ!軍事関連の報告は無いか?」

「はあ、今のところ、戦闘艦や戦闘は観測されませんでした。 平和な惑星系・・・という印象を受けました。」

レッチェンスはシュルツとガンツに背を向け、腕組みしながら右手で顎をなで始めた。

これはレッチェンス提督がその頭の中で問題を検討し始めた事を表していた。

こうなると何を言っても聞こえないを知っているシュルツとガンツは無言でガミラス式の敬礼をすると退出して行った。

時は2190年4月10日 地球はまだ異文明の侵略が始まった事に気付いていなかった。

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 ガミラス側指揮官レッチェンス提督(大将)、シュルツ大佐、ガンツ少佐の上官、勇猛果敢にして沈着冷静、
戦略家、戦術家としての名声も高い。

現ガミラス総統、デスラーの教育係だった事もあった位である。

後にヤマトと死闘を演じるドメル将軍も彼の一番優秀な弟子だった。

唯一つ欠点があるとすれば正義感が強く、この太陽系の侵略には反対だった事位であろうか。

太陽系には宇宙浸出を果たしたばかりの原住民が居り、ここは彼らの星系だとデスラーにも進言した。

また、太陽系はサンザー系からあまりにも遠く離れており、補給線が延びきってしまうのも反対の理由だった。

しかし、デスラーもガミラスの星としての寿命が長くないのを知っており、次の移住先を確保するのを急いでいたので聞き入れて貰えなかった。
 
他の戦線、ダイヤ戦線、ルビー戦線、サファイア戦線、オメガ戦線の進捗もはかばかしく無かった。

「ボウも大変だな・・・。」レッチェンスは独り言を言った。

太陽系は14万8千光年の彼方ではあるが2番惑星、3番惑星、4番惑星とちょっと手を加えれば
居住可能な惑星を3つも持っており、エネルギー・プラントが設置可能な木星型惑星も4つあるガミラスに
とってはヨダレが垂れんばかりの好条件を備えた星系だったからである。

中間点のバラン星に一大基地を設けて派遣軍の補給を確実な物にしている事を考えて見てもこの侵略戦争の
重要さが解ろうと言うものだ。

自分が何んと言おうと、「ボウ」はこの作戦を推し進めるだろう。

だったらこの自分が老骨に鞭打ってもこの戦線を引き受けよう。

自分の意志とは反対の行動を取らなければならない悲しみが彼の胸を突き抜けていった。

彼は、冥王星(9番惑星)を偵察させ、小規模ではあるが地球人の基地がある事を確認すると発見されない様、
小ワープをくりかえし、木星型惑星である天王星に水素・メタンの採集プラントを作らせた。

本来、木星(5番惑星)か土星(6番惑星)がエネルギー採取には向いていたが、まず、安全にエネルギー補給を確保する事を優先としたのである。

また、ガミラス軍人が幾ら勇猛でもやはり、腹は減る、食料補給も重要だった。

 こちらはバラン星から定期便で届けられる宇宙食と栄養剤でしのがなければならなかったが、ワープの技術を持つガミラスにとっては解決出来ない問題ではなかった。
 
武器・弾薬もバラン星から届けられた。やはり、最優先事項はエネルギーの確保だった。
 
資源の質は悪かったが天王星(7番惑星)にプラントを設け、とりあえずの態勢が整った所で侵略を開始した。

最前線基地の設置候補として選ばれたのは当然、冥王星(9番惑星)であった。

ここには、米ソがそれぞれ観測基地を持ち、足の長い巡航艦で地球との連絡を行っていた。

軍の指揮下にあるとはいえ、どちらも観測が主目的の平和な基地であり、クリスマス等は合同で行っていた位であった。

ガミラスが襲来して来た時、米国基地はあっと言う間に叩かれ、跡形もなかったが、ソ連基地にはたまたま、
タシュケント級重巡「ゴルバチョフ」が帰還するための発進準備を終えており、すぐさま、謎の敵を迎撃した。

 「ゴルバチョフ」が時間を稼いでくれている間にソ連隊は太陽系以外の星系からの侵略が始まった旨、
地球に警告した。
 
しかし、それが精一杯だった。

ファラガット大尉、率いるガミラス宙兵隊が強襲艦で乗り付け、250名からなる、屈強な宙兵を送り込んできたのである。

 ソ連人の大半は学者や研究者であったのでガミラス宙兵には抵抗出来ず全滅した。

また、大型巡航艦「ゴルバチョフ」も艦首の有人部分を破壊され、宇宙の彼方へ流れていった。

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2190年6月5日、地球ではこの日、侵略者来訪のニュースで大混乱が起こっていた。

大半の国は仮想敵国の仕業だと相手を非難するだけだったが冷戦を続けていたにもかかわらず、米ソは違った見方をしていた。

「仮想敵国の小さな観測基地を潰した所で何の意味がある。
 
これは本当に外部からの侵略の証だと思う。」と。

米ソの代表は紛争当事者であるにも係わらず、相手を非難する事は一切しなかった。

また、この時点ではまだ公表されていなかったが、実は国連の最上部は10年前に他星の文明存在の証拠を入手していたのだ。

これも後に判明した事だが大、小マゼラン雲で行われていた戦闘で損傷したガミラス艦が誤ワープで太陽系
近傍に出現、漂流して来たもので、明らかに発見時点の過去、最近まで作動していた痕跡があった。

そこで国連はファースト・コンタクトが最悪だった場合を想定してのシナリオを用意、米ソ艦隊の合同訓練を行っていたのだ。

また、冥王星に早期警戒用の基地を設けた。

その基地が両方とも叩かれたのだ。

異文明の侵略が始まったのはほぼ確実だった。

 そして、米国のニミッツ提督を主将とし、ソ連のマカロフ提督を副将とする、連合艦隊が土星方面に向けて発進していった。

しかし、この艦隊、表向きの任務は侵略者の撃退だったが本当の目的はありとあらゆる情報を出来るだけたくさん取る事だった。

何も解らないまま全力でぶつかるのは蛮勇でしかない。

 だから、この艦隊は力足らずに全滅するとも出来るだけ長く戦って相手の情報を取ることが使命だった。

そのために、米ソとも宙兵隊を一個中隊づつ、引連れていた。

彼らを土星の衛星上に展開させ、戦闘を第三者の目で観測させるのが目的だった。

 「オレは爬虫類がダメなんだ。」ソ連の宙兵隊長、イワノフ中佐は部に言った。

「大丈夫ですよ中佐、冥王星からの最後の通信では、相手は人型との事。 爬虫類では二足歩行は出来ません。」部下が慰めた。

「そんな事は解ってる!じゃあ地球人は空を飛べるか?」イワノフ中佐は部下に言った。

「それは・・・。」と言って部下は黙ってしまった。

「科学の力は何でも可能にする。自分の目で確かめるまではどんな憶測も禁物だ。」彼は自分に言い聞かせる様に言った。

「だから相手が爬虫類だったらと思うと・・・ああっ嫌だ!」いかにも嫌そうに体の前で腕を交差させて震えてみせた。

副官のミハエル少佐は苦笑した。

戦えば誰よりも強いイワノフだったがやはり、人なのだなと、妙に納得させるものがあった。

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土星遠征艦隊、出発の時、遠征軍を指揮するニミッツ大将、マカロフ中将、マッカーサー少将、アイゼンハワー中佐、イワノフ中佐。

留守を守る 欧州連合のシェーア大将、トロンプ中将、カニンガム少将、ビューティー少将、アジア同盟の藤堂中将、李中将、沖田少将、は一同に会していた。

ニミッツ大将とシェーア大将はお互い何も言わずに固く手を握り合った。

沖田が、そして全員が敬礼した。

言葉は一言も交わされ無かった。

送る方の思い、送られる方の思い、どちらも同じだったからである。

                             時に2191年1月1日、まだヤマトは計画すら存在しなかった。
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by YAMATOSS992 | 2012-03-24 21:00 | Comments(3)