ブログトップ

宇宙戦艦ヤマト前史

yamato2199.exblog.jp

宇宙戦艦ヤマト登場前の地球防衛軍の苦闘を描きます。

<   2015年 03月 ( 4 )   > この月の画像一覧

 <クソッ、何処まで行けば艦橋に辿り着くんだ!>白兵戦なら、まだ、”歩”が有ると踏んで”ガウ・ルーガル”に接舷、
兵士を一個・大隊引き連れたドガーラは”ガウ・ルーガル”に乗り込んみ艦橋を目指したまでは良かった。
e0266858_20512797.jpg
しかし、一見、ドガーラの乗艦、”ダウ・ズォーダ”とこの艦、”ガウ・ルーガル”は同じ構造だと彼等は思っていたのだが、
艦内通路を歩む内、元の場所に戻ってしまったり、艦橋では無く、後部・格納庫に出たりと何時まで経っても目標の艦橋
には辿り着け無かった。

そして、何時の間にか、彼に付き従う制圧用の兵士は十数人にまで減ってしまっていた。

敵兵はおろか乗組員の一人にも出会わず、戦闘もしないのに、である、皆、口には出さないものの今の状況に恐怖を
覚えているのは確かだった。

<魔女め!遊びおって! 今度、出逢ったら有無を言わさず一撃を呉れてやろうぞ!>ドガーラは怒りに震えながら
そう誓った。

「エレベーターが有ります!」先行していた斥候から報告があった。

<エレベーターだと? ここは宇宙船の内だ、慣性制御で重力を発生させていたとしても”上下動”する場所は必ず慣性・
制御が切ってあるはず・・・。”エレベーター”なぞ要る訳が無い、これは罠だ!>即座に適確な判断をしたドガーラで
あったが、今来た道を戻っても”ダウ・ズォーダ”に戻れる保証は無かった。

「よし、まず、儂が一人でこの”エレベーター”に乗る。 安全が確認出来た所でサヴァ・ビア、貴様は部下を引き連れて
後を追って来い!」ドガーラは覚悟を決めてそう言った。

「”霹靂”の戦士よ! 貴方様は我が主、キラ・ゴルエン様の客分であらせられまする。  ここで貴方様を見捨てたと
あっては我等、百人隊の面目が立ちませぬ!」サヴァ・ビアと呼ばれた隊長格の男が異議を唱え、同行を強く願った。

「ウム、合い判った、このドガーラ、諸君の忠誠しかと受け止めた、皆の者、”魔女”めに一泡吹かせようぞ!」ドガーラは
兵士を連れてエレベーターに乗り込んだ。

彼等が乗り込むとエレベーターの扉は勝手に閉まり、動き始めたがその方向は彼等の予想を裏切り下方だった。

慣性制御が切られて居れば、彼等は全員、エレベーターの天井に叩き付けられていたはずだが、実際には軽いーGを
感じただけで彼等は高速でエレベーター・シャフトを下って行った。

**************************************************

「何故で御座りまする! ここで”移動・檻”(艦橋・エレベーター)内の慣性制御を逆転させれば彼奴等は天井に叩き
付けられて人事不省、一網打尽に御座りまする!」ボ・ルドウはドガーラ達と対面すると言う”姫”に抗議した。

「ちょっと”話”をするだけよ、きっと向こうも言いたい事が沢山あるわ。それに私も”鎧姿”を”身内”以外にも見せびらかし
たいし・・・、おっと来るわよ。」エレベーターの到着表示が点灯したのを確認した”姫”が言った。

**************************************************

エレベーターが止まるとドガーラ達は銃を構え、まだ開かぬエレベーターの扉を見つめた。

きっと扉の前には銃を構えた多数の兵士か、軍用ドローン(ロボット・兵)の群れが待ち構えている事だろう・・・。

それを覚悟でこのエレベーターに乗ったのだ、<何が待ち受けていようと必ず排除してくれる!>ドガーラの決心は
固かった、だが、扉が開いて見るとそこに広がる光景はドガーラ達の度胆を抜いた。

そこには一人の”半裸”の女性が背中を見せて立っていた。
e0266858_09575816.jpg
他にはボ・ルドウ侍従長が、こちらは膝をついていたがドガーラ達と正対していたその他、数名の兵士が居たが皆、ボ・ルドウと同じく床に膝をついて即座に戦闘する意志の無い事を示していた。

しかし、本当に彼等を驚かせたのは待ち受けていた一行が天井に立ち、頭を下にしていた事だった。

「貴様達は何者だ! どうしてこんな”妖し”の様な真似をする!」まさか、目の前に居るのが目的の”レティファン姫”とは
思わないドガーラは口を尖らせて抗議した。

「失礼ね。私よ。 貴方達の目的のセジャード族の”姫”よ。」姫はゆっくりと顔だけ振り向いた。

「おおっ、”レティファン姫”で御座ったか! 何故、その様な”勇ましい御姿”を?」ドガーラは”王族”に対する
”戦士の礼”を忘れる事は無かった。

「決まってるじゃない! 貴方達、”戦士”を迎えるに相応しい”甲冑(よろい)”姿”になっただけよ。

しかし、やっぱりこれでは”話”がし難いわね。 

そのエレベーターの”慣性・制御”を一度、切るから頭と足を入れ替えなさい。」”姫”の発言にボ・ルドウは顔をしかめた。

<今なら不意打ちで慣性制御を上下入れかれれば奴らは全滅だ・・・。”姫”は何を考えて居られる。>ボ・ルドウは慣性・制御を行っている操作員に目くばせした。

操作員がそれに応えて操作レバーを真下まで引き下げようとしたその時である、”姫”は右手に握っていた”輝く輪”を
操作員目がけて振ると”姫”の握っていた部分の後ろで”輪”は千切れ、一本の鞭となって彼の右手に絡まって操作を
不能にした。

「わらわはドガーラ殿と話がしたいと申したはずじゃ、余計な手出しは致すまいぞ!」”姫”は味方に手出し無用を
申し渡した。

「さて、ドガーラ殿、以前、わらわが尋ねたお主の”真の名”教えてはもらえぬかのう。」”姫”は自分の前に膝まづく追手の先兵に再び尋ねた。

<我等が完全に”姫”の掌中に居る事は最早明らかだ。 今までも”姫”は何時でも我等の生命を奪う事が出来た。

それをしなかったのは儂の”真の名”を知たい、その一点に尽きるのか? だったら余計教える訳には行かない。

しかも、敵味方、下級兵士までいるこの状況で応えられる訳が無い!>ドガーラはキッと顔を上げると”姫”に応えた。

「”姫”様は”無理難題”を仰って御座る。 それに人に名を問うなら、まず、”御自分の真の名”を告げられよ。

それが”礼儀”と申す物で御座る!」ドガーラは受け入れられるはずも無い”正論”で返した。
e0266858_13525873.jpg
「おおそれは失礼! 申し訳無い事をした。 わらわ、レティファン・クエシャザードの ”真の名”は ”テレサ(愛・満つる者)、
字名はテレザート(統治者)、テレサ・テレザート(愛もて統べる者)”じゃ。 覚えておくが良い。」と”テレサ”は
何の躊躇いも無く己の”真の名”を敵味方、下級上級兵士の区別無く明らかにしてしまった。

「”姫”さま! ”真の名”を”交換”ならともかく、一方的に明かすなど以ての外、しかも相手は ”敵” ですぞ! 何を考えて
居られます!」ボ・ルドウは余りの事に狼狽え切っていた。

「爺、何を狼狽えておる、これでドガーラ殿が”真の名”を明かしてくれれば”交換の儀”が成立する、
そして”名を交わした者”同士は最早”敵”では無い。 どうじゃ、ドガーラ、教えてはくれぬか・・・?」”テレサ”は
再度ドガーラに”真の名”を渡す様に促した。

「”テレサ・テレザート”様、判り申した。 儂の ”真の名” をお渡し致しまする。 但し部下達の ”名” は御勘弁戴きたい。」ドガーラは自分でも何がどうなったのか、図り切れぬまま ”真の名の交換の儀”を受け入れてしまった。

<セジャード族は古くからの王家の血筋、そして”空間跳躍”の技に優れると聞いた、多分、艦隊戦闘の場だけで無く、
我等がこの艦に侵入した時から今まで戦闘もしないのにこの艦橋になかなか辿り着け無かったのもやはり”空間跳躍”の
技に違いあるまい。 粋がって”白兵戦”など、仕掛けても”船外”に放り出されて一巻の終わりだ!>ドガーラは本当に
ダガームと違って賢かった。

”ガウ・ルーガル”は他のどの勢力の宇宙船と比べても、一見同じ様な通路や区画割りを持っていた。

しかし、実際は他のどの宇宙船とも異なる部分を持っていた。 それは通路は常に隔壁閉鎖された状態で
人は”超短距離・跳躍”で”隔壁”を通り抜ける様になっていた事だ。

それを知らない外部の者は隔壁を開いて普通に通過してしまうため、艦橋での操作で隔壁の所で”超短距離・跳躍”する先を別の隔壁・区画を指定され、全く別の区画・通路に誘導されて迷う羽目に陥るのだ。

侵入者達を無警告で宇宙空間に放り出す事も出来たが、”テレサ”達、セジャード族は慈悲深いのでそんな事は
しなかった。

**************************************************

「”テレサ・テレザート”様、儂の”真の名”をお渡しする前に一つお願いが御座いまする。」ドガーラは今はムガンダ族の
族長、”キラ・ゴルエン”の客分であったが、元々はかつて大帝に滅ぼされたバル・バル族の族長の近親者であった。

「バル・バル族は武門の誉れ高き一族で御座る。 このまま何もしないで”テレサ”様の軍門に下る事など一族の誇りが
許しません。 どうか、そちらの代表者と”真の名”を賭けた決闘をさせて頂きたい!」戦士階級であるドガーラにとって
闘いもせず敵の軍門に下るなぞ有り得ないと考えるのも無理は無かった。

「おう、そちの申し出、しかと受け止めた。 わらわも自分が”真の名”に相応しい存在か、確かめたいと思っていた
ところじゃ、臆せぬのなら懸かってまいれ!」”テレサ”も自分の”真の名”を賭けてこの”一騎打ち”に臨んだ。

普段ならこうした”姫”の行き過ぎを諌めて来た”ボ・ルドウ”侍従長であったが、この戦いだけは口出しする訳には
行かなかった。

<これは”真の名”を賭けた戦いだ、”姫”の”真の名”は”テレサ(愛・満る者)、だから今までの闘いで死人が出ない様、細心の注意を払って闘って来られた。 しかし、それでは戦士階級の方は敗北したと言う実感が得られない。

だから、最後に手合せをし、相手に虚・実共に敗北したと悟らせるおつもりなのだ。>”ボ・ルドウは”姫”の成長が
嬉しかった。

ガトランティス艦の艦橋は広い、特に中央は宴会なども行う機会があるため大きく空けてある、そこで二人の戦士は
お互い戦士の礼を交わすと一歩、跳び退って間合いを取った。

                                         184. ”大義”の”甲冑(よろい)” ー(2) → この項・続く

[PR]
by YAMATOSS992 | 2015-03-28 21:00 | ヤマト2199 挿話 | Comments(2)
 「ヤマト発進! 目標、”ガウ・ルーガル”が展開している”転移フィールド内”、前進・強速!」真田副長が命令した。

「前進・強速、目標、”転移フィールド内”、ヤマト発進します!」島航海長が力強く復唱した。

「レーダーに”感”! ガトランティス・駆逐艦、巡洋艦多数、”転移(ワープ・アウト)”、攻撃隊形で接近します。」
岬・百合亜・探査士が上づった声で報告した。
e0266858_07373932.jpg
「南部砲雷長! ”炎の洞作戦”始動! 遠慮するな、こっちは弾数を出来るだけ減らしたいんだ。」普段の真田副長なら絶対に出さないであろう”魚雷・ミサイル大盤振る舞いの命令だった。

しかし、南部・砲雷長もプロ、無駄弾を撃つつもりはさらさら無かった。

「艦首魚雷発射管六門一斉射、時限信管を発射後二十秒にセット!続いて両舷 短SAM、短魚雷も連射、目標は
艦首魚雷・炸裂点、下部VLSも指示は同じだ。」南部・砲雷長はヤマトに残った炸裂系の武器を全て使い切ってヤマトの
周りに”弾幕”を張り続け、”ガウ・ルーガルが張る”転移フィールド”内にヤマトが飛び込むまで敵の攻撃を全て吸収する
つもりだった。

「三式融合弾を第一、第二主砲塔群、第一副砲塔に装填しろ! 強襲してくる敵・駆逐艦はこれで排除する!」
e0266858_07273439.jpg
本来、ヤマトの主・副砲は”陽電子衝撃砲(ショック・カノン)”だ、そしてこちらの方が三式融合弾より射程は長いし、
圧倒的に速い、だが、破壊力となると三式融合弾の方が格段に大きい、だから今回の様な弾幕を形成するのには
光速兵器より大質量兵器の方が向いているのだ。

”火竜”と化して加速するヤマトにドガーラ艦隊から差し向けられて来た駆逐艦、巡洋艦は輪動砲からビームを
浴びせかけたが、ヤマトが纏っている”爆炎”で屈折させられ命中する事は無かった。
e0266858_19475510.jpg
また勇気ある艦長が指揮する駆逐艦が何隻か接近して”量子魚雷”による攻撃を試みたが、やはりヤマトの装甲に
辿り着く前に爆炎に吸収されてしまった。

**************************************************
 
 ”ガウ・ルーガル”の艦橋はヤマトが見せる壮烈な眺めに皆、息を呑んで見入っていた。

<なんと、見事な、そして潔い戦い方だ・・・。>ボ・ルドウは長命で名だたるガトランティス人だったが、それでもここまで
激しい戦い方をする者に出会ったのは始めてだった。

「爺、中継艦の配備は出来ている? 航路の安全の確認だけだから、中継艦同士の間隔は思い切り離して頂戴!」
”姫”がボ・ルドウに命じているのはヤマトの”空間跳躍”終了場所に危険がないかどうか、確認する作業だった。

ヤマトが無事、”空間跳躍”出来ても終了点に小石の一つでもあれば、”物質重複”を起こして大爆発、ヤマトは無数の”光子”に変換されてしまう。

それを避けるため、”姫”はヤマトの”空間跳躍”終了予定宙域に父・王に無理を言って借り出した宙雷戦隊一ヶの内から
旗艦の巡洋艦を一隻貼り付けて安全の確認と確保を命じていた。
e0266858_20423157.jpg

配下の駆逐艦四隻は情報中継艦として”ガウ・ルーガル”までの間にほぼ等間隔で並び、情報の伝達を確実なものに
していた。

「準備が整いました。”姫”、”空間跳躍”、何時でも可能です!」
e0266858_17421875.jpg
”姫”の見据えるスクリーンにいきなりヤマトの巨体が割り込んで来た、ヤマトは”ガウ・ルーガル”を右後ろ斜めから
かすめる様に接近し”ガウ・ルーガル”前方に形成されている”転移(ワープ)・フィールド”に飛び込むのだ。

ヤマトの艦首が”火炎直撃砲”の射撃・指揮装置に依って検知される、その時、”姫”は”火炎直撃砲・発射レバー”を
横に倒しつつ、思い切り引いた。
e0266858_09405435.jpg

すると”火炎直撃砲”の砲口に形成されていたエネルギー球はいきなり消失し、ヤマトだけが”空間跳躍”して遥か宇宙の
彼方に消えていった。

その時である、”ガウ・ルーガル”の艦橋は大きな衝撃に揺れた。

「何事ぞ!」”姫”は凛としていたが落ち着いた声で状況報告を求めた。

「敵艦に接舷されました。上下左右から完全に押さえ込まれています! あっ後ろも取られました。」甲板士官の悲痛な
叫びが事態の深刻さを現していた。

なんと”霹靂”のガルダ・ドガーラは配下の駆逐艦、巡洋艦に”ヤマッテ”を攻撃させて”ガウ・ルーガル”の気をそらし、
その間に主力の”殲滅戦艦”五隻を”ガウ・ルーガル”に接近させて押さえ込み、白兵戦を挑むつもりなのだ。

「面白い! 誰か、”具足”を持ていっ!」”姫”は侵入者達を正面から迎え撃つつもりらしかった。

**************************************************

<クソッ、舵が流される! ドメル艦隊のパイロット達はこんな”衝撃”に耐えてヤマトに攻撃を仕掛けて来たのか!>
島航海長は敵だったとはいえ、ガミラス・パイロット達の錬度に感心した。

「ガトランティス艦から通信が入っています。」市川・純 通信士が報告した。

「よし、繋げ!」真田副長が通信接続を命じた。

「無事に”大空間跳躍”に成功した様じゃな、何はともあれ無事で何よりじゃ。島・大介。」”姫”は現ヤマト最高責任者の
真田・副長を差し置いて島・航海長に直接、声を掛けた。

島・航海長は困った顔で真田・副長の方を見ると真田・副長は苦笑いしながら、島・航海長に無言で応答を促した。

「”姫”、有難う御座いました。 これでヤマトは”地球・救済”の旅を続けられます。

しかも、一万光年もの大距離を跳ばして頂いて、今までのタイム・ロスを大きく取り戻す事が出来ました。」島・航海長は
喜びの声で応えた。

「しかし、その・・・。 その御姿は・・・。」島・航海長は”姫”の姿を見て戸惑った。

”姫”は地球流に言えば”ビキニ・アーマー”を身に着けていたのだ。
e0266858_11093994.jpg
身体の最小限度の面積を覆う”ビキニ・アーマー”は非力な”姫”に俊敏な”機動力”を与えてくれるのだが・・・
島・航海長は目のやり場に困った。

「これか! これは”鎧”だ、これから”追手”の送り込んで来た兵士と”白兵戦”をするのじゃ。わらわの『使命の神託』、
成るか、成らぬか、その第一歩じゃ。 

健闘を祈っていてくれ、島・大介、そして宇宙戦艦ヤマト、そなた等はマゼラン雲(グタバ方面宙域)でもはや”伝説”に
なっておるぞ。 

おっ、敵兵が侵入して来た様だ、それではまた、何時の日か、まみえようぞ!」”姫”は一方的に話すと一方的に通信を
絶ってしまった。

「駄目だ! 君は”殺し合い”をする人では無い! 君の”使命”は”ガトランティスの矯正”だろ!だったら戦っては
ダメだ!」血を吐く様に島・航海長は叫んだ。

「テレサ~ッ」島・航海長は思わず、絶対秘密にすべき”レティファン姫” の ”真の名” を呼んでしまった。

そう、”レティファン姫” の ”真の名” は ” テレサ・テレザート”。

ガトランティス語で”テレサ”は「愛・満る者」、”テレザート”は「統治者」を示していた。

すなわち、”テレサ・テレザート”で「愛もて統べる者」の意味となる。

”これからガトランティスの運命を大きく変えて行く者”の名前だった。

ヤマトの航路の安全を確保してくれたガトランティス巡洋艦の艦橋では艦長が地球式の”敬礼”をしつつ、銀河系に
向かって帰還して行くヤマトを見つめつつ言った。
e0266858_21490459.jpg
「テレサ(愛・満る者)・・・か。あいつらしく無い名前だな。」そう呟いたのは”レティファン姫”の 父・王、
グエゼ・クエシャザード その人・・・。

彼は”娘”の”真の名”をまさか”テロンのヤマッテ”から聞こうとは思ってもみなかった。

複雑な想いを抱きつつ、彼は万感の想いを込めてこう告げた。

「さらば、宇宙戦艦ヤマト!」 


                                       182. やってきたのはお姫(ひい)様ー(10)→ この項・了

                                       183. ”大義”の”甲冑(よろい)” ー(1) → この項・続く

[PR]
by YAMATOSS992 | 2015-03-21 21:00 | ヤマト2199 挿話 | Comments(2)
 <読まれている・・・。これでは”駆逐艦”による”一撃離脱攻撃(ヒット・エンド・ラン)”を行っても徒に損害を増す
ばかりだ・・・。>ドガーラはまず空母艦隊から攻撃機”デスバテーター”を数十機発進させ、ヤマトと”ガウ・ルーガル”に
奇襲を掛けさせてみた。

それも”短距離・空間跳躍”を用いた瞬・撃である、普通であればとても対抗する事の出来ない必殺・戦術であった。
e0266858_16391124.jpg
だが”空間跳躍・技術”に長けたシャザード族の”ガウ・ルーガル”ならまだこの防衛力は理解出来なくも無いがヤマトも
自艦の防衛兵器だけで無く、航空隊をも的確に”デスバテーター”出現予想点へ誘導、迎撃させたのには心底驚いた。

「”殲滅戦艦”艦長は本艦”ダウ・ズォーダ”に集合せよ。 今後の戦術を検討する!」”霹靂”のガルダ・ドガーラは従弟の
ゴラン・ダガームとは違い、配下の意見を重視し、一人勝手に作戦を推し進める事を良しとしなかった。

**************************************************

 <不気味だ。 攻撃機の次はてっきり駆逐艦隊による連続攻撃がある物と思ったが、敵は何を警戒している・・・。>
真田副長は沈黙している敵の意図を図りかねた。

「佐渡先生、沖田艦長は話が出来る位まで回復しましたか?」真田副長は自分の手に余る事態に沖田の助けが
欲しかったのだ。
e0266858_11374869.jpg
しかし、佐渡の返事は”危険は脱したが、面会謝絶”だった。

”ガウ・ルーガル”から通信が入った、しかし、艦橋の大スクリーンに出たのは”姫”だった。

<どうしたことだ?”ガウ・ルーガル”の艦長は”ボ・ルドウ氏のはず、”姫”は”御座”しているだけで指揮権は
無いはずだが・・・?>真田副長は事態が動き始めたのを感じた。

「どうした、島航海長、いや、太陽系・地球・国連宇宙軍所属宇宙戦艦ヤマト型戦艦BBY-01、宇宙戦艦ヤマト航海長、
一等宙尉、島・大介、水臭いぞ!折角、”真の名”を交換致したと言うのに、貴様達が”難儀”しておるのは一目瞭然じゃ!」 ”姫”が島を名指しで非難した。

「フフン、長い”名”なら覚え切れぬと思ったか? 我らはそれが本当に”真の名”なら如何に長くても覚えられるのだ。

彼奴らは軍議をしておる様だが、次に何を仕掛けてくるか判らん、今の内に”空間跳躍してこの場を去れ、そしてそれが
出来ぬのなら理由を申せ!」 ”姫”の形相は険しかった。

「副長! 意見具申!」操舵席から立ち上がって島航海長は真田副長に向かって敬礼した。

「”ガウ・ルーガル”のビーム転送システムを使ってヤマトを出来るだけ遠くに物質転送して貰ったらこの危機を脱出
出来ると考えます!」副長が”意見具申”を促したので島航海長は自分の考えを言った。

「何を馬鹿な事を言ってるの! ビーム転送砲の射程距離位”跳んで”も追手は撒けないわ!」新見情報長が
島航海長の意見に反対した。

しかし、真田は新見情報長を制すると”姫”に呼びかけた。

「そちらの”ビーム転送砲”は最大どれ位のエネルギーを”転送”出来ますか?
これはもちろんそちらにとって重大な”軍事機密”でしょうが、あなたはここにいる男に”真の名”を預けた、これは如何なる
軍事機密に勝る”秘儀”のはず、教えて頂けると信じております。」
e0266858_18563534.jpg
少し困った顔をした”姫”は横を向いた、ヤマト側からは見えなかったがそこにはボ・ルドウが膝まづいていた。

彼は”姫”と目が合うと小さく微笑し、”姫”も大きく素早く何度も頷くとスクリーン上の真田副長に向き直った。

「教えましょう。 ただ、そちらのエネルギー単位が判らないのでガトランティス艦の大きさで示します。」”姫”の答え方の
適格さには真田副長だけで無く、島航海長もその巧な返答に感心した。

真田副長は”転送”出来る最大エネルギー量を聞いた、それに対して”姫”は”転送・可能”な船の大きさで答えると
言うのだ。

これは彼女達、ガトランティスがアインシュタインの特殊相対性理論(E=mc²、”エネルギーと質量は等価と言う事”)を
理解している事を示していた。

<最初の出会いが”最悪”だったから”ガトランティス”はガミラスの言う様に”蛮族”だと思っていたが、”姫”の部族は
”知的”なんだな。 例外なのだろうか・・・。 今、襲撃を掛けて来ている彼等も話せば解るのでは・・・。>島航海長は
つい、儚い望みを抱いてしまった。
e0266858_06585532.jpg
「ありえぬな、ダガームは確かに”乱暴な野蛮人”として嫌われておったが、ガトランティスの”戦士・階級”は総じて
”好戦的”だ。 余程の事が無ければ”和睦”など受け入れぬ。」それを聞いた”姫”は即座に”和睦の可能性”を否定し、
島航海長の考えが”甘い”事を暗に指した。

「いやそれは違う! ”姫様”だって最初は我々を”脅して”協力させ様としました。

でも”ボ・ルドウ艦長”が”星の海を往く者の絆と理”を説くと自らの”非”を認め、”謝罪”されました。

だからこそ我々も貴艦の機関・修理を御手伝いする気になったのです。

彼等だって”話せば解る”はずです。 彼等も ”星の海を往く者” に違いは無いのですから・・・。」島航海長は熱く語った。

「そんな事もあったな。 まぁ、追跡艦隊の事、穏便に済ます様、考えておく。

しかし、今は”ヤマッテ”を”転送”する手立てを考えるのが先決だ。

どうだ、”ヤマッテ”とこちらから提示した”転送出来る最大の艦”のデータ比較のは済んだか?」”姫”は島航海長の指摘に気まり悪そうに話題を変えた。

「どうなんです? 副長・・・」島航海長は真田副長を問いただしたが、艦橋に居た皆も同じ気持ちだった。

「残念だが、ヤマトの全質量の方がデータ艦より僅かだが重いんだ。 困った・・・。」真田副長は考え込んでしまった。

『真田副長! 我々を置いて行って下さい。 航空隊全機を捨てればかなりの”重量軽減”になります!』加藤隊長が
とんでもない提案をした。
e0266858_06265478.jpg
<冗談じゃない!我々は”地球”を甦らせ、そこで生きる為に戦って来たんだ!”特攻紛いの切り捨て”は絶対に許される
べきでは無い!>島航海長は自分の”意見具申”の結果、犠牲者が出るのは許せなかった。

しかし副長は顎を右手で撫でながら不敵に笑った。

「その案、活けるかもしれないな・・・。 榎本掌班長! 百式を一機だけ残して航空機本体、支援機材を全部投棄しろ!」

「真田さん!気でも狂ったんですか!」島航海長は真田副長の非道さが許せなかった。

『良いんです! ”地球”が待っています。航空隊を切り捨てても”ヤマト”は前に進まなくてはなりません!』山本・玲も
残留を希望した。

「駄目だ! 君等を見捨てて”地球”が救われると本当に思っているのか! 副長、航空隊の帰還を命令して下さい!」
島航海長は航空隊の隊員を切り捨てるのは絶対に反対だった。

『航空隊の俺達が乗るべき機体を失ったら、ヤマトの中で何をすれば良いんです! やらされる任務が掃除や
雑用ばかりじゃ堪りません!」沢村・翔航空隊員も残留を希望した。

「馬鹿もん! 機体だけ捨てて泳いで帰って来い! 脱出する時、今までの戦闘を記録してあるデータ・メモリー・
スティックを持ち帰るのを忘れるな! それがお前達の今の任務だ!」沖田艦長だった。

彼は病床にあっても”威厳”があった。

「艦長! もう宜しいのですか?」皆が希望を持って艦長に呼びかけた。

「・・・」しかし、沖田の返事は無く、代わりに佐渡・医師の怒号が皆のインカムに響いた。

「馬鹿もの! 折角、回復が順調だったのに今の”一喝”で艦長はまた昏倒されてしまった。

艦長を殺したくなかったらさっさと命令を聞いてデータ・スティックだけを持ち帰れ!」

『イ、イエッサー!』航空隊の面々は射出座席を作動させて愛機を離れると座席下にあるデータ・スチックを抜き取って腰にあるホルダーに収めるとヤマトめがけて宇宙遊泳をした。

このデータ・スティックに収められたデータは個々の機体だけのものでは無い、同じ型の機体であれば別人の機体のデータもリンクされて記憶されていた。

「明生兄さん、一緒に帰りましょう。」山本・玲はデータ・スティックを胸に抱くと心の内で呟いた。

戦死した兄、山本・明生は玲の愛機、コスモ・ゼロの原型を地球で開発していた、だからその時のデータも全て内に
残っているのだ。

『山本! 早く! ここで遅れを取ったら俺達の愛機は無駄死にになるよん!」篠原・弘樹航空隊・副隊長が山本を
急かした。

艦長室の窓から航空隊の撤退作業が終わった事を確認した佐渡・医師はベッド上の沖田へ無言で”OKサイン”を
送った。

それを見た沖田は安堵する様に溜息を一つ、つき黙って微笑むと天を仰いだ。
e0266858_11391939.jpg
航空隊が”裸での帰艦”をしている間に副長と”姫”は次の段取りを打ち合わせていた。

<航空隊に”機体”を捨てさせたのならヤマト本体に積んだ”ミサイルや魚雷、三式融合弾”なども捨てるべきなのでは
無いのか・・・。>南部・康雄・砲雷長はあまり考えたく無い事を思った。

かつて、彼はヤマト発進直後の”メ2号作戦”時、”航空隊・不要論”をぶち上げ、周りの不況を買ったが、作戦が航空隊
指導で行われると少し考えを改める様になり、艦隊を組めないヤマトにとって航空隊の存在が如何に大きいか、旅を
続ける内に理解し、自分の言動を”恥ずかしい”と思う様になっていた。

「意見具申します!」南部・康雄・砲雷長は折り合いの悪かった父が作った”凶暴な兄弟”達に最後の花道を用意して
やろうとしていた。

                                      182. やってきたのはお姫(ひい)様ー(10)→ この項・続く

[PR]
by YAMATOSS992 | 2015-03-14 21:00 | ヤマト2199 挿話 | Comments(4)
 ヤマトと御召艦・ガウ・ルーガルはガトランティス本体から来たと思われる艦隊に追われていた。

<随分大規模な艦隊だな。この前出逢った転移ビーム砲艦が五隻もいる! ”姫様”はどうあってもガトランティスに
とって葬るべき存在の様だな。>真田副長はあんな化け物を一度に五隻も相手にする事など考えたくもなかった。
e0266858_10470518.jpg
「ウーム、ドム・ラルーサ(青)、ガイーダ・ロン(緑)、シャザム・フムセン(灰)、ストゥーパ・パイレン(緑灰)、後は大帝直属
艦隊のダウ・ズォーダ(標準色)・・・、主だった火炎直撃砲装備艦を全てかき集めて来よったか!」ボ・ルドウの顔は
引きつっていた。

しかし、当事者である”姫”は全く動じず、後ろから迫る艦隊をスクリーン上で眺めながら不敵に微笑み、「”烈華の陣”、
目標は追手の”火炎直撃砲艦全ての転送機腕!」と命じた。

「”姫”如何に”火炎直撃砲”と言えどまだ距離があり過ぎます。これでは命中しても”戦艦の主砲”程度の破壊力しか
期待出来ません!」ボ・ルドウは”姫”の命令に危険を感じたのだ。

「誰も”撃沈”しようなどとは思っておらん。 戦闘不能に追い込めば充分、無駄な殺生は避けたいからな。」”姫”は
そう言うと”火炎直撃砲”の操作レバーに右手を掛け、コンソールの上のダイヤルを細かく操作した。

なんとガウ・ルーガルの砲手は”姫”その人だった、そしてその操作ぶりからはかなりの熟練度が見て取れた。

一方、ヤマトでは”転移(ワープ)”での退避が出来ないので、ヤマト防衛の為、航空隊を展開させていた。
e0266858_21492097.jpg

また、兵装全てを使用可能にすると同時にあらゆるセンサー・探知機を働かせ敵の動向に目を光らせていた。

「”ガウ・ルーガル”を中心に空間転送波が五ヶ所に向かって広がって行きます!」新見情報長が理解不能と言った顔で報告した。

<五ヶ所? 敵の転送ビーム砲装備艦の数と同じだ・・・。ってまさか!>島航海長は”ボ・ルドウ”艦長の作戦が余りに
大胆な事に胆を潰した。

彼も流石に”ガウ・ルーガル”の砲手が”姫”その人だと言う事は知らなかったのだ。

**************************************************

<小娘め、この大艦隊を見て竦み上がっておる事だろう。>追跡艦隊司令、霹靂のガルダ・ドガーラはヤマト・ガミラスと
一戦交えた雷鳴のゴラン・ダガームの従弟だった。

「”ガウ・ルーガル”と同行している謎の艦はどうやらテロン艦”ヤマッテ”のようです。」情報士官が報告した。

「何!”ヤマッテ”だと!我が同胞の仇、まずそちらから始末してくれようぞ。さすれば”レティファン姫”も素直に言う事を
聞く事だろう。」ドガーラが各艦の”火炎直撃砲”の照準を”ヤマト”に切り替えようとした時である、通信士が
”ガウ・ルーガル”からの通信を受信した旨、報告した。

「お主と会うのは初めてじゃな? 名はなんと申す?」通信に出た”レティファン姫”は尋ねた。

「ははぁ、我が名は霹靂のガルダ・ドガーラ、ゴルエン族の客分で御座いまする。」ドガーラは相手が一応、王族なので
へりくだって見せた。

「それはお主の”真の名”か? わらわはお前の”真の名”を尋ねておるのじゃ。」”姫”は大胆な事を聞いた。

「・・・」ドガーラはシファル・サーベラーに尋ねられても答えられない”姫”の問答の答えに窮した。
e0266858_22113101.jpg

「どうした? 答える勇気が無いのか? 良くそれで戦士を名乗れる物だな。」”姫”の言葉はドガーラの怒りに
火を付けた。

しかし、彼が怒りを爆発させるまでもなく”ズシンッ”と言う音と共に”ダウ・ズォーダ”の艦橋は大きく揺れた。

「何事か!」”貴人”との通信中であるのも忘れ、ドガーラは大声で状況報告を求めた。

「右舷真横より艦首に被弾! ”火炎直撃砲”の転送システムは両舷とも大破!使用不能です!」”ダウ・ズォーダ”の
艦長が報告した。
e0266858_21171726.jpg
<何! 右舷だと? ”ヤマッテ”も”ガウ・ルガール”も左舷前方だ、一体誰が攻撃して来たと言うのだ?>ドガーラは
混乱していた。

「どうじゃ、お主の”真の名”しゃべる気になったか?」からかう様な”姫”の声がドガーラを現実に引き戻した。

「こちらにはまだ四隻の”火炎直撃砲艦”が御座いますぞ、”姫”こそ降伏なされよ!」ドガーラは虚勢を張った。

「ほう、そちらに”火炎直撃砲艦”はもう無いはずだが・・・。」”姫”の謎めいた微笑に被さる様に他の”火炎直撃砲艦”も
使用不能である旨、報告が入った。

「霹靂の勇者よ、悪い事は言わぬ。 人死にの出ない内に撤退せよ! 兵を無駄死にさせる者は将として
”失格”じゃ!」”姫”は最後通牒を突きつけると通信を絶った。

「本国より通信! サーベラー丞相閣下であります!」通信士は怯えていた。

この艦隊は”火炎直撃砲”の使用に長けたセジャード族の”姫”を追跡する」ためガトランティス中の”火炎直撃砲艦”を
掻き集めて編成されたものだ。

それが敗北したなぞと言う報告など出来る訳が無かったからだ。

「よし、繋げ!」しかし、ドガーラは敢えて通信接続を通信士に命じた。

<取るべき責任は取るしかあるまい。”完敗”したのは事実だ・・・。>ドガーラは放漫ではあったが卑怯者では無かった。

炎が燃え上がる様な3D映像がドガーラの前に出現したと思うとガトランティスの丞相、シファル・サーベラーの姿が
現れた。

「霹靂のガルダ・ドガーラよ。 逃げたレティファン・クエセジャード姫の捕獲の首尾はどうなって居る? 報告せよ!」
丞相はドガーラを詰問した。

「はっ、申し訳け御座いませぬ。”火炎直撃砲”の技術を使いこなす”ガウ・ルーガル”に我が艦隊は翻弄され、
撃沈された艦こそ出ていませんが主力の”火炎直撃砲艦”は五隻とも”火炎直撃砲”を使用不能にされ、圧倒的に不利な
状況に追い込まれております。」ドガーラは正直に現状を報告したが<もはやこれで・・・。>とばかりに自決用の
短剣の柄にその右手は掛けられていた。

「フム、従弟のダガームとは違い、戦士としての誇りは残して居るようだな。
それでは今一度の機会を与える。 配下の艦艇を上手く使うが良い。」それだけ言うとサーベラー丞相は火炎と共に
ドガーラの前から消えた。
e0266858_22141494.jpg

「命拾いしましたね。司令。」”ダウ・ズォーダ”の艦長が労いの言葉を掛けた。

<しかし、何故、我々の艦は攻撃を受けたのだ? こちらの”火炎直撃砲”の射程はまだ”ガウ・ルーガル”に届いて
居なかった、と言う事は”ガウ・ルーガル”の”火炎直撃砲”だって我々を攻撃出来る距離にまで近づいては居なかった
はず、やはり伏兵がいたのか・・・>ドガーラはダガームより知恵は回ったが、所詮は戦闘バカだった、
彼は無傷の空母群に艦載の偵察型デスバーテーターをビームの来た方向に向かって何機か、発進、探査を実施
させた。
e0266858_15575447.jpg
**************************************************

「ウーン、この前出逢ったガトランティスのビーム転移(ワープ)艦とは、その主兵装の使用レベルが格段に違う、
敵に回したらデスラーなんぞ子供、ドメル将軍でも互角に戦うのは難しいかもしれん。」”ガウ・ルーガル”の戦闘の詳細を
検討していた新見情報長が纏めたデータを見た真田副長は感心した。

「どう言う事です? 判り易く説明して下さい。」血の気の多い南部戦術長代理が尋ねた。

南部は今後の戦闘に生かすべく、瞬きする間も無く、追手の主力艦五隻を無力化した方法を知りたがった。

「それは”七色星団会戦”を思い出したら良い・・・。」真田副長は説明を始めた。

確かにガミラスのドメル将軍は”物質移送機”を使って宙母・艦載機をヤマトの周辺、思いもよらぬ場所に送り込んで攻撃
して来た。

艦載機が複数の別の場所に送り込めるなら一本の巨大なビームを別の場所に分けて送り込めても不思議は無い。

ただ、”エネルギー保存則”があるから分けたビームの一本々のエネルギーは下がってしまうが、元々の
”火炎直撃砲”のエネルギーは非常に大きいので五本程度に分割した位では充分な破壊力をまだ維持しているのだ。
e0266858_09292883.jpg
「でも、あのビーム転移砲をも大きく上回る射程を”ガウ・ルーガル”は実現しています、それはどう説明するのですか?」
今度は北野砲手が質問した。

「勉強熱心な君の事だ、落ち着いて考えてみたまえ、ヒントは”光速兵器の限界”だ。」真田副長は簡単に答えを与えて
くれなかった。

 強力で迅速、”撫で斬り効果”も期待出来る光速兵器であるが、その本質上、避けられない欠点を持つ、それは砲口を離れたビームは目標までの距離が増えれば増える程、その破壊力が減って行く事だ。
(距離の二乗に比例して破壊力が減るのは避けられないのだ。)
e0266858_10164105.jpg
反対に魚雷やミサイルは速度は遅いが推進剤の続く限りどこで爆発しても威力は同じである。

”火炎直撃砲”(地球人はこの名を知らなかったが・・・。)は破壊ビームを転送機で任意の場所に送り込む事で
通常の”光速兵器”の射程外から攻撃出来るのが長所だと思われて来た。

しかし、実は”火炎直撃砲”は単なる射程距離短縮砲では無く、真に多彩な用法がある兵器なのだ。

自艦から全く異なる方向から敵艦を狙う事も可能、一本の極太破壊ビームを複数の目標に対して別けて照射する事も可能だった。

<なる程、あの艦、”ガウ・ルーガル”には外から見える武装が殆ど無いのはこういう理由があったんだな。>真田副長は
前に遭遇したガトランティスの”ビーム転移砲艦”が凶悪に見える程、強武装だった事を思い出し、一見すると殆ど
”非武装”にしか見えない”ガウ・ルーガル”の強大な力を目の当たりにする事で”人の力”の大きさを改めて痛感した。


                                       181. やってきたのはお姫(ひい)様ー(9)→ この項・続く

[PR]
by YAMATOSS992 | 2015-03-07 21:00 | ヤマト2199 挿話 | Comments(4)