ブログトップ

宇宙戦艦ヤマト前史

yamato2199.exblog.jp

宇宙戦艦ヤマト登場前の地球防衛軍の苦闘を描きます。

<   2013年 09月 ( 16 )   > この月の画像一覧

 「ねえ、メルダ、私達の巡りあいって随分、奇妙なものなものだったわね。」ユリーシャが波動砲をコスモ・
リバース・システムに作りかえる工事を見つめながら言った。
e0266858_1640127.jpg

「と、申しますと?」メルダ・ディッツ少尉はユリーシャの質問の意味を図りかねた。

「私は『岬 百合亜』さんの体を借りて『ヤマト』艦内を巡り歩いた時、この『波動砲』の存在を知り、『地球人』に
”裏切られた”と思ったわ、『コスモ・リバース・システム』も決して渡してはならないと決心したのよ。」
e0266858_16441589.jpg

「どうしてです? 確かに『波動砲』は宇宙を引き裂きかねない『大量破壊兵器』ですが、『コスモ・リバース』は

決して兵器ではありませんよ?」メルダは率直な疑問を口にした。

「私が渡した 『波動エンジン』 の技術も 『星の海を渡る技』 であり、決して兵器などではなかった・・・。」

「でも 『あの男・・・真田』 が兵器に転用してしまった。
e0266858_16461251.jpg

『地球人に渡したらどんな技術だって兵器に応用してしまう・・・。

『コスモ・リバース』だって同じ、『どんな恐ろしい兵器に応用されるか、判ったもんじゃない!』 そう思うと怒りと
恐れで身体の震えが止まらなかったわ。」ユリーシャは悲しげに目を伏せた。

「じゃあ、どうして 『波動砲』 に ”嫌悪”を示し、『コスモ・リバース』 の引渡しを拒んだスターシア様に
”引渡し”の”取成し”をしたんです?」メルダにはユリーシャの考えが全く判らなかった。

「私は 『ヤマト』 が好きよ。 もちろん、この 『死を吐き出す鉄の塊』 なんかじゃぁなく、これに乗り、これを
操ってここまで旅をして来た”乗組員”全員を含めての 『ヤマト』 が好きなのよ。」

ユリーシャは言葉を続けた。
e0266858_16484599.jpg

e0266858_17544361.jpg

「そしてとりわけ、『オキタ』、彼は 私が  『どうして直接、”コスモ・リバース”を持って来なかったのか、

聞かないのか?』 という核心に触れる質問をした時、 ”自分達は試練にあっている・・・。

だったらそれを乗り越えて見せよう・・・。”と言う、強い意志を見せたわ。」
e0266858_1653720.jpg

ユリーシャは普段のオトボケ・ムード満載の顔ではなく、これからガミラスを導く指導者の顔になっていた。

「彼は 『使命』 の 『神託』 を持っている 『漢』 だとその時、『確信』 したの。」
e0266858_16533850.jpg

<『使命の神託』? なんだ、それは、『神託による使命』 ならまだ解るが・・・。>メルダは今後、『ガミラス』が
この”お姫様”に振り回される様な、嫌な予感に頭を振った。

                                        97. 使命の神託ー(16) → この項、続く
[PR]
by YAMATOSS992 | 2013-09-30 21:00 | ヤマト2199 挿話 | Comments(0)
 発射されて ”ゼードラーⅡ” に向かうミサイルの色を見てメルダ・ディッツ少尉は呆れた。
e0266858_1771019.jpg

<おい、おい、 あいつら、ミサイルまで赤く塗ったのか! 恐れいったな。>確かにメルダは自分の機体を
赤く塗ってくれる様に頼んだ・・・パーソナル・カラーだったからだ。

ガミラスの色 ”青” は親衛隊に独占されていたので選びたくても選べなかった、その反動もあって ”囮” の色、
”赤” をメルダはパーソナル・カラー に選んでいた。

<まさか、機関銃弾や機関砲弾まで ”赤く” 塗ってないだろうな・・・。>メルダはちょっぴり不安になった。

<”弾”は精密部品なんだ、塗料なんぞ付いていようものなら、たちまち、筒内爆発を起こしてしまう・・・。> 

だが、放棄されていたゲート衛星にあった中古の機体を完璧に蘇らせたテロン人がそんな当たり前のミスを
犯すはずがないと思い直し、次の目標を追おうとしたその時、古代から通信が入った。

「メルダ! 来てくれたのか!」古代の声は弾んでいた。

「勘違いするな! ユリーシャ様をお守りしただけだ!」メルダは古代の言葉を突っぱねた。
e0266858_1773746.jpg

しかし、次の瞬間、メルダのツヴァルケは ”ゼードラーⅡ” ではない、別の機体に襲われた。

”DMB87 スヌーカ” 大気圏内用、急降下爆撃機だった。

通常なら鈍重な急降下爆撃機など迎撃戦に出て来るはずもなかったが、多分、腕の良いパイロット達が
”祖国の危機” にとりあえず近くにあった機体を持ち出して昇って来たものと思われた。
e0266858_18461061.jpg

固定脚の旧式機である”DMB87 スヌーカ” 大気圏内用、急降下爆撃機は繰り返し急上昇、急降下出来る様、
大出力のエンジンを装備していたので爆装しないで出撃して来た今、 ”ゼードラーⅡ” に勝る運動性を見せた。

しかも、敢えて旧式機でもかまわず出撃してくるだけあって ”スヌーカ” のパイロットの腕は並では無かった。

メルダはパイロット・スーツを着る時、ズボンに足が入らず、耐G装備を外した事を悔やんだ。

今は一応、ズボンの外から外した耐G装備を貼り付けてあったが、それでは本来の機能が充分に発揮されない
のは明らかだった。

急旋回をして+Gが掛ると脳から血液が下がり、意識が遠のく、”ブラック・アウト” と呼ばれる現象である。

<いかん! このままでは喰われる! しかも ”スヌーカ” にだぞ!嫌だ!絶対に嫌だ!>メルダは自分を
叱咤激励した。

しかも、この ”スヌーカ” 隊、ガミラスのパイロットとしては珍しく、編隊戦術の心得がある様だった。

メルダも「ヤマト」での捕虜生活中、ひょんな事から、テロンの航空戦術を学ぶ機会があったので今、後に迫って
いる ”スヌーカ” 隊が ”ロッテ戦法” を使っているのに気が付いた。

二機・編隊の ”リーダー” が攻撃に専念し、”ウイング・マン” がその後と周囲の警戒に専念する。

最も初歩的な編隊戦術だが、それだけに効果的な戦術だった。

<まさか、”サッチ・ウイーブ ” まで習得していないだろうな・・・。>メルダは背中に冷たい物が流れるのを
感じた。 

メルダのツヴァルケを追い込んだ ”スヌーカ”隊、”リーダー” 機 が突然、爆発した。

次に ”ウイング・マン ” も爆発して散った。

コスモ・ゼロ アルファ2 山本機と コスモ・ファルコン隊・隊長、加藤機が側面から 『見越し射撃』 で仕留めた
のだ。
e0266858_1436354.jpg

「山本! 加藤!」メルダは思わず出そうになった、感謝の言葉を呑み込んだ。

「古代とユリーシャ様の乗ったコスモ・ゼロは更に高みを目指す! 敵機はここは私達が食い止める!」
e0266858_14374614.jpg

「飛べよ!ゼロ! もっと高く!」ユリーシャがメルダの声に応えた。
e0266858_1934383.jpg

ユリーシャとメルダの決意は 山本 玲 と 加藤 三郎 にも直ぐに伝わった。

コスモ・ファルコン・加藤、コスモ・ゼロ・アルファ2・山本、ツヴァルケ・メルダの三機は 加藤機 を先頭に編隊を
組み直すと戦場に飛び込んで行った。

                                        96. 使命の神託ー(15) → この項、続く

**********************************************
(用語解説)

筒内爆発・・・銃身内に異物が挟まり、銃弾や砲弾が詰まってしまい、銃身が爆発してしまう現象。
        環境の悪い ”最前線” では度々起こる恐ろしい事故。


耐G装備・・・急旋回や宙返り等で+G がパイロットに掛ると血液が脳から下に下がり ”ブラック・アウト” して
        しまう。  
        それを防ぐため、+G が掛った時、足を締め付けて血液が下半身に集まらない様にする装備。
        通常はパイロット・スーツの内側に作りつけてあり、取り外しは出来ない。 (ハズ?)


サッチ・ウイーブ戦法・・・第二次大戦中、米海軍が編み出した「対”零戦”対策」、撃墜率が70%も上がった。
               詳しくは記事No.46 弧高の「赤騎士」-(5)、No.48 弧高の「赤騎士」-(7)参照。


見越し射撃・・・目の前を横切る敵機の速度と方向を的確に読み、敵機の横から攻撃する方法。

         大抵の日本アニメでは空中戦は後を取り合うものと相場が決まっているが、第二次世界大戦時、
         日本はこの『後を取る格闘戦』に拘り、空戦性能の良い「軽戦」を重視した。

         しかし、欧米では「見越し射撃」こそ、パイロットが習得すべき重要な技術と考えられたので
         空戦性能より、速度性能や防弾技術が優先された。

         しかし、この「見越し射撃」は「勘」の要素が多く、一般のパイロットには中々習得出来なかった。
         とはいえ、戦場では戦えるパイロットを求めており、「見越し射撃」の出来ない者も戦地へ送らざ
         るを得なかった。

         そこで搭場したのが「一撃離脱戦法」である。
         これなら高速で敵機に忍び寄りバッと一撃を加えて戦場を離脱するので未熟なヒヨコでも充分
         戦果を上げられる効率の良い戦い方であった。

         以外と知られていないが、格闘戦重視だった日本でも撃墜王の中には「一撃離脱戦法」をその
         戦術としていた人が何人か居り、戦時中は格闘戦一点張りではなかった様だ。
         そしてその中のある撃墜王はこう言っている。

         「敵機を見つけたら、即座に攻撃に移ってはならない。 まず、敵を良く見る事だ。 敵の数、
         進路、高度、どんな戦術を使っているか、(これは編隊の組み方を言っているらしい?)
         これらを良く見た上でこちらの攻撃方法を決める。

         そして、相手がこちらに気付く前に攻撃し、一撃で大半を墜す、これが空戦の第一義的要件で
         ある。」 と。
[PR]
by YAMATOSS992 | 2013-09-28 21:00 | ヤマト2199 挿話 | Comments(2)
 古代一尉 と ユリーシャ・イスカンダルを乗せた コスモ・ゼロ 「アルファ・1」 は一直線にガミラスの空を駆け
昇って行った。
e0266858_10135590.jpg

しかし、操縦桿を握る古代は ”装備B” での出撃は初めてだったので普段の コスモ・ゼロ とは大きく変わった
操縦感覚に戸惑いを覚えていた。 (地球での ”戦闘” はとても ”搭乗” と呼べるレベルではなかった。)

<クソッ、操縦桿が重い・・・。 このお姫様一体、何キロ、体重があるんだ?>古代は新たに取り付けた予備
座席の重さとユリーシャの体重の合計が取り外した火器管制装置より重いのではないかと疑っていた。
e0266858_14572128.jpg

実際は軽くなった位だったが、戦闘機の様な繊細な機体の場合、軽くなる事で質量中心がズレる事も考慮
しなくてはならない。  (空力中心は変わらない、かえってこれが厄介な問題を生む。)

勿論、コスモ・ゼロ は ”フライ・バイ・ワイヤー” であり、些細な重量変動による質量中心のズレなど機体が
勝手に吸収してしまい、パイロットには大きな変化は感じられないはずだった。

だが、実際は外した電子機器の内に質量補正をするプログラムの入った ”LSI” が入っていたのだ。

これは主に機関砲弾や機関銃弾、ミサイル、といった消耗品の使用に伴って質量補正をするものだったが、
これを外されてしまった為、機載コンピューターはいきなり通常重量が変化したと判断してその変化について
行けなくなり、補正を操縦者にフィード・バックして来たのだ。

<やれやれ、これでは幾ら、”ショット&フォーゲット” の新型ミサイルを積んでくれても、こっちが撃たれたら
避けきれるか、怪しいもんですよ。 榎本さん・・・。>古代は不案を感じつつも、対空監視は怠らなかった。

「後部一時ノ方向カラ敵!機数 6!」 コスモ・ゼロの機載コンピューター ”シド” が全天警報システムの警報を
鳴らした。

<来やがったか!> 、「ユリーシャ!少し揺さぶるぞ! 舌を噛むなよ!」古代は一応、警告した。

「大丈夫!ガンバッテ!」何時もの様に人事の様なのんびりとした返事が返って来た。

古代はコスモ・ゼロを敵機群の方に向けようと、操縦桿を思い切り引いた、天地が視界の中で踊った。

幾ら、 ”ショット&フォーゲットのミサイル” とはいえ、せめて方向だけは決めてやらなければならない・・・。

そうしないとミサイル先端に付いているホーミング用のセンサーが作動しないからだ。
e0266858_11341649.jpg

しかし、”装備B” のコスモ・ゼロは何時もの機敏な操縦性は何処へやら、ノッタリとしか旋回しなかった。

迎撃に上がってきた敵戦闘機は幸いな事に鈍重な迎撃戦闘機 ”DDG110 ゼードラーⅡ” だった。
e0266858_1840194.jpg

この機体は局地防衛用に強武装ではあるが重量も重く、高機動戦には弱かった。

おかげで古代は動きの鈍いコスモ・ゼロの機首を何とか敵編隊に向ける事に成功した。

満を持してミサイルの引き金を引こうとした、その時、一番、接近していた ”ゼードラーⅡ” がいきなり爆発した。
e0266858_11343479.jpg

後から飛んできたミサイルの色が ”赤” かった様に見えた古代は思わず後を振り返った。

そこに居たのは "真紅" に塗られた ”DWG262 ツヴァルケ”、メルダ・ディッツ少尉の愛機だった。

                                        95. 使命の神託ー(14) → この項、続く

**********************************************

(用語解説)

飛行機の質量中心・・・重力のある所では ”重心” だと思えば良い。 但し、無重力の場所でも慣性は働くので
              ”質量” が、無くなる訳ではない。 ”重心” と同じ場所で同じ様に働く。

飛行機の空力中心・・・大気のある所を飛ぶ航空機は ”揚力” を翼や胴体から発生させて機体を中に浮かす、
              この力は大半が主翼によって生み出されるが尾翼や胴体、胴体と翼を繋ぐ ”フィレット”
              からも生じる、その合計がその機体の ”揚力” となる。

              従ってその各部で発生している ”揚力” の合わさる所が ”空力中心” である。

              ”質量中心” と ”空力中心” が大きくズレている機体は大気中では飛べない。

フライ・バイ・ワイヤ・・・飛行機はその発明以来、最近まで人力で操舵されて来た。 

              しかし、1970年代に人は操縦桿を操作するが、そこで電気信号になり、操作量や強さが
              コンピューター処理されて方向舵や昇降舵、エルロンと言った操縦用の舵を動かす技術
              が開発された。

              要するに操縦者は自分の向かいたい方向へ操縦桿を動かすだけで良くなったので
              ある。
    
              これが飛行機の設計に革命を生んだ。

              今まで人力で操縦していた時代は飛行機の安定性と運動性は相反する要素でその
              バランスが設計者の腕の見せ所だった。

              しかし、フライ・バイ・ワイヤの技術を使うとワザと不安定な機体を設計し、通常飛行の
              時はコンピューターが勝手に操舵を微調整してあたかも安定して飛んでいるかの様に
              見えるが、一度、戦闘に入るとその制御を外し、今までの戦闘機では考えられない様な
              高機動を可能にした。

              これは自然界の鳥類に垂直尾翼が無い理由と同じである。

              鳥は飛行中、常に翼や尾羽の角度や羽ばたき加減を調整しているので垂直尾翼など
              必要ないのである。

        
[PR]
by YAMATOSS992 | 2013-09-26 21:00 | ヤマト2199 挿話 | Comments(0)
 「キャプテーン、『ヤマト』をこのまま、見逃していいんですかい?」ゴル・ハイニ副長が 次元潜航艦、
「UX-01」の艦長、フラーケンに言った。
e0266858_8173112.jpg

「そりゃ、シャクの種だった親衛隊を叩く口実が出来たのは嬉しかったですが、俺ら、まかり間違っても総統の
直轄艦ですぜ。」ハイニはいつもの言動からは想像出来ない程、頭が硬かった。

「ハイニ、俺達は『総統』におつかえしている。 そして『総統』とは我等が最も尊敬する『指導者』だ。」
フラーケンはそこで言葉を切った。

「へぇ、 だから、『デスラー総統』の『敵』は俺達の『敵』じゃないんですかい・・・。」ハイニがそこまで言うと
フラーケンはその言葉を遮った。
e0266858_819127.jpg

「『デスラー』はもう我等の『総統』ではない、まして『指導者』などであってたまるものか!」それは激しい怒りの
言葉だった。

フラーケンもヒス副総統と同じ様に、臣民を犠牲にしてまで自分勝手な戦争をする『デスラー』を見限っていた。

「これからどうします。 『海賊』、いや『宙賊』でもやりますかい?」フラーケンが『ヤマト』を援護した本当の
意味を悟ったゴル・ハイニ副長は普段通りの冗談をかました。

「そうさな、 俺達は『猟犬』だ。 『猟』が終ったら、主人の元に帰らなければならないな・・・。」フラーケンは
ディッツの元へはせ参じるつもりの様だった。

しかし、彼の『猟』はまだまだ終りそうもなかった。

**********************************************

 メルダは第三格納庫に向かって急いでいた。

こともあろうに『ユリーシャ』様がテロン人の『ユキ』を助けるため、古代一尉と共に出撃すると言い出したのだ。

<あのお転婆は自分がこうと決めたら梃子でも譲らない・・・、私が護衛を務めなければ!>幸い、テロン人達は
フル装備のDWG262「ツヴァルケ」を鹵獲していた。

メルダはその機を譲って貰う事に成功し、パーソナル・カラーの「赤」に塗替えて貰い、自分の愛機に仕立て
上げていた。
e0266858_11503163.jpg

メルダの行く手に数人の男が飛び出して通路を塞いだ。

「邪魔をするな! 私には『ユリーシャ』様を御護りする義務がある!」

「かといって、戦闘機で飛び出された日には『ヤマト』が攻撃される! 行かせる訳にはいかないな!」
その「船務科」の制服を着た男はメルダにスパナで殴りかかって来た。

「何を馬鹿な! そんな事する訳ないだろう!」メルダはスーツから外して持っていた耐G装備でそのスパナを
受けた。

しかし、別の男(航海科)がモップの柄で動きの取れなくなった、メルダの腹を突いた。

咄嗟に身体を捻って突きの力を逃したものの、脇腹にモップの柄による打撃を受け、メッルダ顔をしかめた。

「お前達は・・・、」とメルダが言いかけた時、残りの全員がなにかしかの得物を持ってメルダに襲い掛かって
きた。

「待ちな!」凛とした声が当たりに響いた。

やって来たのは保安部の三人娘、天海聖子一等宙曹、工藤明菜二等宙曹、剛力彩三等宙曹だった。
e0266858_15431766.jpg

「邪魔をする気か! こいつは 『宇宙人』、しかも 『ガミラス』 人だぞ!生かしておけるか!」最初にメルダに殴り
掛って来た男が吼えた。

「あらぁ、『地球』も宇宙に浮かんでいるわ・・・。それじゃぁ、やっぱり、私もあなたもりっぱな『宇宙人』よね?」
天海一曹は右手を前に振った。

工藤二曹と剛力三曹が黙って前に出てメルダと暴漢達の間に割って入った。

「早く行って、今は誰もが自分の出来る事、最善を尽くす時!」天海一曹はメルダを急かした。

「感謝する! それではお互い最善を!」メルダは天海達に礼を言うと第三格納庫の方に消えた。

メルダが通路の奥に消えたのを確認すると天海一曹はゆっくりと暴漢達の方に向き直った。

「さぁて、私達も 『自分の出来る、最善を尽くす事』にするわ。」と意味ありげに言った。

「でもーっ、私達、”能なし” だから、”殺し” しか、出来ないの、それでも来る?」 山刀の様な大振りの
コンバット・ナイフを翳しながら、天海一曹は言った。 

工藤二曹は腰に下げたコスモ・ガンのホルスターのフラップを上げていた、

剛力三曹は空手正拳突きの構えをしてその場でステップを刻んでいた。

そのあからさまな挑発に暴漢達も引くに引けなくなっていた。

「保安部といえどもたかが女だ、騙されるな!」暴漢のリーダー格の男が仲間を励ました。

「いいのォ、本当にやる気?」天海一曹は更に挑発した。

「やめなさい!」大音声が辺りに響いた。

星名保安部長代理がまた傷を押して出てきたのだ。

「保安部長!また、こんな所まで出てきて、傷が悪化しますよ! 早くベッドへ戻って下さい!」天海一曹は
慌ててナイフを仕舞った。

「君達が馬鹿な事をするから僕はオチオチ寝てられないんです。 さっさと帰って謹慎してて下さい。

それと僕は『保安部長・代理』です。 お間違えの無い様に。」

三人が去ると星名保安部長代理は暴漢達に頭を下げた。

「至らない部下を持つと苦労します。 皆さんには肝を冷やされた事でしょう。 お詫びします。」

しかし、暴漢達には星名保安部・准宙尉が本気で謝る気などさらさら無いのは直ぐに判った。

それは前保安部長、『伊東』二等宙尉 譲りの”あいさつ”だった。

それが気に喰わなかったのか、暴漢の一人が飛び出しそうになってリーダーに止められた。

星名は車椅子に座っていたがその車椅子は車輪でなく、歩行型の移動装置を持っていたからだ。

つまり、彼はパワード・スーツの下半身だけを纏った状態で出てきたのである。

今は下半身だけなのでさほどの戦闘力は無かったが、それでも素手で立ち向かえる相手では無かった。

「クソッ、覚えてろ!」お馴染みの捨てゼリフを残すと暴漢達は去って行こうとした。

「ええ、覚えてますとも、船務科の高橋三尉・・・。」星名は唐突にリーダーの名前を呼んだ。

「何故、俺の名前を知っている・・・。」高橋と呼ばれた男は唖然として振り返った。

「後は主計科の山田三曹、航海科の梅田二曹、甲板員の平山さん 皆さんの卑怯な所業は忘れませんとも。」

星名は相変わらずにこやかに言葉を続けた。

「どうして名前が判るのかって? 僕は『イズモ』派の内偵を推めていたんですよ。

全ての乗組員の顔と名前は一致しています。」 暴漢のリーダー、高橋三尉は本当に恐ろしいのはあの三人娘ではなく、今、目の前で歩行型車椅子に乗っている小柄な青年である事に気が付き、震え上がった。

パワード・スーツの用意なんて簡単に出来る訳がない、たぶん、あの三人娘の挑発もこの男の差し金に
違いない。

<クソッ、悪い男に目を付けられてしまった・・・。>、高橋三尉は自分達の行動を後悔したがもう遅かった。


                                        94. 使命の神託ー(13) → この項、続く
[PR]
by YAMATOSS992 | 2013-09-24 21:00 | ヤマト2199 挿話 | Comments(0)
拙稿 『72, 「宇宙戦艦ヤマト2199」 世界における航空宇宙兵力の位置付けと意味(15)』に対し、

「大ガミラスの栄光」さんからコメントを頂きました。

それは私が金剛型戦艦は四隻あったが、二隻は対ガミラス戦で喪失した事が予想出来、1隻、「キリシマ」残存
しているのがはっきりしている。

しかし、もう一隻、「ヒエイ」の行方はどうなったのか判らない。

私はこの「ヒエイ」の存在が”第二次内惑星戦争”の引き金を引いたのでは・・・と妄想を逞しくいていましたが、

その間に宇宙戦艦ヤマト2199公式設定資料集[EARTH]が発売になり、それに基づいた御指摘を受けました。

それによると地球の日本艦隊の戦艦「金剛」型は

金剛型は計8隻が建造されたが、対ガミラス戦役の中、5隻が外惑星防衛戦、2隻がカ2号作戦で失われ、物語開始時点で残存しているのはキリシマのみとなっている[13]。
コンゴウ(BBS-551)
ハルナ(BBS-552)
ヨシノ(BBS-553)
ミョウコウ(BBS-554)
キリシマ(BBS-555)
ヒエイ(BBS-556)
チョウカイ(BBS-557)
フソウ(BBS-558)

[13]公式設定資料集P152、153

と言う御指摘でした。


それに対する私の回答・考察は以下の如くでした。

この記事を書いた時点では私もまだ公式設定資料集[EARTH]を入手しておらず、勝手な妄想を膨らませて
しまいました。

ただ、この設定には少し不満もあります。

軍事大国ではあるまいし、日本が何で平和時に八隻も有力な戦艦(地球的に見て)を保有していたので
しょうか?

しかも艦番号的に若い艦が比較的遅い時期まで生残り、艦番号が下った艦が外惑星防衛線
(当然、緒戦です。)で失われている・・・。

おかしいでしょう。

日本の宇宙戦艦造船速度はガミラスとの接触直後から外惑星防衛戦までの短期間に4~8隻も戦艦を
作れる程、早かったのでしょうか?

この様に公式設定と言えども突っ込みどころは満載です。

とレスしました。

それに対し「大ガミラスの栄光」さんは更に考察を加えられました。

八隻もあるのはやはり第二次内惑星戦争時の火星戦力が予想以上に強大だったり
(火星駐留艦隊を乗っ取ったとか)、紛争以後の反乱、テロリスト、海賊を警戒したりするためのもだったり…

総力戦争の場合、艦は若老の区別なくさっさと沈んでいきそうですけどねえ

それに地球側の先制攻撃の際にガ軍艦艇の強力さは地球のそれを大幅どころではないほど強力である事を
思い知ったので、先手必勝とばかりに(それとも焦りか、)比較的練度の高い艦隊を送ったのではないでしょうか

**********************************************

これ以降は「大ガミラスの栄光」さんの最期のコメントに対するレスになります。


 さて、まず平時なのにも係わらず、「金剛」型戦艦の多すぎる隻数の問題について考察してみましょう。

何故、私が『八隻は多すぎる!』と、この隻数に拘ったか、そこから話さなくてはなりません。

その前にこの記事を纏める為にNet上を彷徨っている時に、海上自衛隊のイージス艦の隻数が八隻なのに
気が付きました。(ちなみにこちらも「こんごう」型です。)

多分、この「金剛」型戦艦の設定を行った人はこのイージス艦の隻数を適用したものと思われます。

確かに、イージス艦は現海上自衛隊の艦艇で主力・・・と言って良い位置にあります。

しかし、過去にあった「金剛」型「巡洋戦艦」四隻の意味とイージス艦八隻の意味は全く違います。

「金剛」型巡洋戦艦は米海軍に対する抑止力として長年寄与して来ました。

対するにイージス艦はイージス・システムの一環として働く事を想定して建造されています。

勿論、個艦でも充分な対空能力を発揮できますが、多数の同型艦と連携する事により”神の楯(イージス)”と
して絶大な力を発揮しますが、抑止力としては見た目が所詮、「軽巡」か「駆逐艦」なので数を揃える事で
その「抑止力としての機能を補おう」としているのです。

しかし、2199の「金剛」型は見た目も立派な戦艦です。

周辺諸国に対する”抑止力”として建造するなら四隻位が妥当な量です。

もし、八隻も建造したら日本が「軍事大国」化して周辺諸国に害をなそうと画策していると取られてもしかたあり
ません。

また、経済的な面でも多数の戦艦を建造しすぎるのは問題です。

「金剛」型戦艦と「コスモ・ファルコン」、どちらが高価か、考えなくても判りますよね。

現在の航空自衛隊の主力戦闘機F-15イーグルの価格は約100億円、「コスモ・ファルコン」が同額で作れたと
して、「金剛」型戦艦がその十倍、約1000億円で作れるでしょうか?
(ちなみに「軽巡」か「駆逐艦」にしか見えない、イージス艦「こんごう」でも、その価格は約1200億円です。)

巡洋戦艦「金剛」は英・ビッカース社で建造されましたが、当事の価格で約2300万ポンドもする大きな買い物でした。

これをライセンス生産で国内で後、三隻造ったのですから、当事の日本は相当な無理をしていたのが判ります。


「金剛」型宇宙戦艦をガミラス戦が始まった後に残り二~四隻を建造したのなら話はまだ話は判ります。
(「懐の心配」より「命の心配」が重要なのは当然です。)

しかし、平時に、こんな戦争にしか、役に立たない高価な船を八隻も揃えることなど正気の沙汰とは思え
ません。

また、もし、残りの二~四隻を追加建造する場合、十年も前の古い設計で新造戦艦を作るでしょうか?

”「改・金剛」型”とも言うべき、全く別の船になったはずです?

『八隻もあるのはやはり第二次内惑星戦争時の火星戦力が予想以上に強大だったり
(火星駐留艦隊を乗っ取ったとか)、紛争以後の反乱、テロリスト、海賊を警戒したりするためのもの
だったり…』

と言う考察についても意見を言わせて頂きます。

『第二次内惑星戦争時の火星戦力が予想以上に強大だった。』については現在でも普通に行われている
情報戦について考えれば火星側が金剛型に匹敵する戦力、(質・量の面を合わせて)を持っているか、あるいは
持とうとしているのか、この程度の情報は簡単に掴めます。

『予想以上に強力だった』などと言う事が起これば情報担当責任者は完全に責任を問われるでしょう。

『火星駐留艦隊を乗っ取ったとか・・・』 一隻の船なら乗っ取る事も不可能ではありません。

しかし、まだ”国家未満の反乱分子”が艦隊を丸々一つ乗っ取る事など不可能です。

また、「駐留艦隊」と言うと「戦艦」を旗艦とし、「巡洋艦」、「駆逐艦」で構成された「艦隊」を想像しがちですが、

第二次内惑星戦争時、火星政府はまだ樹立されておらず、火星表面の大部分は地球の各国に制圧されて
いたと考えられます。

こうした”制圧戦”に必要なのは「艦隊」ではなく、”陸軍”や”海(宙)兵隊”です。

そしてそれらの地上兵力を運搬するのは「揚陸艦」です。

だから、火星独立強行派が奪取出来るのは余程特殊な理由が無い限り、「揚陸艦」が精々です。

ただ、これ等の「揚陸艦」であっても”対艦ミサイル”は多数積めるので全く軍艦として戦力外になるかと言うと
そうでもありません。

しかし、こうした”仮装巡洋艦”の相手は正規巡洋艦の役目であり、”戦艦”の出る幕ではありません。

現に「村雨」型はそうした理由?で量産されていました。

『紛争以後の反乱やテロリスト』に対し「戦艦」を差し向けるのは「”蚊柱”に対し”砲弾”を打ち込む」様な
無意味な行為です。

莫大な費用を掛けつつ、戦果は少しも上げられない「ヘタな作戦」の典型です。

「金剛型」戦艦八隻を保有する理由には成り得ないと私は考えます。

**********************************************

次に『海(宙)賊』について考えてみましょう。

今まで多数のアニメで「宇宙海賊」が活躍する場面が幾つもありましたが、少しでも『海(宙)賊』の存在意義に
ついて掘り下げのあったのは私の知る限り、「モーレツ・宇宙海賊」だけです。

その他の作品の「宇宙海賊」達は宇宙に出没する「窃盗団」に過ぎませんでした。

現に”マラッカ海峡”にはそうした「窃盗団」である「海賊」が出没しているようですが、その鎮圧に空母や
護衛艦が出動したという話は聞いた事がありません。

この様な「窃盗団」に対しては巡視艇で充分なのです。

とても「戦艦」の出る幕はありません。 「コスト・パフォーマンス」を考えれば当然の事です。

また、『宇宙」という「特別な環境」を考えれば「海(宙)賊」が簡単に活動出来る環境でない事は直ぐに判り
ます。

呼吸する「空気」すら持って歩かねばならない環境なのですから・・・。 

そこで行われる「海(宙)賊」行為とは敵対勢力の輸送物資を輸送船毎、破壊して敵の手に渡らない様に
する事、「通商破壊戦」に他なりません。

ここまで来れば大規模な戦闘が予想されますので「戦艦」の出番もあるのですが、まぁ、大概の
「通商破壊戦」は軽巡洋艦の役目です。

自分より強い艦にであったら、優速を生かして退避し、じぶんより弱い艦や輸送船などはその餌食とする、
これが本来の海軍艦艇の戦い方です。

**********************************************

『総力戦争の場合、艦は若老の区別なくさっさと沈んでいきそうですけどねえ

それに地球側の先制攻撃の際にガ軍艦艇の強力さは地球のそれを大幅どころではないほど強力である事を
思い知ったので、先手必勝とばかりに(それとも焦りか、)比較的練度の高い艦隊を送ったのではないでしょうか』

ヨシノ(BBS-553)      (「コンゴウ」型    外惑星防衛戦で喪失)
ミョウコウ(BBS-554)    (「コンゴウ」型    外惑星防衛戦で喪失)
ヒエイ(BBS-556)      (「改・コンゴウ」型 外惑星防衛戦で喪失)
チョウカイ(BBS-557)    (「改・コンゴウ」型 外惑星防衛戦で喪失)
フソウ(BBS-558)      (「改・コンゴウ」型 外惑星防衛戦で喪失)

コンゴウ(BBS-551)     (「コンゴウ」型 カ号作戦戦で喪失)
ハルナ(BBS-552)      (「コンゴウ」型 カ号作戦戦で喪失)

キリシマ(BBS-555)     (「改・コンゴウ」型 メ号作戦でも残存)

[13]公式設定資料集P152、153から類推

と言う戦歴があるようですが「外惑星防衛戦にキリシマはドック入りでもしていて参加しなかったのでしょうか?
ないしは八隻全部が作戦に参加、コンゴウ、ハルナ、キリシマだけが帰還出来たのでしょうか?

戦力の逐次投入は一番やってはいけない戦術です。 

当然、全力出撃が基本だったと思われます。

外惑星防衛戦で多数の艦を失ったとしてもそれは逐次投入という愚かな戦術ではなく、乾坤一滴の作戦だったはずです。

ガミラス戦開戦時には「金剛」型戦艦は四隻程度の保有量だったが、米・ソ、欧州、の艦隊が数度に渡り、
ガミラスと接触、防衛戦闘を行いながら情報を取る、その情報は次々と次に戦う艦隊にフィード・バックされて
「改・金剛」型四隻が建造された。(艦番555~558)

そしてその集大成として「金剛」型戦艦四隻と「改・金剛」型戦艦四隻による最期の「外惑星防衛戦」が行われた
が、残念ながら、ガミラスに対して決定的な打撃は与える事は出来ず、参加した八隻の内、帰還出来たのは
「金剛」型二隻「コンゴウ」「ハルナ」、「改・金剛型」一隻「キリシマ」だけだった。  

そして更に改装を重ねた「金剛」型と「改・金剛」型が投入された最期の艦隊戦?が「カ号作戦での辛勝」であった。

この後、ガミラスは攻撃を遊星爆弾攻撃に絞り、無駄な艦隊戦は仕掛けてこなかった。・・・と言われるが

地球人が「遊星爆弾」攻撃を黙って受けていたとはとても考えられず、少なくとも「遊星爆弾」攻撃の初期には
ガミラスも「遊星爆弾」を地球近傍まで護衛していたと思われ、地球の迎撃部隊とガミラスの護衛部隊の間の
小規模な戦闘は果てしなく繰り返されていたのではないかと思っています。
(地球人は攻撃目標を見つけたら無駄と判っていても攻撃せざるを得ない「好戦的」な生物です。)

また艦の乗組員の連度に触れられていましたが、これは一階には言えませんが、基本的には”古い艦”の
方が”新しい艦”の乗組員よりも錬度は高いはずです。(経験が長いのですから。)


私も重宝している「公式設定資料集[EARTH]ですがやはり完全な軍事専門家が書いているわけではないので
シロウトの私が見ても「おかしい!」と感じる所は多々あります。

決して”聖典”ではありませんからおかしいと思ったらその理由を考えて下さい。

そして、もし、作品を何か作っているのならそこに生かしてください。

宜しくお願い申し上げます。
[PR]
by YAMATOSS992 | 2013-09-22 22:00 | 考察 | Comments(29)
「この場から退避する! 『アンカー』収納、島、後進微速! あの「物体」が来た方向に向かう!」普段の艦長に
戻った沖田はどこまでもデスラーを追うつもりの様だった。

「ヤマト」が自由の身になると「バレラス」の危機が去った事を知った親衛隊の艦艇が再び「ヤマト」を襲ってきた。
(彼等はデスラーがガミラス帝星毎、「ヤマト」を葬ろうとデスラー砲で狙っているとは露ほども知らなかった。)

「腰抜けどもめ・・・。 『ヤマト』が『総統府』に突き刺さったままなら簡単に撃破出来たろうに、上空から迫る
危険が怖くて『バレラス』上空に侵入出来なかったんだな。 北野、第三主砲と第二副砲で執り合えず迎撃
しろ!」
南部が砲雷長席に座った北野一曹に命令を下した。

「敵艦の数が増えました。 戦艦クラス4、巡洋艦クラス6!」岬 探知観測主任が告げた。
e0266858_6382399.jpg

「ヤマト」大スクリーンにもその大艦隊の威容が映し出された。

しかし、かつて、「ヤマト」はカレル163空域で「ドメル」将軍の率いる大艦隊1千隻と戦った事があった。
e0266858_8594612.jpg

e0266858_63909.jpg

また、バラン宙域では2万隻の大艦隊を突破した事もあった。
e0266858_6394387.jpg

e0266858_8491944.jpg

それに比べればたかが、10隻の艦隊など恐るるに足らない規模に思える。

しかし、艦隊戦を幾度と無く経験して来た沖田にはこの「十隻」という数が大きな脅威だった。
e0266858_6411472.jpg

「艦隊戦」において一度に完璧に指揮出来る艦の数は「最大十隻」という事が証明されていたからである。
e0266858_8494370.jpg

もちろん、「十隻」の艦隊を一隻の艦に見立てれば、百隻、一万隻の艦隊を指揮出来る勘定になるが、実際には
訓練を積み、実戦経験も豊富な乗組員を持ってしても艦隊司令がキチンと把握出来る数は「十隻」だった。

そして、この親衛隊の「十隻」は錬度も高く、「十隻」が「一隻」の様に自在に運動して「ヤマト」に迫って来た。

その陣形は梯陣、その姿は雁が斜め一列になって飛ぶ様を想像すれば良い。

前方にも側方にも火力を集中出来る態勢だった、また、状況によって何時でも一番、指揮のし易い単縦陣に
移行出来るのも強みだった。

<出来る・・・!>沖田には敵の司令官は只者ではない事が陣形を見ても判った。

まだ、距離があるため、北野砲雷長の腕では右に左に「ヤマト」のショック・カノンをかわす敵艦隊に命中弾を
与えられなかった。

南部はじっと耐えていた、<今、自分が北野に代われば、命中弾を与えられるかもしれない。

でも今は回頭中だ、第一、第二主砲塔、第一副砲塔が使えるまで待とう!>彼は北野の成長も気に掛けて
いた。

「回頭終了! 全砲門が使えるぞ!」島が南部に微笑んだ。

しかし、南部が砲門を開こうとした時、信じられない事が起こった。

敵艦隊の一番艦、つまり、旗艦の砲塔付近が爆発して戦列を離れ、地上スレスレで態勢を立て直して後退して
行った。

「雷数4、魚雷です。」岬が警報を発した。

しかし、次の瞬間、訝しげな言葉で報告した。

「魚雷の雷跡は敵艦隊に向かっています。」

その報告が終わるか終らない内に今度は敵二番艦が雷撃を受けて戦闘不能になり後退していった。

さすがに精鋭を集めた親衛隊・艦隊もこの正体不明の攻撃に恐怖を覚えたのだろう、回頭して撤退していった。

「次元潜航艦・・・。」真田副長が計器に映った微小な次元振を見て呟いた。

「艦長! 『UX-01』から通信です。 『 カリ ハ カエシタ ゾ 』・・・です。」相原通信士が報告した。
e0266858_857516.jpg

大気圏内で次元潜航しただけでなく、戦闘までこなした「UX-01」、しかも本土に損傷を与えない様、敵艦が
戦闘不能になる程度の損害に留めた、「UX-01」、その艦長の腕に沖田は唸った。

「しかし、大気圏内で通常空間観測用のプローブを出したら、一気に大気が次元断層内に流れ込んで大変な
事になる・・・。どうやって索敵と魚雷の照準をしたのでしょう? 通信もどうやったら・・・。」副長が疑問を述べた。

「次元アクティヴ・ソナーだ。 奴、いや、『UX-01』はソナーだけで索敵・照準を行ったのだ。

通信は亜空間魚雷に発信機を仕込んだのだろう、それなら一方的な通信は出来る。
e0266858_8335834.jpg

しかし、凄い腕前の艦長とクルーだ、前の対戦時には良く『休戦』に持ちこめたものだ。」沖田は自分の手術中に
行われた” 対次元潜航艦戦” について報告は受けていた。

しかし、実際に見た彼等の戦闘ぶりは想像を上回っていた。

沖田艦長はもう、二度と敵に回したくない相手だと思い、汗を拭った。

沖田は今は敵影の無くなったバレラス上空から大気圏外のラグランジェ・ポイントにあると思われる敵の
本拠地に向かって、「ヤマト」を向かわせた。


                                        93. 使命の神託ー(12) → この項、続く
[PR]
by YAMATOSS992 | 2013-09-22 21:00 | ヤマト2199 挿話 | Comments(0)
 「くっ、駄目だ! 波動砲・照準機に『標的』が映りません!」南部が悲鳴を挙げた。
e0266858_4292328.jpg

「故障・・・か?」島が艦橋前面大スクリーンに映っている”第633工区”の姿と南部の波動砲・照準器を見比
べた。

「大スクリーンの映像はここまで『ヤマト』が低空侵攻するのに使った無人ドローン(偵察機)からの映像です。

波動砲の照準器は『ヤマト』本体に付いているので『総統府』の壁が邪魔をして照準出来ません。」太田が
絶望的な事を言った。

「むう・・・」一瞬、黙り込んだ沖田だったが、次の瞬間、若い力に賭けてみようと思った。

この迎撃は命中させれば良いと言うものではない。

確実な命中を狙って思い切り「標的」を引き寄せれば、波動砲のビームは単に「標的」を貫いて穴を空けるだけ
である。

穴があいたまま、六千万トンの質量がここに落ちてくる。

かといって「標的」が遠方にいる状態で波動砲を撃てば命中しない恐れがあるばかりか、命中しても波動砲の
エネルギーを持ってしても「標的」を破壊し切れず、大ブリの隕石が大量にバレラスへ降り注ぐ結果になり
かねない。

しかし、波動砲での迎撃は射撃・距離さえ的確なら、「標的」全てを原子の雲に変え、地表には何の被害も
もたらさない、完全な迎撃が出来るのだ。

「南部!何が幹要なのか、判っているな! 古代の脇で波動砲の発射を何度と無く見てきたお前だ。 

お前なら出来る!」

「はい!」南部は沖田の言葉にある事を思いついた。

「太田、無人ドローン(偵察機)は何機飛ばしている?」今の状況とは何も関係ない様に思える質問だった。

「はあ、二機でありますが、それがどうかしましたか?」太田は南部の質問の意味が判らなかった。

「しめた!これで波動砲が撃てるぞ! 太田、無人ドローンのホバリング位置を『ヤマト』の艦橋位置で固定!

但し、固定位置は艦橋を挟んで左右に別けてな!

”デスラーの落し物”を視界中央に捕えられる様、総統府の壁からは充分に離してくれ!

岬君、送られてくる映像を大スクリーンを二分割して両方同時に見れる様にしてくれ!倍率は今のままで
固定!」確信に満ちた南部の指示に太田も岬も迷う事なく従った。

沖田は南部のその姿に彼が今まで見えない所でいかに努力していたかを悟った。

南部は本来の波動砲照準器が使えない今、無人ドローンを使って目標の「映像」を得、それを頼りに自分が
「人間・測距儀・照準器」と化して波動砲を撃とうとしているのだ。

今や「ヤマト」第一艦橋の大スクリーンは巨大な照準器と化していた。

その左右の画像が上に偏り、左にも偏っていた。

「大きな修正が必要です。 航海長、一度、躁艦をそちらに戻します。」南部が島に要請した。
e0266858_431933.jpg

「了解!艦尾下4、右2」 島が微調整するとスクリーン内の目標は上下・左右ともほぼ中央に合わさった。

そうすると二面に分かれていたスクリーンが一つになり、画像も一つになった。

しかし、その画像はまだ周囲がボケていてピントが合っていないカメラのファインダーを覗いている様だった。

だが、南部は本来の波動砲照準器は見ないまま、更に顔を上げて大スクリーンを見上げつつ、最後の微調整を行った。

波動砲・発射棹の左右に付いている微調整ダイヤルを指の腹で転がして「ヤマト」艦首を上下左右に微動させた
のだ。

落下して来る「633工区」の映像がクッキリとピントが合った様に浮かび上がった。

「修正角、上下角1度、右角2度、 波動砲発射態勢、整いました!」南部は艦長に報告した。

「艦を固定!アンカーを撃て!」すかさず司令を飛ばす沖田。
e0266858_4321917.jpg

『総統府』に突き刺さった「ヤマト」の艦首・左右にあるロケット・アンカーが固定物を求めて飛翔、新たな壁を
突き破って「ヤマト」を固定した。
e0266858_4315980.jpg

「固定は完了したな! どうだ、南部、照準は狂っていないか?」沖田は慎重だった。
e0266858_4364876.jpg

「照準再修正、 上下角0.05度、左右角0.00度、 ほとんど動いていません! 行けます!」南部が勇んで報告した。

「よし、波動砲発射態勢に入れ!全員対ショック、対閃光防御! 秒読み開始!」お馴染みの号令が飛ぶ、
しかしそこには照準器の状態を確認する「電影クロス・ゲージ、明度20」の報告は無かった。

「・・・5,4,3,2,1、」 何時ものカウント・ダウンを南部に代わり、砲雷長席に座った、北野一曹が行う。

「0!」 北野のカウント・ダウンがその時を告げた。

「撃て!」沖田が獅子の様に吼えた。
e0266858_432492.jpg

南部の指が何の躊躇いも無く星一つを消し去る引き金を引いた。
e0266858_435539.jpg

発射された波動砲の光条は『総統府』を完全に貫通し、空の高みを目指して何処までも昇って行った。
e0266858_4481265.jpg

そして、落下してくる大質量、”第633工区”に命中、原子の雲に変えた。
e0266858_632287.jpg

その壮絶な光景を見たバレラスの人々は敵であるはずの「ヤマト」が自分達のためにその最大の武器を使って
くれたのがなかなか信じられない様だった。
e0266858_5405983.jpg

「ふう・・・。」危機を脱した第一艦橋には和やかな空気が流れた。

「南部、この危機の中、本当に良くやった。 ありがとう。」沖田は南部をねぎらうと共に褒めるのも忘れなかった。

「しかし、波動砲を照準器を使わないで射撃するなんて、あなたは本当に『大砲屋』なんですね。」太田が
ちゃかした。

「僕は知っていますよ。 南部先輩が暇さえ、あれば波動砲を撃つ『イメ・トレ』を欠かさなかった事を・・・。

自分が波動砲を任されていなくても何時か任される時が来ると信じてあらゆるシュチエーションを考え、努力して
いたのですね。」北野一曹が真実を告げた。

「そうだ、南部の努力が『ヤマト』と『バレラス』の臣民を救ったのだ。 改めて言う・・・。『南部戦術長、ありがとう』
沖田は立ち上がっって艦長帽を取り、頭を下げた。

「そんな大げさな、艦長、頭を上げてください。 北野!余計な事を!」南部は艦長に頭を下げられて恥かし
がった。

<俺は古代に負けたくなかっただけなんだ 。 「砲術」も、「恋」も・・・。> 南部は今は何もなくなったガミラスの
空を見上げた。

                                      92. 使命の神託ー(11) → この項、続く
[PR]
by YAMATOSS992 | 2013-09-20 21:00 | ヤマト2199 挿話 | Comments(0)
 「古代、私を連れていかなくて良いの?」ユリーシャがまた訳の判らないダダを捏ねた。

「ユリーシャ、遊びに行くわけじゃないんだから、ここで待っていてくれ。」古代は優しく諭した。

しかしユリーシャはしたたかだった。

「フーン、君には『ユキ』が何処にいるか、判るんだ、フーン。」
e0266858_21425338.jpg

「ユリーシャ様にはお判りになるのですか?」収容所惑星レプタポーダでの一件を知らないメルダがたずねた。

「判るわ、もちろん!」ユリーシャは自信たっぷりにメルダへ応えた。

困惑した古代は沖田の方を見やった。

「古代、『森』船務長の”探知者”は必要だな。  『森船務長、救出』 任務に 『同行者』一名を認める。」沖田が
微笑した。
e0266858_17343297.jpg

「ありがとう、『オキタ』、今は皆が自分に出来る事を精一杯やる時!さあ、私にも翼を!」ユリーシャが手を
広げて艦橋内を駆け廻った。

その時、探査係の岬 百合亜が叫んだ。
e0266858_21441867.jpg

「ガミラスとイスカンダルのラグランジェ・ポイントから大質量の物体が落下して来ます。

推定質量六千万トン、落下予想地点はバレラス! ここです!」

「デスラーめ、第二バレラスの一部を切り離したな・・・。」メルダが唇を噛んだ。
e0266858_539379.jpg

第二バレラスの名の通り、この軌道都市(要塞)が新しき都となるのは一般市民でも知っており、秘密でも何
でも無かった。

しかし、それを都市の一部とはいえ自らの臣民の頭上に見舞うとは <指導者のするべき事では無い!>

<六千万トンもの質量がここに落ちれば「ヤマト」は破壊出来るかもしれないがバレラス、いや、ガミラスその物も
唯では済まない!>とメルダは思った。

「狂っている・・・。」メルダは腹の底から込み上げて来る『怒り』に拳を振るわせた。

「南部!波動砲、発射用意だ。」沖田は迷わず迎撃の司令を発した。

「波動砲でありますか?」南部は信じられないと言った顔をした。

「あの巨大・質量を迎撃出来るのは波動砲だけだ。

あれが落ちれば我々だけではない、無辜の民が沢山死ぬ。

そんな事は『ヤマト』が許さない! 『命を求める旅をして来たヤマト』が許さない!

南部!躊躇うな! 波動砲発射用意だ!」沖田は再度、波動砲発射態勢に入る命令を発した。

古代は慌てて自席に戻ろうとした。

「今は、俺が戦術長だ!」南部は席を空けようとはしなかった。
e0266858_7194511.jpg

しかし南部は独り言の様に古代に告げた。

「彼女を頼む・・・。」

「今は皆が自分の出来る事を全力でやる時! あなたは『ユキ』のところへ行くのよ!」ユリーシャが珍しく
威厳のある言葉を発した。
e0266858_7291235.jpg

**********************************************

「榎本さん、コスモ・ゼロ・アルファ1を『装備B』で大至急用意してください。」古代は通路をユリーシャと共に走り
ながら、榎本掌帆長にタブレット端末を使って連絡を取っていた。

「装備B」とは本来、単座である、コスモ・ゼロを復座にして運用する事だった。

しかし、本来戦闘機としてギリギリまで減量しているコスモ・ゼロにもう一つ座席を押し込んで復座にする余裕は
無かった。

当然、代わりに外さなければならない機体構成部分があった。

それはミサイルや機銃、機関砲を操る「火器管制装置」である。
e0266858_2264224.jpg

e0266858_2271299.jpg


「丸腰で戦場に出る事になるが、それでもいいか?ユリーシャ・・・。」古代は念を押すように言った。

「大丈夫・・・。 何とかなるわ。それに殺し合いはいや!丁度いい。」ユリーシャは相変わらず楽観的だった。

二人がコスモ・ゼロが駐機してある第一格納庫に着くと床には取り外した火器管制装置の入ったジェリカン型
ボックスが四つ、浮かんでいた。

復座用の座席は取り付け済みだった。

古代が驚いたのはゼロが対空ミサイルで武装していた事だ、火器管制装置が使えない今、ミサイルを積んでも
意味が無いと古代は思った。

「へへ~ん、ミサイルは最新のショット&フォーゲット型です。

『手で投げて』も敵機を墜せますぜ。

機銃や機関砲もミサイル発射装置と同じく、火器管制装置を通さず、操縦桿の引き金に直結してありますから
発射は出来ます。 あとは戦術長の腕しだいって事です。」榎本は艦橋での遣り取りを知らないはずだったが、
古代が「装備B」を要求した時点で何が必要なのか、即座に判断した様だった。

古代はユリーシャを後部座席に括りつけると、操縦棹を握り、機体をカタパルトに乗せるといつもの発進の
合言葉を言った。

「コスモ・ゼロ アルファ1、クリアード、テイク・オフ!」一瞬、Gが掛りコスモ・ゼロアルファ1は宙に飛び出した。
e0266858_21585120.jpg


                                       91. 使命の神託ー(10) → この項、続く

**********************************************
(語句説明)

火器管制装置・・・戦闘機の機載の探知器(今はレーダー)で敵機を捕え、銃なら最適射撃時点を知らせ、
           (これをロック・オンした、又はピパー・オン・ターゲットと言う。)

           ミサイルなら、敵機の近傍までミサイルをセミ・アクティヴ・ホーミング(誘導)する機器、
           現代戦には欠かせない機器である。

           昔は終末誘導も行っていたが、現在のミサイルは目標近傍まで誘導されれば後は、自分で
           目標を捕らえ、追尾(ホーミング)する物が大半である。

           もちろん、熱線感知型のミサイルの様に最初からミサイルが相手をロック・オンして追尾する
           ものも存在する。( AIM-9サイドワインダー等)

           (ミサイルの場合のロック・オンはミサイルの感知器が目標を認識し、何時でも発射出来る
           態勢になった事を言う。)

ショット&フォーゲット型ミサイル・・・敵機に向けて「発射(打ったら)したら」そのミサイルとその敵機の事を
「忘れて」別の目標を追う事の出来るシステム。 現在はそのほとんどが赤外線感知型のミサイルではあるが、
コスモ・ゼロが搭載したミサイルは広角TV映像感知を併用しており、フレアなどのダミーに誤魔化され難い。

e0266858_15574979.jpg

[PR]
by YAMATOSS992 | 2013-09-18 21:00 | ヤマト2199 挿話 | Comments(14)
いつしか、戦場は「バレラス」の郊外から中心部付近に移っていた。
e0266858_1102462.jpg

「ヤマト」を迎撃すべく超音速で追って来た親衛隊・艦隊も「ヤマト」に速度を合わせて減速したのでもはや
地表に衝撃波による被害は出ていなかった。

しかし、高層建築が立ち並ぶ中心部は砲撃戦をするには障害物が多過ぎて「ヤマト」も敵艦もお互い、
仲々、有効打を与えられなかった。

今、相手にしている敵艦はデストリア級重巡洋艦だったが、この艦の主砲は先のメルトリア級とは違い、
口径は同じ330mmだったが、砲身のない唯の陽電子ビーム砲だったので「ヤマト」の波動防壁を貫通出来
なかったのだ。

しかし、この重巡の艦長はかなり、勇猛な男だった様で、自艦に付いている前後、下面の四基の砲塔が全部
使える様に、そして障害物に邪魔されない様に「ヤマト」の前面に廻り込み、立ちはだかった。
e0266858_1265292.jpg

日本海軍のお家芸、「丁字戦法」である、沖田は宇宙の果てで自分達の得意技を使う敵に敬意を持った。

しかし、次の瞬間、「島、構うな!全速で敵艦を衝角しろ!波動防壁は更に前部集中!」と命じていた。

「丁字戦法」は本来、衝角戦に対抗して編み出された物である、しかし、沖田は波動防壁の前部局部集中に
よって敵艦の砲戦での優位を覆す事に成功したのだ。
e0266858_11223653.jpg

「ヤマト」の巨体に衝角された敵艦は「くの字」に折れて爆砕した。

「前方、二十キロに巨大建造物!」太田が報告した。
e0266858_20342366.jpg

「『デスラー・総統府』! 間違いありません!」スクリーンに写った映像を見たメルダが太鼓判を押した。

「よし!このまま、『デスラー・総統府』に突っ込む! 全員衝撃に備えよ!」沖田は驚愕的な命令を発した。
e0266858_11244213.jpg

<なんて漢だ! 父も猛将と讃えられた男だが、ここまでは獰猛でないぞ!>メルダには沖田がガミラス一の
猛獣、クラッケ(地球のライオンに相当、ペットの”クラル”が大型になった獣を想像すれば良い。)の様に
感じられた。

しかし、その「猛獣」、「ヤマト」に「ガミラス」の情報を与えたのは メルダの父、ディッツ提督だった。

<『勇者は勇者を知る。』と言うが、父にはこうなる事が判っていたのかもしれない・・・。>本物の勇者と言う者が
いかに想像を絶する者であるのか、思い知った様な気がした。 

e0266858_1275599.jpg

 『デスラー・総統府』の外壁を突き破った猛烈な衝撃に辛うじて耐えたメルダはもう次の行動に移ろうと
するテロン人達に驚きを隠せなかった。

通常の衝突だったら「ヤマト」の乗員は全部、即死していただろう、しかし、沖田が前部に最大集中させた波動
防壁が緩衝機能を果たし立っていたメルダすらバランスを崩して膝を床についた位で済んだ。

「古代、全乗組員で『デスラー・総統府』を制圧する。 突入班を編成しろ! 『デスラー総統』を捕らえる!」
沖田は、またもメルダの想像も出来なかった命令を発した。

< あの『デスラー総統』を捕らえる? それも全員で総統府へ突入だと? こいつ等、正気か? >メルダは
一度始まった戦争を早く収めるためには敵の頭を潰す事が必要だと理性では理解出来たが今までのデスラー
総統に支配されていた自分達が今直ぐ、デスラー総統に勝てるとはとても思えなかった。
e0266858_1294137.jpg

古代が立ち上がって自分のブルパップ型自動小銃を点検していた。

<こいつ等、本気でやらかす気なんだ・・・。>メルダは自分が戦闘機乗りで何度も死線を潜り抜けて来たにも
係わらず、やはり肉弾戦は怖かった。

「『総統府』の上部から宇宙に向かって飛立ってゆく物体があります。」岬 探知・観測士が報告した。
e0266858_1244852.jpg

「感じる・・・。あれには『ユキ』が乗っているの。」ユリーシャが空を指差しながら言った。
e0266858_1251234.jpg

「古代、突入は中止だ。『デスラー総統』は今の船で脱出したと見るべきだ。 無駄に血を流す事はない。」
沖田は『総統府』への突入を取り止めた。

「でも本当に『デスラー総統』は脱出したのでしょうか? あれは囮かもしれません?」南部は突入に拘った。

「『森君』、いや『ユリーシャ』だけを乗せて放り出したとは考え難い、あれに『森君・ユリーシャ』が乗っているなら
『デスラー総統』も必ず、一緒だ。」古代は的確な判断を示した。
e0266858_1217952.jpg

それを聞いた沖田は万を待して言った。

「古代、お前の『戦術長』としての任を解く、『森船務長』を救出して来い!」
e0266858_12113417.jpg

「はっ、古代戦術長、戦術長を辞し・・・。」古代はあまりに唐突な命令に戸惑った。

「どうした、行って来い! この任務はお前でなければ勤まらん! 後は任せろ!」南部砲雷長が戸惑う古代の
背中を押した。

そして古代が突入準備のために空けていた戦術長席は既に彼によって占領されていた。

                                        90. 使命の神託ー(9) → この項、続く
[PR]
by YAMATOSS992 | 2013-09-16 21:00 | ヤマト2199 挿話 | Comments(0)
 「ヤマト」は惑星「ガミラス」の外殻に開いた穴を潜り抜け、帝都のある内郭表面に降りていった。

不思議な事にまだ、ガミラスの本格的な迎撃は受けていなかった。

親衛隊・宙母艦載機による攻撃があっただけで、それも「ヤマト」から発進したファルコン隊が宙母もろとも
退けていた。
e0266858_6341780.jpg

<やはり、敵中枢は以外と手薄だ・・・。しかし、油断は出来ない!>沖田はかつて太陽系でも遊星爆弾迎撃
システムがガミラスの奇襲によって二度も、破壊された苦い経験を思い出していた。

敵がワープによって中枢部にまで簡単に侵入出来る事に誰も気付かなかったため、起こった悲劇だった。
e0266858_423792.jpg

 「島、高度を50m以下に抑えろ! 本艦の底部の装甲は厚いが敵艦に撃たれ続けたら危ない!

だから地表と本艦の間に敵艦を入れるな! 

対空砲火はこの速度の本艦には追従出来ない! 進路、『バレラス』、このまま『デスラー総統府』を突く!」
沖田のあまりに大胆な命令にメルダは舌を巻いた。
e0266858_2114411.jpg

「了解しました、進路、『バレラス』、目標、『デスラー総統府』、速度第三戦速、高度50!」島が復唱した。

全長300mもある巨艦を高度50mで飛ばす!しかも遷音速でだ!しかし、メルダの左脇で舵を執っている
島航海長はいたって冷静な声で沖田の命令に応えた。

<この状況は私がツヴァルケで高度十mを飛び続けるのに等しい。 こいつの神経はどうなっているんだ!>
メルダはテロン人の無茶苦茶さ加減にかえって歓びを感じた。
e0266858_2132209.jpg

高度を上げず、遷音速の速度のまま「ガミラス」の帝都、「バレラス」を目指す「ヤマト」。

高度があまりにも低く、速度が速いため、「ガミラス」の対空砲火や対空ミサイルはその指揮所の探知機が
「ヤマト」を捕らえた時にはもう手遅れになっていた。

「ヤマト」はディッツ提督から託された「ガミラス」の情報を詳しく、研究・分析し、「バレラス」近傍の対空防衛
サイトにハッキングを仕掛け、その位置をおおまかではあるが、割出していたのだ。

そして、艦底部にある八基のVLSや艦体両側面にある8連装発射管から発射されたミサイルはその位置に
次々とピン・ポイントで着弾した。
e0266858_7474289.jpg

また、ニセの情報もガミラス・コンピュータ・ネット・ワークに流され、ガミラスの防衛網は混乱し切ってしまった。

「まもなく、『バレラス』の市街地に入ります。」地表の観測を行って島に航路情報を送っていた、太田気象長が
報告した。
e0266858_21175937.jpg

遠距離の探知・観測は岬 百合亜が担当していたが、今は気象よりも地表の状態を走査すべきと判断した彼は
ドローン(無人偵察機、魚雷発射管から射出・出来る。)を二機飛ばし、「ヤマト」より高い高度で先行させて
地表スレスレを飛ぶ「ヤマト」が山や高く繁る植物、高層建築に衝突しない様、進路上の地表を探査、島の
躁艦を助けていた。

「市街地・・・か、速度を落とさんと地表に被害が出るな、島・・・。」と沖田艦長が命令をしようとした時、メルダが
その命令に割って入った。

「いけません! 速度は維持すべきです。 本艦の速度は遷音速ですから地表の被害は甚大ではありまん!」と
主張した。
e0266858_21264852.jpg

「しかし、この速度では衝撃波こそ発生しないものの、本艦の通過した後には大旋風が吹き荒れるぞ・・・。

『バレラス』の郊外に住んでいるのは君達の言う二等臣民だろう? 守るべき対象ではないのかね?」沖田は
メルダに問い返した。

「構いません! これは彼等にとっても自由の為の戦いなのです! きっと解ってくれます!」メルダは一歩も
引かなかった。
e0266858_21342165.jpg

「艦長! 後から超音速でガミラス艦隊が迫って来ます! 」岬が報告した。

「南部!左舷の守りは任せた! 俺は右舷を守る!北野は臨機応変で!」古代が「ヤマト」の防御を南部、
北野と分担した。

本来、「ヤマト」の主砲、ショック・カノンは三連装砲塔、三基で同一目標を狙う様に設計されていた。

しかし、今の様に多方向から敵が来る場合、射撃指揮システムを敢えて使わず、多方向同時反撃も出来る様に
沖田は古代戦術長に戦術科員を訓練させていた。
e0266858_21361759.jpg

超音速で飛ぶ敵艦隊は見る見る「ヤマト」に追いついて来た。

横に並ぶ様に速度を「ヤマト」に合わせて来た、親衛隊のメルトリア級巡洋戦艦は陽電子ビーム・カノンを
「ヤマト」に浴びせ掛けて来た。
e0266858_21385729.jpg

「ヤマト」は波動防壁を前部に集中して展開していたので前部に当たったビームは弾き返したが、後部に
当たったビームは装甲版を貫通して被害を出した。
e0266858_21392522.jpg

その被弾のショックに揺れる第一艦橋内部で沖田は超音速で迫って来たガミラス艦が発生させた衝撃波で
地表の市街が滅茶苦茶に破壊されるのを見て心が痛んだ。

<戦争で被害を受けるのはいつも弱い者達だ・・・。戦う者はその事を判っていても戦わねばならん!
悲しいな・・・。>

だが、次の瞬間、沖田は猛将の顔に戻っていた。

「第一砲塔、第二砲塔、各個、打ち方始め!」沖田の命令を待っていたかの様に照準を済ませた南部が
第二砲塔を操ってメルトリア級を撃ち抜いた。
e0266858_21423472.jpg

唯の一撃で砕け散る敵艦、しかし、その落下先には無辜の住民が多数いるのだ。

古代も右舷同高度に射撃位置を専位しようと高度を下げつつ接近してきたケルカピア級高速巡洋艦に必殺の
ショック・カノンを叩きこんだ。
e0266858_6224122.jpg

この艦もまた地表のビルに衝突、被害を与えた。

<一刻も早く悲劇を終わらせる!>古代は沖田が一瞬、見せた悲しみの顔に戦う者の決意を見た思いだった。

                                         89. 使命の神託ー(8) → この項、続く
[PR]
by YAMATOSS992 | 2013-09-14 21:00 | ヤマト2199 挿話 | Comments(3)