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宇宙戦艦ヤマト前史

yamato2199.exblog.jp

宇宙戦艦ヤマト登場前の地球防衛軍の苦闘を描きます。

<   2014年 12月 ( 8 )   > この月の画像一覧

私は今まで様々なメディア上で、SF、SFチックな作品を貪って来た。

その内の超能力者が主人公の作品は主人公が如何に迫害を逃れ、または迫害して来た人々を救うか、と言う
物語だった。(前回取り上げた諸作品、他)

しかし、1979年、機動戦士ガンダムでニュータイプを知り、「多個体一精神生物」の可能性に気付いた。

ただ、この時は単に心の繋がりが深くなればなる程、雪だるま式に人の心は一つに纏まって行くのでは?と言う程度の
理解でしか無かった、人の心が結び付いて行く過程の考察が足りなかったのだ。
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しかし、2004年に発表された「とある魔術の禁書目録」がその不足していた、「多個体一精神生物」成立・過程のヒントを
与えてくれた。

この世界には「学園都市」と呼ばれる”超能力開発機関”がある。
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そこに住む人々の約八割は学生でカリキュラムと呼ばれる能力開発が行われていた。

そして能力に応じてレベル査定も行われていた。

無能力者(レベル0) 測定不能や効果の薄い力
低能力者(レベル1) 日常では役に立たない力
異能力者(レベル2) レベル1とほとんど変わらない力
強能力者(レベル3) 日常生活で便利と感じられる力
大能力者(レベル4) 軍隊で価値を得られる程の力
超能力者(レベル5) 単独で軍隊と戦える程の力

特に超能力者(レベル5)は学園都市にも七人しか居ない貴重な存在だった。

しかし、超能力を研究する科学者達が悲しい”性”として常に上を目指そうとするのは必然だ。

そして、大超能力者(レベル6)を目指した研究が行われていた。
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その結果、レベル5第一位(一方通行・・・ってなんて名だ!)のみがレベル6に辿り着ける存在だと判るが、その方法が
問題だった。

レベル5第三位(御坂美琴、電気使い・エレクトロ・マスター)の軍用クローン二万体と戦闘をし、勝利すれば一方通行は
レベル6にシフト出来ると言うとんでもない物だった。

 この戦闘は常に一対一で行われ、彼はクローンとはいえ、二万人の人を殺さなければならなかった。

二万体もの軍用クローンが何故存在したか?というと元々はレベル5第三位の量産が目的だったからだ。

しかし、この量産計画で出来たクローンが異能力者(レベル2)とほとんど変わらない力しか無い亊が判り、
軍用クローンの計画は頓挫した。

だがこの計画はレベル6シフト計画に応用出来る事が判り、クローンの量産は続けられた。
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しかし、何故、この戦闘は常に一対一で二万回も行われるのだろう。

二万体を一遍に相手にした方が効率良さそうに思えるのだが、ここでNetワークの考え方が登場する。

二万体の軍用クローン達は異能力者(レベル2)止まりの能力とは言え、電磁気を扱う力を持っていた。

彼女達、ミサカ・Netワークは二万人の脳が結合した状態であり、例へ一方通行との戦闘で一体が死んでも
その”意思”や”記憶”はNet・ワーク内に保存され、ミサカ・Netワークが消滅しない限りその”総体”は生き続けるのだ。

つまり一方通行はどんどん強くなって行く敵を相手にする亊になるのだが10031号が死亡した時点でこの研究は
ある理由で中断されてしまう。

しかし、約一万体の生存クローンと約一万体の死亡クローンの記憶から成るミサカ・Netワークが作り出す”総体”は
確実に残ってしまった。
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生存クローン達は”御坂妹(シスターズ)と呼ばれ外国や国内、学園都市内に分散して生活しておりその生活振りは
一般人と何も変わらない。
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ここに鎌池和馬(作者)の独自性が発揮されている。

つまり、彼女達は個性を残しつつ、一旦、亊有れば”総体”としてスーパー・コンピューター顔負けの演算能力を
発揮するので一番、”集合精神体”としては理想の姿だと言える。
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「とある魔術の禁書目録」のスピン・オフ作品である「とある科学の超電磁砲」では

御坂美琴(御坂妹のオリジナル)を主人公とした超能力・マンガだが、この作品には別の形の精神体Netワークが
登場する。

それが幻想御手(レベル・アッパー)である。

これはある研究者が学園都市、最大最速最容量のスーパー・コンピューター”ツリー・ダイヤグラム”の使用許可が
二十四回も拒絶された事に絶望し、代替えと成るNetワーク・コンピューターを作り出そうと画策した事により生まれた。
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その方法は能力の低い学生達にその能力を引き上げるソフトを使わせ、自然と出来上がるNetワークを使って本来自分が必要とした演算を行うと言う強硬な物だった。

普通のコンピューターNetを使って世間にばら撒まかれたソフト、レベル・アッパーの感染者はおよそ一万人、その全てが自分の脳を他人に乗っ取られて昏倒してしまう。

ミザカNetワークとレベル・アッパーNetワークの大きな違いはNetワークを構成する者が自分の立ち位置をきちんと認識しているかどうかによると思われる。

ミザカNetワークは予め予備実験を行った上で構築された物であり、”持続”が重要な要素だった、しかし、レベル・
アッパーNetワークを構成する成員は自分の能力レベルが上がる事のみに専念し、どうして自分の能力が上がるのか、
その理由を考えもしなかった。
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その結果、自分の脳を他人に持続的に使い続けられ、脳が疲労して昏倒するに至ったのだ。

更にこのNetの構築者に多重能力者(デュアルスキル、原理的には不可能とされる)であるかの様な複数の能力を使わせる。

しかし、本人に言わせると多彩能力者(マルチスキル)だと言う、即ちNet構築者である彼女はNet上から必要な能力を別々に取り出して主人公と闘ったのだ。

しかし、結局、彼女も主人公の頭を使った戦い方に敗れ、電撃を直接受けて昏倒した。

しかし、Net構築者であり管理者が倒れた事で既に昏倒して眠っている他の学生達の”無意識”がNetで結び付き、
”幻想猛獣”を生み出してしまう。

学生達が普段は抑えている欲望が結合、解放されてしまったのだ。
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この怪物の厄介な所はNetに依存しているため、強力な力を発揮するだけでなく、幾ら傷を負っても直ぐに再生してしまう
事だった。

最終的には正気を取り戻したNet・構築者がレベル・アッパーをデリートするワクチン・ソフトを提供、怪物の再生機能を
奪う事に成功する。

後は主人公の”力技”で”幻想猛獣”は始末されるが、この時、昏倒して睡眠に落ちていた学生の一人は
”物凄く優しい一撃を受けた”と感じ、以後の人生感を”ポジティブ”な物に変えて行く。

自分の可能性、今は低いレベルだが、努力次第では”あの力”(レベルアッパー使用時の力) いや、それ以上の”力”が
手に入る事に気付いた学生は多かった。

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どうだろうか、超能力は個人が所有していても強力だがこれがNetワークを組むとどれだけ強力になるか、お分かり
頂けだろうか?

そして従来の作品では少数派だった超能力者の場合と違い、種族全部が超能力者だった場合には必然的に
”超能力のNetワーク”が生まれどんな大艦隊も手を出せない存在になる事を御理解頂けだろうか?

だからヤマト2199では超能力者はジレル人の最後の二人の内、ミレーネル・リンケだけにしてヤマトを制圧、
多大な情報を得る事に成功するも、主人公とヒロインの活躍の前にその精神体は滅ばざるを得なかったのだ。 

超能力問題に決着を付けるために・・・。

だが、私はそもそも何故、超能力に長けていた”ジレル人”が周囲の迫害に在って滅んだのか、納得が行かなかった。
(ジレル人に征服の野心があったならガミラスは反対に滅ぼされていたと考えられる。)

それにいくら収容所惑星から救出してくれたとは言え、ミーゼラ・セレステラが何故、あそこまでデスラーを慕うのかも
理解出来ない。

彼は母星を滅ぼす事に力を貸し、自分達を牢獄に幽閉したエーリク大公の甥である、とても同情だけで解放したと本気で
考えていたとしたら”お人良し”の極みで、成人して宣伝・情報相になってからの辣腕ぶりからは考えられない行動で
ある。

また、能力に乏しいセレステラと違い、たった一人でヤマトを制圧した程の能力を持つミレーネル・リンケ特務官は
それほどデスラーに恩義を感じていない描写が漫画版ではされており、デスラーに”心理操作”を仕掛けてもおかしく
無かった。

しかし、この矛盾も超能力Netワークの存在を前提にすれば解決する。

確かにミレーネルの能力は強大だが、しかし、彼女も所詮、疲労する人に過ぎない、四六時中、デスラーの精神に
”干渉”し続ける事は出来ない。

精々、悪戯程度の干渉をする事しか出来なかっただろう、政治に長けたセレステラと組めば、重要な政治的局面で
彼の”精神”に干渉し、”失政”を犯させる事も可能だったが、セレステラがデスラーに心酔している以上、ここまで大きな
干渉は不可能だった。

また、何万光年の彼方にいるヤマトに心理攻撃を掛けるには惑星バランの遺跡にあった「ゴースト・リンク」装置と
次元潜航艦がヤマトの予定航路上にばら撒いた”媒介物質”が必要だった。

しかし、この遺跡にあった装置、誰が見つけ、誰が整備したのであろうか?

こんな訳の分からない装置を使おう、しかも自分ではなくただ一人残った仲間に使わせようと考えるならセレステラの
冷酷さの表現になるが、ミレーネルが殉職した時、彼女は孤独に涙する、人とは”母星”を問わず矛盾した生き物だと
言う表現だったのだろうか?

また、次元潜航艦がヤマトの予定航路上にばら撒いた”媒介物質”だが数万光年の距離に一体どうやって均一にばら撒いたのであろうか?

ないしはヤマト周辺だけに撒いたのかもしれないが、この”媒介物質”、どうやって調達したのであろうか?

遺跡にあったのであろうか? だとしたらどうやって用途を”判定”したのであろうか?

それにバラン到着前のセレステラのセリフ、「アケーリアスの遺跡で”アレ”を使います。 良くてね。 ミレーネル」、
具体的な名前では無く”アレ”と言う暗喩を使って意思疎通を図っている事から考えてこの装置を使うのは初めてでは
無いと考えられる。

一体、何処の誰を相手にこんな訳の分からない装置を使って貴重な仲間の命を掛けさせたのか。

ガミラスの版図拡大に力を添えたのであろうか?

超能力者の存在は物語の面白さに確かに花を添えるものではあるが、説得力となるとボロボロである。

ヤマト世界はやはり物質文明の極み、”大艦巨砲主義”が幅を利かせる物語で無くてはならないと、思っていたが先日、
封切られた「星巡る方舟」は仲々の佳作であった。

ガトランティスとガミラスが物質文明同士で凌ぎを削り、それに謎の精神文明が関わって来て、ヤマトも紛争に
巻き込まれて行くと言う展開は非常に面白く興味深い物だった。

ただ、この作品、人に依って評価が大きく分かれる物になると予想される。

筆者はもちろん、大きく評価する、それも映画版ヤマトの内では最高の出来と考える。

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この物質文明と精神文明の共存(?)を果たすと言う離れ業を見せてくれたのが約五十年以上前に書かれた
スペース・オペラ「レンズマン・シリーズ」( E・E・スミス著 )である。

内容についてはここではこれ以上は触れないがヤマトだけでなく、SFやSFチックな作品を語る上で抑えておいて損の
無い傑作である。(映画アニメ「SF新世紀・レンズマン」とTVアニメ「GALACTIC PATROL レンズマン」の双方は別物と
考えた方が良い。 何故なら原作の持つ大きなスケールが全く描けて居なかった。)


                         172.ヤマト2199世界に於ける”精神文明”の有り様についてー(3)→この項了


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by YAMATOSS992 | 2014-12-30 21:00 | 考察 | Comments(8)
 「精神文明」と聞くと何か大袈裟な物を想像してしまうが、簡単に言えば「超能力者の集団」だと思えば良い。

だが、単に普通の人が超常能力を発揮する様になっただけでは単に様々な武器で武装した人の集団と変わらない。

今まで(ガンダム以前)のアニメや特撮で描かれた超能力者は上記の様な存在だった。
(下記は”一例”に過ぎない、超能力漫画やアニメ、特撮は無数にあった。)
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しかし、1979年、”革命”が起こった。

機動戦士ガンダムの内で語られた「ニュータイプ」と言う概念である。

この超能力者は念力やテレポートが使える訳では無い、常人より感知能力が高かったり、反射神経が良かったり、
危険回避能力が高かったりするだけである。
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しかし、今までの超能力者を扱った作品と決定的に違う所があった。

人にもよるが他のニュータイプと”心”を繋ぎ、お互いにその”心”を本当に判り合える能力を持っていた亊である。
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ガンダムの世界では詳しくは語られ無かったが、この能力は人と人の心を結び付け一つの心に統合してしまう可能性を
持つと考えられる。

つまり、ニュータイプの進化の先には”多個体一精神生物”が居るのである。

全人類がたった一つの”心”で動く、以心伝心、コミュニケーションの要らない世界になってしまうのだ。

これを見事に表現してくれたのは皮肉にも巷で悪評プンプンの実写版ヤマトであった。
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(私はこの作品をそれなりに評価している。 これは宇宙戦艦ヤマトでは無く、Space Battle shipe ヤマトなのだ。)

これに登場して来たガミラス人こそ、ニュータイプの行き着く先であると私は考える。

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私の今回、発表した「イルダ・走る!」ではジレル人がその能力を磨き続けた結果、”ジレルの総体”と呼ばれる存在、
”多個体一精神生物”になった事を示した。

その正体はガミラス人やその植民星に住む人々の心の片隅に宿る”精神共生体”である。

ガミラス人達は自分の内にジレル人の心の欠片があるとは夢にも思っていない。

そして、イルダの様に”ジレルの光”に”覚醒”した者は別としてガミラス人達はその様な能力が自分達にある事に
気付きもしない。

完全に精神的に隔離され、ただ一人になったガミラス人は”ジレルの総体”の力は発揮出来ないのだ。

ではどうやって”ジレルの総体”は強大な力を発揮出来るのか?

そのキー・ワードは ネット・ワークである。


                        172.ヤマト2199世界に於ける”精神文明”の有り様についてー(3)→この項続く


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by YAMATOSS992 | 2014-12-26 21:00 | 考察 | Comments(0)

 今年の年末は「星巡る箱舟」に大慌てさせられたが、2199挿話は別の物と割り切って強引に話をまとめた。

それでも、ヤマト世界の裏に”ジレル人の築いた精神文明が在ると言う設定のイルダ・走る!-(1)~(14)はお楽しみ
頂けただろうか? 少し不安になる処ではある。

しかし、自分で書いて措いて言うのも何だが、実は私はヤマト2199世界に”精神文明”や”心理操作能力に
長けた種族”は存在しない方が良いと考えている。

何故なら、"物質文明”は”精神文明”に全く歯が立たないからだ。

それは(14話)「魔女はささやく」で描かれた様に物質文明ONLYでは精神文明に打ち勝つ、いや、闘っている実感すら
無いまま、ヤマト乗組員はその心をミレーネルの精神体に”記憶の檻”に閉じ込められ、ヤマトはいとも簡単に制圧されて
しまうのを見ても明らかだ。(本来、ここで物語はガミラス側の勝利、”詰み”である。)

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たまたま、船外に出ていた主人公、古代・進(主人公は精神力が強いのが相場。)と森・雪(殆ど記憶が無く、
閉じ込める”記憶の檻”が作り難かった?)が居たので反撃する事が出来たがこれはもはや僥倖と言うべき物で本来なら
有得ない勝利だったと言える。

ミレーネルの能力だけが傑出した物であったのなら話は別なのだが、あれがジレル人の標準的能力だとしたなら、
ジレル人がその”読心能力”を疎まれ、周囲の星々から迫害を受けて滅んだなどと言う説明は納得出来る物では無い。

ジレル人の能力が”読心”だけだったとしても悪意を持って接近する迫害者の存在は直ぐにジレル人の知る所となり、
彼等は身を隠す、ないしは逃亡してしまって決して捕まる事は無いだろう。

ゲシュ=ダールバム(波動砲)を使って星ごと吹き飛ばす事をエーリク大公が画策した事を本文で述べたが、
これとて、あくまで私の創作で当時のイスカンダルがガミラスにゲシュ=ダールバム(波動砲)の保有を許したとは
思えないし、”博愛主義”のイスカンダル自身が他の星を滅ぼす事を積極的に行ったとも思えない。

この様に”精神文明”の問題を真面目に突き詰めて行くとヤマト2199世界はどんどん壊れていってしまう。

だが、出淵監督はそれを承知で「魔女はささやく」の回を用意したと考えられる。

何故なら、この”心理戦”が行われる物語は日本(のみならず米国でも)の特撮・アニメでは定番でシリーズの内に
一、二回はこの”心理戦”の回が必ず用意されていたものだった。

だから、氏はそのオマージュとして「魔女はささやく」を発表したのだと私は考える。


(例)
 1:無敵鉄人ダイターン3-第36話 「闇の中の過去の夢」・・・(記憶操作」の例)

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   古城に誘い出された主人公、波乱万丈は過去の記憶の内に閉じ込められ、心地よい記憶の後に一番思い出した
   くない”記憶”を突き付けられ発狂寸前になるが父の所業の償いを行っている自負が自分を取り戻すきっかけとなり
   万丈は辛うじて勝利する。(この時の敵・メガノイドは精鋭では無く、落ちこぼれだった。)

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 2:無敵超人ザンボット3-第23話 「燃える宇宙」(最終回)・・・(「認識すり替え」の例)

   敵の親玉ブッチャーを倒した神ファミリーだったが戦いはまだ終わって居なかった。

   ブッチャーの宇宙船、バンドックがブリッジをブッチャーと共に失っていたにも関わらず攻撃して来た。

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   しかもその攻撃は通常のものでは無く、神ファミリーは幻影に翻弄され、挙句の果てには”認識”を操作され
   同士討ちを演じてしまった。
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   ザンボット3とその母船、ビアルⅠ世はお互いを敵が放った宇宙怪獣と”誤認”させられミサイルやビームを
   撃ち合って大きな傷を負ってしまう。

   しかし、2号機のパイロット、神江宇宙太(かみえ うちゅうた)が負傷した事により正気を取り戻し、ザンボット3の
   闘っている相手がビアルⅠ世である事に気が付く、更にその”存在”の認識を消す事によって姿を消していた敵、
   バンドックの大まかな位置を1号機パイロット、神勝平(じん かっぺい)に知らせ、敵の位置へミサイルを誘導、
   命中させる事に成功する、その結果、バンドックが仕掛けていた”認識”操作は破れ、神ファミリーは再び一つに
   まとまってバンドックに向かって行くのだった・・・。


3:人造人間キカイダー・・・(「意志の誤誘導」の例)
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  キカイダー毎、ジローに対して敵対組織”ダーク”の首領、プロフェサー・ギルは悪魔の笛(?)を吹いてジローに
  対し「・・・ダァークに生まれし者は、ダァークへ還れ・・・」と暗示を掛ける。

  ジローは良心回路があるので素直には従えず苦悶する。
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  これは毎回、一番の山場でジローがどうやってギルの暗示から逃れるのかが見どころだった。


4:スタートレック 「宇宙の怪!怒りを喰う!?」(・・・「精神寄生体の存在」の例)

  USSエンタープライズは宿敵、クリンゴンのバトルクルーザーに出くわす。

  しかし、事故ったらしく、いきなり爆発、中破してしまった。幾許かののクリンゴン人を”転送”装置で救助した後、
  エンタープライズはフェーザー砲でバトルクルーザーを破壊した。
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  その後、覚醒したクリンゴン人達は何故、自分達の艦を破壊したのか!と怒りを地球人達に向けて来た。
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  多数派の地球人達は銃(フェーザー銃)でクリンゴン人達を脅そうとしたが、双方共武器が剣に変わってしまう。

  互いに憎しみと怒りに駆られて闘う二つの種族、しかし、エンタープライズのカーク船長やスポック副長はこの戦いは
  どうやら陰で糸を引く存在があるのに気付く。

  それは”怒り”や”憎しみ”を糧とする”精神寄生体”でクリンゴン側もその存在を認知、二つの種族は和解し、
  友好的交歓をする場面を見せつける事で”精神寄生体”は”寄生”を諦め、船外に退去して行った。

  (申し訳ないがあらすじは相当に省略している。)

これ等はほんの一例に過ぎない、初代「鉄腕アトム」から始まって「デビル・マン」あたりまでは把握しているがその後も
手を変え品を換えこの相手の”心”を欺く戦法は使い続けられてきた。

次回はそんな中から生まれて来た新しい”精神文明”の在り方について語ってみたいと思う。


                        171.ヤマト2199世界に於ける”精神文明”の有り様についてー(2)→この項続く


                                                                                                                    


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by YAMATOSS992 | 2014-12-22 21:00 | 考察 | Comments(0)
惑星イスカンダルの王都、イスク・サン・アリアの中央に聳え立つクリスタル・パレスの女王居室でスターシャ・
イスカンダルは旧式な通信機を使って何処かと連絡を取っていた。
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しかし、目の前のスクリーンは黒く、”SOUND・ONLY”(を意味する文言)が表示されてた。

妹の顔を見て話したかったスターシャは”黒い画面”に文句を言った。

「可愛いいユリーシャ、顔を見せて頂戴、これで”はデスラー総統”と話しているみたいで気分が悪いわ。」彼女は気軽に問いかけた。

デスラーも何故かホット・ラインでは音声通信のみを多用していた。

しかし、返って来た答えはやけに堅苦しい物だった。

「イスカンダル女王、スターシャ・イスカンダル猊下に措かれましては御機嫌麗しゅう事、 
このガミラス皇室、女皇・ユリーシャ・ガミロニア、心よりお喜び申し上げます。」

「通信の件に付きましては今ガミラスは復興作業に技術者達が皆、邁進しており、この”ホット・ライン”の改善に力を
割く事が出来ない状態にあります。 どうか、御理解下さい。」ユリーシャの声は事務的だったが彼女の姉を思う気持ちに
嘘は無かった。

「やはりそちらは大変なのですね。 しかし、貴女は大きな力を手に入れたようですね。 その力、平和と安定に使うなら
この上ない威力を発揮します。 でもそれを領土の拡張や侵略・略奪に使う様なら貴女自身だけでなく臣民全部を
巻き込む災厄に発展しますよ。」さすが、イスカンダルの女王、スターシャ・イスカンダルだった。

「やっぱりダメ、ヒスには悪いけれど、こんな堅苦しいしゃべり方、私には出来ないわ。
姉さんも気が付いていたのね?」ユリーシャは鎌を掛けた。

「気が付きました。 サンザー系内の精神空間がこれほどザワついたのは私が生まれて以来初めてだったからです。

で、どうします? 大きな”力”を持つ精神個体が二つも覚醒してしまった。 これを放置して置くとガミラスの支配圏は

二つに別れて争いが起こり兼ねませんよ。」彼女はユリーシャを試す様に言った。

「”二つ”じゃありません。 覚醒した”精神体”は”三つ”です。でも、これで”天下三分の計”が行えます。」

「”覚醒した精神体は三つ”? ”天下三分の計?”ユリーシャの言葉に眉を顰めた。

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”天下三分の計”とは西暦二百年前後に地球の中国で唱えられた戦乱を収める為の一方策である。
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大きな勢力が中国全土の派遣を争っていたが故に戦乱が長く続いていた訳だか、それを三つの国(魏、呉、蜀)で天下を分割して治める事により力の均衡を保って天下に平和をもたらす事を”蜀”の軍師・諸葛孔明は画策した。

即ち、一国が天下統一を目指すと他の二国がそれを抑えると言う考え方である。

現実には国力の差などの問題があって実現は出来なかったが、その思想は「三竦み理論」として今でも色々な場面で
適用されている。

「成程、”ジレルの総体”、”イルダ・ディッツ”は判るけど、もう一つは何?」女王は興味を魅かれた様だった。

「はい、それは”私”です。 ガミロイドはNetワークで繋がっています、しかし、その精神は芽生えに過ぎず、
”ジレルの総体”や”イルダ・ディッツ”の侵入を簡単に許してしまいます。

でも私はガミロイドNetワークに物理的に侵入出来ますので、もし、そのような”干渉”があった場合、
直ぐに対処出来ます。」スターシャ・イスカンダルは妹がヤマトとの旅で如何に成長したか、それを実感した。

「その”力”を使って今度の旧デスラー支配圏を巡る”行幸”を行うのですね。」スターシャは妹がかつての
ミーゼラ・セレステラ専用艦を「皇室ヨット」に改装させている事も知っていた。

「いいえ、今回は”精神文明”に頼った戦いは一切しません。

物質文明による攻撃は同じ物質文明で排除しなければ相手は決して納得しないからです。

精神文明の”力”は未知の”力”、不用意に使えば、悪戯に”未知なる恐怖”を広げるだけです。

 
エーリク大公・時代の様に・・・。」彼女は妹が再び砲火の前に立とうとしているのを知ってスターシャは愕然とした。

「大丈夫よ、姉さん。 ”ジレルの総体”はガミラス人の心の片隅で静かに眠る事を欲しているし、”イルダ・”は
”星一つ滅ぼす力”を持ちながら普通のガミラス人で居たいと望んでいます。 両者とも、もはや敵対関係では無いわ。」
ユリーシャがスターシャを慰めた。

「私? 私の心理操作能力はまだ弱い、ですが、私を狙う”精神生命体”は”イルダ”が排除してくれます。
物理的な力に対しては、どう対処するのか? それは、あの「ヤマト」が教えてくれました。」

ユリーシャは沖田を初めとするヤマトの乗組員の顔を懐かしく思い出していた。
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「そうね、あの『使命の信託』を持つ船、「ヤマト」に範を取るなら大抵の危機は避けられるでしょう。」

あの総統デスラーがヤマトの波動砲と同じ原理のゲシュ=ダールバムを持って自星系の兄弟星エピドラを消し去り、
また、ヤマトを葬る為には手段を選ばず、最初は巨大質量を落としバレラス毎ヤマトを葬ろうとし、更にその大質量を
ヤマトが波動砲で迎撃すると今度は修理の為ったゲシュ=ダールバムで再びヤマトを狙った事を思い出していた。

結局、原因不明の事故でデスラーのゲシュ=ダールバムは暴走し、軌道衛星都市第二バレラス毎、吹き飛んでしまい、目的は果たせなかったが、同じ”兵器”を持ちながらその使い方はデスラーは”破壊”、ヤマトは”救済”、と、全く真逆の
使い方をしていた。

スターシャはかつて沖田が告げた言葉「兵器その物に善悪はない、その”力”を生かすも殺すも人の”心”しだいです。」
と言った事を思い出していた。(『使命の神託ー(17)』)

<『使命の神託』、あのデスラーもかつては確かに持っていた。 だから私は彼の帝星膨張政策にも反対しなかった・・・、
でもどこかでボタンの掛け違いが起こったのね・・・。>スターシャはデスラーの自分に向けられた一途だけれど
”一方的な愛”が、これまでの惨禍の遠因だと思うと居ても立っても居られなかった。

**************************************************

「女皇、ユリーシャさま。 出立の用意が整いました。」ユリーシャの個室に女衛士が迎えに来た。

「分かったわ、エミル、ちょっと待って頂戴。」それに応えるとユリーシャは頭に付けたヘッド・セットを通して
ガミロイド・Netワークに潜って行っていた会談を続けた。

<失礼しました。 会談を続けましょう・・・。>

<では女皇がお出掛けの間、人々の人心収攬は我々”ジレル”に任せて頂くと言う事で宜しいのですな。>この前、
ユリーシャの感情の爆発による”精神的な津波”で”ジレルの聖域”から流されそうになった”ジレルの総体”は
ユリーシャの力を思い知っていた。

<その”監視”と他の精神体の侵入の監視が私の役目ですね。>イルダ・ディッツもユリーシャの”力”の凄さには
一目置いていた。

「姉には”天下三分の計”は力の”均衡”だと説明したけど私はあなた達を信頼しているわ。

これは寧ろ、”分業”と考えて、頂戴。」彼女は二人(?)の役割をはっきりと告げた。

 <ザー・ベルク!  ガーレ・ガミロニア(高貴なる女皇)お気を付けて!>二人(?)の懐刀に見送られて
女皇ユリーシャ・ガミロニアはガミラスの支配圏内を巡る”行幸”に出かけて行った。
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イルダ・ディッツはユリーシャに宛がわれた住居の中で寛いでいた。

<しかし、あの姫様がガミラスの指導者、”女皇、ユリーシャ・ガミロニア”になるとは思っても見なかったわ。 しかも、
ほとんど非武装の単艦でガミラス帝星領内を巡回して回るとは大した度胸ね。>

イルダは過去に幼い彼女を遠目に見た事があるだけだったが、それでも現在の彼女の成長振りは驚くべき物があった。

”ヤマッテ”での旅、イルダは、それがユリーシャを単なる”お姫様”から”女皇”に変えたのに気が付き、短い間だったとは
言え、”ヤマッテ”に乗り込めた姉、メルダを羨ましく思った。

<それに引き換えこっちは”魔女の館”かよ!>ユリーシャからイルダに与えられた新居はあのミーゼラ・セレステラ
宣伝・情報相がかつて住んでいた家だった。

こじんまりとして飾り気も無い屋敷だったが、きちんと清掃されており、物理的な面での不快感は無かった。
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ただ、ここがガミラス帝星全土に”ジレルの魔女”としてその名を轟かせていた「最後のジレル人」ミーゼラ・セレステラの
住居だったと言う事は彼女に実質的心理操作能力が無かったのを知っていてもイルダにとってあまり気持ちの良いもの
では無かった。

<そう、ぼやき為さんな、ユリーシャ様など、元・セレステラ専用艦を改装して”行幸”にお出掛けになったんだよ。>
”ジレルの総体”が精神感応で話しかけて来た。

<使えるものは何でも使う・・・か! これはユリーシャ様らしいや!>イルダは自分の”怯え”が根拠の無い馬鹿々しい物
であるのに気が付き高笑いした。

<それより、何だ? お前が私に接触して来るとは何かあったか?>イルダは軽い気持ちで聞いた。

<頼みがある、イルダ・ディッツ、私をやはり”ギルティ”と呼んで欲しい。そして何時までも私の傍らに居て欲しい!>
”総体”の申し出は余りにも以外なものだった。

<はぁ! それは告白か? お前は”ジレルの総体”は男なのか?>あまりの申し出にイルダは笑い飛ばした。

確かにジレル人も雌雄一対の種族だった、しかし、種族全員の心が一つに溶け合ってしまった今では総体の性別など
意味の無い物になっていた。

まして、”総体”としての”肉体”などあろうはずが無かった。

だが、単独・覚醒したイルダと行動を共にし、その能力開発を行っている内に今まで余り感じて居なかった”再び孤独”に
なる恐怖を”総体”は感じる様になっていた。

イルダの”心”は本来、能力開発が進むにつれ、”総体”に取り込まれるはずだった。

現に何人もの”覚醒者”が確実に”総体”に吸収・同化していた。

しかし、イルダの場合は”総体”と融合する気配は微塵も無かった。

その理由を考えた”総体”は自分が、お互い”同等の存在”として付き合える相手を欲している事に気が付いたのだ。

しかし、ユリーシャ・ガミロニアは怪し過ぎてて手に負えそうも無かった。

やはり、体内細胞にジレル人のDNAの一部を宿したガミラス人、イルダ・ディッツの方が”相方”?には相応しかった。

<私は”恋”をするつもりだし、結婚もしたい、子供だって生むつもりだ、勿論、女皇の懐刀としての任務は優先する、
しかし、私には”寿命”がある、お前の様に何千年もの間、生きる訳では無いんだぞ!>イルダは冷たく言い放った。

<その点は大丈夫、私は”精神”の領域にしか興味は無い、お前の”肉体”が何をしても関係無い、その点について
完全にお前は自由だ。 それにお前の肉体が滅びてもその”心”と”記憶”はジレル・Netワークの内に残るから
ガミラス圏が続く限り、お前も私も不滅だ。>”総体”はイルダの不滅性を保証した。

<ちょっと待て! ジレル人の”記憶と心”を宿したガミラス人が肉体的に死んだ場合、”記憶”はNetワーク内に
保存されるが”心”の方は新しい者が入って来ると古い者が捨てられ、新陳代謝すると説明されたぞ!私の”心”も幾許も
無く消滅するのではないのか?>イルダは前に聞いた説明と異なる内容を聞いて訝しんだ。

<私とお前が両者共に強く”融合”したい!と強く願わない限り、我々が一つになる事はない、>彼は確約した。

<私達の気持ちしだい・・・ねぇ・・・。>イルダは複雑な気分だった。

確かに初めから精神体が一体ならば”孤独”を知る事は無いだろう、しかし、同じような”精神体”と何度も”接触”すると、今度はそれと離れた時、今まで自分が如何に”孤独”であったかを思い知る事となる。

異種族との交際なんてまっぴらだわ、虫唾が走るわ!イルダの心ははっきりしていた。

<確かに、落ち着いて考えてみれば私も”お前”と位近い精神的な接触をした事は無いわ、姉や父とも長い時間を
掛けたから判り合えるけど、確かに普通の人とではチョット付き合った程度じゃここまで判りあえないわね。>イルダは
本心を偽って彼に話した。

<では、私の傍らに居てくれるのか! 永遠に!>彼は驚喜した。

<今の状態が続くと言う事はあなたの望みが叶うと言う事だわ。>イルダは冷静に分析した。

<でも、普通のガミラス人は”心”が肉体に”閉じ込められて”いるからこそ、相手の心を知ろうとして”努力”する。 
”恋”に酔い、”恋慕”の情があればこそ”猜疑心”に苦しんだりもする。 相手の”心”が読めないからこそ、”判り合おう”と
する事も”恋”の”楽しみ”の一つなのよ。>イルダはフォムト・バーガー少佐との短かった”恋”を思い出していた。

<人は”判りあえない”から”判りあおうとする”、”一つの精神に纏まって、”個人”と言う存在がなくなれば、今度は
”判りあえない”存在を求める、”知性”とはなんと身勝手で贅沢な”存在”なのだろう。>とイルダは思った。

<そうは思わない”ギルティ”?>イルダは悪戯っぽく問いかけた。

                                                                                                                                                         169.イルダ・走る!-(14)ーこの項了  
                                                                                                                  



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by YAMATOSS992 | 2014-12-18 21:00 | ヤマト2199 挿話 | Comments(2)
 ユリーシャは続けた。

そうしたらそのガミロイド、オルタと名乗ったけど自分の存在を問うと答えられず混乱していたわ。>オルタが出会った
”この船の女神”はやはりユリーシャの意識だったのだ。

<”自分”と言う意識を持ち、その”存在理由”を考えるのは”心”がある証拠よ。 

多分個々のガミロイドだけではその”意識”は薄い、ヤマッテで出会ったオルタが自己を持ちながらも存在意義までは
語れなかった様に・・・、でもガミラス本星では違う、膨大な数のガミロイドがNetで繋がっているわ。
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これは”ジレルの総体”の機械版と言って良い”能力”を秘めているわ。

今のまま、ガミロイドを生産し続ければ数十年もすれば機械版の”総体”が生まれ意識を持って行動するでしょう。>
ユリーシャは恐るべき事態を予言した。

<でも私はそれを望まない、今、”生きているガミロイド”は心を持つ知的生命体として尊重すべきだけれど
もはや膨張政策を止めたガミラスにとって”代理兵士”はもういらない。  生産は中止させるわ。>

イルダはユリーシャの物言いに何か違和感を感じた。

<高貴なるイスカンダ、・・・ユリーシャ様、失礼ですがその御言葉、旧総統・デスラーのようですが?>イルダは疑問を
持ったら黙って居られない性質だった。

<あら! 知らなかったの? 私はデスラーが去った後の混乱を最小限度にする為、ガミラス人が文句なく従がえる
”存在”としてガミラスで”皇室”を開く様、ガミラス政府高官達から要請されたの。>今や、女皇となった彼女は
イルダの知る悪戯好きな茶目っ気たっぷりの第三皇女では無かった。
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<我々の”秘密”を知られた、貴方を殺す!>ジレルの”総体”がユリーシャに向かって鋭い精神衝撃波を発した。

だがその”心の槍”をイルダは”心の盾”を作って弾いた。
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<全く、もう、貴方達は”精神体”となっても物理的暴力から離れられないのね。  ”ジレルの総体”、これじゃ平和の為に
”その種族全体”を捧げた御先祖様に顔向け出来ないわよ。>

”総体”もその宿り先であるガミラス人が死んだり、新しい子供が生まれる事で”総体”全体としての”記憶”は変わらない
ものの、”意識”は常に新陳代謝していた。

<イルダもイルダよ! 心理操作によって血を流さない戦闘を学んだはずなのにどうして最後は暴力なの?
テロン人の方がよっぽど潔い戦士だったわ。>ユリーシャは約半年間を共に過ごしたヤマトの仲間を思った。

彼等は予想された苦難の旅への恐怖から波動エネルギーを大量破壊兵器に応用してしまった。

最初はその事に強い不快感を持ったユリーシャだったが、彼等はその筒先をガミラス自体に向ける事は無かった。
(木星、浮遊大陸をその試射で破壊した時、ユリーシャの意識はまだ戻って居なかったのでこの件は知らなかった。)

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最後の使用に至ってはデスラーの”暴挙”から一般ガミラス臣民を救う為に使った。

「言葉ではなく、行動で!」彼女はかつてヤマトの沖田艦長と交わした約束を思い出していた。

しかもヤマトはイスカンダルでこの上ない力、波動砲を捨て、”コスモリバース・システム”への改修を快く受け入れた。
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「一度出来た旅がもう一度出来ないはずはない!」沖田の決意を後で姉から聞かされた彼女の頬に涙が伝わった。

彼女は自分の父を知らなかった。 

生後、間も無く王都を疫病が襲った時、イスカンダルの王と王妃は三人の王女をクリスタル・パレスに彼女達を
隔離すると宮殿の外で病魔と闘ったのだ。

結果は二人の努力にも係らず王都イスク・サン・アリアに残っていた僅かなイスカンダル人は全滅してしまった。

だが王と王妃は自分達の体を使って”ワクチン”の培養に成功し、三人の王女にそれを摂取、病魔から彼女達を
守る事には成功していた。  

だから姉達から伝え聞く”偉大”だった父の姿を”偉大で強い「漢」”沖田に重ねて涙した。
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そして、その圧倒的な感情の”津波”はイルダの精神も”総体”の集合体精神も飲み込んで行った。


                    169.イルダ・走る!-(14)ーこの項続く  
                                                                                                                  



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by YAMATOSS992 | 2014-12-14 21:00 | ヤマト2199 挿話 | Comments(0)
  <それは各々のガミラス人の心の片隅にジレルの”総体”が宿っていたからだ。>”総体”は事も無げに恐ろしい事を
告げた。

<”総体”の意識が宿ったガミラス人同士が結婚し、子を成した場合、その子の遺伝子にジレル人の遺伝子の一部が
入る事が解った。 もちろん、心理操作する能力の部分とジレルの記憶の部分だけだが・・・。>”総体”の言葉にイルダは
両肩を腕を交叉させて震えた。

<私の中にも”総体”が居る・・・。>それはまだうら若い乙女にとっては気味悪い事この上ない事だった。

<いや、君と私は独立した存在だ、だからこうしてお互い精神感応で話しているんじゃないか。>

<だが君の身体の細胞の内の遺伝子には”ジレルの総体”を形作る部分があるのは確かだ。>”総体”はイルダを
慰めようとしているのか、絶望させようとしているのか、良く解らない話をした。

<ウイルス、他の生物の細胞に取り付き、自分の遺伝子を注入して自分を量産させ、最後にはその細胞を喰い尽す
ウイルスだ! お前達は!>イルダの怒りは収まらなかった。
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<心外だな、ウイルスは”宿主”を殺してしまう寄生物だ。 しかし私はガミラス人の心の片隅を借りて存在を守っている
だけで”宿主”に害は与えて居ない。>”総体”は自分の正当性を訴える事でイルダの心を”総体”内に取り込もうと
考えていた。

<確かにガミラス帝星に害は与えてはいないが恩恵も与えては暮れてはいないな! これでは本当の”共生”とは
言えない。>イルダはバッキリと”総体”がガミラス帝星に”寄生”する存在だと告げた。

”イルダ”と”ジレルの総体”、二つの巨大な”力”が対峙し、一発触発の状態になった。

クスクスと微笑む声をイルダは感じた。  ”ジレルの総体”も第三者が近くに居るのを感じた様だ。

<誰だ! そこに居るのは!>二人は揃って尋ねた。

<あらぁ、気が付いちゃった~っ 二人とも何て禍々しい気配を放っているの。 コワイ、コワイ。でも・・・。>

<部外者の私ですら気が付く程の強大な”力”を持っているのにそれを民の為に使おうとは思わないの?>声の主は
二人を強く糾弾した。
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<だから、誰だと聞いている! ”ジレルの聖域”にこんなにもたやすく入って来た貴様は一体何者だ!>イルダより
”総体”の方が動揺していた。

<まぁ、精神文明に偏った貴方には私が誰だか何時までも判らないでしょうね。  でもイルダ、イルダ・ディッツ、
あなたの方は私が誰だか気が付いたんじゃなくて?>その”声”は決して大きくは無かったが女王の様な威厳を持って
辺りを圧した。

<貴方は・・・ユリーシャ・イスカンダル・・・違いますか?>イルダは恐る々尋ねた。

イルダはガミラス高官の娘としてイスカンダル王室に対する忠誠は骨の髄まで叩き込まれていた。

<スゴイ!スゴイ!やっぱ判っちゃた! ウ~ン、若い子は頭が柔軟ね。>声の主はやはりユリーシャ・イスカンダル
だった。
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<私はお前がどうやってこの”聖域”に入ったと聞いている!>”総体”は彼には理解不能の状況に戸惑っていた。

<貴方はもう一つの入り口があるのを忘れている様ね、自分も利用している癖に・・・。>彼女はおかしな事を告げた。

**************************************************

三人(?)は近くの工事現場に心を飛ばした。

そしてそこで働くガミロイドの心(?)に侵入した。

<ほら、彼らの内にチラチラした小さな炎の様な輝きが見えるでしょ。>ユリーシャが一つの事実を指摘した。

<馬鹿な、あれが”ガミロイド”の”心”だって言うんですか? ガミロイドは機械ですよ。 それもジレル人に心理操作され
ない様、主なコマンドは遠隔操作で行う様に設計されています。>イルダは反論した。

<確かにガミロイドは対ジレル人用の兵器として開発されたわ、でもジレル人の掃討が終わった今でも量産は続いて
いる・・・これはどういう事かしら?>ユリーシャが切り返した。

<それは・・・ガミロイドは人型を模したものなので人の使う装置や武器がそのまま使えるます。

だから、ガミラスの領土拡大に伴う人的資源の不足に対応するのに最適だったのです。>イルダの答えにユリーシャは
拍手した。
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<良く理解しているわね。 でもその答えでは七十点しか挙げられない。>ユリーシャはイルダの答えに不足している
部分を付け加えた。

ガミロイドは標準的なAIを備えたオートマタ(自動人形)であり、単純なプログラムを膨大な多重処理によって人間と
同じ様な複雑な行動を可能にしている。

初期のガミロイドは対ジレル人用の兵器だったので心理操作されない兵士として主なコマンドを遠隔操作で行って
いたが、ジレル人掃討作戦が時と共に下火になっていった時、ガミラス人達はガミロイドの”汎用性”に着目し、
戦闘以外の下級兵士が行う任務位はこなせる様、ガミロイドにどんどん新しいプログラムを付け加えて行き、結果として
操作盤からの指令は優先されるものの、操作盤からの指令が来ない時は完全自立型のAIを備えた、プログラムの
膨大な積重ねによって動くオートマタ(完全・自動人形)となった。

<過剰な多文書多重処理によってガミロイドに”心”が芽生えたとおっしゃるのですか! 殿下>イルダにとって
ユリーシャの言葉は衝撃的だった。

<事実だ、もっとも私には理屈は判らないが彼女が言った通り”ガミロイド”には”心”がある。>”総体”が新たな証拠を
提示した。

<イルダよ、我々がディッツ提督救出の為、戦艦を一隻態々新造し、運航するにも下級兵士はガミロイドで代用したのを
覚えているな?>”総体”はかつてはぐらかしたイルダの質問に正面から答えた。

<私なら彼らガミロイドを心理操作出来たからさ。 そうでなければあの作戦に必要な人数は集まらなかった。>
動かぬ証拠を突き付けられたイルダはプライドを大きく傷つけられた。
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<彼等の処理系に我々と同種の”意識”は芽生えない、貴女はそう信じたい様ね。 でも事実は違う、当時、私は事故で意識を失ってしまい、姉様からの使命であったテロンの船をイスカンダルに導く事が出来なくなっていた、だから
テロン人は仕方なく、テロン艦、ヤマッテの自動航法装置なる機械に私の脳を繋ぎ、イスカンダルへの航路を私が眠って
居ても導き出せる様にしたの。>彼女は重大な秘密を明かした。
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<そんな、非道な、テロン人はやぱり野蛮人だったのですね。>イルダは怒りに燃えた。

<彼等も必死で生存の為の努力をしただけよ。 あなた達、ガミラスの非道から故卿を守る為にね。>

<でも先に発砲して来たのがテロンの方です! それも宣戦布告も無しに!>ユリーシャはイルダの子供の様な主張
には答えず話しを続けた。

<私の意識は確かに身体を動かせる状態では無かったけれど自動航法装置を介してヤマッテの艦内Netに侵入する事は簡単に出来たわ。  
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そしてヤマッテの隅々まで探索出来た。  

しかし有る時テロンのテクノロジーとは全く異なった存在に出会った。  

今思えばあれはヤマッテが捕獲修理したガミロイドだったのね。  
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でも当時の私はそんな事には気付かず、「貴方はだーれ?」と素直に質問したの。

                                                168.イルダ・走る!-(13)→この項続く
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by YAMATOSS992 | 2014-12-10 21:00 | ヤマト2199 挿話 | Comments(2)
 対するエーリク大公は完全にジレル人に翻弄された事に怒りと共にそれを上回る恐怖を感じていた。

そして禁断の兵器、ゲシュ=ダールバム(波動砲)を使ってジレルの惑星系外からジレル人を殲滅する事を考えていた。

デスラー総統がガミラス初の波動砲、デスラー砲を作ったのは事実だが、実はガミラスは亜空間ゲート・システムを作った
種族、アケーリアスからゲート・システムの管理・運営を引き継いだ時、強力な敵が現れて亜空間ゲート・システムが
悪用されそうになった時にだけ使う様、イスカンダル製のゲシュ=ダールバム(波動砲)搭載艦を譲り受けていた。
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但し、この兵器は強力過ぎるのでイスカンダル王家、ガミラス王家、アケーリアスの末裔、この三者がそれぞれ一隻づつ
保有し、三者の合意の上で三隻が同じ目標を狙わなければ使えない様、設計されていた。

更にこの作戦が実行出来るのは一度だけで一度能力を解放したゲシュ=ダールバム(波動砲)は自壊作動を起こし二度と使用出来なくなる様にも設計されていた。

これはかつて大マゼラン雲に恐怖政治を敷いたイスカンダル王家からの強い希望であった。

強力なゲシュ=ダールバム(波動砲)三基による徹底的な殲滅戦、これがエーリク大公の考えた復讐戦だった。

しかしこの作戦には大きな問題が二つあった。

一つはアケーリアス文明が完全に滅亡してしまい、その保有艦が行方不明になっていた事だ。
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これは幸い亜空間ゲート・システムの中枢、バラン星のアケーリアス遺跡の奥から発見出来た。

二つ目はイスカンダル王家にゲシュ=ダールバム(波動砲)使用の許可を取り付ける事だった。

実際にゲシュ=ダールバム(波動砲)使用してその恐ろしさを実感しているイスカンダル王家がその使用を
簡単に認めるとは思えなかった。

だが、当時のイスカンダル王、イスク・サン・アリアは精神文明と物質文明の共存は大きな災厄を産むと判断、

ゲシュ=ダールバム(波動砲)使用やむ無しとの判断を下した。

これはエーリクの提出した報告書を重視したと言うより物質文明は精神文明に絶対敵わない、良い様に支配される
だけだと言う恐れがあったからだ。
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別に誰が支配者でも臣民が安定して生活し、幸せならそれで良いはずのだがイスカンダルの王とは言え、王族は
権力に固守するものだったらしい。

とはいえエーリク大公の計画は思惑通りに順調に進んだ。
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この結果、惑星ジレルは歴史の彼方に消えジレル人も収容所惑星レプタポーダに収監されていた二人の幼児を残して
完全に全滅した。

**************************************************

<ちょっとまてジレル人の心理操作能力は数万光年の距離を隔てても有効だぞ。

ジレル星系の最外殻なんて目と鼻の先の距離じゃないか?

いくらエーリク大公が強力な兵器を用意出来ても簡単に操れるはずだろ!

何でそんな虐殺を許したんだ! 私にはもう、お前が理解出来ない!>イルダは混乱していた。

<人は”敵”がいるから戦う、だからジレルが居なくなれば戦争は収まる。 しかもガミラスの方にゲシュ=ダールバム
(波動砲)で完全にジレルを星事、滅ぼさせれば彼らは自分達の勝利を疑わない。>”総体”は恐ろしい事を言った。

<そんなジレルの一般民衆はどうなる! いくら”総体”となって全ての住民の心が一つに溶け合っていたとしてもやはり
肉体は必要だろうに! これではあの”狂気の独裁者、デスラー総統”のやった事と何も変わらない!>イルダは
”怒り”、その思いのたけを”精神衝撃波”として”総体”に全力でぶつけた。

<やめろ! ガミラスを滅ぼす気か! 落ち着いて話しの続きを聞いてくれ!>”総体”は必死で懇願した。

<前に「私は「君は星さえ滅ぼす力がある」と言った。 それが今、君が見せた”精神衝撃波”攻撃だ。>イルダは黙って
聞いていた。

<通常の”心理操作”は”記憶”とか”認識”とか心の一部に働きかけて”心理操作”を行うものだ。 
だが、しかし、そんな目標を定めず、感情を爆発させ、その爆発を特定の目標に向けて浴びせかけたら相手はどうなると
思う?>彼は厳しい声でイルダに迫った。

イルダは黙ったままだった。

<今の”精神衝撃波”は私の”殺害”を意図的に狙ったものでは無かったから私も耐えられたがこれがもし私の殺害を明確にして発せられたものだったらガミラスどころかザルツもオルタリアもその他多くの植民惑星は死に絶えていた事だろう。>”総体”の言葉は衝撃的だった。

そしてイルダは今、はっきりと理解した、何故、自分が”ジレルの力”に目覚めた時、”総体”が自分を訓練して
くれたのか、その理由に気が付いたのだ。

<あれは訓練であると同時に”破壊の力”に育たない様、指導・監視する意味が含まれていたのだ。

何故なら今のジレル人はガミラスとその植民地の住人の心の片隅に隠れている存在なのだから・・・。

ガミラス人一個人としてはジレル人”総体”の一部であると言う意識は全く持っていない、普通の人に過ぎない。

しかし、それではそのガミラス人が死ねば”総体”の一部も死ぬ事になるのではないか?

エーリク大公の時代にジレル人”総体”は人口不足による弱体化に悩んでいなかったか?

それがどうして今はその問題はなくなったのだ?  もし、問題が解決出来なければ”総体”と言えども今頃は消滅して
いたはずなのだが・・・?>イルダの疑問は深まるばかりだった。

                                                167.イルダ・走る!-(12)→この項続く
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by YAMATOSS992 | 2014-12-06 21:00 | ヤマト2199 挿話 | Comments(0)

  「還って来たのだな、ようやく・・・。」ガル・ディッツ提督はスクリーンに写った穴だらけの星を見詰めた。

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ガミラスは古い星なので自然浸食が進み外郭と内殻に二分されており宇宙から見ると穴があちこちに空いた醜い姿を
晒していた。

<兄弟星のイスカンダルはあんなにも美しく輝いているのに・・・。>ガミラスは軍事産業に邁進した結果、公害による
環境汚染が地表の自然浸食を加速していた。

「それでもあれが私達の”故卿”です。」凛とした声がディッツの耳を打った。
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「貴女は私の心が読めるのか!」ディッツは自分の心がドメル夫人に見透かされたのに驚いた。

しかし夫人は小首をかしげ、チャーミングな微笑みを浮かべただけだった。

「友軍艦艇接近!タラン長官です。」情報士官が短く報告した。

二隻の戦艦が接舷すると間もなく一人の高級将校がブリッジに転がり込んで来た。

「ご帰還を心待ちにして居りました! 提督!」入って来たのはガデル・タラン参謀次長だった。

「兄上は?」ディッツは短い言葉で親友、ヴェルデ・タランの消息を尋ねた。

しかしガデル・タランは俯いて悲しげに首を左右に振るだけだった。

「そうか・・・。」それだけでディッツは全てを悟って目を閉じて親友の”死”を悼んだ。

ドメル夫人も目を見開き、顔を手で覆って哀しみを顕わにした。
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「デスラー亡き今、人臣これからのを一つとし祖国を再建するのは容易な事では無い・・・。」ディッツにはこれからの
ガミラスの未来をどうするか、その青写真が描けずにいた。

「はい」ガデル・タランも同じ気持ちだった。

ブリッジへの昇降エレベーターの扉が開き二人の若い女性が入って来た。

ディッツの愛娘、メルダとイスカンダル第四王女ユリーシャ・イスカンダルだった。

ドメル夫人の肩に泊まっていたロクロック鳥が一つ翼を振ると敬礼するメルダを他所にユリーシャの腕に舞い降りた。

それを見たドメル夫人が言った。

「でも希望はあります。」 今、ユリーシャの腕に舞い降りたロクロック鳥はドメル家に長く飼われていたので
ドメル夫婦には慣れていたが他人には決して懐くことなく手を出せばその特異な横に開く嘴で反撃するのだったが、
何故かユリーシャには自分から懐いて入った。

その出来事からドメル夫人はデスラーの唱えた”大統合”とは違う”本当の大統合”の可能性を見たのだ。

「希望? それは・・・。」ディッツはそこまで言って目の前に居るのが”高貴なるイスカンダル”の王女だと言う事を思い出し膝を着いて最敬礼をした。

「ルード・イスカンダ」ディッツの言葉にガデル・タランもドメル夫人も、その他艦橋に居た全員が最敬礼をした。
ユリーシャの隣に立っていたメルダは何故、皆が自分に向かって最敬礼するのか判らず戸惑ったが、直ぐに
皆が最敬礼しているには自分では無く、ユリーシャだと気付き罰の悪そうな顔をしつつ、自分も膝を折った。

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<あれから随分経つけど、お前と私が一体化する気配は無いな? お前が一体化を阻んでいてくれるのか?>
イルダと”ギルティ”はまだ溶け合っては居なかった。

<おかしいね。 ガミラス人やザルツ人、オルタリア人であっても君の様に”能力”を発現した場合、その力が強ければ
強い程、彼や彼女はジレル人”総体”に取り込まれるはずなのだが、君の場合”能力”が強大過ぎて ”総体”と力が
拮抗していて”心の相溶”に時間が掛かるのかもしれない。>彼はもう少し待つつもりのようだった。

<”総体”に取り込まれれば私の”個性”は失われてしまうに違いない、私は”自分”のままで居たいのだ!>彼女も
”心の自由”を失いたく無い事を主張した。

<そう言ってもな・・・。 これは過去のジレル人が計画した事だし、私がどうこう出来る問題では無いんだよ。>
彼も弱り切っていた。

<過去のジレル人の計画? どう言う事だ説明しろ! ”ギルティ”!>イルダは過去から支配されるのが大嫌いだった。

"ギルティ”は再びジレルの歴史について語った。

エーリク大公に勝ったジレル陣営であったが大勝したとはいえ実は大きな問題を抱えていた。

それはジレル人が如何に心理操作や記憶改竄能力に長けていたとしても所詮は疲労する人間だと言う事だった。

エーリク大公との決戦を挑んだのも短時間で勝敗を付け、戦闘が長引いて心理操作が出来なくなるのを避けるためで
あった。

その決戦直後からジレル人は自分たちの惑星を封鎖しているガミラス艦隊を逆に心理操作して防衛艦隊として使って
いたがそれには膨大な人数の心理操作員を三交代制で任務に当らせなければならなかった。

これはいかに強力な精神文明を持つジレルにとっても非常に大きな負担だった。

常時継続的にその心理操作能力を交代制とはいえ働かせ続けなければならないのである、この負担に耐え切れず
発狂するものさえ出て来る始末であった。

そこでジレル人達は”個性”を捨て全ての人民の心を一つに纏め上げる”総体”という名の新しい生命体に自分たちを作り替える事にした。

ジレル人達は”多個体一精神生命体”になったのである。

しかし、”総体”化自体は成功したものの一つ問題があった。

あまりにも多くの幼少個体を連れ去られたため、種族自体の老化は最初の予想よりも早く、数百年後には種族を維持するのに必要な絶対個数を割ってしまう事が予想された。

このままでは今までの犠牲や努力が全て無駄になってしまう・・・、そう考えた”総体”は新しい次の一手を打つ事にした。

<それは何を計画したんだ?”ジレル”>イルダは最早、親しみを込めて”ギルティ”と呼ぶのを止めていた。

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<補記>

いや~っ 参りました、”宇宙戦艦ヤマト2199「星巡る方舟」”もろに今、私が連載中の”イルダ・走る!”とカブッて
しまいました。(12/3のバンダイチャンネル先行上映会を見ました。)

私の作品と内容的には違いますがヤマトとガミラス,ジレル人精神文明との対峙を扱った作品になっています。
(作品の出来は”上の中”ですが、そんな分析を吹き飛ばす”熱い漢”の物語です。 
私も再度映画館に足を運ぶ予定です。)

 実は私の方も作品的にはもう完成しているのですが、あまりに一度に発表してしまうと読む方も辛くなるので一応、
今までの発表ペースは速める程度で一挙発表はしません。

日程調整をして年内には終わる様にしますので皆様よろしくお願い申し上げます。

UP予定日
166.イルダ・走る!-(11)                  12/6
167.イルダ・走る!-(12)                  12/10
168.イルダ・走る!-(13)                  12/14
169.イルダ・走る!-(14) (最終話)           12/18
170.ヤマト2199世界における”精神文明”の有り様についてー(1) 12/22
171.ヤマト2199世界における”精神文明”の有り様についてー(2) 12/26
172.ヤマト2199世界における”精神文明”の有り様についてー(3) 12/30

                                                166.イルダ・走る!-(11)→この項続く
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by YAMATOSS992 | 2014-12-04 21:00 | ヤマト2199 挿話 | Comments(2)